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俺の創った箱庭世界  作者: コルム
生命誕生編
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第094話 言葉遊び

完全に黙り込む5人。


俺から“改めて従魔魔法をお前達に使うつもりはない”と言われて絶望した様に泣いている4人。

同様に俯いて涙を流してはいるものの、何かを考え込むルナ。


さて、俺の仕込みは終わったが・・・果たして気付くかな?

俺が本当に・・・危惧していた事は、此処から先の事に気付くかどうかなんだが。

ただ、確率的には気付く可能性の方が高いと、俺も見ているんだがな。

魂の神様からも以前指摘されてたし。


従魔契約を破棄する前に完全鑑定でルナを見た時に、ルナのINT値が374万オーバーで全員の中で最大値。

まぁ聖獣化したとは言え、正直異常な数値だわな。


だとするなら、最初に気付くとしたらルナかな?

もし誰も気付かなかったら、このまま全員と別れる事も覚悟済みな俺からしたら、何があっても受け入れるつもりだが。


・・・・・・


暫く待ってみたものの、変化なし。

気付かなかったのなら、それはそれで仕方ない。いい加減、諦めるしかないかな。


「さて「主様!」・・・何だ?」


気付かないのなら、最後に別れの挨拶で締めるか。

と、思いつつ、声を掛けたと同時に、唐突に声を上げるルナ。


顔を上げたルナの俺を見つめる視線が若干怖いです。もしかして怒ってますか?激おこなの?


別の意味での俺の危惧が現実化しちゃった感じ?

ある程度、俺の真意に気付いたら“怒られそうだな~”とは思ってたけど、

もしかして俺の予想以上に怒ってますか?


「主様!お尋ねしたい事が幾つかあります。よろしいでしょうか?」


「構わんぞ?」


やっぱりルナは気付いたのかな~?と思いつつ、内心では超びびってます。

もしかして俺、やりすぎた?


「主様。

主様は我々の従魔契約を破棄された後は、どう過ごされるおつもりだったのでしょうか?」


「ん?そうだなぁ。

暫くは北極大陸を自分の好きな様にいじってから、いち冒険者として世界を放浪するつもりだが?」


「従魔では無くなったとは言え、それに私共もお供させて頂く訳にはいかないのでしょうか?」


「要らんな。

そもそも従魔契約を破棄しなかったとしても、お前達を連れて行くつもりが無かったからな。


大体、お前達を連れていたら戦力的にも過剰過ぎるだろう?

そんなつまらん旅なんぞ、面白味も何も無いからな。


そもそもだが、今までの生活とそれほど違いがある訳でもないだろう?

確かに休日自体は無くなるが、それ以外の日だって殆ど朝しか顔を合わせる機会だって無かったじゃないか。


それにルナ?お前には“白面金毛九尾”としての役目があるんじゃないのか?」


「それはそうですが・・・と、申しますか、なぜこの役目の存在をご存知なのでしょうか?

私が聖獣となった時に、私の存在意義として意識に焼きついた感じなのですが?」


「いや、その役目を創ったのは俺・・・と言うか神だからな。

俺が知っていて当然だろう?」


「あぁ。そうで御座いましたね。失礼致しました」


お前。口では謝ってるけど、全然目が謝罪している感じじゃないぞ?


外堀から徐々に埋めてって、じわじわ追い込むつもりか?それとも気付いてないのか?

どっちだ!?


「ついでに全員に言っておくが、従魔契約を破棄したんだから、居住区からも退去させるつもりだったしな。

当然二度と立ち入らせない。


自由意志を持ったのなら、このリザアース上で自身の思うまま、自由に生きるといい。


ただ、人類との接触はなるべく控えてくれると有難いとは思うがな。

まぁ俺からの最後のお願いだと思ってくれれば、それでいい。


今のお前達の力量だと、その気になれば、の話だが、人類を虐殺して世界が終わりそうだしな。


そうなったら俺は神として討伐しなくちゃいけなくなるから、それだけは避けてくれ。

俺はお前達の誰一人として失いたくはない。

その気持ちは、嘘偽りの無い本心だからな」


「なるほど。主様のご意思は尊重させて頂きます」


お前・・・言ってる事と態度が一致してないぞ?


とりあえずその敵意の篭った目は辞めなさい。

いやごめん。辞めて下さい。正直怖いです。


「主様。

先ほど“改めて従魔魔法をお前達に使うつもりはない”とおっしゃられましたが、

翻意ほんいされるおつもりはありませんか?」


「当然だろう。

さっきも説明したが、どうせ長くても数十年程度延びるだけの従魔魔法を、今更使ってどうするんだ?」


「それは承知して居ります。

それを承知の上でお願いしても、受け入れては下さらないのでしょうか?」


「いや、そもそもだが、今の俺が今の俺以上に成長したお前達に従魔魔法を使った所で、

お前達を従魔にする事は能力的にも不可能だからな。

従魔魔法を使う事自体に、全く意味が無いぞ?」


「あぁ。そうで御座いましたね」


くっそ~。ルナは完全に気付いてるな。それを承知で遊んでやがる。

俺が言えた義理でもないが、性格悪っ!


今の所、気付いたのはルナだけっぽいけど、全員が俺とルナの遣り取りに何かあると感じたみたい。

ただ“何かある”って事に気付いた程度だと思うが。


「主様には失礼とは思いますが、重ねて問わせて頂きます。

どうあっても従魔魔法・・・・を我々に使って頂く事は有り得ない、と言う事でよろしいでしょうか?」


「くどいぞ?意味が無いと言っただろう」


「では“もう二度と我々を従魔・・にして頂くおつもりは無い”と言う事でよろしいでしょうか?」


おまっ!その聞き方は若干卑怯だと思います!


「・・・・・・」


「おや?お答えを頂けないのでしょうか?」


「俺は従魔魔法・・・・をお前達に使う事は無い。それが答えだ」


「私からの問いに対するお答えを頂けて居りませんが?」


ルナのやつ、完全に俺の意図に気付いてニヤついてやがる。

あ~あ。俺の負けかなぁ。・・・でも、まだもう一声足りないかな?


「俺はお前達を再び従魔として・・・・・従えるつもりは無い。

これでいいか?」


驚愕するルナ。あれ?何か俺の予想していた反応とは違うんですが?


「・・・主様は本当に私共を再び従魔・・にして頂くおつもりは無いと?」


あ~。これは完全には気付いてなかったっぽいな。

瞑目して考える。


・・・どうすっかな?

今俺が譲歩して全部バラした所で、ある程度丸く収まるのは収まるだろう。

そうすれば、当初の予定通りの形で収まったとは言えるんだがな・・・。


と言うか、知識として存在自体を知らないのかも知れないな。

それだったらルナの反応も納得出来る。

まぁ此処まで来ちゃうと、ただの言葉遊び的な問題なんだけどなぁ。


だがなぁ。話しをしているうちに俺自身でも色々考えたんだよなぁ。

当初の予定よりはちょっと変わった、と言うか。


とりあえず、俺は今後ルナ達と行動を共にするつもりがない事も、それもまた事実なんだよな。

例えどんな形になったとしても、もう俺はルナ達と一緒に行動するつもりが無いのだから。


正直、冒険者として生活する事を考えると、はっきり言ってルナ達は異常過ぎるほどに強いんだよなぁ。

俺としては、いち冒険者としての生活を望んでいるから、どう考えても一緒に行動は出来ない。

だとするなら、ルナ達を改めて従える・・・・・・必要性も無いんだよな。


極端な話、俺がルナ達と繋がりを持っていたいか、断ち切りたいか。

単純に言えばそれだけなんだよな。


なら、ここで断ち切った方が後腐れが無くていいのかも知れない。

俺自身がルナ達に依存しているのだから、いい加減、俺もその関係に甘えてちゃいけないのかもな。


「判った。俺は「お待ち下さい!」・・・今度は何だ?」


「主様。申し訳御座いませんでした」


平伏するルナ。


「それは何に対する謝罪だ?俺はお前の問いに答えようとしただけだが?」


「私の先ほどの問い自体を、お忘れ頂きたく存じます」


「何故だ?俺は答えるつもりだったのだが?それと顔を上げろ。

平伏しているお前を見たくない」


顔を上げたルナは泣いていた。

聡いルナなら俺の答えが判ったのだろうな。俺のその答えを拒否するか。

俺は本当に果報者だな。


「主様のお答えからは、確実に我々の望むお答えを頂けないと、思い直したからで御座います」


「かも知れんな。

だが、それでお前達との関係がそう変化する訳でもないぞ?


さっきも言った事の繰り返しとなるが、今後、俺はお前達を連れて行動するつもりが無い。

当然、俺の生活拠点がリザアース上の何処かで、いち冒険者となる以上、お前達の食事も用意するつもりも無い。

いちいちそんな時間も割けないしな。


結論としては、俺の従魔である必要性も無い訳だ。それは理解しているのか?」


「はい。承知しております。

その事を承知した上で、私は・・・私共は、主様の従魔でありたいと望みます」


「さっきも言ったが、俺としてはお前達へ“依存している”からな。

俺の意思としては、その関係を断ち切るべき良いタイミングではないかと判断したんだが?」


「主様のお考えの中には、私共の想いを考慮しては頂けないのでしょうか!?」


「お前達の想いか・・・それは俺がお前達を家族の様に考えている事とは違う考えなのか?

俺はお前達を俺の大切な家族だと思っている。

それは従魔契約を破棄したからと言って変わりはない。


だからこそ、お前達と敵対したいとは思わないし、俺が間違った道を歩むなら、絶対に止めてくれると信頼している。


俺の想いとお前達の想いは、そんなに違うのか?

お前達は俺の事を家族や仲間だとは想っていないと言う事か?」


「そうは申し上げて居りません!」


「ならどういう想いだ?“物理的な繋がり”を求めていると言う事か?

“神の従魔”と言う、ただその“称号”を欲していると言う事か?」


「そうではありません!・・・どうしてご理解頂けないのですか」


「俺はお前達ほど頭も良くないし、聡くもないからな。

それに、この遣り取りをお前以外の全員が理解していない様だぞ?

それでも“私共の想い”と言い切れるのか?」


「言い切れます。

私共の願いはだた1つ。今後とも主様の従魔でありたいと望む事のみです」


「そこまで自信があるのなら、全員に順を追って説明して貰おうじゃないか。 

俺の考えを。ルナの考えを。


そうでないとルナの想いと他の皆の想いが同じだと、言い切れないはずだからな?」


「承知致しました。

皆、私の話を聞いた上で、自身の判断を述べなさい。いいですね?」


全員でルナに注目。

俺は嘘偽りのない本心で自分の意思を話した以上、これ以上言う事はないからな。


ただ、俺の大事な家族と想いが異なると言うのなら、ちゃんと聞こうじゃないか。

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