表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の創った箱庭世界  作者: コルム
生命誕生編
95/243

第095話 それぞれの想い

「先ず始めに私が疑問だった事は、主様が殊更“従魔魔法”を私達には使わない、とおっしゃっていた事よ」


タリズ達に説明を始めるルナ。俺は面白半分で聞いています。


まぁ実際どう転んでも後悔しないだけの覚悟は済んでいるからね。

そして多分だけど、最終的には丸く収まる気がするんだよね~。

何となくだけど。


「主様のご説明が真実であるならば、もう私達は“従魔魔法によって“主様の従魔になることは出来ないわ。

だから主様は“従魔魔法を使わない”としか言われなかった。

恐らく意図的に」


ちらっとこちらに視線を向けるルナ。

片手を“ひょぃ”と差し出す形で“正解ですよ?続きをどうぞ?”的なジェスチャーで答えます。


「私達を試されたのでしょうね。主様の意図に気付けるかどうかを。

さらに気付いた上でどう対処するのかを。


貴方達はどう?主様の意図に気付けたのかしら?

主様は“従魔魔法を使わない”としか言われなかったのよ?


決して“もう従魔にはしない”とは言われなかった。

ここまで言ったら貴方達でも気付くのではないかしら?」


さすがは長姉。

ちゃんと俺の意図を理解していたみたいです。

その上で弟達へも考えるように仕向けるなんて、偉いねぇ。


「姉上。わたしは知りませんが、従魔となる方法が他にもあると言う事ではないでしょうか?」


「タリズ。わたくしもその事については知りません。

が、主様は何か別の方法をご存知なのでしょう。


そうでなければ、最初からこのような方法を取られる様なお方だとは思いません。


ですから私は主様に対して“私達を従魔にするおつもりはないのか?”と改めてお伺いしたのです」


あ~何だ。

俺の意図を理解していたと思ったけど、深い所までは行ってなかったのね。

何の為にギルドカードを見させて自身のステータスを改めて確認させたと思ってたんだろう?

あの時はそこまで意識が回らなかったのかな?

スキル欄を見れば理解出来ただろうに。


「結果、皆も聞いていたように“従魔にはして頂けない”と」


余計なお世話だが、一応訂正しておくか。

まぁ言葉遊び的なニュアンスの違いでしかないのだから、多少は譲歩してもいいだろう。


「それは若干違うな。

俺がお前に言ったのは“再び従魔として・・・・・”従えるつもりが無いと言った」


「それは何が違うのでしょうか?」


「俺はそれに関して明確に答えるつもりは無い。

お前達が気付くか、俺の判断を受け入れるかだ。


大体論点が違うぞ?

お前と他の皆の想いが同じかどうかを、俺は聞きたいだけなのだから。

正確に言うなら、“お前達が俺に対してどんな想いを抱いているのか?”が、聞きたいだけだ」


「・・・承知致しました。

が、その前に1点だけお伺いさせて頂きたく存じます。

“従魔の様な存在”は、この世界には存在するのでしょうか?」


あ~多分俺の意図して使った言葉に気付いたな。

かと言って、まだ及第点はやれんがね。


「まぁいい。結論から言えば“従魔の様な存在”は、この世界に存在する。

だが、さっきも言ったが、論点が違う。


俺が聞きたいのはお前達がどんな想いを抱いているのか、という1点のみだ。

さっきのルナとの遣り取りの中で、俺自身の意思が変わった。


従魔契約を破棄した時点で“従魔の様な存在”に気付いていれば、また違った可能性もあったかも知れんが、

今の俺の意志としては、お前達の想い次第では“従魔の様な存在”にお前達をするつもりが無くなった。


意味が無いからな。 さて、改めてお前達の想いを聞かせて貰おう」


「私が主様の意図を汲み取れなかった事に関しては、幾らでも謝罪させて頂きます。

ですから・・・」


「くどいぞ?俺が聞きたいのはお前達の想いに関する1点のみだ」


「・・・承知致しました。

皆ごめんね。私が主様に対して不要な遣り取りをしたせいで、主様のご意思を蔑ろにしたみたい」


再び泣き崩れるルナ。

おい!その言い方と態度はどうかと思いますよ?完全に俺が悪者じゃん・・・。

まぁ仕方ないかも知れないけどさぁ。


「・・・主よ。少し宜しいでしょうか?」


「ん?フェンが発言するとは珍しいな。何だ?」


ちなみにフェンですが、全員の中では2番目にINT値が高かったりします。

300万オーバー。 つーかマジでこいつらの強さは異常です。


その割には頭の回転が遅いような・・・。

アレか?突然の従魔契約解除で混乱してたのかな?


「“契約魔法”の詳細についてお伺いしたく存じます。

ルナ姉上が指摘された“従魔の様な存在”を可能とする事が出来るのであれば、

“従魔魔法”の他には“従魔魔法”の下位スキルと思われる“契約魔法”しか考えられません。

主が“我々の想い次第”だとおっしゃった以上、“契約魔法”によってなれるかも知れない“従魔の様な存在”が、

“我々の想い”とは違った形となるならば、主のご指摘通り、確かに意味が御座いませんので」


お!これは結構いい所まで一気に来たな?本来なら後1歩って感じ?


「“契約魔法”とは、お互いに魔力の拘束力を持った“契約”を行う魔法だ。

ただし双方の合意が必要だがな。


当然双方の合意、つまり意思疎通が可能な相手との“契約”しか行えない。

主に商取引などでの書面による“契約”に拘束力を持たせる事を主目的とした魔法の一種だな。


当然契約違反時のペナルティなども双方の合意がなければ成立しない魔法だ」


「なるほど。重ねて問わせて頂きますが、

そうであるならば、最初に主が想定されて居られた意図としては、

我々が“従魔契約”を破棄された後に、“契約魔法”の存在に気づいて居れば、

主は我々と“契約魔法”による“契約”をして頂ける可能性もあった。

と言う事で間違いないでしょうか?」


「否定はしない。

魂を持つ存在になった事で、明確にお互いの意思疎通が可能となる訳だからな。


逆に言えば、明確でなくても意思疎通が可能であれば“契約魔法”は有効である。とも言えるがな。


だが今となっては、既にお前達との関係を今後どうするかを保留している状態だ。

お前達の“想い”が明確でない以上、俺はお前達と“契約”を交わすつもりがないからな」


「もし“契約魔法”によって“従魔契約”を行った場合はどうなるのでしょうか?」


「正確には“契約魔法”によって“従魔契約”は行えない。

“契約魔法”によって聖獣や魔物などと“契約”した場合は“従魔”ではなく“従者”に近い関係になるからだ。


その為、“契約魔法”によって“契約”した聖獣や魔物などは“従魔”ではなく“契約従魔”と呼ばれる。

ただの“従魔”とは違って、契約内容を逸脱したような命令に対する命令拒否権を持つからな。

その点が明確に違う。


ただ、“従魔魔法”とは違って・・・あぁ、一緒だったか。

主人側からの一方的な破棄は可能だな。

同様に、命令拒否権は持つものの“従者側”今回の場合だと“契約従魔側”からの一方的な破棄も不可能だ」


「くっくっく・・・主もお人が悪い。いや、人では無く神であらせられましたな。

ルナ姉上の言葉に対して明確な線引きをなさった上で、詳細な説明もないまま“契約魔法”の存在に気付けと?」


「お前達にはまだ理解が出来ないのかも知れないが、“契約魔法”はある意味、最も危険な魔法だからだ。

何の意図もなくルナを弄んでいた訳ではないぞ?


“契約魔法”は双方が合意さえすれば、確実に成立し、強制力・拘束力を持った魔法だ。

微妙な言葉尻、些細なニュアンスの違いで自身の意図とは反する“契約”を交わす場合もある。

その危険性を教える事が、主人としての俺の最後の役目だと思っていたからな。


魂を持ち、個人の自由意志をも手に入れた以上、自身の発言に対する責任も同時に発生する。

だからなおさら、“言葉”として発した内容の重要性を考えて欲しかっただけだ。


さて、無駄話も終わりにしようか。 改めてお前達の“想い”を聞かせて貰おう」


・・・・・・


「どうした?誰も何も言わないのならば、俺にはお前達の“想い”が伝わらん。

話がしやすいからと人化したんだろう?ならばお前達の“想い”を俺に教えてくれ。


伝える“想い”を持たないのならば、とっとと人化を解除しろ。

あぁ、全員自分の意思で判断しろよ?

念の為に念話の使用が不可能にしておくか。『展開!』

さぁ。自分自身で考えろよ?」


一応念話でお互いに情報交換が出来ないようにしてみました。

イメージ的には一時的な結界みたいな感じ。多分これでいけてるはずだと思う。


・・・暫く待ってみたものの、相変らず全員黙ってます。人化も解除しないし。


俺にどうしろと?

俺としてはマジで望まない“契約”をするつもりが無い以上、身動きが取れないんですが?


「黙っていても、何も進まないぞ?


ルナ!お前が言い出した事だろう。ちゃんと全員の“想い”がお前と同じだと説明してみせろ。

もうこれ以上待つ気はない。これが最後だ。


お前達がそれぞれの“想い”を俺に伝えるつもりが無いならば、この場で去って貰う」


「主様・・・私は主様と共に歩む従魔で在りたいと望んでおります。

主様の傍にお控えし、主様と共に成長し、主様より頼られるような、そんな存在で在りたいと。

ですから、再び従魔として主様にお仕えする存在となる事を望んでおります。

これは私だけでなく、此処に控えております全員の総意でもあります」


「俺はお前の“想い”と全員の“想い”が同じであると説明しろと言ったと思うが?


まぁいい。

改めて言うが、お前が言った存在として、再びお前達を従える事を俺は望まない。

お前が言っている事は、単純に言うならば再びただの従魔・・・・・となりたい。

それと同義だろう?

それは俺に対して依存している事と、どう違う?


お前と話をして、考え方が変わったと言ったが、俺はお前達に依存している関係から脱却したいと思った。

重ねて言うが、俺はお前達を俺の家族同様だと思っている。

家族の中で明確な主従関係はあるか? 家族同士は相互依存関係にあるのか?

家族と言うのが判りづらいなら、今のお前達の関係に置き換えてもいい。

お前とタリズ達の間に主従関係はあるのか?


多少の上下関係はあるかも知れないが、それは上下関係であり、主従関係ではない。

お前達の間で存在するのは、お互いがお互いを尊重する関係じゃないのか?」


「主よ。姉上の“想い”は主と共に在りたい。と言う事が最も大切なのです。

これは私も同意見であり、我ら全員の総意であることは間違いありません。


ですが、主は既に今後我らと行動を共にする事は無いと明言された。

それは何故ですか?」


「タリズ。言っただろう?

俺がリザアース上で行動するのに、過剰な戦力は必要がないと」


「ではなぜ我々を此処まで強くなるようにされたのですか?」


「それも言った。俺を殺す為だ。


・・・結局、俺とお前達とでは、もう相容れないと言う事でいいか?

いい加減、不毛な遣り取りも面倒になってきた。

もうお前達の“想い”を説明しなくていい。改めて聞く必要も無さそうだ」


「お待ちを!」


「今度はフェンか。何だ?」


「自分は主と“契約従魔”と言う形での“契約”を望みます」


「ほう。契約内容は?」


「自分から求める事は、主との“契約従魔”という関係を。対価として“自由意志”を求めます」


及第点と言っていいかな?

対価として“自由意志”を求める点も正しい選択かも知れない。

でもまだ足らない。


「詳細が全く無いな。詳細を話せ」


「自分は主の“契約従魔”として“自身の意思に反しない限り”主の命に従いましょう。

ただし“自身の意思に反する命”に関しては如何なる理由であろうとも拒否させて頂きます。

契約違反に関しては、特に明示する必要も無いかと」


「まぁ確かにな。契約違反自体が起こり得ない契約内容だから当然か。


だが、その契約内容だと、俺の意思が存在しないな?

俺の意思に反する行動も自由となる。

そんな無意味な“契約”は出来んな。どうせすぐに“契約”破棄するだけだ」


「では。

“主に仕える契約従魔として主の意思を尊重した上で、自身の自由意思に反しない限り”主の命に従うものとし、

“主自身が理不尽だと思う命に関しては、自身の自由意志にも反する命”の場合のみ拒否出来る“契約”

であればどうでしょうか?

“契約従魔”での“契約”であれば、主側からの一方的な“契約”破棄が可能であるならば内容としては十分かと」


「さっきよりは少しはマシか。

参考までに聞くが、お前の俺に対する“想い”とは何だ?

お前の“自由意志”の根本は何だ?」


「主と共に在ると言う事です。“如何なる形”であったとしても」


「なるほどな。いいだろう。

だが、その契約内容に追加して“主人であっても殺す必要性があれば殺す”事を追加しろ。

それでもいいか?」


「はい。承知致しました」


「よし。『我が求めに応じよ!』」


俺とフェンとの間で“魔力によるパス”が形成されたのが判る。

ふ~ん。契約魔法ってこんな感じなのね。って感じ。


口約束ではあるけれど、ちゃんと契約内容自体が“魔力のパス”と紐付いている感じもあるし、ちゃんと出来たっぽい。


「ふむ。初めて使ってみたけど、案外簡単に行ったな。

フェン。チョーカーを改造するからちょっと貸して。『修正!』

・・・OKかな?着けてみろ。多分装備出来るから」


ステータスチョーカーの所持者を“従魔フェン”から“契約従魔フェン”に変更しただけなんですがね。

まぁ実際にフェンが装備出来たみたいだし、問題ないでしょ。


「さて、他に用がある者は居るか? 無ければこれで解散とするが?」


「ご主人様。僕もご主人様と“契約従魔”と言う形での“契約”を望みます!」


「シファードか。“契約”条件の詳細はどうするつもりだ?」


「フェン兄様との“契約”と同様でお願い致します」


「ふむ。ではお前の俺に対する“想い”とは何だ?お前の“自由意志”の根本は?」


「僕は主様と“何時の日にか共に在れる様な存在”になりたいと思います」


「“何時の日にか”か。いいだろう。『我が求めに応じよ!』

シファード。お前のチョーカーも貸して。内容を変更するから。

『修正!』はい終了っと。シファードも着けてみ?」


シファードも無事装備完了です。

分体でも今の俺なら修正程度であればいけるっぽいね。


「ご主人様。私もフェンやシファードと同様の条件で“契約”をお願い致します。詳細等についても同様で御座います」


「次はリヴィアか。お前の“想い”と“自由意志”の根本は何だ?」


「ご主人様と共にある事。

私自身が、ご主人様を支えられ、頼られる存在となれる様になる事で御座います」


「俺を“支えられ、頼られる”か。面白いな。期待しているぞ。

『我が求めに応じよ!』リヴィアお前の・・・『修正!』 ほれ」


俺が言う前にチョーカーを差し出してきたリヴィア。流れ読み過ぎじゃね?


「次は私の番でしょうか?最早多くを語る必要もないでしょう。

主よ。私も同様の“契約”をお願い致します。


私はフェンと同じく主と共にある事を望みます。それが“どのような形”であれ」


「タリズもか。まぁそれでいいだろう。

『我が求めに応じよ!』・・・『修正!』これでいいな?


さて、残るはルナだけだが、お前はどうする?

先ほどまでと同じ言葉を繰り返す様なら、即座に退去させるから、良く考えろ」


「私は・・・「ルナ姉上!」・・・フェン?」


「ルナ姉上。主の意図を、未だに気付かれないのですか?」


「フェン。余計な口出しをするな。俺はルナの本心が知りたいだけだ。

表面上を取り繕った言葉で“契約従魔”となったとしても、俺が気付けば即座に破棄するぞ?」


「承知しております。

ですが、我々を家族だとおっしゃって頂けた主であるならば、

ルナ姉上に対して多少のアドバイス程度なら構わないと思いますが?」


「“多少のアドバイス”程度ならばな。

ただし、限度を過ぎた場合は即座にお前を含めて契約を破棄する可能性も考慮しておけよ?


お前自身の言葉が“表面上を取り繕った言葉”ではなかったと証明する為に」


「承知しておりますよ。

自分と致しましても、ルナ姉上の本心さえ聞いて頂ければ、どのような結果になろうとも受け入れられます。


さて、ルナ姉上。主は散々多くの言葉を下さった。

むしろ“早く気付け”と言わんばかりに過剰なほど。


それを考慮した上でよくよく考えて下さい。

自分らが主の“契約従魔”となった理由を。

主が何処に拘って居られるのかと言う点を。


自分から言える事は以上です。後はご自身で考えて下さい。

主よ。自分は限度を過ぎましたか?」


「まぁこの程度ならいいだろう。ただし今以上は許可出来んけどな」


「有難う御座います。後はルナ姉上次第。

きっちりとご自身の本心と主の意図を考えて下さい」


言うだけ言って、元の姿(魔狼の聖獣版)に戻ったフェン。

若干“やる事やったし、後お願いね~”って感じがして、ちょっとむかつきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ