第066話 お年玉
神様3人でお風呂で飲酒中。
ちなみに陸くん達3人ははしゃぎ過ぎたのか、疲れてお母さん方とお休み中です。
「リュノスケさん。さっきのはやり過ぎですよ・・・」
「いや、もう何度も謝ったじゃないですか?
それに、安全も確保してたし、万が一って事もありませんでしたって」
「それは理解してるのですが・・・。それでもです!」
「ミツハルさん・・・ちょっと過保護過ぎませんか?
初めてのお子さんだし、色々と気を使いながら育てて居られるのは理解しているのでお気持ちは判りますが、
これからもその態度で接していたら、ミツハルさんが危惧していた傲慢で我侭な子になっちゃいません?」
「そう・・・なんでしょうか?」
『まぁまぁ、ミツハル君もリュウノスケ君もその辺にしときなよ。
私からしたら、どっちもどっちだからねぇ。
その話題をずっと引っ張られると、お酒がマズくなるよ』
「「すみません」」
「ま、仲直りと言いますか、水に流して頂きたいのでとりあえず杯を空にして貰えます?
まだ1杯目しかお注ぎしていませんし」
「あぁ、すみません。頂きます」
とりあえず魂の神様の仲裁でこの件は終わったかな?
あ~予想以上にミツハルさんが過保護だったわ。次からは気をつけよう。
「ところで、ミツハルさんの世界ってスキル制の世界じゃないんですよね?
どうやってミーさんやクレマチスさんを不老不死化したんですか?」
「あ、言ってませんでしたっけ?
ミーもクレマも不老ですけど不死じゃないんですよ。
で、不老にしたやり方が・・・神に祈る感じですね」
「あれ?そうだったんですか。
それならなおさら出産時は心配なさったでしょうね。
あ~。そういう事ならさっきの陸くん達も心配だったでしょうね。
すみません配慮が足りませんでした。
てっきりミーさんもクレマチスさんも。あとお子さん達も不死になっているものだとばかり思ってました。
で、神に祈るですか? でも神ってミツハルさんなのでは?」
「そうなんですけど、何となくやったら何となく出来た。と言う感じでして・・・。
具体的にこうやる。
ってやり方ではなくて、ミーやクレマと神殿みたいな場所で祈り続けた結果不老になったんですよ」
「魂の神様?それってどういう事になるんでしょうか?
祈るっていう行動を通してミツハルさんの中で2人の存在が不老になった。
という解釈でいいんでしょうか?」
『そうだね。
祈る行為そのものが重要じゃなくて、その行為を通してミツハル君が2人を不老だと認識した感じかな?
リュウノスケ君には何度も言ってるけど、神にとっての認識ってのはそれほど重要な事だからね』
「あ~。2人が安産だったのもそのせいかも知れませんね。
お産には立ち会わなかったのですが、無事に2人の出産が終わるまで、
ずっと神殿に篭って母子共に健康であるように祈り続けてましたから・・・。
あぁ~。自分の世界もリュウノスケさん所みたいにスキル制にすれば良かったかなぁ」
「いや、スキル制でも良し悪しだと思いますよ?
と言うか、今から変更すると余計に大変だと思いますし」
「ですよねぇ」
「それなら陸くん達はまだ不老じゃないんですか?」
「そうですね。まだ不老にはなってないと思います・・・なってないみたいです」
魂の神様に確認とったら間違いないみたい。
「今後どうされるおつもりですか?
これほど溺愛しているお子さんに先立たれるとかミツハルさんの心が心配なのですが?」
「ありがとうございます。自分も少し悩んでいる所なんですよ。
神の子だからって特別扱いはしたくない。
でも先立たれるのは絶対に嫌だし・・・で板ばさみですね。
ミーやクレマに聞いてみても、自分の意思に従うとしか言ってくれませんし。
とりあえず成人してから本人達の意思を確認しようかと思ってます。問題の先延ばしでしかありませんが」
「いや、それ結構正しいと思いますよ?
本人の意思確認が出来るなら本人の意思を優先してあげた方がいいですし。
普通に生きて死にたいと考えているのに、無理に不老とかにしちゃうと嫌われちゃうかも知れませんからね」
「そう言って頂けると少しは気が楽になりますね。
どうしても神の子として育てられている以上、普通とは違った人生を歩まざるを得ないですから」
「その点で言うと我々は既に普通から乖離してますけどね。
まぁもう人では無くなったせいですけど。
それでもこういった生き方もアリだとは思いますから、陸くん達には出来るだけ多くの選択肢を持たせてあげたいですね。
神の子としてミツハルさんの手伝いと言うか、代行が出来るようになれば、ミツハルさんは楽隠居出来ますしね」
「あ~それいいなぁ。ちょっとそっち方向に誘導してみようかなぁ・・・」
「あ、楽隠居したからってウチに入り浸りは勘弁して下さいね?」
「あ。楽隠居って言われた瞬間に狙ってたのに。残念ですねぇ」
「ところで魂の神様は奥様なりの配偶者は居られないのですか?」
『私は居ないねぇ。と言うか、自分の世界を持ってないからね。
そもそもだけど、出会い自体が少ないんだよ』
「でも女神様だって居られるのでは?」
『えらく突っ込んでくるねぇ?
まぁ確かに居るけど・・・なんか違うんだよねぇ。 理想と違うと言うか。
それにキミ達よりも遥かに長生きしてるから、枯れちゃってるのかもね。
で、どうしてそんな事を?』
「いや、神とその世界の人類の間で子供が生まれるなら、神同士でも可能なのかな~と思いまして。
以前、俺と従魔の間でも子を作れるとお聞きしましたし、私達より長生きされている魂の神様だったらどうなのかな?と」
『作れるのは作れるよ?実例もあるし。
ただ、新しい神が増えちゃうことになるからね。
現状でも飽和状態なのに新しい神を作る意味がないんだよ』
「なるほど・・・とりあえず、こっそりと魂の神様にいい出会いがあることを祈ってますよ」
『ははは、ありがとう。
でも私としては独り身の方が気楽でいいんだけどね?何なら私と子供を作るかい?』
女体化する魂の神様。 今回は妙齢の美女って感じですが・・・。
「あ~すみません。魂の神様相手だと、美人でも愚息が反応しないみたいです。
俺も枯れたのかな?」
『ははは。まぁお互いにそういう相手じゃないって事だよ。
とりあえずリュウノスケ君は先にルナちゃん達と子作りしないと、だよね?』
「う~ん。
正直ルナ達は娘とか息子って感じがしてるので、そういう対象で見れないんですよねぇ。
ルナ達が人化したとしても出来るかどうか・・・マジで枯れちゃったのかも・・・」
『いやいや、700年ぐらい掛けてようやくその気になった神も居る事だしどうか判らないよ?・・・ね?」
「あ、そう言えばそうですねぇ?
確か二次元しか愛せないって最初の頃にはお聞きしてたんですけどねぇ?」
ニヤニヤとミツハルさんを見る俺と魂の神様。
「うわ、とばっちり!
リュウノスケさん。もうその話題から離れて下さい。陸達の件も水に流しますから!」
とりあえずは和やか~な風呂酒時間。
あ~。この時間が何時までも続けばいいのになぁ。
「あ、そういえば陸くん達のお年玉どうしよう。
お金はさすがに意味がないし、この世界由来の物を持ち出したらマズイですよね?
だったら神体の創造魔法で何か作らないといけないんだけど・・・。
ミツハルさん何かいいアイディアありません?」
「いえいえ、お気持ちだけで十分ですよ。
と言うよりも、リュウノスケさんの魔法で作った物ってトンデモ性能なものばかりじゃないですか!
ウチの世界でも扱いに困っているんですから、これ以上は頂けません」
「え?何か変なもの渡しましたっけ?
おせちとかお食い初めセットぐらいじゃありませんでした?
あと冷凍明太子とお酒ぐらいしか渡した記憶がないんですけど?」
「それを入れていた方が問題だったんですよ!何ですかあの無限収納的な岡持ち!
あれ、ウチを手伝って貰っている人に見つかっちゃって、他の神からの神与物として神殿に祭られてるんですから!
見た目が完全に岡持ちなだけに、神殿で祭られている姿を見た時の“コレジャナイ”感と言ったら・・・。
遊戯室もそうですけど、もう少し自重して下さい!」
「え~。
じゃぁミツハルさんの世界でも普通にあって、ぶっこわれ性能じゃなければOKってことか」
「いや、だからお気持ちだけで十分ですって。本当に」
「いやいや、せっかくのお客様を御持て成ししないと。
しかもお子様連れだったらお子様のお土産も考えないと。ところで魂の神様はなにか渡したんですか?」
『ん?私は生まれた時にちょっとした祝福を授けたぐらいかな。
効果としては、ちょっとだけ幸運になったり、健康になったり程度の効果しかないけどね』
「なるほど・・・それぐらいの効果でいくか・・・。
だったら『出ろ!』『出ろ!』『出ろ!』これなら問題ないと思いますよ?
陸くん達に渡してあげて下さい」
とりあえず指輪を3つ作成。
「何です?コレ」
怪訝そうなミツハルさん。 失礼な!
「ん~“厄除けのお守り”って所ですね。
悪意のある存在を少しの間だけ遠ざける効果しか付いてませんよ。
任意発動にしてあるから、緊急時とか非常時用って感じですかね?
常時発動でも良かったんだけど、自重してみました。
あと成長した時に困るので自動伸縮と自動洗浄。それと所持者限定してるぐらいですね。
あぁ、最初に装着した者に限定されるので、ミツハルさん達が着けないで下さいね。
注意点としたら、装着したら2度と外れない事ぐらいかな?」
「微妙に呪い装備になってるじゃないですか!」
「う~ん。他の人に盗られたりしたら困るかな~とか思ったんですけど。
それじゃ、自動帰還に変更しとくか。『修正!』『修正!』『修正!』
どうでしょう?これなら文句ないでしょ?」
「魂の神様、リュウノスケさんの言ってる事であってますか?」
『あってるよ。本当に言った機能しか付けてないみたい』
魂の神様にいちいち確認取らないと信用して貰えないのか?俺は。
「それじゃぁ有難く頂戴致します・・・」
「信用ないなぁ。まぁいいけど。
あ、そうだ。1000年目は正月前から来ていただく話を覚えて居られますか?」
「ええ。覚えてますけど?」
「あれ、来年と言うか今年の年末からにしませんか?
ウチの子らもかなり育ってきて、結構暇になってきてるんですよ。
で、せっかく新しく来て頂ける人数も増えた事だし、大晦日の年越し蕎麦からも参加して頂こうかと思いまして。
ついでに毎年やっているお屠蘇も参加して頂ければ、ウチとしても楽しみが増えますしね。
あぁ、勿論お屠蘇と言っても、陸くん達は成人するまで形だけにして貰いますが。
如何でしょうか?1日だけとは言え、ゆっくり過ごして頂ける時間も増えると思うのですが?」
「あ~!年越し蕎麦!!懐かしいですねぇ。
自分としては久しぶりに食べたいですし、意味としても有難いですから是非お願いしたい所ですが。
魂の神様は如何でしょうか?」
『年越し蕎麦?はまだ食べたことないしね。
ここで過ごさせて貰える日が増えるなら、こちらからお願いしたい所だね』
「では今年の年末から来ていただくと言うことで。
そろそろ結構な時間になってきてますし、そろそろ上がりますか。
私も従魔達の夕食の準備もしなくちゃいけないしですし」




