唐揚げと移動
お待たせしました。
肉を使ったものは確定だな。
いずれ魚とか手に入れて色々作りたい。刺し身や寿司、焼き魚に煮魚、魚介鍋にすり身から蒲鉾や竹輪なんかの練り物なんかもありだな。
いずれ魚介を扱う村や街に行かねば。
さて、無い物ねだりをしてもしょうがない。今ある肉を美味しく食べなくては。料理だけどただ焼くのもな・・・。お、そういや小麦粉とか色々種類有ったし、醤油っぽいものも有ったし、久しぶりにあれを作るか。
上手くいけばこれを子供達に売ってもらって、自立の為の資金にするのも悪くないな。
油の入った鍋に鶏ガラから取った出汁、にんにく、しょうが、フォースコッコのモモ肉、もらったばかりのミスリルの包丁を取り出す。
キッチン備え付けのマジックボックスからボウルとまな板にバット、ショーユっぽいソース・・・もう醤油でいいや、それと小麦粉と酒を取り出す。
まずは、ボウルに醤油に鶏ガラの出汁と酒、すりおろしたにんにくとしょうがを入れ、混ぜ合わせる。
次にバットに小麦粉をいれておく。
コッコ肉をまな板の上に載せ、少し小さい一口大に切り先ほど混ぜ合わせたものの中に浸る様に入れ軽く揉む。本来なら少し寝かせて下味をしっかり付けるんだが、後ろから腹ペコモンスターズの視線が突き刺さる。一応試作だからこのくらいにしてどのくらいなのか確認しておこう。決して腹ペコモンスターズの視線に負けた訳ではない。
それにしてもキッチンに入って来ず、入り口で待ってて偉いな。普通のペットだったら足元まで来て危ないって聞いてたんだけど、こいつらは一度もない。まあ、衛生的にもいいからありがたいんだけどね。
油の入った鍋に火を点けて、軽く浸けた肉を取り出し小麦粉を軽くまぶして、いい感じに温度が上がった油に投入していく。
少し低めの温度で二分ほど揚げ、若干揚げ足りないくらいのところで一度取り出し、コンロの火力を上げ、もう一度投入して二度揚げしていく。そうすることでしっかり火が通り、肉も固くならず、外はパリッとし、中の脂は逃がさない揚げものが出来るもちろん揚げる時間や温度は異なるが。
出来たての唐揚げを二枚の皿に分けて、一つはそのまま、もう一つは爪楊枝を人数分用意して、扉へと向かい。
「熱いから気を付けてな」
クロ達用は床に置いてやり、リン姉達には一つずつ爪楊枝ごと渡し最後に余ったのを口に入れる。
揚げ立てて熱かったが、我慢できないほどではなく、そのまま咀嚼する。一口一口噛む毎に口の中に肉の旨味と肉汁が溢れ出していく。やがて全てを呑み込んだ口の中は先ほどあれほど肉汁で溢れていたにも関わらず、油っこさが残らなかった。正直どの店で食べた唐揚げより旨かった。フォースコッコでこの旨さならマジックコッコやまだ見ぬ上位種は一体どれほど旨いのだろうか・・・。
「・・・ジン君めちゃくちゃ美味しかった」
「後で私達にも作り方を教えてください」
「いや、今からマジックコッコで作るから一緒に作ろう」
「それなら私達も是非」
「もちろんアイナだけじゃなくて皆にも覚えてもらうよ。リン姉屋台はこれで行こうと思う」
「分かった、じゃあ屋台用に鍋とか作っておくね」
「お願いね、じゃあ皆一緒に作ろうか」
「「「「「はい!!」」」」」
アイナ、エレナ、ティナ、ロザリー、ミミィのメイド五人に教えながら唐揚げを作り、締めに皆から作ってと言われマジックコッコの唐揚げを作り食べたが、フォースコッコと比べものにならないほどの旨味にもう普通の鶏の唐揚げは食べれそうにないと、舌が肥えていくのを感じた。
・・・屋台はフォースコッコ一択だな。としみじみ思いながら唐揚げを量産していった。
昼まで唐揚げを量産して、ついでだから昼飯は唐揚げとご飯とサラダにしたが、やはり唐揚げにはご飯がめちゃくちゃ合っていて、皆美味いと言いながら食べていた。
昼飯も食べ終わり、また唐揚げの量産をしていった。と、言っても同じ味だと飽きるので、辛味をいれたり、にんにく強めなんかも作ってみたが、どれも旨かったが、にんにく強めは臭いが気になったので、少な目に作った。
夕方に近付いた頃、醤油が五リットルほど入る釜で二つほどになってしまったので、そこで一度止め、一つ釜をアイテムボックスに収納して、リン姉が居る地下室に向かった。
ちょっと秘密基地みたいでドキドキしながら階段を降りて地下室に入ると、背中全開きセーターを着たリン姉と、ブラウス姿だけど、もう透けていないマリアが、入ってきた俺に気付き微笑んでた。
「やっぱりジン君の作る唐揚げは美味しいよね」
「はい、流石ジンさんです」
「いや~そんなことないよ」
美女二人に誉められてニヤニヤが出そうだったが、そこはクールなジンさんはポーカーフェイスで乗り切った。
「そうだ、唐揚げ大量に作ったからマジックボックスに入れておいたから食べてね、後醤油二つしか無いんだけど、その内一つを村長のとこに売ってもいい?多分唐揚げ食べたら結構な値段で買ってくれると思うんだけど」
「醤油ならもう売ったよ?」
「え、マジ?いくら?」
「ないしょ」
なんだあの顔、ウィンクめちゃくちゃ可愛いじゃねぇか!!くそ、このままチューしてやろうか・・・。
「じゃあ醤油少ないし売らずに取っとくわ」
「うん、また作ってマジックボックスに入れておくね」
「分かったお願い、じゃあちょっと村長のとこ行って屋台の許可でも貰ってくるよ」
「分かった、行ってらっしゃい」
「では私もお供します」
「分かった、じゃあマリア行こうか」
「はい、それではリンさ・・・ん行って参ります」
「二人共行ってらっしゃい」
リン姉はそう言った後、地下室から出ていった。あれは間違いなくキッチンに向かったな。
さて、地下室から出て、玄関から外に出ると、庭でダリウスやクロ達が模擬戦をしていた。
クロ達大分強いから大丈夫か?と思っていたら、しっかり手加減をしているようで、ダリウス達は転がされて大きな怪我とかも無い様で安心してエルザード村行きと書かれた門をマリアと二人でくぐった。
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