第043話 水遊び
・・・てしてし・・・てしてし・・・。
「うむぅ・・・ん? んぁ~ルナちゃんおはよう・・・。もう朝御飯の時間?」
昨晩目覚まし係に任命されたルナちゃんが早速お仕事をしてくれた模様。
で、ナイトテーブルの時計を見たら、7時前・・・マジか・・・。
ふと足元を見るとタリズも既に起床済み。
で、こちらをじ~っと眺めております。
目覚まし時計の電子音で起きるより、肉球で優しく起こされた方が万倍マシだけどさ。
それにしても、魔物さんは早起きなんですね・・・。
「ん゛~んぅ。ルナもタリズも早起きだな。もう少し寝てていいのに・・・。
まぁ時間指定しなかった俺も悪かったし、起きて朝御飯にしますかね。
それじゃ、ルナもタリズもリビングで待ってて~ 俺も準備するから」
いつも通りに嬉しそうに駆け去るルナちゃん。今日からはタリズも一緒です。
『分体作成!』
******************************
『分体作成!』
着替え中。
「ごそごそ・・・あ~。まぁ早めに寝たから大丈夫だけど、休日ぐらいはゆっくり寝てたい。
その辺は要交渉って感じか。んぁ~んんっ。よし。目が覚めた。御飯作りますか~」
着替えを終えてリビングに行くと、2匹が並んで座りつつ待機中。
お前らいつの間にそこまで仲良くなったんだ・・・。
「ちょっと待っててね~」
状況的にめっちゃ急かされてますな、これは。
朝食の手伝いぐらい出来るように仕込んでみようかな?
まぁ魂が宿ったらその辺の事が出来る様に仕込もう。それまでは我慢するか。
現状でもある程度意思疎通出来るけど、完全じゃないしな。
「とりあえず・・・うん。飯はちゃんと炊けてるわ。俺の分から先に用意しよう。
味噌汁と目玉焼きと白米でいいか。
久々だから簡単に出汁とって作るか~。あ、味海苔もつけよう。先に鍋に水張ってっと。
沸騰するまでにルナとタリズの準備するか。ま、切って皿に乗せるだけだけどな」
昨日移動させといたボアの足を一本切除。で、大皿にど~ん。
あとは昨日の残ったゴブリン3匹と一緒に台車の上へ。
鍋の水が沸騰してきたのでいりこを投入。
ひと煮立ちさせたら取り出して弱火にしてから味噌を投入。
取り出した、いりこも小皿に移しておやつ代わりにします。
乾燥ワカメと豆腐を適当なサイズに切ったら投入。
煮立つ寸前で火を止めてお手軽味噌汁の完成。
あと、せっかくなのでボア肉から1cmほどの厚さで肉を切り出してベーコンエッグにしました。
で、茶碗に御飯を盛ったら終了。
まぁお手軽っちゃーお手軽朝食ですな。 俺の定番とも言えますが。
台車の中段に乗せたら一応完成なんだけど・・・。
「新しい野菜ジュースに挑戦してみるか?
最近マンゴーばっかりだったしな。たまには違う味が飲みたい」
ベースから変えてしまうと失敗しそうなので、基本は同じにします。
リンゴ・バナナ・人参・トマト。
今まではこれに適当な野菜を放り込んでマンゴーの甘さで誤魔化してたけど、ちょっとひと工夫。
「野菜は少なめにして、はちみつとオレンジとヨーグルトでどうだろうか?
タリズって果実系が好きなはずだし」
ってことで投入。ジューサーでガーっとやってとりあえず試飲。
「不味くはない。
が、ルナの好きそうな味かと言われると甘みが足らない気がする。バナナ押しでいっとくか」
バナナ追加入りま~す。
「ん~バナナ色が強くなったけど、甘さもそこそこあるしこれならいいか。
後はタリズ用に量を作ってっと」
大体同じ分量で3回作成。で、全部を纏めて麦茶とか入れる容器に流し込む。
ついでだし、ってことで昨日まで作ってたのと同じやつも同様に作って別の容器へ。
「野菜ジュースはお代わり自由にしとこう。
他にも何種類か作ってその日の気分で変えるのも楽しめるしな」
主夫化してますが、まぁスキルのレベル上げにもなるのでスルー。
とっとと待っている2匹の元へ運びます。
その段階で俺用の麦茶作る事を忘れていたのを思い出す。今晩作ろう・・・。
「ごめんごめん。
ちょっと野菜ジュースをお代わり自由にしようと思って色々してたら時間食っちゃった。
並べるからちょっと待ってね」
先に自分の配膳を済ませます。で、ルナの前にボア足の乗った大皿をど~ん。
タリズの前にゴブリン3匹を積み重ね、2匹の間にスライムを適当に置きます。ついでにいりこの小皿も配置。
で、深皿と広口のカップに新作の野菜ジュースを注いだら準備完了。
「一応新作の野菜ジュースと、今までの野菜ジュースを用意して、新作の方を注いでおいたから。
合わなかったら今までのと取り替えるから言ってね?
あと、さっきも言ったけど野菜ジュースはお代わり自由だから。
それじゃ、頂きます!」
俺が食べ始めると“待ってました!”って感じで2匹も食べ始める。
もうちょっと手間が掛かってたら、味わって食えよ!って言いたい所だけど、ただ切っただけだしな。
俺がせっせと三角食べしてる頃には、野菜ジュース含めて完食。
いつの間にか、いりこも無くなってました。
で、お代わり自由と聞いたからか2匹とも新作→旧作→新作と飲みきって終了。
ルナに関してはもう諦めたけど、タリズよ。お前も飲み物は別腹なのか?
気に入ってくれて嬉しいんだけど、お代わりの度に俺の食事が中断するので正直面倒臭い。
まぁタリズも念話に慣れてくれたみたいなんで良しとしときます。
色々思う所はあるけど、まぁ完食してくれて何よりです。
「ご馳走様でした! んじゃ、ちょっと片付けしてくるから、トイレに行くなら先にいっといで。
戻ったら全員で今日の予定を決めるからね」
食器類を台車に乗せて倉庫/給仕室へ。食器類は食洗機に放り込んでスイッチON。
もうせっかくなので麦茶は水出しにします。
で、ボトルに麦茶パックを放り込んで水を適当にだ~っと入れる。終了。
半分ぐらいに減った野菜ジュースを補充して冷蔵庫へ。
「以上? 昼飯は何にするか後から考えよう。
とりあえずやる事済んだかな?とっととリビングに戻るか」
「おや~?2匹とも居ない。トイレか?」
リビングに戻ったら2匹とも居ませんでした。トイレかな?と思ってバス/トイレの部屋へ。
「お?タリズ。何してるの?」
丁度タリズと会ったので声を掛けるとどうやらトイレの順番待ちらしい。
リビングで待っていると伝えてから、リビングでコーヒー飲みつつゆったり待ちます。
「ん~。今後も従魔が増えたらトイレ待ちとかなりそうだし、タリズも意外とお風呂気に入ってくれたみたいだから、
あの部屋全体も拡張するか。トイレを2つ設置しておけばとりあえず十分だろ。浴室も倍ぐらいにしとくかな。
今日の個人的な予定としてはその辺の拡張作業をするとしましょうか。
執事部屋とかメイド部屋も現状2人ずつだし、今後パーティー組んで冒険者とかするなら6人居住可能にしたいしな。
既にチートだけど、ハーレム欲求はないからチーレムは避けよう。
前に神様から聞いた残念な人と同類にはなりたくない」
俺の個人的な予定を立てつつ、2匹を待ちます。
ルナちゃんが戻ってきて、俺の左隣に座り、頭を腿の上へ。首周りとかのモフモフを堪能。
で、すぐにタリズも戻ってきて、俺の右隣に座って足をぶらぶら。あ~癒されるわぁ・・・。
「このままだらだら過ごしてもいいけど、何かしたいことある?
今日は完全に休日の予定だから遊びでも付き合えるよ?
あぁ、ちょっと昼御飯前あたりに俺は用事するから抜けるけど、その時はルナとタリズで遊んでてね?
で、何かしたいことあるの?」
俺としては2匹のブラッシングだけでも十分癒されるので、休日にはなるんだけど、一応意見を聞いてみる。
と、ルナちゃんが何かあるらしく、てしてし俺の腿を叩きながら念話でアピール。
・・・正確には判らんが、多分泳ぎたいらしい。昨日の俺がうらやましかったみたい。
タリズの方は特に意見が無いらしく、今回は別に何でもいいみたい。
そういう事ならスキルレベルも上げられるし、俺としても大歓迎。全然OKです。
とりあえず主寝室に戻って真っ裸になったら鍛練室へ・・・。
いい加減面倒臭いから獣状態でもOKな装備作ろうかしら。
「ん~まぁ適当に何度か開閉してたらそのうち引くだろう。んじゃ、開けてみますかね」
1回目森林エリア・2回目氷原エリア。3回目森林エリア。4回目森林エリア。・・・引きが悪いな。
で、5回目で見事水中エリアは引いたんだけど、空気の層が全く無かったのでこれじゃダメってことでスルー。深海か?
6回目も氷原エリアで今日は引きが悪過ぎるなぁって思ってたら7回目で意外なエリアが出現。
「これは・・・浅瀬エリアって言えばいいのか?結構レアなエリアを引いた感があるな。
これなら泳ぎも問題ないし、タリズも比較的自由に飛べる空間があるから遊べるだろ」
手前は水深20mほどの水だけど、徐々に水底が浅くなって入り口反対側の壁の方は完全に陸地。
水面から天井までは少なくとも900mぐらいはあるのでタリズもある程度自由に飛びまわれるはずです。
今のリザアースでもこんな地形があるんだね~と思いつつ水を少し舐めてみる。
「・・・微妙にしょっぱい・・・けど純粋な海水よりは汽水域って感じだな。
何処かの河口付近かも知れん。
中央大陸の方には行ってないから判らんけど、こういう場所があるのかもな。
今度中央大陸の方にも行ってみるか?」
とりあえず部屋的には問題無いので俺もテイル化。で早速中に入ってみる。
【ん~やっぱり冷たいっちゃ冷たいな。ルナの環境耐性上げるのにも使えるかも知れん。
よ~し。とりあえず此処に決めたから2人とも入っておいで~。あ、冷たいから気をつけ・・・】
注意するのが少し遅かったっぽい。
声を掛けた瞬間にルナちゃん即ダイブ。で、あわあわしながら水面へ。
それを見ていたタリズは警戒しつつ入って来たんだけど、呼吸が出来なくて同じく水面へ。
・・・まぁ2匹とも早く無呼吸スキルがカンストするといいよね!ってことでスルー。
一応2匹ともスキルは付与してるんで1日ぐらいなら無呼吸でいけるんだけど、まだ理解出来てないみたい。
それ込みで説明しとくかな~と思いつつルナちゃんを救出。
背中に乗せて、陸地方向へ全速力で移動。
タリズの方は自力で水面まで浮上した後巨大化し(元の姿に戻っただけ)、暫くぷかぷか浮かんでましたが、
俺の移動に合わせて飛び立って陸地方向に着いてきます。
空中を飛行するより、俺の泳ぎの方が速いってどんだけ~とか思いつつ、陸地に到着。
少し間をおいてタリズも到着。 とりあえず此処を拠点として遊ぶかな?
【よ~し。それじゃぁ遊ぶか。
あ、一応言っとくけど、2人(匹?)とも無呼吸スキル持ってるから、
1日ぐらい無呼吸で活動しても問題ないんだよ?まだ理解してなかったみたいだけど。
とりあえず今日はみんなで泳ぎのスキルを上げつつ遊んでみたいと思います。
最初は水に慣れる所から始めましょう。
それじゃぁルナ。俺の尻尾を咥えて。で、タリズはルナの尻尾を咥える感じ。
で、俺が全速力で泳ぐから、泳ぐ楽しさを実感してみて下さい。
以上! では早速・・・は~い!繋がってね~】
俺が尻尾の1本をルナの口元へ。で咥えるルナ。その後ろではルナの尻尾を咥えたタリズ。
【準備出来たみたいだね。それじゃ水中散歩へご案内~】
そのまま電車ごっこ状態で水中へ。まんま幼稚園とかそんなノリ。マジ俺保父さん状態。
全員が足が付かなくなった所で潜水開始。最初は水面付近でぐるぐる回転してましたが、徐々に水底へと移動。
一番水深のある入り口付近に到着したら、次は速度を上げつつアクロバティックな機動を開始。
俺も段々楽しくなってきて、気分は「6時方向敵機! くっ!振り切れねぇっ!」みたいな気分です。
尻尾が5本あるのでルナちゃん用の1本を残し、残りの4本を自在に操って水中を泳ぎまわります。
さすがにかなりのバラスト(2匹)を引っ張りつつ、真後ろに尻尾キックが出来ないので昨日ほどの速度は出ませんが、
それでも昨日同様、バレルロールやらインメルマンターンからのスプリットSなどをして楽しみ中。
たま~に4本の尻尾を全開で広げて急制動を掛けてオーバーシュートを狙って後ろを振り回してみたり、
カジキよろしく水中から水面上に飛び出してみたりと存分に振り回してあげました。
そのまま30分ほど泳ぎ回って一旦陸地へ戻ります。
【ふぅ。なかなかいい運動だった。2人とも楽しめたかな?
今回は水中だったけど、空でも同じ動きが出来るから試してみてね。
獲物を狙う時とか、やばい相手から逃げる時とかに有効な動きだから一応覚えておいて。
タリズは飛翔を持ってるから判ると思うけど、ルナにも高速飛翔のスキル付与してるから飛べるんだよ?
これからはタリズもルナも空中戦をする可能性があることをしっかり意識しといてね。
以上!俺による水中散歩でした! 後は各自で遊んでね。
あ、せっかくだし神の試練スキルを試してみるか。敵が居る訳でもないし、その方が早くスキルレベルが上がるかも。
ってことで『封印解除!』『封印解除!』】
ルナとタリズの神の試練スキルの封印を解除してみました。
1/100になるとは言え、ルナもタリズもHPが1桁とか実戦でやったら即死レベルだな。
では、続いて俺も封印解除します。
【『封印解除!』よし、これで遊んでたら全員のスキルも、ってえぇぇぇ!】
神の試練封印解除時の俺のMPが300ちょっとだったんですが、みるみる減少。
やばい従魔が維持出来ない!
【キャンセル!キャンセル!ちょ、ま、何で!? あ、『スキル封印!』】
超あせりました。
で、スキル封印しなおしたら無事回復。一応念のため2匹とも再度封印しなおしました。
【やっべ。超やべぇ。現状のままだと俺は神の試練スキルの封印解除したら従魔が維持出来ないじゃん!】
さっきのMPの減り具合だと秒間15ぐらい減ってる模様。
ルナに加えてタリズも追加したから予想以上に秒間のMP消費が多くなったみたい。
さらに完全変身でMPが10減るから、完全変身単体でも30秒ほどしか維持出来ない計算。
しかも戦闘中だと秒間回復量自体が激減するからさらにMPの減りが早くなるはず。
これ、神の試練使った訓練だと、俺は完全変身使ったらすぐ終わっちゃうんじゃね?
完全変身使わなくても、従魔の維持分だけで1分程度しか持たないよね?
これは早急に考えねば・・・。とりあえずルナ達の昼御飯も考えなきゃいけないし、何かいい手は無いものか・・・。
ん~そうだ!いい手があった!
【は~い注目。これから俺はちょっと用事をしてきます。
で、その間2人が暇になるだろうから、ちょっとした遊び兼昼食を用意します。
それは、この海に沢山の魚を放ちますので、お昼御飯はそれを各自で獲って食べて下さい。
かなりの量を出すから、食べ甲斐はあると思うけど・・・当然魚が逃げるので、上手く捕まえて食べてね。
どうやって捕まえるかも自由とします。色々試行錯誤してみてね?それじゃ『出ろ!』】
とりあえずマグロやら鮭やら鰊やらのある程度低温でも大丈夫っぽい魚を大量に放出。
一応ここの水でも大丈夫なようにイメージ補完したんで即死亡とかはないはず。
多分全部は食べきれないか捕らえきれないだろうけど、残ったら俺の飯にするので良しとします。
まぁ俺が捕まえる時は極爆風魔法で水中に雷発生させて殲滅すれば一瞬でしょ。
ちなみにモノリスの書とかにも記述してませんが、俺の認識だと雷系統の魔法は風系統に含まれます。
要は物体の摩擦によって静電気が発生するんで、だったら風魔法じゃね?って認識です。
【それじゃ、頑張ってみてね。用事が終わったらまた戻ってくるから。
それじゃぁまた後でね~】
用件だけを伝えたらさっさとリビングへ。
当然鍛練室を出た所で完全変身も解除。洗浄魔法と乾燥魔法で体に付いた塩分も落とします。
で、さっさと主寝室へ。
「完全に忘れてたな。さっさと記述修正なり追加しないとマズすぎるわ。『帰還!』」