綺麗なお姉さんとフライドポテト
遅くなって申し訳ありません。
出来立てを食堂に運び、結構多めには作ったが物凄い速度で完食され、帰り際にレシピを渡して村長宅を後にした。
「交渉事を任せてごめんね」
「いえ、お気になさらないでください」
「税金とか色々面倒だったと思うけど・・・」
「慣れていますので、ご安心ください」
元は商人かその娘だったのだろうか。
過去を知りたいと思う気持ちもあるがここで聞くのは野暮だな。いずれ向こうから言ってきた時に聞こう。
「本当にありがとう。何かお礼を・・・」
「いえ、大丈夫ですよ。ところで、その・・・フライドポテトはまた作っていただけますか?」
そう言い、微笑むマリアはとても可愛かった。
「あれ以外にも種類があるから、帰ったらいっぱい作るよ」
「ありがとうございます」
「さっき買ったけど、もう少しジャガイモを追加で買って帰ろうか」
「はい」
ちょっと顔を赤らめた綺麗なお姉さんは好きですか?
ーーー大好きです。
露店は行きに結構買い漁ったからそこまで多く残っていないと判断しエルザード商店に向かって歩く。
村長宅を出たとき金髪ドリル達は消えていて少し安心したが、いつまた遭遇するか分からず、某ゾンビゲームでどこまでも追いかけてくるクリーチャーの様だった。
相変わらず新婚さんの様な買い物が続く。ここでも奥さんは綺麗だねとか言われてたから、その店のものを買い占めてしまった。
我ながら金使いが荒いが、アイテムボックスもあるし、一切無駄にならないので良しとしよう。・・・財布用の袋の中身を見て、金策しようと思った。
買い物を終え、帰り道、自宅が見えてくるが、見た目は少し大きな屋敷で、とてもじゃないが家二軒とだだっ広い庭があるとは思えないが、「魔法あるし、リン姉だからな・・・」そう思うと、非常識なものが非常識でなくなっていく様に感じる。
家に入りマリアにお礼を伝え、俺はキッチンへ向かう。
さて、早速作っていこう。
ジャガイモを取り出して洗っていき、丁寧に芽を取り除く。一般に良く知られているが、ジャガイモの芽にはソラニンやチャコニンといった毒が含まれる。これはフグの毒で有名なテトロドトキシンなどに比べれば弱いが、腹痛などを引きを起こす。弱いからといってそのまま食べないように芽を取り除くことを徹底し、多少勿体無いが芽を取り除く際少し大きめに取り除く。・・・うん、露店開く際は絶対に守らせよう。
皮ごとくし切りで切り分けるものと、皮を剥いた後、同じくくし切りで切る二種類用意。
前者は手間が省け、皮の食感が残る。後者は多少手間だが、口当たりは良くなるって感じだろう。
・・・ああ、後は皮を剥く際、ピーラーなどを使わずに行った際、実よりも皮の面積が大きくなる可能性もある。そう考えると、食材を無駄にしない為にも皮付きにした方がいいな。
くし切りのは用意出来たのでボウルに入れ一時間ほど水に浸しておく、そうすることでデンプンが水に溶け、油で揚げた際ぬちゃっとなるのを防ぐ。
次に芽を取り除いたジャガイモを棒状に切っていく。くし切りのものと棒状のものとどちらがいいか、この世界の人の好みに合わせようと思う。切り方少し変えたくらいでは手間は変わらないので出来るだけ売れやすそうな方にしたい。
棒状に切り終えたものも水に浸す。ジャガイモを十個ずつ使用し、試食分くらいにはなったと思う。
ボウルからジャガイモを取り出し、リン姉が作ったキッチンペーパーの様なものを使って、水分をしっかり拭き取る。水浸して揚げると跳ねて危ないし、水蒸気が発生し、均一に熱が通らないのでしっかりと行う。
油を入れた鍋を準備し、中火で火をかけジャガイモを入れる。
少し揚げた後、一度バットに上げ、冷ましながら次々と揚げていく、その際冷ましているジャガイモを見ていると、「これで冷凍させておけば楽じゃね」と思い少量を冷凍させておく。上手くいけば、準備工程と販売工程とで別けることが出来て、覚える工程が少なくなっていいと思う。
初めに揚げたものは冷凍させたので今から二度揚げをする為に温度を揚げる。
このコンロ前の世界のIHより火力合って、使いやすくてホント便利だよね。
高温で色が変わるまで揚げ、バットに上げる。いい感じのキツネ色と揚げたての為、見るからに熱そうな湯気が期待値を上げる。
軽く塩を振り、一つ摘まみ口の中へ。
「あふっ!あふっ!モグモグ・・・ヤバ、美味っ!」
これは早くたべてもらいたいと思い、次から次へと揚げていき、出来立てには軽く塩を振り、アイテムボックスに収納を繰り返していき、用意した分が全部揚がる頃には、キッチンの入り口に腹ペコモンスターズが勢揃いしていた。
十分も経たないうちに試食分は全て無くなり、追加で作った。
くし切りのものと棒状のものどちらがいいか尋ねると棒状の方が多かったし、持ち運ぶ容器の関係もあり棒状に決まった。
ただ家で食べる際ほどちらも食べたいと言われたのでどちらも
作っていきたいと思う。
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