表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チートで世界一の魔法使いになりました。ただし魔法使いは俺だけです。(改題)  作者: 二上たいら
第5章 黄泉返りの魔王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/186

黄泉返りの魔王 50

 アレアス・シュテュアンが着席し、続いて立ち上がったのは斜め向かいくらいの男子だ。

 別に時計回りとかではなく、序列順みたいな感じだろうか。


 アレアスくんは貴族の序列としては高くないが、今回はホスト役だから口火を切ったのだろう。

 ということは次に立った彼が実質的な序列1位ということか。


「ダニエル・シャルリエだ。伯爵家次男。今年の競技大会で武闘の部を制覇する男だ」


 シャルリエ伯爵家の次男か。

 ストラーニ家が北方の盾なら、シャルリエ家は北方の槍だ。


 ただストラーニ家が近年できた新参者であるのに対し、シャルリエ家は王国成立当初から存在する歴史のある家だ。

 同じ伯爵家でも、ストラーニ家とは格が違う。

 彼が俺に対してでも強い言葉遣いなのは、相応の背景を持つからだろう。


「得意なのは槍だが、剣も使える。馬術も得意だ。武闘の部に騎乗部門があればいいんだがな」


「馬術の部には出場しないのか?」


 俺が聞くとダニエルはふんと鼻を鳴らした。


「馬術の部は乗り方が美しいとか、着地が綺麗だとか、評価基準が気に入らねえ」


「あ-、馬術って曖昧な評価点が大きいもんな」


 何メートル飛んだから、とか、何メートルを何秒で走り抜けたとか、明確な基準が馬術の部にはない。

 障害物に当たってしまうと減点、というのは誰にでも分かるのだが、ノーミスが何人もいた場合にどうして順位がそう決まったのか、素人目には分からない競技だ。

 あ、これ当たり前だけど、現代地球の馬術とはまったく違う競技だから、そこのところはよろしくな。


「そうなんだよ。だから俺は勝ち負けのはっきりしてる武闘の部1本だ」


 ふむ、ダニエルくんがどれほど強いのか俺は知らないが、シルヴィとかネージュが出場したら、まあシルヴィの優勝だろうな。

 ただ留年してる俺たちって競技大会出場できるんだろうか?


 学院で留年って滅多なことでは起こらないので、他の例を俺は知らない。


 常識的に考えて出場はできるが、辞退するべきという空気があるというところだろう。

 シルヴィは気にせずに出場してしまうかも知れないが、そのときはごめんよ。

 まあ、空気読まずに出場しそうなのはネージュのほうか。


「去年の大会はどんな成績だったんだ?」


「……4位だった。だがそのとき上にいた3人は卒業済みだ。今年は俺が優勝する!」


「最高学年でもないのに4位は素直に凄いと思うけどな。努力が報われるといいな」


 理不尽の塊が出場してこないように祈るよ。


「4位は凄くねーよ。価値があるのは優勝だけだ!」


「いいね、そういうの好きだよ」


 学生時代の目標ってのはそれくらい高く持つもんだと俺は思う。

 現実を知って、実現可能な目標を探るようになるのは、叩き折られてからでいい。

 叩き折られないまま、世界のトップに立つヤツだっているに違いないというか、そういうヤツでないと世界のトップには立てないのだと思う。


「はっ、他人事みたいに言うなよ。出るんだろ? 武闘の部」


「へ? 出ないけど?」


 魔法有りなら勝負にならない。(勝ち)

 魔法無しでも勝負にならない。(負け)


「はぁ!? だって強ぇんだろ。アンタは。6歳の頃に最強級の魔物を倒してたと聞いたぜ?」


「魔法を使えば、ね。でも武闘大会に魔法はズルじゃない?」


「なんでだ? 魔法がアンタしか使えないのは知ってるけどよ。それも含めて実力のうちだろ」


 こいつ、なんでもありの世界の住人か!

 というか、それで優勝する気でいるの凄いな。

 気が強いとかそういうレベルの話じゃない。

 お前、最強種に勝てるんか? って話になってしまう。


「じゃあ、例えばだけど、武闘の部に毒は使えるか?」


「そんなん駄目に決まってるだろ。俺としては有りだと思うが、規定にちゃんと書かれているからな。無しだ」


 一応ルールは守るタイプか。

 まあ、俺しか使えない魔法のために規則が追加されているはずもないしな。


「私の魔法はそんな感じだ。体の外にあるモノを使って現象を起こしてる。私の中の何かを消費して使うわけじゃないんだ。だから武闘の部には合わない」


「じゃあ、個人的に試合をしようぜ。アンタとはやってみたいと思ってたんだ」


「いいけど、近接戦闘ならシルヴィのほうがいいんじゃないか?」


「あんなちんちくりん、ボコボコにするのも、されるのもごめんだ」


 お前、この場にシルヴィがいなくて本当に良かったな。

 体型のことかなり気にしてるから、一発で好感度マイナスに振り切れるぞ。


「まあ、予定が詰まってるから競技大会のあとでいいか?」


「あんたとやるならしっかり準備がしてぇから、俺の方もそれがいい」


「分かった。これについてはまたお互いの予定をすりあわせよう」


「それでいいぜ」


 そう言ってダニエルはどかっと椅子に座った。

 あ、自己紹介それでいいんだ。

 競技大会の武闘の部に出るってことくらいしか分からなかったけど、まあ、どういうヤツなのかはなんとなく分かったからいいか。


 その後も、おそらく序列順に自己紹介が進んでいった。

 順番に一切の迷いのないところが貴族社会だなって感じだ。

 親の爵位と学年でなんかポイントでも決まってて、その合計で順番を決めてんのかって感じで、どちらかに寄った順番でもない。


 最高学年以外にも気になる子はいるけれど、さしあたって必要な人材を確保となると、この春に卒業する最高学年の子が欲しい。


 アレアスくんとかダニエルくんがうちに来てくれないかな。


 アレアスくんは本人の実力がよく分からないけど、人当たりがいいのは確かだ。

 一緒に働く上で何気に大事だと思うのが、この人当たりの良さで、雰囲気を明るくしてくれるだけで、周りの人間の効率が上がる、ような気がする。

 少なくとも職場の空気が明るいほうが働きやすいはずだ。


 俺は働いたことないから知らんけど。

 知らんけど。


 ダニエルくんは競技大会の武闘の部で前回4位という成績が本当であれば、かなり腕が立つと見ていい。

 少なくとも素質はあるはずで、バルサン伯爵のところででも鍛えてもらえば、あっという間に使える騎士になってくれそう。

 実用的な馬術に自信がありそうなところもいい。

 王国貴族は遊牧民を先祖に持つということで馬術に誇りを持つ貴族が多いのだけども、最近はいかに美しく馬に乗るかに注目が集まっていて、実戦的な馬術を訓練するのは騎士を目指す人くらいだ。

 うちの領地だと騎士がひとりいれば足りるんだけど、流石に貧相すぎてダニエルくんが嫌がるかも知れないな。


 どちらも長男ではないので卒業後の就職先を探しているはずで、まだ決まっていないのであれば、誘ってみよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めました。近未来超ハイスピードバトルアクションです!
全18話で書き終えておりますので、安心してご覧になってください。
バトルダンスアンリミテッド ~適性値10000超えの俺が世界最強になるまで~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ