第031話 従魔ゲット&はっちゃけました
「モフモフやんけ~!!」
いや~思わず絶叫してしまいましたわ。
追われていたのはテイル系の魔物。創ったはいいけど、まだ見たことなかったんですが、
予想以上にモフり甲斐のありそうなフサフサ薄茶色系の体毛。ちょっと太めの尻尾な所とか、もう超キュート。
叫んだせいで気付かれたけど、完全隠蔽看破発動中だったので居場所までは判らないみたい。
2匹ともきょろきょろ辺りを警戒してたので、とりあえず解除したらオーガにタゲられたっぽいけど今は無視。
それよりモフモフが逃走体勢に入ったので、反射的かつ無意識に神威を全力発動。
もうモフりたくて仕方ないから絶対に逃がしません。
あぁ、神様。こんな素敵な出会いを有難う。 って感じ。
あ、此処の神って俺か。なんかご利益なさそうだから俺より上位の神様に改めて感謝。誰かは知らんけど。
とりあえずオーガには用がないので早々に退散して貰います。
「とっとと去ね! お前は要らん!」
適当に逃げてくれればいいので、牽制のつもりで苦無を投擲。あ、力加減間違えた、しかも直撃コースやん・・・。
ボフッ!
あ、何か苦無が刺さったとかそんなレベルじゃなくて、頭部に大穴が開いてしまった・・・。
・・・ドズン、ズシャッ・・・即死しちゃったっぽい。
・・・いや、あのね?一応殺すつもりは無かったんですよ?今までだって無益な殺生は控えてましたし。
でもほら、私ってまだ投擲系のレベル低いじゃないですか~?
んで、モフモフに逃げられそうだったから少し焦ってたし。
だからまだ狙った所に投げられないと言うか、手元が狂ったと言うか、加減が判らなかったと言うか・・・。
オーガ系ってでかいから、たまたま当たっちゃったんだよ?
ホントダヨ? ネ? ワタシ、ワルイコト、シテナイヨ。
・・・まぁ過ぎたことは忘れよう。不幸な事故だったんだ。
お前は後でちゃんと供養してやるから、安らかに眠れ。
俺はそんなことより大事な用があるのだ!
「うわ~可愛い~。魔物だから子狐サイズじゃないのがちょっと惜しいけど、逆に存分にモフれるから問題なし!
尻尾が1本だからシングルテイルかな?触っても逃げないかな?ちょっとモフらせてね~」
(神威発動してることを完全に認識していない俺)
「ほわぁ~マジでモフモフ。毛並みもさらっさらだし。尻尾とか触っちゃっても大丈夫かな?
怒らないでね~。痛くしないから。・・・うわ~体のモフモフ感とは違う触感だけど、これはこれでアリ!
それより、こんだけ撫で繰り回しても怒らないとか、なんてえらい子!」
(繰り返すようですが、神威発動中です。本人は気付いてませんが)
「ん~。もうこの子はウチの子にしよう!こんないい子を野放しにして、また襲われたりしたら絶対後悔する!
従魔契約するけどいいよね?嫌なら嫌で拒否してもいいけど、その時はもう少しだけモフモフさせてね」
(もう何度も言うのもアレですが、やっている事は恐喝と一緒です。人間相手にやったら確実に犯罪行為です。
あと、従魔魔法に拒否権はありません。ステータス差やスキルレベル差による強制使役魔法です。本人は忘れてますが)
「それじゃぁやるね。本当に嫌なら拒否してもいいからね?『我に従え!』」
かざした手からシングルテイルに向かって魔力の糸が伸びる感じ。で、その糸が魔物全体を包んだら契約終了です。
「・・・契約完了・・・かな?受け入れてくれてありがと~♪」
(もう、何も言うまい)
完全に抱きかかえて頬ずりしてます。お髭がちょっとちくちくしますが、それもまた良し。たまらん~♪
正面から顔を見ると、目は魔物だけに赤いのですが、泣き腫らして充血してると思えば可愛いものです。
「とりあえず体に問題ないか調べておかないとね。『完全鑑定!』」
名前:なし(魔物)(従魔)
種族:シングルテイル(雌)
年齢:0歳
状態:混乱・萎縮
HP:51/51(101/2)
MP:51/51(101/2)
SP: 5/51(101/2)
STR:11(21/2)
INT:15(29/2)
AGI:10(20/2)
DEX:10(20/2)
MID:15(29/2)
所持スキル:走りLV1・初歩無属性魔法LV1・詠唱破棄LV1
マスタースキル:なし
LP:100/100
LUK:10
CHA:10
HGR:60%
HP自然回復量:0(1-1)
MP自然回復量:0(1-1)
SP自然回復量:0(1-1)
成長状態:成熟期
最大所持重量:21kg
ATK :14
MATK:17
DEF :14
MDEF:17
「あ~やっぱり。生まれた直後に運悪く見つかっちゃって必死に逃げてたみたいだな。
で、いきなり襲われた事で混乱してしまった、と。あと萎縮?・・・あ」
(やっと神威のことを思い出した模様。)
「ごめんね~。ちょっと思わずって感じだったから。でもしょうがないよね!」
自己弁護、自己弁護。まぁまだ撫で繰り回してますが。
「とりあえず、誕生直後の魔物のステータスが見れたのはラッキーだったな。
思ってたよりステータスが低かったのは正直良かった。まぁ自然淘汰される命になるだけかも知れんが。
誕生直後から人類総掛りで討伐しなきゃいけないほどでもなかったから、予定通りっちゃ予定通りか。
まぁ人類よりも倍の成長率&不老だからな。一応強力な魔物は存在してくれるだろう・・・ん?」
何となくシングルテイルが訴え掛けてる気がして見てみると、間違えて倒したオーガが気になるみたい。
何だろう?
「ん~?どうしたの?・・・って魂がないから喋られないか。念話ならイケルか?」
念話で何を求めているか聞いてみたけど、やっぱり要領を得ない。魂がないからか、会話がちゃんと成立してない感じ。
とりあえずモフり倒したので、一旦地面に下ろしてみると、オーガに駆け寄って、こちらをじ~っと見てくる。
「かっ可愛い・・・。あ、もしかして食べたいのかな?一応オドを本能的に欲するって記述したからそれかも。
食べたかったら食べていいよ~」
多分だけどそんな感じかなぁと思って、とりあえず食べていいと伝えたら、必死になってオーガを食べ始めました。
「う~ん。さっきまでの可愛さが半減。やっぱり野生動物って感じだな。まぁ必死に食べてる姿も可愛いけど。
とりあえず血まみれになってるから、食事が終わったら洗浄しとこう。モフれないし。
あ、どうせなら自分で洗浄出来るようにしとけばいいか。毎回食事が終わったら、自分を綺麗にするぐらい出来るでしょ。
スキル付与があるし、後から色々追加しとくか。
それと名前を考えなきゃなぁ。個人的にはナインテイルまで進化させるつもりで居るから、その方向で考えるか。
聖獣化して白面金毛九尾になるかは分からんが、なんとなくなりそうな気はするんだよな・・・勘だけど。
俺的には遭遇した時点で、そのフラグが立った気がしてしょうがないんだが・・・。
ま、とりあえずナインテイルまでは確定だからそれで名前を考えよう。
ナインテイル・・・ナインテイル・・・う~ん。俺ネーミングセンスないからなぁ。
単純に考えた方がいいかも。ナ・イ・ン・テ・イ・ル・ナ・イ・ン・テ・イ・ル・・・・。
イルナとか? いや単純にルナでいいか。呼びやすいし」
「お~い。お前はこれから“ルナ”って名前にするからな。これからもよろしくな~」
呼びかけたら、なんとなくだけど頷いた気がしたので多分伝わったっぽい。
まぁ相変わらずガツガツとオーガを食ってますが。
にしても、体型的に食いきれるのかアレを。俺も俺で始めて人型の魔物を殺した訳だが、何の感慨もないわ。
完全にモフる方向に思考が行ってたしな。まぁ癒しがなかったからなぁ・・・。
暴走しても仕方が無いと思おう。
・・・まだ食ってるよ・・・骨とか皮とか残すのかな~?とか思ってたけど、残さず食ってます。
多少は骨とか噛み砕くのに苦労してるっぽいけど、まだ食えるのね。
とりあえずルナが食事中なんで、俺は暇してます。
気になって完全鑑定でルナちゃんを鑑定したら名前がルナ(従魔)ってなってました。
あと萎縮耐性のスキルを習得してました。・・・・万事塞翁が馬ってことで。
「・・・あかん、完全に暇だわ。どうせ暇だし今の間にスキル付与しとくか。」
とりあえず、基礎・初級・中級・上級・伝説級までのスキルを片っ端から付与。
鍛冶系・道具作成系・畜産系・建築系・食料品系、あと道具を使う武術系以外の全スキルを付与してやりました。
最後に不死スキルも追加。ルナの知らない間に魔改造完了です。
「無属性以外のスキルも付与したから格が上がったり・・・してないか。
確か、ある程度以上のレベルになってないといけないって記述したもんな。まぁ今後に期待するか。
・・・にしてもまだ食ってるな。このペースだと全部食う気か?自身の何倍の体積を食う気だよ」
不思議なことに満腹度が100%以上にはなってません。何でだ・・・。
ただまぁ、1回り体が大きくなったかな~って感じではある。が、どう考えても食いきれる量じゃないと思うんだが。
「むぅ。暇だな。でもルナちゃんがはぐはぐしてるのを見てると、癒されるからもう辞めなさいとか言えん・・・。
親馬鹿ならぬ主人馬鹿だな。これからはちゃんと教育しよう。今回は初回だし見逃してあげるけど」
「・・・冷静に考えてみると従魔魔法ってヤバくねぇ?ステータス差とかで強制従属だもんな。
俺、人類は除外するって記述したっけ?してなかったら奴隷制の温床になりそうな気がする。
とりあえずルナちゃんの食事が終わったら居住区に帰ってその辺りの記述をちょっと見直すか。
あと、従魔魔法の消費MP関連も適当に決めた気がするから、そこも見直しだな」
・・・・・・・
・・・やっと食事が終わったみたい。と言うか、でかかったオーガが綺麗さっぱりルナちゃんのお腹の中へ。
骨の一片たりとも食べ残さなかったのは偉いと思うが、食い過ぎ感が半端ねぇ。
でも満腹度は100%のままなのよねぇ。なんでだろう。・・・まぁいいか。
何処かで俺が記述ミスってるのかも知れないけど、大した問題じゃないだろうし。
記述じゃなくて俺の魔物に対するイメージの問題かも知れないからなぁ。
オーガを綺麗さっぱり食べきったルナちゃん。今は手とか足とかに付いた血とかを嘗め取っています。
まぁそれでもいいんだけど、バイ菌が残っちゃいそうなのでちゃんと洗浄するように指導しなきゃね。モフれないし。
「ルナ~ おいで~」
呼んだらちゃんと戻ってきました。偉い偉い。
「お座り!」
犬じゃないけど、躾は大事なんでこれからはちゃんとします。
まぁ、従魔なんで基本的に言うことはちゃんと聞いてくれるんだけどね。
「ルナ。これからは、食事が終わったら、必ず全身を洗浄魔法で綺麗にしなさい。 やり方は判る?
ルナが食べてる間に色々出来ることを増やしてあげたから、ちゃんと使えるはずだよ?」
首を傾げるルナちゃん。かわえぇ・・・じゃなくて。とりあえず俺が見本で使ってみる。
「こうやって、口とか体とか綺麗にしなさい。 ルナはちゃんと出来るかな~?」
理解したのか、ルナが洗浄魔法を発動。
まぁまだレベル低いから、効果範囲が狭いけどそのうちレベルが上がれば1回で綺麗に出来るはず。
何度か発動して全身をちゃんと綺麗に出来たので、ご褒美として全身を撫で回す。
正直どっちのご褒美か判らんけど。
「よ~しよし。ちゃんと出来たね~。偉い偉い。 それじゃ、ウチに帰るからね。 『転移!』」




