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転生チートで世界一の魔法使いになりました。ただし魔法使いは俺だけです。(改題)  作者: 二上たいら
第6章 暁の星

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暁の星 57

 しばらく考えをまとめていたシルヴィだったが、ようやく口を開いた。


「30年は長すぎます。年間十万本は用意できますが、それをするのであれば3年で手を打ってもらいたいところです」


 実際に年間十万本の鉄インゴットを作るのがどれだけ大変かはシルヴィもわかっていないと思う。俺もわからない。

 亡者をフル稼働させれば余裕だとは思うけれど、そうすると国境の守りが薄くなってしまう。


 現在帝国は大きな抜け殻のようなものなので、他の国の軍隊が国境を越えてきたら、好き放題に侵攻されてしまう。


 シルヴィの提案にレギウム連合国大統領はまなじりを吊り上げた。


「それはいくらなんでも少ない。国民が納得しない。20年は続けてもらいたい」


「正直に言いますと、亡者による被害は大きく、こちらとしては復興に手を尽くしたいわけです。長々と賠償をするということであれば、一万本で要求を呑んでいただきたいと思います」


 大統領は周囲を見回し、少し考えた。


「それは一万本であれば30年を超えてもいいという意味だろうか? 例えば永続的に、とか」


「永続的に、とは軽はずみに言えることではありませんね」


 うーん、シルヴィは通訳してくれているけど、正直よくわからん。

 ちゃっちゃと百万本なり賠償して終わりにできないの?

 山一個潰せばいけるでしょ。しらんけど。


「これは総量の問題なのか? それとも年間量? それか期間のほうが大事?」


「それぞれ全部よ」


 全部かー。そうかー。


「次世代にツケを残したくありません。年間二万本で20年というのでは?」


「軍がひとつと、町がひとつ滅ばされているのだ。そのことをわかっているだろう?」


「損失をまるまる賠償はできませんよ」


「当然だ。人の命は金に換えられるものではないのだから」


「これ、国民向けの発言なのかしら? 本気で言っているわけではないわよね?」


 シルヴィがこちらの言葉に切り替えて言った。

 言いたいことはわかるよ。

 大統領の言葉はあまりにも理想主義的すぎて、現実味に欠ける。


 人の命は金では買えないが、その価値は金に置き換えることができる。

 例えば今後その人が一生に稼ぐと予想される金額は、その人の資産価値だと言えるだろう。


「うーん、正直わからないな。本気で言ってる可能性もあると思う」


「そんなので国家元首が務まるわけ?」


「政治家はそういう人のほうが人気が出たりするから」


「私は民主主義って駄目だわ」


「まあ、思想に自由があれば言うのは自由だよね」


 そもそも生まれた国の国家体制とか選べるものでもないしな。

 民主主義国家に生まれた社会主義者はどうすればいいのか、って話だ。

 民主主義に抗しているのに、民主的に制度変更を求めるのは矛盾するからテロリスト化するんじゃないかなあ?


「そもそも政治の責任を私たち貴族が負うから、民衆が生きることに専念できるわけじゃない。平民に政治参加するような生活の余裕があるの?」


「その余裕ができたとき、国家は民主化するんじゃないかな」


「なるほど。リディアーヌ様が文明の発展に疑問符を持つわけだわ」


 あー、確かに王様側からしたら文明が進歩して国民生活に余裕ができるのっていいこととは限らないのか。

 ということは専制政治では国民に生活の余裕を持たせてはいけないということにならない?

 それはそれでリディアーヌらしくない気がするな。


「でもリディアーヌがシルヴィに任せたということは、とりあえずシルヴィの考えでこの場をまとめてもいいってことなんじゃないか?」


「そうね、リディアーヌ様はレギウムに対する興味を失ってしまわれたようだし、レギウム側から干渉がなければどうでもいいというところなんでしょう」


「言っていいのかわからないけど、別に一万人を返す必要もないしな……」


 俺の収納魔法には結構な数の人間が眠っている。

 その中でもレギウム人のような生存者たちは本来であればそのまま死んでいた人たちだ。俺たちが彼らの生存についてなにか責任を感じる必要はないはずなのだ。

 アレクサンドラは主犯なので除くとしてだけど。


「うーん、どこまで話して良いものか迷うわね」


 交渉というものは正直に打ち明ければいいというものではないということなんだろう。つまり相手が知らないこちらにとって不利な情報をわざわざ開示する必要はない、ということだ。


 それでもシルヴィは考えをまとめて発言した。


「こちらにも復興の資材が必要です。どんなに手を尽くしても年間三万本以上の鉄を輸出することはできません」


 不利な事実を非開示どころか、大嘘じゃん。


「それで10年ということだろうか?」


「そうですね。これ以上はお互いに譲れないでしょうし、この辺で手を打っていただけませんか?」


「……まあ、仕方あるまい。こちらとしても帝国を追い詰めたいわけではない」


「ご理解いただけて幸いです。大統領閣下」


 ひとまず帝国の亡者によるレギウム攻撃への賠償はそういうことで決まったようだ。

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新作始めました。近未来超ハイスピードバトルアクションです!
全18話で書き終えておりますので、安心してご覧になってください。
バトルダンスアンリミテッド ~適性値10000超えの俺が世界最強になるまで~
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