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姉弟と共闘1

遅くなって申し訳ありません。

  目の前にはリン姉が出て行った門がある。

  門には、『この先危険。私かジン君のどちらかに認められた者以外は外出禁止』と書いてある。

  リン姉は分かるけど、俺?この先何があるかも分からないから認めるも何も無いんだけど・・・。

  うーん、どうしよう。俺もちょっと行ってみようかな?思い立ったが吉日とも言うし。

  早速門を開けようとしたが、先ほどリン姉は全員を大地のベッドに寝かせた後は、使っていた木刀は収納し、胸部に硬そうなレザーが付いたコートを羽織り、少し短めの刀を左右それぞれの腰に下げ、準備万端で入って行ったのを思い出す。

  もしかしたら、リン姉がそこまで準備するほどの強い敵が出るのかも知れない。俺も一応コートを羽織り、筋トレブレスレットを取り外し、何時もは腕輪にしている手甲と脚甲を展開させて、ついでに大剣も背負う、おまけとばかりに練気も使用する。今の俺めちゃくちゃ強そうじゃない?強者感が溢れ出てない?ええんやで、このままジンさん最強の物語が始まっても・・・。


  ・・・うん。始まらないですよね。知ってました。


  門を潜ると百メートルほど何も無く赤茶けた土が広がり、その先から木々が生い茂っていて、魔の森より緑が濃い様に感じる。さらに森の奥から感じるプレッシャーはヘルゴブリンキングか同等以上のものが複数感じる、それに自然と頬が緩んでしまう。

  とりあえず、近くのヤバそうな雰囲気の方に向かった。

  しばらく森の中を進むと、ついさっきまで居た美女と体長三メートルほどの骸骨の化け物が切り結んでいた。

  片方は溢れんばかりのグラマラスなわがままボディーが俺の目を惹き付けて離してくれない。朱色のコートを靡かせながら両手にそれぞれ刀を握り、まるで舞の様な美しさの剣筋で自分より圧倒的に力の強い攻撃をいなしていた。

  もう片方は全身骨で出来ていて頭部には髑髏が二つ、まるで壊れた玩具の頭を二つ無理やり一つの場所に着けようとして歪で不気味だ。上半身というかほぼ全ての骨は直径二十センチほどの太さがあり、こういう骨を持つ魔物がいるのかね?

  上半身は骨の太さと腕の本数を抜きにしたら、人間の骨格に酷似していた。違うのは肩甲骨と肋の上部から左右それぞれ腕が生えていて、普通の腕と合わせて合計六本もあり、その腕の伸びた先はその大太刀の様になっていて、端から見ても切れ味が良さそうに鋭利な刃になっていた。

  足はその巨体を支える為か四本足があり足場の悪い森の中を縦横無尽に動き、その巨体から振り回される大太刀の様な骨の一撃はその余波だけで地が抉れ、木が刻まれていく。

  少し離れた場所で見ていたが、ちょっとずつ・・・いや、急激にあの骸骨と戦いたい衝動に駆られる。いや、だってめちゃくちゃ強そうなんだよあれ。それに六本の骨の大太刀に対して二本の刀で捌ききっているのがまた格好が良い。やはり魔法が使えないとはいえ、ファンタジーの世界で、男の子ですからね、剣で無双する主人公に憧れる。

  ・・・あ~駄目だ、リン姉には申し訳ないけど、乱入しちゃおう。そうと決まれば、大剣を抜き放ち、そのまま一回転させた後、刃を下に向けながら走り出し、リン姉が右側から来る大太刀を受け流してる最中に左側から来る大太刀三本に合わせて、大剣をバットの様に降って当てて弾き飛ばした。


  「ジン君?」

  「俺も交ぜてよリン姉」


  そう言って、大剣を肩に担ぎながらリン姉の横に立った。

 

 

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