第060話 最強な従魔?
・・・てしてし・・・てしてし・・・バチン!
「ごぁっつ!
っつ~あいたたた・・・ルナ。肉球で鼻を叩くのは反則だよ・・・。
まぁ起こしてくれてありがとう。
改めておはようルナ、皆。
それじゃぁ朝御飯の準備するから。先にリビングで待っててね」
走り去るいつもの3人&のっそり移動と上に乗っかるいつもの光景。
時計を見たら8時過ぎ。多分結構な時間てしてし起こしてくれて、余りにも起きないから強硬手段に出た模様。
まぁお客様も居るし、起こしてくれて有難いから怒りませんけどね。
「さて、今日も1日頑張りますか。それじゃ『分体作成!』
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『分体作成!』
リビングに到着したら、既に神様達も含めて全員が揃ってました。
完全に俺待ちだったらしい。改めてルナに感謝しつつ、とりあえず謝罪。
「すみません!ちょっと寝過ごしたみたいで・・・」
『いや大丈夫だよ。勝手にコーヒー頂いてるから気にしないで。
寝起きの1杯って言うんだっけ?丁度いいよね』
魂の神様にフォローされる俺。マジでごめんなさい。
ちなみに、昨日の時点でリビングや各客室の備品等々は自由に使って貰っていいとお伝え済み。
当然客室内の飲料等やシャワー類もご自由にどうぞって感じ。
どうせ使っても無くならないし。
ただし、リビング・割り当てられた自分の客室・バス/トイレ以外の部屋への無許可での入室はお断りしました。
まぁ常識ある方達なんで、いちいち言わなくても大丈夫だっただろうけど、一応はね。
もし鍛練室に勝手に入られて、何か事故でもあったら責任取れないし。
「お待たせしたお詫びと言っては何ですが、朝食にご希望はありますか?
多少のお時間を頂くかも知れませんが、何か食べたい料理があればお出ししますが?」
『私は特にないかな?まぁ神なら判ると思うけど、嗜好品だしね。
リュウノスケ君はどうするつもりだったんだい?いつも何食べてるの?
分体だったら必要でしょ?』
「私は・・・そうですね・・・通常なら御飯と味噌汁と焼き魚。あとベーコンエッグぐらいですね。
正月の間は毎食おせちで済ませるつもりでしたし、今は特にこだわりが無いんですよ。
やらかした後、分体で生活していた半年間ほども3食サンドイッチとコーヒーだけで済ませたぐらいですから」
「やらかした?リュウノスケさん。何かやったんですか?」
「あ~。まぁぶっちゃけますと、この世界を創造直後に分体を作って真空空間に即転移して爆死したんですよ。
で、分体にも不老不死のスキルを付けてたから、230年ほど寝たきりになってた感じですね。
もう完全に黒歴史なんで、お話するのもお恥ずかしい限りなんですが」
「あぁ、なるほど。リュウノスケさんも順風満帆とは行かなかったんですね。少し安心しました。
で、私から他の話を振っておいて何ですが、お味噌汁をお願い出来ませんか?
自分の世界でも生産は始まってるのですが、なかなか昔の味とは程遠くて・・・。
ミーやクレマにも自分の故郷の味を味わって貰えるいい機会ですし。
よろしければお願いしたいのですが?」
「ええ、構いませんよ。
ただ、男の料理って感じなので、昔の味と同じになるかは保証しかねますが。
魂の神様もそれでよろしいでしょうか?」
『和食ってやつだよね?全然問題ないよ。むしろ楽しみかな?よろしく~』
「承知しました。では少しお待ち願います。
・・・心配しなくてもルナ達の分はいつもの量で食事をちゃんと用意するから。
ちょっと待っててね」
さっさと給仕室へ。ルナ達は昨日と同じメニューなので楽なもんです。
平行して御飯を創造魔法で出したらお櫃へ。後はいつもの手抜き味噌汁に一手間掛けて、大量にある鮭を焼き魚に。
ボア肉を1cmほどの厚さで何枚か切り出したらベーコンエッグとして調理。
ついでに小鉢にボア煮を豚の角煮よろしく盛り付けたら終了です。
本当は順番逆なんだけど、先に待たせ過ぎたルナ達に配膳。まぁ量的に多いから他の配膳の邪魔なんですよね。
で、神様達には普通のThe和食って感じの朝食を配膳。正月なんで朝から酒も出しときます。
後からうるさそうなので、ルナ達にもつまみと共に大量に準備しときました。
「お待たせしました、それでは 「「「「頂きます!」」」」 」
がっつく従魔達。まぁこっちは酒を飲みつつなのでのんびり朝食です。
従者のお2人も、お箸の使い方も問題ないらしい。
ただ、味噌汁とかベーコンエッグとかに興味津々。
まぁ味は悪くないと思う。
今日はいりこだけじゃなくて、ちゃんと鰹節で出汁もとったし。
ちなみにいりこはそのままルナ達のおつまみへ。
出汁を取った鰹節も上げたら醤油に浸して湯通しした葉野菜と混ぜた、お手軽おつまみとして出しました。
「あ、すみません。
日常的に食べててすっかり忘れてましたが、このベーコンと言うか肉なんですが、魔物肉なんです。
神様方は問題ないとは思いますが、ミーさんやクレマチスさんは大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ。自分達も日常的に魔物を狩って食べてますし。
それより、このお味噌汁なんですが、出汁から取ってませんか?
結構深い味がするのですが・・・?」
「えぇ。と言ってもいりこと鰹出汁だけですけどね。
やはり昔の味とは違いますか?」
「確実に違いますね。こちらの方が数段美味しいです。
そうか・・・、味噌に拘ってたけど、出汁でも味が変わるんだな」
「出汁無しのお味噌汁を作ってきましょうか?
そちらの方が差異が明確になるかも知れませんし」
「お願いできますか?」
とっとと給仕室に戻って小鍋を3つ火に掛けます。
1つは白味噌。もう1つは赤味噌。最後に白と赤の合わせ味噌で作りました。
ちなみに具材は一切無し。
それほど時間が掛かる訳でもないので、鍋3つを持ってリビングへとんぼ返り。
「とりあえず3パターン用意してみたので飲み比べてみて下さい」
「リュウノスケさん、どんだけ主夫なんですか。出汁をとって味噌汁作れるとか・・・」
言わんで下さい。自分でも女子力高いなぁと思ってるぐらいですから。
一応ノーマルな男なので、そのうち凹みますよ?
とりあえず全員(従魔除く)で試食。
『それぞれ特徴が違うけど、どれもおいしいね』
と魂の神様。
気になるのはミツハルさんの見解ですね。
瀬戸内周辺がご出身と伺っているので、白味噌の可能性が一番高いんだけど、
合わせ味噌や市販の味噌となると種類が膨大になりすぎて、さすがに再現は不可能なんだよね~。
で、予想通り、昔の味は白味噌ベースの合わせ味噌っぽい感じです。
これはあれかな?ミツハルさんの世界での、そもそもの味噌の作り方が間違ってるんじゃないかな?
「ミツハルさん。瀬戸内周辺がご出身だとお伺いしていましたが、使われていたのは白味噌じゃありませんか?
もしくは、白味噌ベースの市販の合わせ味噌だと思いますよ?」
「そこまで違うものなんですか?」
「ええ、一概に言えない部分もあるのですが、大雑把に言えば、製法と材料と熟成期間も若干違うんです。
多分、今ミツハルさんの世界で作られているのって完全に大豆ベースの味噌じゃありませんか?
それだと恐らく塩分が多めの赤味噌になるんじゃないかと。多分熟成期間も長いですよね?
大豆以外の米等の穀物類を使って短気熟成させると白味噌が出来る・・・とか確かそんな違いがあったと思います。
まぁ専門家ではないですし、浅い知識で申し訳ないのですが、そういった方向から試されては?」
「そうですね。参考になりました。
出汁だけでもこれだけ違うと判っただけで十分な収穫です。ありがとうございます」
『それなら他の神に頼ってもいいんじゃない?ミツハル君の所は独立した世界って訳じゃないんだから』
「あぁ、その手がありましたね。今度他の神様の意見も聞いてみます」
「うぁ~。そうか。私は孤立してるからそういうのが出来ないんですよねぇ。
他の神様からの干渉を排除したけど、そこまで考えてなかったですね。ちょっと失敗したかもなぁ。
まぁ創造魔法である程度補完出来てるからいいですけど、今後はちょっと考えないといけないかも知れないなぁ」
『おや?引き篭もりを脱却するのかい?』
「ははは、お味噌汁の為に引き篭もりを辞める訳にはいかないですねぇ」
「そこだけ聞くとダメ人間発言に聞こえますよ?」
「あははは」
結構和やかな朝食。ちょっと寝坊したマイナス分はスルーして貰えたかな?
その後も和やかにお酒を飲んでます。
ルナ達にも追加のお酒とボア煮を出した程度で、特に変更はなし。
たまに寄ってくるルナ達をモフったりしながら愛でつつ、延々と酒だけ呑んでる感じ。
ホスト側としては何か楽しんでもらえるイベントでも用意すべきかな~とか思いつつ、そろそろ昼食時間なので、
昼食の準備。 放置してたらまたルナ達からクレームが来そうだしね。
とりあえずルナ達の昼食はいいとして、ミツハルさん達の昼食はどうしよう?
あ~明太子スパでいいかな?ちょっとジャンクっぽい感じがするけど、食べたら懐かしいだろうし。
ミツハルさんの世界で明太子が生産されてないことを祈るぐらいかな~。
方向が決まればちゃちゃっと準備してとっとと配膳。手間の掛かるものでもないし。
で、ミツハルさんの所ではやっぱり明太子の生産はまだだったらしい。非常に喜んで頂けました。
明太子の生産方法について聞かれたけど、そっちはさすがに専門外。
とりあえず帰る時に冷凍の業務用明太子チューブをお渡しすることで一応決着しました。
あと、ついでなんで俺の作った“不思議な水筒”をそれぞれの神様にお土産として持って帰ってもらう事も決定。
リザアース由来の力じゃなくて、神パワーで創ったから多分他の世界でも使えるはず・・・。
そうこうしてたらふと思いつく。
チェスとかなら良くね?神同士で遊ばなくても見るゲーだけでもいいんじゃね?
元ゲーマーの発想ですが、割と他人のやってるのを見てるだけってのも面白かったりするんですよ。
と言うか、俺ゲーマーでしたけど、いわゆる盤上遊戯系ってやったことないし、神暦も短いので負ける可能性が高い。
ゲームに関しては負けず嫌いなので、出来れば負けたくないし・・・ってことで、
一応ミツハルさんの許可を得てから、ミツハルさんの従者のお2人に話しを振ってみる。
「ミーさんとクレマチスさんってチェスとかやったことありますか?」
「チェス?知らないニャ。ご主人様は知ってるっぽいから、神様方はご存知ですかニャ?」
『私は名前だけは知ってるね。実物は見たことは無いけど』
「でしたら、ミーさんとクレマチスさんで実際に遊んで頂けませんか?
神同士で勝敗をつけたりすると、余計な遺恨が残ったりしそうなので。
と言いますか、神同士でやると正直私が負けると思うのですが、負けず嫌いを発揮して私が恨みそうなので」
「リュウノスケさんぶっちゃけ過ぎですよ。
まぁゲーマーだったとおっしゃってましたしね。
ミーもクレマも遊んでみたら?結構面白くて、奥も深いから楽しめると思うよ?
やり方は最初に自分とリュウノスケさんで解説しながらやってみるから、それ見て覚えてね」
「ちょ、ミツハルさん!俺負けるの確定してるゲーム出来るほど精神的に大人じゃないですよ!」
「大丈夫大丈夫、まぁただの説明対戦ですから。私も適当にやりますし」
くそぅ。ハメられた・・・まぁ言いだしっぺな以上仕方ないか。
とりあえず創ったらこれもお土産としてお持ち帰り可能な様に持ち運び出来るタイプにしとくか。
盤を2つに折り畳めるようにして、中に駒が収納出来るやつ。ミツハルさんへの仕返しに全力で豪華仕様にしてやろう。
チェス盤創るためだけに本体に戻って『出ろ!』
無事作成出来たら分体作成してリビングに持ち帰ってきました。
「何もそこまでしなくても・・・」って呆れてましたが、ゲームに関してはやる以上常に全力です。
ちなみに、各升目は白と黒の不透明のクリスタル。繋ぎ目や外枠は青銅製で。
各駒は白と紫の水晶みたいな透明のやつです。盤裏面に各駒の収納スペースを、赤い生地でぴったり駒が収まるサイズに。
で、盤面表側が外になるように2つ折りに出来るようにして、畳んだら固定出来るようにしました。
取っ手も付いてるし完璧です。当然腐食や破損等は絶対にしない神様仕様。
無駄に全力を出してみました。
さぁ準備は出来た。いざ対戦!!
とりあえずミーさんとクレマチスさんに各駒の動き方とか基本的なルールを説明しながら対戦中。
・・・20手過ぎたあたりから、ミツハルさんの優勢がほぼ確定。
ナイトを犠牲にクイーンを狙った結果、ビショップ2つも纏めて取られました。くそう。やばいじゃないか。
・・・「チェックですね」「くっ」
・・・「チェック」「くぅっ~」
・・・「それは悪手ですよ。チェック」「あぁっ!」
・・・「チェックメイト。お疲れ様でした」「ぐぁぁっ!負けたぁ!」
がっくりしていると、誰かに肩をてしてし叩かれました。
振り返ると俺の従魔達も勢揃い。
俺は盤面に集中してたから気付かなかったけど、どうやら途中から全員で観戦してたらしい。
ルナに慰められる俺。しかもルナは酒瓶3本抱えてちゃんと接待してたみたいだし・・・余計に凹むわっ!
「あ゛~っ!
もし次の機会があれば、勝てるよう努力します・・・くっそぅ・・・」
「まぁまぁリュウノスケさん。ただのお遊びですから。ミーもクレマも大体判った?それじゃ交代ね」
ミーさん対クレマチスさんの対戦開始です。俺はルナに慰められつつ自棄酒・・・。
ちなみに魂の神様は終始ニヤニヤしてました。楽しんで貰ってるのか、何か企んでるのかが不明すぎる・・・。
全員で観戦しつつ、ちびちび酒を飲んでます。 2人共初心者だし、一進一退って感じ。
で、改めてミツハルさんと色々話しをしてみたら、元防大生だったとのこと。基礎学力からして違うじゃねーかよ!!
あ、気付けばそろそろ14時前。昨日の約束だったタルトを作るか。どうせなら賭けにしようかな?
丁度対局も終わるし、一応ミツハルさんにも話を通しておきましょうかね。
「ミツハルさん。
次の対戦で勝った方は今日のおやつで出すタルトのお代わり自由を賭けたら白熱しますかね?」
「あぁ、面白いですね。お願い出来ますか?ミー、クレマ。そういう事だから頑張って」
「負けられない戦いが此処にあるニャ!」
「私も勝ちを譲る気は一切ありません。
先輩と言えどもこの場では対等。叩き潰して差し上げます!」
2人ともやる気になったみたい。いや、ルナ達もやる気になったみたい。
つかお前らチェス出来るのか? と言うか、元々シファード以外は今日のおやつ、お代わり自由だぞ?
・・・・・
「ふっふっふっ。クレマはまだまだなのニャ」
「くっ。あの1手さえなければ私の勝ちが見えたものを・・・」
接戦でミーさんの勝利。 さて、タルトを作ってきますかね。
あぁ、作り方をミーさん達に教えなきゃいけないんだっけ?どうしようかな~?と思っていたら、ルナ達から念話が。
自分達もゲームに混ぜて欲しいとのことでした。お前らちゃんと出来るのか? まぁいいけど。
「どうもウチの従魔達がやってみたいらしいので、遊ばせてやってもいいですかね?
その間にミーさん達にタルトの作り方をレクチャーしておきますので」
「構いませんが・・・大丈夫ですか?駒を飲み込んだりしませんか?」
「一応賢い奴らなので、大丈夫だとは思いますが・・・大丈夫らしいです。
ルールも大体把握したと言ってます」
ルナ達に視線を向けたら、即【問題ない】とか【判ってる】とか【絶対勝てる】とかの念話が。
何処からその自信が来るのかは知らないけど、まぁ賢いから駒を飲み込んだりはしないでしょ。
「そういう事でしたら見てますからいいですよ。ミー達への指導をお願いします。
多分フルーツタルトを作られるんですよね?楽しみにしてますよ。
ミー達もしっかり教えて貰ってね~俺も食いたいし」
「任せるニャ!」
「畏まりました。リュウノスケ様、ご指導宜しくお願い致します」
「じゃぁ従魔達をお願いしますね。それではミーさんクレマチスさんこちらへ」
ミーさん達を伴って、昨日に引き続き給仕室へ。あ、朝食の残骸が残ってるわ。ちょっと片付けないと・・・。
ある程度片付けたら改めてレクチャー開始。
基本のタルト生地の作り方さえ教えれば、後はいくらでも応用が利くので結構らくちんです。
まぁミツハルさんの世界ではフルーツの他に乳製品も豊富にあるらしいので、チーズ系のタルトもレクチャー。
あとは、カスタード系も追加して、都合4種類のタルトをレクチャーしました。
フルーツタルトは入れるフルーツによって名前が変わるだけだし、基本的な作り方だけでOK。
レクチャーしながら結構な数を焼いたのでそろそろいい時間です。
台車に乗せたら準備完了。
今回は数も必要だったので、足らない分は創造魔法で出しました。 創造魔法様々です。
「お・・・えっと?」
ちょっと予想外の光景。
ルナと魂の神様が対局中。ミツハルさんも結構真剣に観戦してます。
「すみませんミツハルさん。どうしてこんな状況に?」
「あぁ、お疲れ様です。ルナちゃんすごいですよ?今の所負け無しです。
最初はリュウノスケさんの従魔同士で対局してたのですが、自分から見てもかなりルナちゃんが強かったので、
試しに自分も参戦してみたんですよ。
結果、手も足も出ませんでした。今魂の神様との対局中ですがご覧の通りです」
盤面を見てみると、若干ルナの方が優勢な気がする。
傍目八目って言うけど、素人目に見ても魂の神様の方が若干押され気味な盤面です。
マジで?
いやすごいとは思うんだけど・・・何だろう。ゲーマーとして何か大切な物がぽっきり折られた気がする。
『・・・ふむ。私の負けかな?』
俺が来てから数手差した後、魂の神様の投了宣言でルナが勝利。
俺は今日、大事な物を幾つか失った気がする・・・。
『このチェスって言うのも面白いね。
リュウノスケ君。私の分も創ってくれないかい?次に来た時に再戦したいからね。
魂がある相手だったら思考が読めるんだけど、魂の無い相手だと読めないからねぇ。
本当にリュウノスケ君の所は面白いね。魂の無い相手に私が思考で負けるとか、想像した事も無かったよ』
何かホントうちの従魔がすみません。
一応魂の神様もただただ感心してる感じで悪い感じではないみたい。
俺みたいにゲームに関して負けず嫌いって事はないのかな?ちょっと安心しました。が、強すぎるルナが謎すぎるわ。
「えっと・・・とりあえずデザートが出来たので先に食べませんか?
その間にチェス1式は創っておきますので」
俺のデザート発言で一斉にソファーに移動する従魔達。
はいはい。お前らの分もちゃんとあるから慌てるなよ~。
『よろしくね。 それじゃ、デザートを頂こうかな?』
デザートと言うには多すぎる量のデザートを配膳。
まぁ従魔連中には問題ないんだけど、俺を含む神様達にはちょっと多いかも。
1つを1/6にカットしてそれぞれの種類を盛り付けたんだけど、
カスタードタルト・チーズタルト・レアチーズタルト・フルーツ山盛りタルトの4種類あるからねぇ。
まぁのんびり食べますか・・・。
「頂きます」してから、食べつつ相変わらず飲酒。
ちなみに日本酒じゃなくてワインとかブランデーなんかの洋酒系に変更です。
いい加減、洋のデザートに日本酒を合わせるのもどうかと思ったので。
従魔も同様です。
で、飲み食いしながらルナの異常性について魂の神様の見解を聞いてみました。
『多分だけど、モノリスの書の記述でINT値ってあるじゃない?あれのせいだと思うよ?』
とのこと。まぁ今のルナのINT値って3千以上あるしなぁ。でも俺はもっとあるけど?と思って重ねて聞いたら、
『モノリスの書とリュウノスケ君の認識の違いでそうなってると思う。詳細はちょっと判らないなぁ』
だって。
俺、ルナよりINT値が1桁多いのに、この中でチェスに関しては最弱の可能性が・・・。
神様達が帰ったらチェスとか娯楽関係は封印しようと心に決めました。
食べてる途中ですが、結構お腹一杯になってきたので一旦中座して本体に戻り、魂の神様用のチェス1式を作成。
もう面倒なのでついでに“不思議な水筒”も2本作成。で、分体に戻ってそれぞれお渡ししときます。
で、魂の神様に渡す時に、こっそりと魂の神様が負けた理由を教えて頂きました。
どうやら魂の神様はご自身の能力をかなり制限してルナと対戦したらしいです。その方が楽しめるからだそうな。
ちょっとだけ、俺の失った物が見つかった気がしました・・・。
ちなみに、ミーさんとクレマチスさんのデザートお代わり自由を賭けた対戦ですが、あんまり意味が無かったです。
さすがに量と種類が多かったので、かろうじてミーさんがレアチーズタルトをお代わりしたぐらいでした。
ルナ達に関しては・・・あいつらの胃袋は宇宙だと思うことにします。
神様達が食べ終わった後の食休み中に、雑談ついでに客室の改善点を確認。
概ね好評だったようですが、リザアースの様子が見えるモニターに関しては不評でした。
まぁアレに関しては、今氷河期だし仕方ないです。今後に期待してて下さいって感じ。
一応居住区への進入は許可しましたが、リザアース上へ出る事や干渉する事は許可出来ない旨、改めて説明しときました。
従者さん2人はひたすら恐縮してたのでスルー。
と言うか、ベット以外の設備は一切使わなかったらしい。
ただ「3人部屋の方が・・・」とか言いかけて、ミツハルさんに阻止されてました。
だらだらと喋りながら飲み食いしてたらそろそろ夕食の準備を開始するには丁度いい時間です。
結構暇だし、何か希望のオーダーありますか?って聞いたら、ミツハルさんはハンバーグを希望。
魂の神様は相変わらず何でもいいそうなので、じゃぁハンバーグで決まりという事に。
ついでなんで、昨日同様に従者さん2人にウチの従魔のお風呂をお願いしておきました。今回他意はありません。
ルナから念話で入浴剤の使用許可を求めてきたので、昨日約束しちゃったしOK出してから、給仕室へ。
普通の牛ミンチを創造魔法出したらボア肉を適当にミンチにして混ぜ合わせます。
俺の中では既にボア=豚って感じ。まぁ猪なんだけど、肉も脂身も旨いから問題なし。
で、玉葱とかも刻んで一緒に混ぜ合わせて焼いたら一応出来上がり。
そういえば牛系の魔物が居ないなぁ・・・新しく追加するか?とか思いつつ、丁寧に焼きました。
後は出た脂を使ってソースを作り、付け合せとして人参とじゃがいもを塩茹で。クレソンを添えれば完成です。
ネタでカレーハンバーグでもいいな。と思って御飯の他に、カレーも創造魔法で追加。後はコーンスープ。
昨日作ったカレーはそのままだったけど、カツカレーにすれば良かったかも。
一通り準備が出来たので、先に従魔用のオークを3体リビングに転がして、配膳開始。
丁度配膳が終わる頃に従魔&従者組みがお風呂から出てきたので、丁度いいタイミングでした。
若干従者さん2人のテンションが上がってたので、少し落ち着くのを待ってから夕食開始です。
「いや~リュウノスケさんの料理はどれも美味しいですね。
ハンバーグなら私の世界でもちょくちょく食べてますが、ここまで美味しいハンバーグは久しぶりです。
何かコツとかあるんですか?」
「う~ん。特に変わった調理方法をしているつもりは無いんですけど・・・。
強いて言うなら、使っている肉の違いじゃないでしょうか?
実際に食べている私自身も今までより美味しく感じるので、多分今回も使った魔物肉のせいだと思います」
「そうですか・・・自分の世界でも、この味が再現出来れば良いんですけれど。
ちょっと色々な神様にヘルプ出してみようかなぁ」
「まぁそれもアリだとは思いますが、食べ方でも変わると思いますよ?
ってことで、邪道かも知れませんが昨日に引き続いてカレーも用意してみました。如何でしょうか?」
「お!カレーハンバーグですか!さすがはリュウノスケさんですねぇ」
和やかな夕食タイム。
魂の神様も満足して頂けたみたいだし、従者さん方もお代わりするぐらい食べて頂けました。
まぁ従魔連中はいつも通りの食いっぷりなのでスルー。
おやつは追加でタルトを出しておきました。
で、夕食後は昨日と同じく先に寝てもらったら神同士で風呂酒と洒落込みます。
が、入浴剤の件をすっかり忘れてました。
とりあえず換気扇はON。浴槽のお湯を張りなおす時間はないので、そのまま入浴。
「あ~。ミーさん達のテンションが上がってたのは入浴剤のせいか。
ミツハルさんの世界ではまだ入浴剤とかって出来てないんですか?」
「ええ。と言いますか、そもそもまだまだ沐浴が主流ですね。
入浴する習慣は極めて一部の富裕層か、近場に温泉がある地域だけでしか発達してないんですよ」
「なるほど。私の世界でもそうなるのかなぁ。
あ~、そもそも洗浄魔法と乾燥魔法があるから、沐浴すらしないかも知れない・・・。魂の神様は入浴のご経験は?」
『ん~?
さすがにあるけど、基本的に神って入浴や沐浴の必要なんてないからね。かなり久しぶりだよ。
ましてお風呂でお酒を飲んだのは初めてだしねぇ。
これだけいい気分になるならもっと早く知りたかったなぁ』
ちびちび日本酒を飲みながらしみじみ語る魂の神様。
「まぁ此処に来て頂ければいつでも、とは言いませんが、ご自由に使って頂いて構いませんよ?
とりあえず次は来年になりますかね?
また来られるならこちらも準備しておきますから、何か要望があれば可能な限り対応させて頂きますよ?」
『いやいや。既に十分持成して貰ってるから今のままで満足だよ。ありがとうね』
「あ~そうですねぇ。次に来れるのは来年になるのかぁ。
リュウノスケさん。もう引き篭もるの辞めませんか?
そうしたら自分の世界にも招待出来ますし、自分も気兼ねなくこちらに遊びに来れるんですが?」
「ははは。昨日もお話しましたが、この世界で1000年が経過したら改めて考えますよ。
それまではここでの生活に専念したいですし。まぁ年に1度の楽しみだと思って頂ければ、私としても有難いですね」
そんな雑談をしつつ、酒を飲みつつ、のんびり長風呂。
年に1度ぐらいはこんなゆったりした時間って言うのもいいものです。