暁の星 45
魔物の同時生成!?
それも種類が多い。
最強種はさすがにいないようだが、中級を中心に、上級ほどの魔物が含まれている。
不可能だ。
少なくとも俺にはできない。
召喚する魔物が違えば、それは違う魔法だ。
俺がいま感じている喪失感が魔法の別種類の同時使用が原因だというのなら、ネージュにかかっている負担は計り知れない。
アレクサンドラが召喚したスケルトンと、ネージュの生み出した魔物が、もはや津波のように勇者に押し寄せた。
無数の動体が一点に向けて押し寄せるために、魔物やスケルトン同士がぶつかって、打ち上げられ、それはもう本物の大津波だった。
戦うとか、斬るとか、そういう問題ではない。
質量で押しつぶせる!
『五の断ち――海割り』
次の瞬間、一振りで魔物の津波は割れた。
崩れ落ちる波のようだった魔物たちの一角が、さらに高く打ち上げられて、隙間ができる。そこに勇者は入り込んだ。津波による圧から勇者は一点突破で逃れた。
「いただきます」
そう言ったのはシルヴィ。
津波から逃れた勇者の背後にぴったりとくっついている。
姿が見えないと思っていたら魔物たちの波に紛れ込んでいたらしい。
そしてシルヴィは背後から勇者を攻撃――するのではなく、その首筋に“噛み付いた”。
勇者が身をよじってシルヴィを振り払い、魔物たちを薙ぎ払いながら魔物の波から離れていく。
『あーあ、やっちまった』
首筋の傷に手をあてて勇者は言う。
『可哀相に。元からかなり寄っていたのに、これは……』
俺が放つ極光を最小限の動きで躱しながら、勇者はシルヴィを見ている。
目を離さないでいる。
それが必要だとでも言わんばかりに。
「あああああああああ!」
絶叫をあげたのはシルヴィ。
口元を血で濡らしながら、空に向けて咆哮する。
「あああああああ縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゑシ�シ�シ√�
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「修正したわ」
シルヴィの声が耳に届くと同時に、すべてが元に戻る。
「なるほどね。こういうことなんだ」
『ははっ、ようこそこちら側へ、というべきかな』
「ズルいわよね。勇者って。こんなのなんでもありじゃないの」
『そういうものだからな』
「シルヴィ! 俺にもわかるように話してくれ!」
「簡単に説明はできないわ。とにかくいまはこいつを退ける。アンリはできる範囲で皆を守って!」
「戦闘は?」
「私しか相手にならない!」
それはつまり戦えるというのか、この訳の分からない勇者と。
「こっち」「こっち」「こっち」「こっちも」「こっちでも」「こっちでもいい」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」
ぶつぶつとシルヴィは呟きだす。
目の焦点はあっておらず、どこを見ているわけでもないように見える。
明らかに正気じゃない!
俺はシルヴィを助けようと降下しようとしてできなかった。
地上に近付くと魔力の気配が薄かったからだ。
ネージュの召喚魔法によって地表付近の魔力は根こそぎ消費されている。
「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「こっち」「じゃあここでいい」
シルヴィが剣を突き出すと、その切っ先は勇者を貫いた。
どれだけ離れていようが、距離など関係ない。
そこには“シルヴィが勇者を刺した”という現実だけがある。
脳が理解を拒む。だがそれが現実だ。
距離に関係なく、シルヴィは勇者を刺した。
『おっと、それは俺じゃない。食らうとわかっていたから、そこには影を置いておいた。チュートリアルは無事終了みたいだな』
「じゃあ“混ぜる”わよ」
『ああ、混ざったものを分けるのは難しいからな。では、根本的に“分かつ”ことにしよう』
ビリッと世界が横に割けた。
地表が消えてなくなる。
俺は上空しかない世界に取り残された。




