プロローグ #1
今よりちょっと未来の世界には、99.99%の私たちと同じいわゆる普通のニンゲンと0.01%の突然変異をしたニンゲンがいる。
普通のニンゲンはHと呼ばれ、突然変異してしまったニンゲンはFと呼ばれている。
“F”は人によって大小様々な力を持つ。
ある人はサイコキネシス、ある人は未来予知、また人は人の心を操ることも出来る。まるで超能力者のような、フィクションの世界のような力を持っている。
“H”はその強大な力に恐怖を感じた。いくら強い力で対抗しても軍の兵器を使っても敵わなかったからだ。
だから“F”からあらゆる権利を剥奪した。教育を受ける権利、家を借りる権利、仕事をする権利、病院にかかる権利…すべてを奪い取った。
そう、自分たちがその大きな力に支配される前に。
長年の研究で“F”は性染色体Yに変異が現れることが多いことが判明した。なので9割は男である。
また、先天的な“F”は生まれつきその変異した遺伝子を持ち6歳ごろまでにその力が目覚める。後天的な“F”は生まれつきは普通のニンゲンと同じ遺伝子を持つ。20歳ごろ身体が出来上がるまでに“F”から攻撃を受けることで遺伝子が変異し目覚める。
おかげでこの時代、この世界では採血による遺伝子検査が義務とされている。産まれた時とそれから5年ごとに30歳になるまで“F”の遺伝子がないか調べられ、“F”の遺伝子があると判明した時点で、この世界から追放される。
これはそんな時代、そんな世界に生きるニンゲンのお話。