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転生チートで世界一の魔法使いになりました。ただし魔法使いは俺だけです。(改題)  作者: 二上たいら
第5章 黄泉返りの魔王

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黄泉返りの魔王 24

 帝城の出口を固めていた兵士たちをネージュとシルヴィが打ち倒していく。


 俺の役割は意識を失った兵士を念動魔法で進路からどかしていく作業だ。


 地味とか言うな。


 それこそ念動魔法で拘束してもいいのだが、通常の筋力くらいならともかく、迷宮で鍛えたレベルの筋力があると破られる。

 いや威力を調整すればいいんだけど、迷宮レベルの念動を一般兵士に使うと絞め殺しかねないのだ。

 一人一人に合わせてチューニングするくらいなら、ネージュとシルヴィに任せたほうがずっと楽だし、速い。

 そもそも全部俺一人でやろうとする必要などないのだから、それぞれができることをやるほうがずっといいのだ。

 リディアーヌ? アレクサンドラを抑えてくれているだけで十分だよ。


 出口を確保して外へ。

 馬車を収納魔法から引っ張り出し、魔法馬を生成。

 全員が乗り込んだところで、魔法馬は疾走を始める。


 馬車は往路で細々とサスペンションを追加、調整していったので、整備された道であれば全力疾走してもさほど揺れはしない。

 独立懸架の油圧サスペンション式は再現が無理だったので、スプリング式の車軸懸架だけど、スプリング自体がまだこっちの世界で見たことがないのでオーバーテクノロジーだと言えるだろう。


 魔法障壁を四方、斜めに重ねて八方。真上に一面。

 ただし足下には隙間がある。

 魔法障壁は馬車を起点に発生させてあるので、馬車と一緒に移動するのだが、地面と触れると当然ながら衝突が発生する。

 なので下部に30センチほど遊びを設けてあるわけだ。

 魔法障壁は基本的に目には見えないので、まず気付かれないはずだが、要注意ではある。


 進路上の兵士たちは、馬車が避けないと悟ると左右に分かれて散ったが、後ろから乗馬した比較的軽装の騎士が追いかけてきている。


 うーん、気分はモーセってところだな。

 実際にその立場に立ってみると、あまり良いものではないとよく分かった。

 流石に割れるのが海か兵士かでは、かなり違いがあるとは思うが。


 魔法馬の出力にはまだまだ余裕がある。

 魔法馬は100馬力くらいあるからな。


 ただ馬車のほうが速度に耐えられない。


 なにせ元がボロ馬車である。

 修理として手は入れたが、修理レベルだ。

 勇猛と評判の帝国騎士から逃げ切るほどの速度に耐える車体となれば、全金属製とかにするしかない。


 とはいえ、それはこちらから一切手が出せない場合だ。

 殺さない程度に自衛が許されるのであれば、話は変わってくる。


 だけど殺さないってのが案外難しいんだよな。

 なにせ人は案外簡単に死ぬからだ。


 落馬させる程度でも、落ち方が悪かったら死ぬ。

 軽く小突く程度でも、当たり所が悪かったら死ぬ。

 なんなら軽い切り傷からでも破傷風で死ぬ世界である。


 この逃走中のやりとりで結果的に一人の死者も出さないというのは、とても難しい。


 氷漬けにした騎士たちは大丈夫なのかって?

 俺から離れたら氷は消える仕様なので、しもやけ程度で済んでいる、と思いたい。


「追いつかれるわ!」


「……アンリ」


 ネージュは攻撃許可が欲しそうだ。

 ガルデニア式の暗器を習得したネージュは、さっきも見せていたが投げナイフなどの遠隔攻撃手段がある。

 だけど馬を攻撃したら、騎士が落馬で死ぬかもしれない。


 魔法障壁があるから放っておいても大丈夫なのだが、いつまでも付いてこられても困る。


「アンリ様、うまく馬を止めてください」


 まだ帝城の城塞の内側だ。

 多少は怪我させても大丈夫か?

 だけど首の骨を折りでもしたら一発だ。


 要は馬をうまく停止、ないし減速させればいいのだ。


 足下をぬかるみに変えるか?


 石畳をぬかるみに変えるのは、相当に強力な魔法となる。

 そうなると範囲指定が難しい。

 自分たちも巻き込まれる。


「あれ、いや、難しくないな」


 なんで気付かなかったんだろう。

 冷静でいるつもりでいて、俺は相当焦っていたらしい。


 馬車の全周囲、中心部を除いて円を塗りつぶすように反重力魔法を発動させる。

 円の中心に近いほど高いところまで、遠いところほど低いところまでを効力範囲にする。


 中心部をくり抜いた円柱を思い浮かべてくれたら、効力の範囲が分かりやすいと思う。


 反重力魔法に覆われた騎士たちは、乗馬ごとふわりと浮き上がる。

 馬の足が中空を蹴るが、当然前に進む力は得られない。

 空気抵抗によって減速していく騎士たちは、俺たちから離れるほどその高度を下げていって、やがてゆっくりと地面に接地した。


 大抵の場合、馬が怯えて使い物にならなくなったようだが、それでも再度こちらを追いかけようと馬を走らせる騎士もいる。

 だが再度反重力魔法に捕まって後方に置いて行かれると、追跡を断念したようだった。


「なにをやったの?」


 シルヴィに問われて説明する。

 アレクサンドラも聞いているけど、まあいいか。


「魔法障壁の隙間は足下にあって、接近した相手は反重力で空に浮かび上がるって、それもうズルじゃない!」


「分かるー」


 実際ズル(チート)だからね。


「もっと早くこの組み合わせに気付くべきだったな」


「しかし、アンリ様、反重力魔法というのは無差別なのでしょう? 市街地では使いにくいと思いますが」


「それもそうですね」


 人だけではなく物も反重力の影響を受けるので、市街地で使うと生活への被害が甚大だろう。

 そもそも帝城を出た市街地では魔法障壁の全周防御も道幅の関係でやりにくい。


「市街地に出たらネージュの索敵頼りだ。頼むよ」


「……任せて!」


「さて、アンリ様、門です」


 リディアーヌの言うとおり帝城の正門が見えてくる。

 門はすでに閉じられ、閂もかかっている状態だ。


 だけど!


 門への開門命令。

 門の重さや大きさ、門までの距離、閂の存在分、必要魔力は大きくなるが、大魔法というほどでもない。

 閂がひとりでに動き、金具の中で横滑りする。

 兵士たちが必死に押しとどめようとするが、門は兵士たちを押しのけて開いていき、完全に開放されたそこを、俺たちの馬車が駆け抜けていく。

 邪魔をしようとした兵士たちはふわりと浮き上がり、そして俺たちが駆け抜けた後にそっと地面に戻った。


 うーん、便利。

 だけど市街地に出たから魔法の解除が必要だ。


 ここからはネージュに任せよう。

馬車に乗るときにリディアーヌが落ちかけて、シルヴィがその腕を掴んで引き上げ、トゥンクとなるシーンがありましたが、アンリくんは気付きませんでした。

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新作始めました。近未来超ハイスピードバトルアクションです!
全18話で書き終えておりますので、安心してご覧になってください。
バトルダンスアンリミテッド ~適性値10000超えの俺が世界最強になるまで~
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