表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チートで世界一の魔法使いになりました。ただし魔法使いは俺だけです。(改題)  作者: 二上たいら
第6章 暁の星

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/232

暁の星 29

 クロウエルーロに到着した俺たちは住民の大歓迎を受けた、わけではないが、かの西の蛮族を一目見ようと思ってか、街道沿いにある程度の野次馬はいた。

 立ち並ぶ町並みは王国や帝国と建設様式こそ違ったが、劇的に違うというほどでもない。

 町を囲う防壁はなく、耕作地から徐々に住宅の密度が上がっていった感じだ。


 標高が下がって帝国ほど雪が降らないのか、建物の床が高くなっていることはない。壁は漆喰のようなものが塗られているが、王国や帝国とは違って大変なめらかだ。一見切り出した石のようにも見える。

 屋根はスレートだろう。色とりどりなのは着色しているのかな?


 町の雰囲気は屋根で決まる。(偏見)

 俺は飛翔魔法で空から町を見下ろすことが多かったからそう思うのだけど、屋根から得られる情報って案外多い。

 木を組んだだけの屋根が並ぶ集落を見ると、流民街なのかなと思うし、藁葺きだと農家かな、とか、あるいは屋根に飾りがあると裕福なんだなと思う。住人に余裕のある地域だと花が飾ってあったりするんだよな。


 クロウエルーロみたいに着色されたスレート屋根の町並みでも、単色だったり、モザイク模様になっていたり、単に色がバラバラだったりで、雰囲気が全然違う。


 クロウエルーロは街路から見た感じだと建物ごとに単色なのかな。屋根飾りはなく、屋根に花を飾る文化はなさそうだ。ただ建物の窓際には花が飾られているところが多い。


 それよりもガラス窓が一般に普及していることに驚く。

 透明度はさほどでもないが、十分実用に足りているようだ。

 ガラス技術が発展しているということは、望遠鏡があるかもしれない。

 飛翔魔術を使ってるところを望遠鏡で発見されるの怖いな。東側では飛ばないでおこう。


 王国や帝国だとガラス製品は輸入頼りだ。西側のある国が技術を独占していて、手に入らない。俺が製法を伝えようにも、なんか珪砂?とか言うのを使うらしいくらいしかわからない。


 レギウムとの交易路開拓はガラス製品の輸入という点だけでも魅力的だな。だけど魔族との交易と考えるとまだ手札が足りない。

 王国の凝り固まった魔族という意識をぶち壊せるほどの利点がないと、黒い肌の人々を王国民が受け入れることはできないだろう。


「私たちは黒い肌の人々を恐れてきましたが、レギウムの方々は白い肌の人々を恐れたりはしないのですか?」


 アレクサンドラが素朴な質問を投げた。


「その感覚を否定はしませんよ。アレクサンドラ様。あなた方のように白い肌の人々が自分たちを善で、黒い肌の私たちを悪だと感じるのは当然だと思います。レギウムですら、白は良い。黒は良くない。という文化があります」


「収束進化だな」


 俺は呟く。


「俺たちの目は光を見るから、暗闇の中での活動は困難だ。だけど灯りがあれば活動できる。文明の発展は光に支えられてきた。光は白色ではないけれど、闇は明確に黒に見えるから、その正反対で白と光は同一視される。それが善悪となるかどうかは別として、少なくとも光は恩恵である。白は恩恵の色である。という風に文化が形成されるのは不思議じゃない」


「すみません。難しかったので誰か噛み砕いてくださいませんか?」


「私が翻訳しますね」


 リディアーヌがレギウム語に通訳をしてくれる。

 それを聞いたセリュールさんはうんうんと頷いた。


「とても鋭い指摘です。レギウム人は肌が黒いですが、時々白い肌の子が産まれてくることがあります。我々はその子を神の使いとして大切に育てます。つまり我々はあなたがたのような白い肌の人々を見ると、畏れ敬う文化的土壌が形成されているのです」


 アルビノか。

 遺伝子疾患の一種であるアルビノはメラニン色素が合成できないため、肌の色が真っ白になり、目の色素も薄くなるため、光に弱くなる。

 太陽光で火傷を負うため、吸血鬼伝承の由来なんじゃないかなと思う一方、黒人の中に生まれたアルビノが特別扱いされるのはなんかわかる。

 日本でも白い蛇は神聖なものって扱いだったよな。確か。


「それがレギウムが帝国を、なんというか、保護的に扱っていた原因か」


「否定しきれませんね。帝国を文明化しようという議論は常にありましたが、反対派が圧倒的に多数です」


 相手があの帝国でなければ交易からの文明化はありえたんだろうけど、あの皇帝ではなあ。それ以前の北方は小国家の集まりで、それこそ蛮族だったわけだし。


 まあ、遊牧民族として略奪の歴史がある王国出身者も人のことは言えないけどさあ。


「それにしても文明の分断がこれほどまで長く続いてきたのも驚きだな。地理的な問題が大きいんだろうが」


「言語障壁もありますしね」


 セリュールさんが言う。


「大地は丸いのですから、海を東に行けば大陸西側に辿り着けるという冒険家もいましたが、様々な障害によってまだ為されていませんし」


「そうか、航路もダメなんだな」


「大地が丸い!?」


 ネージュとアレクサンドラが驚いている。

 まあ、王国の高等教育でも大地が丸いなんて話は出てなかったし、王国や帝国では一般教養としては大地は平たい。

 だけどネージュ、君は飛翔魔法で空を飛んだでしょ。大地が奥に向かって曲がっているのは視覚的に理解できたはずだ。


 いや、こういうのは港に出入りしていて、遠ざかっていく船が、やがて船体が見えなくなったのにまだ帆が見えている、みたいな経験から実感を得ていくものだ。

 高低差や障害物の多い平地だと分かりにくいよね。


「そうです。我々の住む大地は球体であると証明されています。太陽や空の星々が回っているのではなく、この大地が回転しているんです」


 それからセリュールさんによる地動説の解説が始まったけど、俺は知ってるから聞いてなくていいよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めました。近未来超ハイスピードバトルアクションです!
全18話で書き終えておりますので、安心してご覧になってください。
バトルダンスアンリミテッド ~適性値10000超えの俺が世界最強になるまで~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ