第090話 リザアース暦999年12月31日(土)
あれから100年ほど経過。相変らずの毎日でした。
変化と言えば、あの後数年後に陸くん達が結婚して、子供が出来たらしい事ぐらいかな?
既にひ孫まで居るらしい。
さすがに奥さん&旦那さんとは死別してて、今では子供達や孫達、ひ孫達と一緒に生活しているらしいです。
ちゃんと覚悟はしていたみたいだけど、やっぱり別れってのはつらいのでしょうね。
さすがに死別された年は、ウチの方には来ませんでした。
まぁウチでは基本的に祝い事しかしないからねぇ。
さすがに奥さん&旦那さんは、普通に寿命で亡くなったそうですが、
お子さんやお孫さん達は、ミツハルさんの世界でも結構な長寿になりそうな感じらしいです。
ミツハルさんの世界では、平均寿命が60歳ぐらいだと聞いたけど、既にお子さんはその平均寿命を超えているそうな。
その辺は神の子孫の影響なのかも知れないと、ミツハルさんは言っていました。
お子さんなんかは結構な高齢のはずなのに、現役でバリバリ仕事してるらしいですし。
このまま行ったら、陸くん達の直系親族だけで国家運営出来るんじゃね?
とか思ってたり・・・。
実際にそれぞれかなり高位の役職持ちらしいですしねぇ。
まぁ他の世界に関してはさておき、とりあえずは自分の世界が大事!
って事で、俺は相変らずダンジョン潰し&魔物狩りやらの食材集めに勤しんで居ました。
現状で上げておきたいスキルも無いし、カンストしていないスキルに関しては、人類誕生後に上げようと思っています。
もう四聖獣が居る所以外の、それなりの規模のダンジョンは潰し終ってるし、そこそこ強い野良の魔物も居ない感じ。
四聖獣が居るダンジョンは破壊してないので、今ではかなりの階層まで成長して居ますが、どうせ後で潰すしねぇ。
とりあえず人類誕生の準備は整った・・・かな?
って思ってます。相変らず漏れがありそうで不安は残ってますが。
氷河期も既に終了してるみたいだし、一部モノリスの書で砂漠化を許容した以外の場所では大部分で緑化も完了。
今年に入ってから一度、神体で宇宙から眺めてみたけど、大体俺の想像してた環境が整った感じです。
大気の対流もちゃんと出来てるみたいだし、降水量とかもある程度予想通りっぽいです。
やっぱり大陸の東側で一部降水量が少ない地域がありますが、そこは砂漠地帯として許容範囲内だし。
それ以外で降水量が少ない地域でも河川や湧水なんかがあって、一応予定通りかな?
両極大陸でもたまに野生動物が居るのも見かけましたし、魔芋もあるから人類誕生後の食料事情も大丈夫なはず。
魔物のせいか、野生動物のせいかは判りませんが、魔芋のコロニーも結構点在している感じだし、問題ないでしょ。
俺自身としても、不老不死最後の分体となったので、色々と感慨深い所です。
あ、ちなみに主寝室ですが2部屋に増築しました。
神体用と分体用で分けた感じですね。
一応1000年経過後に創った分体に関しては、不老不死じゃないと記述しているので、ちゃんと老化もする予定。
でも正月とかは相変らず魂の神様とミツハルさんご一家が来られるから、分体として寝る場所を確保したかったんです。
いくら自分自身とは言え、男同士で同衾する気はありません。
そっちの趣味もないし。
いちいち神体に戻ってたら若返っちゃうから、人類と接触し始めたら老化しない人になっちゃうしマズいと思いました。
その辺で悪目立ちするつもりはないから、一応ちゃんと考えての事です。
まぁ暫くは自分の国、と言うか領土開拓に勤しむつもりなので、人類と接触をする予定はないけど、
ある程度老化する事に関しても慣れておこうかな?と思っています。
まぁ老化して基礎ステータスが減少した所で、分体だったら殆ど意味がないと思うが。
元々新規作成の分体の基礎ステータスって、神の祝福込みでも2しかないし。
で今俺は、人類誕生前の最後の休日って事で朝から従魔達をモフり倒してます。
今後の事を考えると、俺の危惧していた可能性が高確率で起こるはずだし。
俺も色々と覚悟を決めなきゃいけない時期になった感じです。
まぁ“なるようになるだろうし、なるようにしかならん”と今では完全に開き直りましたが、
そこまで考えられるようになるまでに、かなり時間が掛かりました。
俺も色々と依存してたからねぇ。
そうこうしていたら魂の神様から連絡が。
晩御飯等々の準備も既に完了しているので、即OK。早速来て頂く事に。
『やぁ!久しぶり! またお邪魔するよ~』
「「「「「お久しぶりです」」」」」
「皆さんお久しぶりです。お待ちしていましたよ」
今年も全員集合です。
とりあえず晩御飯にはまだちょ~っと早いので、先に酒盛りを開始します。勿論従魔達も開始です。
ちなみに従魔達以外はバーカウンターへ移動。従魔達は相変らず車座で飲むのが好きみたい。
神様3人+陸くん空くんがゲスト側。ミーさん達女性組みがバーテンをやってくれてます。
この辺も既に毎年恒例になってます。当然入れ替わったりもするんですけどね。
ただ、ミーさんとクレマチスさんはバーテンをやってる方が楽しいらしくて、なかなか入れ替わってくれませんが。
とりあえず従魔達も含めて、全員で乾杯してから酒盛り開始。
『いや~。いよいよって感じだねぇ。
これからリュウノスケ君の世界でも魂の器がやっと出来ると思うと、楽しみだねぇ』
「それに関しては、長い間お待たせしてしまって申し訳ありません。
私としても、出来る限りの準備はしたつもりなのですが、やっぱりちょっと不安が残りますね」
「あ~自分の時も最初はそうでしたよ?でも、意外と何とかなるものですよ。
自分の場合はリュウノスケさんと違って、ある程度の環境をさっさと構築したら、すぐに魂の器を創りましたからね。
その分、後から色々と問題が出てきて大変でしたけど」
「それはミツハルさんだからこそ、だと思いますけどねぇ。
私とは頭のデキが違うと言うか・・・」
『ははは。相変らず自分に自信がないねぇ。
まぁ私から見ても大体問題は無いと思うから、大丈夫だと思うよ?
問題点に気付いたとしても、後から修正出来る範囲だと思うし』
「あ~、相変らず魂の神様は私の世界の問題点に気付いて居られる様ですけど、
指摘はして頂けないんでしょうか?」
『そこはほら。自分で試行錯誤していかないと。
何でもかんでも他人任せにしちゃったら、神の意味がないでしょ?』
「まぁそうなんですけどね。
今となってはもう諦めた感じですけど、やっぱり不安は不安ですからねぇ。
まぁ、魂の神様が“後から修正可能な範囲だ”って言って頂けている分、少しは気が楽ではありますけれどね」
『で?もう一つの問題の方は結局どうするつもりなんだい?』
「それに関してはもう決心が付きました。後は出たとこ勝負って感じですね。
どうなっても後悔だけはしない気持ちの整理も出来ましたし、完全に吹っ切れましたよ?」
『万が一の事を考えて、私も立ち会った方がいいのかな?』
「いえ、それは大丈夫だと思います。恐らくはそれほど問題にはならないと思いますし。
と言いますか、出来れば独りにして頂いた方が嬉しいですね。その方が私の決心も鈍りませんし」
『了解。どんな結果になったとしても、面白そうだから見たかったんだけどねぇ』
「自分も見たかったですねぇ」
「魂の神様もミツハルさんも面白半分じゃないですか!
と言うか、半分どころじゃない気がしますよ?」
「『ははは』」
「ちぇ~っ。
どうせ私の悩み事なんて、お2人にしてみれば酒のつまみにしかなりませんよ~だ」
「ところで来年以降の話なんですが、リュウノスケさんはどうされるおつもりなんでしょうか?」
「え?どう とは?」
「いえ、以前人類誕生後は“不老不死じゃない分体で、いち冒険者として過ごす”とお伺いしていましたから、
“これからのお正月はどう過ごされるのかな~?”と思いまして。
場合によっては、自分達がお邪魔出来るのが今回で最後になるのかな?と。
リュウノスケさんからは、その辺りのお話を詳しくお聞きして居ませんでしたから」
『あぁ!そう言えば! その辺はどうするの?
前に聞いた話だと、従者が出来たらバーテンとしての心構えとかの教育をするから、
それまでは新規の来客を増やすのは待って欲しい、みたいな話は聞いていたけど、
リュウノスケ君に従者が出来るまでの間の話はしてなかったよね?』
「あれ?言ってませんでしたっけ?
・・・ん~?言ったような気もするけど・・・まぁいいか。
一応毎年の年末年始だけは此処に戻ってくる予定ですよ?
ただ、先ほどミツハルさんがおっしゃっていたように、不老不死じゃなくなりますからね。
御持て成しに関しては現状維持って感じでしょうか?
と言いますか、食事や酒類の用意と言うか創造魔法を使う以外では、既にミーさん達に丸投げ状態になってますからね。
お蔭様で私の負担も随分と軽くなってますから、多少年老いたとしても何とかなると思います。
それに私に従者が出来るとしても数百年後になると思いますからねぇ。
とりあえずある程度以上の人口になってからでないと、従者どころじゃないですし。
ある程度以上の人口に増加するまでは、自分の国作りしてると思いますから、それぐらいの余裕はあるはずですから」
『なら、暫くの間は現状維持って事?』
「そうですね。
従者を従える予定がかなり先になりますから、結果的にそうなりますね」
『う~ん。
前に1000年以降って聞いてたから、此処に来るのを待って貰ってる上位の神が居るんだけど?』
「あ~。それは申し訳ない事をしました。すみません。
ん~その神様を連れてきた場合ってミツハルさん達も一緒に来られるんでしょうか?
あと、その待って貰っている神様って2柱以下ってお願いしていたはずですけど、その点も問題ないでしょうか?」
『うん。その辺はちゃんとその予定で考えてたよ?』
「でしたら申し訳ありませんが、ミーさん達に新しく来られる神様への対応とかフォローをお願い出来ませんか?
私からすれば、既に私以上に“御持て成し”に関してはスペシャリストになって居られる感じですし。
ミツハルさん達にはお客様なのに手伝って貰う事になってしまって申し訳ありませんが、それでも構いませんか?」
「自分は構いませんよ?と言いますか、自分は全く何もしてないですからね。
ミー達はどう?リュウノスケさんのお手伝いをする事に問題はない?」
「問題ないニャ!むしろお客様が増えて色々出来そうだから楽しみニャ!」
「私も問題ありません。今までの事を考えると、ご恩返しが出来ると思えば瑣末な事です」
「陸達はどうかな?」
「私共も問題ありません。
今までリュウノスケ様に散々お世話になって居りますし、その程度の事でしたら喜んで承ります」
「海も空も同意見?」
「「はい!」」
「それじゃぁ、自分達は構いませんよ。
自分個人としても、どんな神様が来られるのか少し楽しみですし」
「有難う御座います。
ミーさん達もお手数をお掛けするかも知れませんが、宜しくお願いします。
ならとりあえずは、陸くん達もミーさん達同様に雇用させて貰う形にするから、お土産のお酒を考えておいてね?
ミーさん達や陸くん達に手伝って貰えるなら、一応新しい神様が来られても大丈夫だと思います。
でも、私の世界に対する不干渉に関しては絶対に譲れませんので、ちゃんと魂の神様が責任を持って下さいね?
もし干渉するなら、魂の神様への許可ごと取り消し処分にしますから。
ミツハルさんご一家だけは許可しますけど」
『う~ん。責任重大だね。 了解、ちゃんと伝えておくよ。
ちなみに、だけど。ミツハル君達だけ許可しても私が居ないと此処まで来れないからね?』
「あれ?そうなんですか?」
『うん。だって此処って完全に辺境だし。
ミツハル君だと場所が判らない上に世界間で移動出来ないからね』
「むぅ。それだと魂の神様へのペナルティにならないな。
ん~それなら、お土産で持ち帰れるお酒の本数を減らして、最大で50本にしよう。
それでミツハルさんご一家を連れて来る事を条件として、許可する形にすればいいか」
『ちょっ!それは余りにも酷くない?』
「酷くないですよ~?
だって散々不干渉が条件だって言ってるのに、干渉するような神様連れてきたら、
それって完全に魂の神様の責任ですよねぇ?」
『まぁ、それはそうかも知れないけど・・・。
私って一応君達より上位の神なんだよ?もうちょっと敬うとか無いの?』
「いや、別に魂の神様を敬ってないって事は無いんじゃないですか?
そんなつもりも有りませんし。
ただ、我々よりも上位の神だと主張されるなら、上位者らしく筋だけはきっちり通して頂かないと。ねぇ?」
『くっ。ミツハル君からも何とか言って!』
「え~っと・・・ねぇ?」
『私の味方が居ない!?』
「「あははは・・・」」