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EnjoyLIFE BoringLIFE  作者: どうにかなる(ならない)
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大した理由がないから死ぬんです

死にたいなんて自分勝手かもしれない。でも、死ぬしか答えが見つからないのだから仕方ないじゃない。私がいなくなっても何も変わらず世界は回っていくのだからきっと迷惑はかけないだろうから。さようなら。

私は遺書の最後にそう綴った。

親も親戚もいなかった。友達も、もちろん恋人もいなかった。自分自身、生きてるのか生きていないのかわからなくなって書いたって意味のない遺書を形式的に書いて、自宅の玄関で首吊り自殺をした。早めに見つけてもらわないと異臭で大家に迷惑をかけるかもしれないと思ったので新聞を頼み、「新聞の溜まっていたら警察に通報してください。その場合、私は部屋で倒れているか死んでます。」と張り紙をしておいた。もしこの張り紙を見た新聞配達員が普通の人ならば私はきっと笑われるだろう。自殺とは考えないだろう。変人で構ってちゃんなんて思われると思う。そして実際部屋を訪ね、警察に通報した瞬間息を呑むだろう。「本当だったのか。」、「うわ。最悪だ。」そんなことを思うはずだ。だから感謝の気持ちを込めてお詫びの品を用意した。私の好きな香水である。財布に入った最後のお札を使って買った。私はメイク入れの中に入っていたお詫びの品とと同じ香水を付けて私は椅子に足をついて首を通す。死にたいほど辛いことなんて何もなかったが、いいものでもない私の不完全な人生を終わらせる。そのことに迷いはなかった。楽しいと感じるものは何もなく、ただ、つまらない現状に飽き飽きした。ここから楽しくなる方法がわからない。希望を持つ方法がわからない。私は何かを教えられたことがないから、いつも自分で学んで自分で考えてきたけれどそういう事だけは本を読んでもわからなかった。結局どうすればいいのか、今できることは何なのか、答えは載っていなかった。小さい頃育ててくれていた母も自殺した。きっと答えが見つからなかったのだろう。親の死、孤独の地獄、きっと、それはかなりの不幸なのだろうけど、ほとんどの人が一生のうちに味合うことで、私は自分が悲劇な人だとは思わない。しかし、こうやって戸惑いもなく死を選ぶ私は弱く、脆く、情けなくて、そんなことすらどうでもよくて、今も笑っていられる私に幸せが来ないのは必然だと思う。それにも関わらず幸せを望む私の叶わぬ思いは早く消してしまうのが一番なのだ。

私は椅子を蹴った。

私の足は浮き、とてつもない脱力感に見舞われた。

 頭が熱くなり、耳鳴りがする。

キーンという音は止む気配を見せず私の耳の奥に突き刺さった。

眩しくて目を思いっきり閉じても光は私を照らした。

だんだんと足が重くなり意識が遠のいてゆく。

もう何も考えられないほどに。

私は呆気ない死ぬ瞬間にどうも納得がいかず、こんなんなら最初からしてしまえば良かったなんて後悔をしてしまうようだった。


「おっ邪魔しまーす!!」


ドアがバッと開かれ、誰がが大きな声でハキハキと言った。

しかし、その声を最後に私の意識は途切れた。

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