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転生チートで世界一の魔法使いになりました。ただし魔法使いは俺だけです。(改題)  作者: 二上たいら
第6章 暁の星

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暁の星 63

 翌朝、俺たちはデラシネの様子を視察することにした。


 俺たちがレギウムに行っている間に家屋の建築は進み、まだ住宅難が解決したというわけではないが、以前のように隙間風や雨漏りに悩むことはなくなったようだ。

 一つの建物に家族ではない集団が押し込められている状態に変わりはないので、まだまだ発展途上ではあるのだけれど。


 俺はひとまず家族のところに顔を出す。

 朝の早い時間ということもあって、家族は揃っていた。


 俺の家族だからということかもしれないが、俺の家族は一つの建物を単独で利用している。


「おはよう。早くからごめん。顔を見ておきたくって」


 家族はそれぞれに俺の訪問を驚きつつも受け入れてくれた。

 でもアデールはすぐにぷいと顔を背ける。

 俺のせいで疎開生活になってしまったことをまだ許してはくれていないらしい。


 それもそうか。

 デラシネにアデールくらいの年齢の子はいない。

 友だちを失い、そして新たな友だちができるわけでもなければ、これくらいの年の子には辛いだろう。

 その分、大人たちからは可愛がられているだろうが、大人は子どもの友だちにはなれないのだ。

 本当に子どもと同じ目線で友だちになれる大人がいたとしたら、それはそれでちょっと怖い。

 アデールは女の子だしな。


「レギュムに行ってたんだろう? 平気だったか?」


 ああ、そうか、皆はレギウム連合国のことをレギュムと呼び、魔族の国だと思っているんだった。

 でも誤解を正すべきだろうか?

 どちらにせよ、レギウムとは決裂してしまった。

 賠償金は支払う予定だが、リディアーヌは交流を行う気がなさそうだ。


「平気だった、とは言い難いかな。レギュム、というか、彼らは自分たちの国をレギウムと名乗っているんだけども、基本的には俺たちとなにも変わらない普通の人だったよ。見た目はちょっと違うけどさ」


「でも黒い肌に牙や角が生えているんでしょう?」


「肌は確かに黒かったけれど、牙も角も無かったよ。本当に肌の色だけ。ただ言葉が全然わからなくてさ。その辺が色々誤解を生んだんじゃないかと思う。一方でヤバいヤツもいてさ。実を言うと結構危なかった」


「アンリが?」


 父さんが信じられないという様子で言う。

 直接俺の全力を見たことがあるわけではないが、色々伝え聞くことはあっただろう。

 一年半かけて一度も外に出ることなく迷宮を制覇したということからも、普通ではないことがわかっているはずだ。


「強さの種類が違うんだ。説明が難しいんだけど、魔法とはまた違う力を使ってきて、なんとか生き延びたけど、倒せたわけでもないんだよ」


「やっぱり魔族って怖いんだね」


 リーズ姉がそう言ったけど、それは勘違いなんだよなあ。

 勇者がちょっと規格外すぎるというだけで。

 だけど訂正の必要を感じなかったので、誤解させておいたままにした。


 それから近況を聞く。

 どっちかというと、これが主題だ。


 父さんはツリーハウスってわけじゃなけれど、この辺の森を形作っている大樹を柱に使った家屋の建築技術を伝授し終わっていて、今は狩猟を中心に技術を教えているらしい。

 デラシネの人たちって共和国で生まれ育った難民二世みたいな人が多いから、森での生活のことをなにも知らないんだよな。


 母さんは料理や、穫ってきた獣の毛皮を使った衣服の作り方などを教えているそうだ。

 これまた冬に向けた準備として必要なものだ。


 家があり、衣服があっても、この辺りの冬は厳しい。

 そのため、父さんの要望で別の町の壊れていない炉を使って亡者が木炭を作り続けている。

 この辺の輸送はアレクサンドラの配置転換で簡単にできるから、俺の力は必要ないみたいだ。


 リーズ姉とアデールは、なんというかマスコットみたいな感じだな。

 どちらも小さい頃は森で暮らしていたけれど、もうピサンリの生活に馴染んでしまって、アドニス村での生活のことはあまり覚えていないらしい。


 うーん、こうして話を聞いて思ったけど、やっぱり生きるために必要な最低限の知識ってのは必要だよな。

 そうでないと生きるのも難しい。


 リディアーヌに言わせると、生きるために必要な最低限の知識は、生活の中で手に入るってことだったけれど、なにを伝えるべきで、なにを伝える必要がないかの判断は誰がするんだ? って感じだ。


 でもまあ、確かに生きるだけなら学校というものの必要性は薄いのかな。


 あれって要は未来への投資だと思うから、成長の必要が無ければ、無くても一向に構わないと思う。


 保護区、保護区かあ。


「皆に聞いてみたいんだけど、例えばピサンリではもっといい生活をしてたじゃない。どちらがいいとか、そういうのはある?」


 アデールが顔を顰める。

 彼女がピサンリに戻りたいと思っているのは明白だ。


「ピサンリはいいところだったとは思うが、俺たちはちょっと保護されすぎだったからな」


「保護されすぎ?」


「そうだ。お前の肉親ということで、領主様も俺たちを大事に扱っていた。それでちょっと居心地が悪かったところはあるな」


 あー、そう言えば父さんと母さんはアドニス村の開拓に参加した人だ。

 元々、新しい暮らしをするために一から生活を立ち上げることに抵抗の無いタイプの人なんだ。

 だから今の生活に満足しているんだな。


「より良い暮らしをしたいとは思わないの?」


「それはしたいに決まってるだろ。そのために日々頑張っているんじゃないか」


「そうだよね」


 やっぱり人がより良い生活を求めて学習していくのは本能みたいなものなんじゃないかと思う。

 それを無理やり止めるというリディアーヌの考えには賛成しにくいよな。

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新作始めました。近未来超ハイスピードバトルアクションです!
全18話で書き終えておりますので、安心してご覧になってください。
バトルダンスアンリミテッド ~適性値10000超えの俺が世界最強になるまで~
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