第084話 神様3人風呂酒中
神様3人で風呂酒中です。
「いや~空を自由に飛ぶのって楽しいですね。
自分の世界でもいい気分転換が出来そうです」
「喜んで頂いて、それはそれでいいんですが、
どうして今まで自力で飛ぼうと思わなかったんですか?」
『それはリュウノスケ君とミツハル君の創った世界と認識の違いだよ』
「ん?魂の神様。どういう事でしょうか?」
『ミツハル君や他の神々は、大体元居た世界をほぼ基本とした世界を創ったんだよ。
多少の変更は加えるけど。
だから物理法則や出来る事なんかも元の世界が基準となる訳だね。
その代わりとして創るのはかなり楽になる。
既にある物を流用するだけになるからね。
ミツハル君やリュウノスケ君と同期と言うか、同じ目的で神になった神々は、大概このやり方で世界を創ったんだよ?
ただ、リュウノスケ君だけは最初にスカウトした時にも言ったけど、遊び・・・ゲームだっけ?
それの世界を基本として世界を創った。
だからベースになるものが全く違う世界になった訳さ』
「あぁ!なるほど。
と言う事はもしかしてリュウノスケさんが異常に強いのもそのせいですか?」
『そういう事。
一応、リュウノスケ君の世界でも物理法則なんかは当然有効な世界なんだけど、
それを無視、と言うか凌駕出来るスキルや魔法、ステータス値なんかがある世界を創ったから、
それに伴って他の神々が創った世界とは、ちょっと変わった世界になっちゃったって感じかな?
そんな世界を創って暮らしているからこそ、神としての認識も他の神々とは違った認識を持つ様な神になった訳さ』
「あれ?
確か私の後にも我々と同じ世界の魂をスカウトされたのでは?
そうお聞きした記憶があるのですが?
だったら、私と同様の考え方で世界を創ろうとした神も居たんじゃないですか?」
『居たには居たんだけど、リュウノスケ君と決定的に違う点があるんだけど、何だか判る?』
「う~ん。
ゲーマーだった魂も居たかも知れないし、そういう思考の神だって居てもおかしくないと思うのですが?
違いですよね?・・・何だろう?」
『“モノリスの書”って呼んでる本をあげたでしょ?
アレ、結局使ったのってリュウノスケ君しか居ないから』
「あ! え? そうなんですか?
かなり便利に使わせて貰ったのに・・・使わなかった神が居るんですか?」
『うん。
使わなかったって言うより、使えなかったって言う方が正しいんだけどね。
それに他のスカウトした神は、それなりに自分の力だけでやりたいって言う神が多かったし。
リュウノスケ君と同様に不干渉を望んだ神も居たけど、それも含めて最初から全部自力でやるって言ってたしね。
一応リュウノスケ君だけ特別扱いする訳にもいかないから、本を押し付けた事もあったんだけど、
結局使い方が判らなくて、自分で世界を創ってたしね。
本を渡した時点での格の違いに気付けなかったんじゃないかな?
神になった事の方が重要だったみたいだからね。
格なんていちいち気にしてなかったみたい。
使わなかった神に渡した分は回収済みだから、残っているのはリュウノスケ君の所だけだよ。
リュウノスケ君はちゃんと使ってるから、今更回収する気は無いけどね』
「って事は、あの時点で下級神として出来ると言うか認識の範囲内で世界を創った神と、
最初から魂の神様の力を借りる形で世界を創った私との間に差が出たって事ですか?」
『そういう事だね。
だから下級神がいきなり創る事が不可能な世界でも実現が可能だったって事。
しかも昏倒する寸前まで神力を使ったでしょ?
普通は昏倒するまで神力を使う事なんて滅多に無いからね。
まぁあの本を使う為にはそれなりの神力が必要になるから、あの本を使う以上普通の下級神じゃキツイんじゃないかな?』
「あ~確かに。かなりの疲労感とかありましたねぇ。既に記憶の彼方ですけど」
「魂の神様? 自分はその本を頂いてませんが?」
『うん。それは最初にあげたのがリュウノスケ君だったから仕方ないよ。
あの時は、とっとと次の神候補を探す方を優先したかったから、ミツハル君達の時と違って説明がかなり雑だったからね。
まぁそのフォロー的な意味であげたんだよ。
実際にリュウノスケ君の時が一番雑な説明しかしなかったし。
だからリュウノスケ君は、ミツハル君達には教えた世界を創る為の予備知識無しで世界を創る事になったんだけど、
本の使い方に気付いて自力で何とかしたって感じかな?
今だから正直に言うけど、
リュウノスケ君に説明した内容って他の神に比べたら本当に雑だったんだよね。
リュウノスケ君には申し訳ないけど、そういうのもテストケースの一環だったからね』
「え~。一番雑だったとかテストケースとか言われてる~」
『ははは。
まぁそのおかげで、と言うか、
そのせいでちゃんとあの本を活用出来たんだから、結果的には良かったと思ってるよ。
“最下級の神が上位の神の力を使って創った世界はどうなるだろう?”ってね。
まぁ結論から言えば、他のミツハル君とかリュウノスケ君達と同期の神でも中級神になってる神が居るから、
あんまり関係なかったと言えばそうなんだけど、リュウノスケ君だけが突出して異常になっちゃった感じかな?
他の神は大体似たようなものだし。
でもミツハル君とリュウノスケ君の世界から来た魂は優秀なのが多いよ?
既に中級神に昇格した数も多いし』
「あぁ。ヒロアキさんやトモノリさん。あとマサヒトさんも最近中級神になられたそうですね」
「お?知らない神様が出てきた」
『ちなみに、今ミツハル君が名前を挙げた神々からもリュウノスケ君との交流希望が来てるから。
みんなリュウノスケ君よりも先輩の神だし、同郷の神みたいだから、
私としては“ミツハル君同様に受け入れてくれると嬉しいな~?”って思うんだけど?』
「ちなみにヒロアキさんもゲーマーだったそうですよ?
トモノリさんはアニオタだったそうですし、マサヒトさんなんかは軍事オタだったって仰ってましたね」
「う~ん。
同郷の神様なら会ってみたい気もしますけど、やっぱり物理的にちょっと無理ですね。
これ以上の来客数になっちゃうと、御持て成しどころじゃなくなりそうだし。
とりあえず明確に宣言しておきますが、私の世界で1000年以降になって、
私の従者が増えたらその時に改めて考えます。
それまでは魂の神様とミツハルさんご一家だけに限定させて下さい。
あ、もし陸くん達が成長して結婚したりしても、結婚相手とかそのお子さんまでは呼ばないで下さいね?
ちょっと申し訳ないですけど、一応此処に滞在出来るのは神およびその配偶者と直系限定とさせて貰います。
そうじゃないと無尽蔵に増えそうだし。
ミツハルさんの所も“陸くん達まで”と、させて下さい」
『あれ?随分と制限を増やすんだね?
今までに聞いてた以上に条件が厳しくなってない?』
「ちょっと“申し訳ないな~”とは思うんですけど、
今回のミツハルさんの所みたいな事がまたあったら面倒なので。
一応お客様として御持て成しする以上、帰られる時にお土産は必須かな?って思うんですけど、
もうこれ以上は来て頂いた神様の世界で、私のせいで問題を起こしたくはないですからね。
あと、お子様達へお年玉を考えるのも正直ネタが無くなりそうですしね。
陸くん達へお年玉をあげるのも、15歳になるまでって考えてますし」
「あ~ヒロアキさんの所は奥様が居られますし、トモノリさんの所は既にお子さんまで居られますからねぇ。
そう言われると、確かに一気に人数が増える可能性が高いですね。
自分としても陸達まで、と言うのは少し厳しいかもしれませんけど。
陸達が結婚したりしたら来られなくなるのかなぁ」
「一応陸くん達までならOKですけど、奥さんか旦那さんは置いてきて貰う事になりますね。
その辺は申し訳ないですけど。
一応此処って神の居住区なので、
正直神以外の人類が出入りするのって、あんまり好ましくないと思うんですよねぇ。
幾ら神に連なる血縁者だからと言って、人類が好き勝手する様なら私でもキレるかも知れませんし。
あくまで此処は私の世界ですからね。
指示に従わない人類なんて知った事じゃありませんし、客でもありませんから。
ミーさんやクレマチスさんに関しては、私ももう慣れましたし従魔達の面倒も見て頂けているから構いませんけれど。
もうこれ以上、他の人類を招くつもりは無いですねぇ。
正直面倒としか思えませんし。その辺は申し訳ない所ですけれどね」
『神だったらいいの?』
「魂の神様が連れて来られる神様に関しても、新しく追加出来たとしても最大で2柱ぐらいですかね?
一応不干渉に関してお世話になっている以上は「連れてくるな!」とは言えませんからね。
自分の世界の統治に関して、特に助けて欲しい事がある訳でもないですから。
そもそもなんですけど、ミツハルさんが来られる事自体が私の想定外だったんですけどね?
あの時は「まぁいいか~」程度にしか考えてませんでしたけど、
既にミツハルさんの世界で影響が出た以上、何があるか判りませんからね。
魂の神様にはご面倒をお掛けしてるのに申し訳ないですけれど、条件としては同じですね」
「あのぅ~?その話は初耳なんですが?
自分がリュウノスケさんの所に来れたのは、たまたまって事でしょうか?」
「ミツハルさんには申し訳ない所なんですけど、正直に言うとそういう事です。
元々は魂の神様を御持て成ししようと思ってお招きはしていたんですが、ぶっちゃけると色々とタイミングが良かった。
と言うのが正直な所ですね。
まぁ今となっては、私としてもミツハルさんをお招き出来て良かったな。
とは思っていますから、その点に関してはもう勘弁して下さい。
最初から一貫して、相互不干渉が私の基本方針ですから。
本当にあの時は例外的な措置だったんですよ?
今となっては失礼な話ですけれど、
ミツハルさんに関しても魂の神様が身元保証人みたいな立場として居なければ、私の世界に干渉不可能でしたからね。
魂の神様が身元保証人となって頂いて居なければ、お招きして居なかったと思います」
「は~魂の神様には感謝ですね。
リュウノスケさんの御陰で色々と助かったり、嬉しい出来事もありましたから。
まぁ逆に問題も色々と発生しましたけど」
『問題の方は自分のせいじゃない?それかリュウノスケ君のせいだよね?』
「ははは、そうですね。その点に関してはミツハルさんの自爆だと思いますよ?
私のせいでもありませんし。やらかしたのはミツハルさんですよ?」
「あ~そう言われると、自分の世界で起こった問題に関しては確かに自爆ですねぇ。
もうリュウノスケさんから頂いたお酒を配るのを辞めようかなぁ」
「まぁお渡ししたお土産をどうしようと、ミツハルさんのご自由にって感じですけれどね?
でも、それでどうなろうと私は責任まで持てませんよ?」
「勿論了解してますよ。
ちょっと今後どうするかは、ちゃんと自分の方で考える事にします」
その後もだらだらと雑談しつつ風呂酒。
そうこうしてたら、そろそろ夕食の準備しなきゃいけない時間になったので、いい加減上がりますかね~。
っと。忘れる所だった。風呂上りの脱衣所で神様2人に満を持して去年お約束してた新しい酒を提供します。
「忘れてました。『出ろ!』
ちゃんと冷やしてっと・・・丁度風呂上りで良い感じだと思いますのでどうぞ。
去年お約束していた新しいお酒です」
『お!やったね!』
「うわ~リュウノスケさんナイスタイミングです! やった!久々のビールだ♪」
『んぐっ・・・。
ふ~ん、以前に他の世界で飲んだ事のあるお酒と似てるけど、後味とか喉越しが若干違う感じだね?』
「んぐっ・・・ん゛っ・・・ん゛っ・・・ぷは~。やっぱり風呂上りに冷えたビールは最高ですね!」
ミツハルさん一気飲み。よっぽど嬉しかったらしい。
「魂の神様が飲んだのってこんな感じのやつじゃありませんでしたか?『出ろ!』
一応こいつも冷やしてっと。
試しに飲んで比べてみて下さい。ミツハルさんもどうぞ」
『ありがと~。
んぐっ・・・うん。こっちの方が美味しいけど、だいたいこんな感じ』
「んぐっ・・・ん~?なんか違いますね?若干フルーティーな感じです」
「最初に出した分がいわゆる“ラガービール”って言われる奴で、後から出した分が“エールビール”って奴ですね。
大雑把に言えば発酵方法とかが違うと思って頂ければ、大体それでいいと思います」
その後も脱衣所で神様3人でビールの飲み比べ。
地ビールとかも出してみたり色々してました。で、ふと気付く。
あれ?確か晩御飯の時間じゃなかったっけ?
大慌てでリビングへ。
当然神様3人以外全員揃ってました。
平謝りしつつ、急いで晩御飯の準備&配膳。で、即「頂きます」。
従魔達の目が若干冷たかった気がします・・・。