第088話 リザアース暦898年1月7日(金)
あれからまた70年ほどが経過しました。
そろそろモノリスの書の記述の最終確認なんかをやっておかないと、マズいかなぁ・・・と思って、
神体のまま書斎にモノリスの書を持ち込みつつ、ぼけ~っと確認作業中。
神体じゃないと確認作業自体もそうですが、記述と実行が不可能なのでちょっとだけ面倒臭いです。
一応俺は俺なんで、分体でもイケルかな?って思ったんですけれど、閲覧すら不可能でした。
やっぱりその辺はちゃんと神体じゃないとダメだった模様。
つか、追記した分が邪魔してるのかも知れないけど、アレはアレで必要な記述だったからねぇ。
ちなみに先日、予定通りの日程で魂の神様とミツハルさんご一家は帰られました。
当然今回も大量にお酒をお持ち帰りされました。
陸くん達も相変らずでしたが、2日の昼御飯時に海ちゃんが気になるお相手が出来たと爆弾発言。
ミツハルさんだけが大慌てになってたので、父親だけには黙っていたみたい。ミーさん達は平然としてました。
・・・完全に外野だったから気付いたけど、陸くんと空くんにもそれぞれ気になるお相手が居る気がする。
現在進行形でミツハルさんがパニクってるので、わざわざ指摘しませんが。
陸くん達に子供が出来たら此処に来る回数も減るのかな~?
その辺は少し残念には思うけど、お目出度い事だから祝ってあげないとね!
かと言って、何かをプレゼントしたりとかはしない予定ですけどね。
と言うかお相手や子供が出来ても、俺は会うつもりが無いしね。
その辺は陸くん達も了解済みだし。
そんな事がありつつ、今日は年明け初の休日の日です。
ついさっき従魔達も含めてお昼御飯も済んだので、確認作業をする時間は十分あるはず。
そんな年末年始の日々を思い出しながらモノリスの書の記述を確認してたんだけど、ふと気付く。
「あれ?もしかして人類誕生直後って食糧難になるんじゃね?特に魔族が」
南極大陸に配置予定の魔族に関しては、世界樹を配置していない以上、植物性の食料が得られない可能性が高いです。
俺が緑化運動で植えたのって基本樹だけだし、あれって食える部位が無かった気がする。
両極大陸に関しては、他大陸の世界樹の花粉が飛来する可能性も低いかも知れないし。
一応弱い魔物程度なら狩れるだろうと予想はしてたんだけど、南極大陸はルナの教育で強いテイル種が多いからな。
他の人類も含めてですが、100人を維持する食料を初日から得られるとは、ちょ~っと考え難いです。
当初の予定では、南極大陸の魔族には魔物を狩って食料にして貰うつもりだったんだけどねぇ。
ルナが育てたテイル種が多いから、返り討ちにあって全滅しかねないかも知れない。
かなりの大誤算。これは確実に修正が必要となるかも。
「どうするかな~?
いっその事、食糧難自体は始祖人類全体の問題として考えた方がいいかも知れん。
先に魔族に限定して考えるか。
ん~魔族の食糧問題を解決する選択肢としては2択かな?
南極大陸に関しては神の守護層があるから、世界樹を植えて食料になる動植物の自然発生を期待するか、
意図的に食料になる植物を植えてしまうか・・・って所か。
どうせなら両方やっといた方がいいかな?
俺としては人類誕生後は一気に人口が増加してくれた方がいいし。
人類誕生初期に関しては、食糧不足で人口増加が見込めないとか、完全に俺の怠慢だからな。
意図的に食料になる植物を植えるのは、始祖人類全体に対して行う事で決定として、
どうせなら北極大陸と人魚族の誕生予定地点にも世界樹を植えるか。
当初に予定していた事からは、完全に予定変更する事になっちゃうけど、
人魚族と魔族の誕生予定地にも1本づつぐらい世界樹があるようにするかな?
でも、始祖世界樹みたいに、新しい世界樹が増やせる世界樹にするのは辞めとこう。
万が一、リザアース全体に世界樹がある世界になったら“人類VS魔物”の構図が変わっちゃうしな。
ん~普通の世界樹の亜種みたいな感じにしちゃえばいいか。
その辺は、直接創造魔法で植えられるようにしておけば、1本づつ植えることも可能だし。
人魚族の誕生予定地点にも植えるとなると、今までの世界樹とは別種にしないとダメだから、その記述も必要だな。
後は意図的に食料となる植物に関する記述だけど・・・環境変化に強くて繁殖力も強いとなると、芋類しか思いつかん。
誕生予定地周辺に植える以上、世界樹の範囲内に植える事になるから、魔素吸収型の“魔芋”みたいなのを創るか。
ついでに、とりあえず最悪でも毎日芋1個食ってれば飢えない様に成人の必要栄養素とカロリーが摂取出来る感じで。
一応味的には美味くはないけど、不味くもない程度にしとこう。
完全に芋依存の生活とかは嫌だし」
とりあえずその辺をメモ。
詳細は後で決めます。まだまだ修正箇所がありそうだし。
「衣食住に関してだけは、最低限の保障を決めておきたい所なんだけど・・・。
“衣食足りて礼節を知る”って言うし、とりあえず食に関しては追加する分で何とかなると思う。
と言うか思いたい。
始祖人類には悪いけど、最初のうちは芋食って我慢してくれって感じ。
ギルド職員になれば給料で買い物が出来るから、少なくても数人は満足な食料が確保出来るはず。
最悪でも、ギルド職員から食料を貰ったり買ったり出来るかも知れないし、なんとかなると信じよう。
となると“衣”をどうするか、が問題なんだけど・・・。
これはさすがに配って回る訳にも行かないしなぁ。
う~ん。地球の初期って動物の毛皮とかを衣服にしてたらしいし、世界樹を植えたら何とかなる気もするけど、
俺としては早々に、せめて布製の貫頭衣ぐらいには移行してて欲しいんだよな。
でも動物の毛皮とか布製の貫頭衣以外だと古代チュニックの方がいいのかな?
う~む・・・。
考えても判らん!
すぐにいいアイディアが出るとも思えないし、とりあえず保留しとこう!
んじゃ、次行ってみよう。次は“住”だな。
住環境自体はある程度野宿しても死なないような環境は創ってあるから、住環境自体の発展に関しては丸投げしよう。
いちいちそこまで面倒みるのもどうかと思うし、その辺は人類の発展に期待って事でいいや。
となると、食と住に関してはなんとかなりそうだけど、着る物に関しては如何ともしがたい・・・」
行き詰った時は“離”が必要だって、かの天才軍師様もおっしゃってましたから、タバコ&コーヒータイムへ。
で、またまたふと気付く。
「そういえば縫製関係のスキルって一切創って無かったな。
下位スキルに生地作成みたいなスキルを追加しておけば布生地の作成も可能になるか?
“魔芋”の蔓からも布生地が出来る様になれば、その辺の問題も一挙に解決出来るかも?
・・・よし。それで行くか。
その辺の生地関係の知識も始祖人類に予め備わってるようにしておけば、勝手に作ってくれるだろう。
とりあえず初期段階だとかなりの“魔芋”依存になっちゃうから、“魔芋”の成長速度とかも異常に早くしとこう。
繁殖し過ぎも困るから、制限だけは設けるようにして・・・っと」
またまたメモ。
「とりあえず“衣食住”に関してはこれでOKとしとこう。
他に加筆修正が必要な部分ってあるかな・・・」
・・・・・・
「あ、ギルド水晶に関してだけど、人魚族と魔族の水晶が増えないんじゃね?
一応世界樹を植える事が決定したから、ある程度は増えるかもしれないけど、新しい村落を作ったとしても、
そこに冒険者ギルドが無かったらあんまり意味ないしな。
つーかこのままの記述だと、世界樹のある場所にしか冒険者ギルドが存在しない感じになってるわ。
それって結局は世界樹の影響範囲内って事になるから、神の依頼が殆ど意味が無い感じ。
これは人類全体に影響する問題になっちゃうな。絶対に修正が必要だわ。
ギルド水晶の増加に関してはギルド水晶から一定範囲内の定住者に応じて増える分と、
ある程度離れた距離じゃないと開封出来ないギルド水晶を別に用意して、新しい村落用に分けるか。
現状だと、ギルド水晶の増加は世界樹の影響範囲内に依存する形になってるからな。
世界樹と違ってギルド水晶はありすぎても別に困らないから、増える方向に修正しちゃえばいいや。
あ、ギルド水晶に損壊しないって記述がないな。その辺も修正が必要だな。
あ~結構漏れがあるなぁ」
またまたメモ。
この調子だとまだまだ修正の必要があるかも知れない・・・。
とりあえずここまでメモしてから、ちらっと時間を確認したら、そろそろ晩御飯時間です。
神体だと時間経過が早いな~と思いつつ、残りの確認作業は次の休日に回して、さっさと晩御飯の準備へ。
まだ時間はあるし、確実に問題点を潰していかないと・・・。
それでも漏れが有りそうで怖いです。