第051話 進化祝い
『分体作成!』
「さてと。先ずはケーキの様子見からかな~」
部屋の改装やらで結構な時間を食ってしまったので、ちょっと急いで準備しないと。
「ん~ちょっとだけ焼き過ぎた感があるけど、まぁ許容範囲内でしょ。
後は取り出してっと。
ブランデーを適当に振りかけて~終了! ちょっとだけ味見を・・・。
ん~ちょっと甘さが強いな。
まぁブランデーが染み込んだらそれなりに大人な味になるだろう。
ルナのお祝い用だし、少しぐらい甘い方が丁度いいか。
ボア足の角煮の方はどうかな~?
ん♪結構いい具合だな。もう火を止めていいかな。
ルナ達の晩飯抜きだし、俺も今日は晩飯抜こう。独りで食うのも味気ないし。明日食うか」
とりあえず調理関係は問題なさそうだし、ケーキも焼けたので全員を呼びに鍛練室へ。
で、驚愕。
「ちょ、お前ら食いすぎじゃね?あれだけ出したのに殆ど残ってないじゃん」
結構な量を出したのに、残っているのは1/4程度。こいつら食い過ぎ。
で、俺が戻ってきたのを気付いたらしく入り口付近に集まってきました。
「え~っと。まぁそれなりにお腹いっぱいに食べたみたいで良かったよ。
とりあえず、ケーキの準備は出来たんだけど、その前に『付与!』『付与!』『付与!』酒豪スキルを追加したから。
一応今回のケーキに酒類が入ってるから、あまりハメを外さないように。
あとリヴィア! 何か体調に変化はない?」
モノリスの書にブレスの記述を追加したので一応確認。
よく判らんが、何か変な感じはするらしい。
「俺も追加はしたものの、使い方までは説明出来んのよなぁ。
あ、俺がドラゴンに変身すればいいのか。んじゃ『完全変身!』」
初ドラゴンに変身したものの、なんだこれ?体色が変な迷彩っぽくなってる。
よく判らんので、自分を完全鑑定。
【なんだこれ?
エンシェントメテオリヴァイアサンメタルドラゴン??こんな種族モノリスの書に記述した覚えがないぞ?
・・・もしかしてアレか?無・火・水・土系統がマスタースキルになってるからか?
一応テイル種になった事があるから、聖獣化の条件も満たしてたってこと? また面倒な・・・。
これはモノリスの書の記述ミスだな。後で修正しとこう。
まぁこのままでも用事が済めばいいから今はいいや。
とりあえずリヴィア。その変な感じは、多分新しい力を使えるようになったからだと思う。
ちょっと説明しづらいから、俺も試してみるから待っててね】
とりあえず安全の為に鍛練室内の壁に向かってブレスの練習。
一応ステータスチョーカーのおかげで、ブレスが出たか単に魔法が発動したのかの区別は可能なんで色々試してみます。
・・・ふむ。大体判った。吐く息に属性を乗せる感じみたい。
魔法を使う感じじゃなくて、吐息にイメージを乗せるだけ。多分ここがポイント。
試しに、息全体に氷のイメージを乗せたら巨大な氷塊が出来ました。
これじゃ使いづらいってことで色々試した結果、氷の針をイメージしたらそれっぽくなりました。
まぁ氷塊でも使い方次第だとは思うけど、ブレスって感じじゃないし。
で、それをなんとかリヴィアに伝えてみる。
最初は単純に魔法が発動してたけど、俺が実際に使った所を見ていたせいか、結構早い段階でコツを掴んだ模様。
針状の氷片が恐ろしい程の量と速度で鍛練室の壁に直撃。
とりあえずは習得出来たっぽい。
で、適当にその辺を泳いでいたマグロに向かって“全力で放ってみて~”と指示してみました・・・結果。
【ミンチよりひでぇよ】
リヴィアから標的にしたマグロの直線状100m程に居た全ての魚が粉微塵になりました。肉片すら残ってないです。
息って意外と遠くまで届くもんですね。 赤い帯が漂ってるよ・・・。
ちょーっと強すぎかな~?とも思いましたが、まぁ極氷雪魔法のせいってことでスルーします。
これでSPやMPが無くても遠距離攻撃が可能になったし、これからは訓練でも使えるよね!ってことで。
ところでそこのルナとタリズよ。お前らにはブレス追加してないから。
幾ら頑張っても使えないから。
【よ~し。リヴィアもブレスの使い方を覚えたみたいだし、さっさとこの部屋の片付けしますか~。
3人とも、危ないから部屋から出ててね】
3人が退避したのを確認してから前回と同じく雷で一掃しますかね。
一応俺は範囲指定外にしてっと。
【『極爆雷!』・・・んがっ!!】
2次災害発生。
爆雷の範囲指定外だったけど、電撃は食らいました。まぁ耐性スキルで大したダメージではないけど。
今後使用する際は注意しよう。
とりあえず感電死した魚を片っ端から転送。
面倒だけど、多少は泳ぎスキルのレベルUPになったと思いたい。
転送も完了し、3人と合流したら人化してリビングへ。
当然、他の全員も洗浄&乾燥済みです。
「は~い。それじゃぁケーキを運んで来るから座って待っててね~」
倉庫/給仕室に入ったら大皿3枚と中皿1枚を用意。
で、大皿にパウンドケーキを2本1本2本と乗せて終了。
残りの1本は俺用なんで、味見で少し食べた分を1/4ほどに切って中皿へ。
あとはいつもの野菜ジュースを。
「お待たせ~ ちょっとコーヒー淹れて来るからもうちょっと待ってね」
自分用のコーヒーを淹れて、2本の皿をルナとリヴィアの前に。1本の皿をタリズの前に配膳。
ちなみに座る場所的はリヴィア・ルナ・俺・タリズの順番になりました。
ジュースのお代わりを予想しての配置みたい。
「よし、準備完了。でわ改めまして。
ルナ!進化おめでとう!
後は土・風・聖・闇・属性外・状態異常が増えるはずだから、
これからも、無属性も含めてどの属性も頑張ってスキルのレベル上げに励んで下さい。
タリズは風系、リヴィアは水系を強化してるから、その属性のレベル上げをしてくれたら嬉しいかな?
勿論進化したり、格が上がったら今日みたいに皆でお祝いするから、頑張ってね。
それじゃ、頂きます!」
言ったものの、一応俺が食べ始めないと皆食べないので、先ずは食べます。
「甘い・・・」
ブランデーでも誤魔化しきれなかった模様。
まぁルナ用だから仕方ないか。コーヒーで誤魔化そう。
思ったほどパサつきもなかったし、ドライフルーツも若干水分を含んで柔らかくなってるし、まぁ成功した方かな?
3人とも作った側からすれば、気持ちいいぐらいにがっついてくれてるし、俺としても満足です。
途中に野菜ジュースのお代わりを挟みつつ、全員が完食。まじで良く食うよな、こいつら。
で、1番食うのに時間が掛かった俺が食べ終わったところで終了。
「ふぅ。ご馳走様でした!
ルナ!改めておめでとうね。
これからはもっと上位の魔法を使うようにしたら、また進化するかも知れないし、属性外ももうすぐ・・・あぁそうか。
神の試練が終わったら、空間魔法を再び使えるようにしてあげるから、頑張ってね。
タリズとリヴィアも神の試練スキルがカンストしたら空間魔法を使えるようにしてあげるから、
暫くは訓練がキツイだろうけど、なるべく頑張ってね。
特にリヴィアはブレスが使えるようになったし、3人で連携して俺を倒せるように頑張って。
あと明日からは、俺は新しい従魔を2匹追加する方向で動くから、従魔になったらその子達とも仲良くね。
当面の訓練中はその子達がルナ達側で闘うことになるから、また連携とか考えて強くなるようにね。
それじゃ!今日はもうおしまい! お風呂入って寝ようか~。
俺は使った食器の片付けをしとくから、先にトイレ済ませて脱衣所で待っててね~」
ちょっとしたお小言を挟みつつ、今日の総括で締め。
それじゃ、洗い物を食洗機に放り込んできますかね~。
「おや?まだトイレ中かな? んじゃ俺も一応トイレ行っとくか~」
食器類を食洗機に放り込んで、明日の朝食(従魔達にはまたまたボア肉にしました)の準備が済んだら、
すぐにバス/トイレ部屋に入ったけど3人とも脱衣所には居ませんでした。
性格上3人とも先に入ってるのは考え難いので、一応俺もトイレへ。
「ふぃ~。意識はないけどやっぱり出るな。これから毎日風呂前にトイレに入る習慣をつけとこう。
お!タリズは終わったみたいだね。となると大食らい2人が残ってる訳だ。どんだけ食ったんだ」
トイレから出たらタリズだけ脱衣所に居ました。
とりあえず2人を待ちがてら、先に真っ裸になってタリズをモフってみます。
そう言えばタリズをモフるのは初めてな気がする。
「お~ルナと違ってこれはこれでいい感触だな。高級羽毛って感じ。
今度バード種を狩ることがあったら寝具を作ってみようかな・・・いや、タリズの羽は毟らないって」
俺の不穏な発言でタリズが一瞬“びくぅ”ってなりましたが、自分の従魔の羽を毟るほど外道じゃないですよ?
相変わらずモフモフしてるから少し警戒してるけど。
暫くタリズの羽毛をモフり倒してたら2人揃って出てきました。
長げぇよ。お前らどんだけ食ったんだよ・・・。
「それじゃ入るよ~。
あぁ、トイレとか脱衣所とかで気付いたかも知れないけど、また大きくしたから。
今日からはタリズもリヴィアもゆっくり翼を伸ばせると思うからのんびり浸かってね。
それじゃ、ご案内~」
もう既に大浴場と化したウチのお風呂場。
さすがに昨日の倍にしたから3人とも驚いてます。
まぁ予想通りなんで早速ルナを呼んで丸洗い。
今日は進化祝いを兼ねていつもより入念に洗いました。肉球も。
タリズも自分で掛かり湯はしたんけど、今日からはスキンシップを兼ねて洗います。
もう地球の動物と一緒の考えじゃダメだと悟ったので、普通にシャンプーで丸洗い。洗い終わったら浴槽へ。
リヴィアも昨日同様にボディソープ&たわしで丸洗い。タリズ同様洗い終わったら浴槽へ向かいました。
最後に自分をざっくり丸洗い。 まぁ大して汚れてませんがね。
で、ルナは入浴剤の箱の前で待機中。みなまで言うな。ちゃんと判ってるから。
「ルナお待たせ。今日はどれにする?」
箱を開けて確認してみたら、前回とは違うローズ系を選択。
ほほぅ。ハーブ系と湯上り爽快系は好きじゃないのか。
「OK~。それじゃ、今日はこれね」
一応手に持った感覚だと前回と同じ。
圧縮拡大したから重くなったかと思ってたんだけど、違うらしい。
ちゃんと効果が拡大対応してるか不安だけど、まぁちゃんと出来てなかったら2個入れればいいだけだし、いいや。
ってことで、ルナを伴って入浴。
タリズとリヴィアは相変わらず俺と反対側で翼を広げてのんびりしてます。
「んじゃ入れるよ~」
わくわくしてるっぽいルナの目の前あたりにひょいと投入。
直後、猛烈な勢いで発泡。そこだけ見たら沸騰してるみたいに見える・・・。
こういう方向で拡大したのか・・・。
入浴剤を左右の前足でホッケーしながら遊んでるルナ。
どうやら発泡量だけじゃなくて持続時間も延びてるみたい。
で、ルナちゃん。暫く入浴剤ホッケーで遊んでたんですが、おもむろにタリズとリヴィアに視線を向けました。
何かする気っぽいので様子を伺ってたら、タリズの真下あたりに入浴剤をシュート!
突然体の下から泡が大量に湧き出した上、浮力も失ったのか体が沈み、大慌てなタリズ。
翼をバタバタさせたせいか、入浴剤が今度はリヴィアの下へ。今度はリヴィアが大慌て。
「こらこら。2人とも落ち着いて。
あとルナ!余計なことしない! 今度やったら入浴剤の選択権剥奪するからね!」
入浴剤を回収しつつ、2人を落ち着かせ、ルナには厳重注意処分。
ルナも若干しょぼ~んとしたので反省はしてるみたい。
まぁ子供だったら1度はやってみたい遊びではあるかもね。
その後は特に問題もなく皆でまったりしてました。
大体皆の定位置が決まったっぽい。
ルナが俺の横。タリズとリヴィアが俺の逆側で翼を広げて入浴な感じです。
「さて、そろそろ上がるよ~。 あんまり長湯してると体に良くないらしいからね」
3人とも十分堪能出来たのか、ゆったり湯船から上がり、それぞれ乾燥魔法で乾かします。
俺は換気扇をONにしたら出水口を止めて、湯船の水抜き。
で脱衣所でざっと体を拭いたら装備を着なおし。
3人と揃ってリビングに移動。今日は久々にルナのブランシングもしてあげます。
と言うか、寝る前に風呂のお湯を張りなおさなきゃいけないので、俺はまだ寝れないんです。
丹念にルナのブラッシングが済んだら、タリズ・・・は必要ないらしい。その辺はやっぱり鳥なのか。
で、リヴィアだけど・・・デッキブラシの先端みたいなブラシを出してそれで全身マッサージ。
リヴィアもマッサージが気に入ったみたいなんで、今度からも暇があったらしてあげよう。
従魔達との(個人的に)憩いの時間を過ごしていたら、そろそろいい時間なので就寝準備。
3人に先に主寝室に入って寝る準備するように指示を出したら、俺は風呂場の掃除。
まぁ洗浄して換気扇止めて栓をしたら出水口から再びお湯が出るようにするだけなんですぐ完了。
で、主寝室へ。
「ん?リヴィア。どうしたの?」
ルナとタリズは定位置に居るものの、リヴィアだけがうろうろしてました。
「あぁ、主寝室も拡大したんだっけ。いつもの所じゃ寝づらい?」
どうも広過ぎて逆に落ち着かないみたい。適当に拡張した弊害か・・・。
「それじゃぁ昨日と同じ幅に戻すからちょっと待ってね。『帰還!』」
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『帰還!』
「は~い。それじゃぁ元に戻すから、ちょっとどいててね。
『空間縮小!』これぐらいだったよね?どう?」
昨日リヴィアが寝てた場所(ベッドの入り口から右側)だけ元のサイズに戻しました。
で、安心したのか昨日と同じくのべ~っと体を伸ばして就寝体勢。
「あぁ、忘れる所だった。
モノリスの書のドラゴン関係の記述を修正しなきゃいけないんだった。
んじゃ、とっととドラゴンの属性特化に関する記述を修正してっと。
あと、モノリスの書自体が破損とかしないような記述も追加しとくか・・・よしOK」
“ぽわ~ん”“パン!”
「それじゃ、とっとと寝るか~。
ルナ、明日の朝も8時ぐらいに起こしてね。それじゃぁ皆、おやすみなさい~」