第239話 フォロー
一先ず戦闘終了したっぽいので、一応全員(従魔も含む)の生存確認をば。
ま、殆どが“範囲気絶魔法”による気絶と、風付与した電撃(ちょっと強めのスタンガン程度)による麻痺&首トンなんで、本気で心配はしていないけど、念の為にね~。
「・・・うん、大丈夫っぽいかな。
一番酷いのがクライブだけ。 しかも打撲程度だし、問題無いでしょ。
まぁ・・・その・・・クライブの鎧に関しては・・・ゴメンネって事で・・・」
ざっくり全員を確認して問題無い(本当に気絶しているだけ。“完全鑑定”スキルは封印状態なので手間が掛かったけど、その辺はしゃ~なし)のを確認出来たら、一足お先に予め仕込んであった練兵場の外縁部の方へ・・・。
「おばちゃ~ん! ちょっと頼みたい事があるんだけど、いいかな?」
「・・・アンタ本当に何者だい? 私らの敵じゃないんだよね?」
「大丈夫大丈夫。全員気絶させただけだし。ただの模擬戦だよ?」
「それにしても・・・」
「まぁまぁ。
そんな事よりもさ、ちょ~っと俺の予定以上の人数になっちゃったから、追加で屋台と酒、頼めないかな?
おばちゃんの伝手でさ?」
「“そんな事”で片付く問題じゃぁ無い気がするんだけどねぇ・・・。
まぁちゃんと支払ってくれるなら、なんとかするけど・・・」
「んじゃ、宜しく。
支払いは・・・後で追加分&不足分を俺宛てにギルド経由で請求書回してくれればいいからさ?」
フリーゼが気が付いたら、その辺の処理は丸投げしてやろう。
(ちなみにちゃんとした請求書だったら、俺のギルド口座(でいいのかな?)から直接引き落とされるので、いちいち支払いするよりも楽だったりする。
ついでに今回の報酬額からも差っ引かれちゃうんだろうけどね・・・。
収支がどうなったかは、後からフリーゼに聞いておこう)
「はぁ、分かったよ。
前金でも十分な額貰っちまったしね。ちょっと行ってくるよ。
酒は大樽でいいんだよね?」
「うん。人数が人数なんで、2~3樽追加お願い。
屋台の方は・・・あと10軒(?)ぐらいあったら足りるかな?
その辺の判断はおばちゃんに任せるよ」
「はいよ。ちょっと行ってくるわ。
それにしても・・・豪気だねぇ。一体幾ら使う気なのやら・・・」
「ははは。まぁ無駄に金だけは持ってるし、その辺は心配しないでいいよ。いってらっしゃ~い」
おばちゃんを見送ったら、その辺の準備が終わって居た焼き鳥屋台で鳥皮食いつつ時間潰し。
実は模擬戦前に仕込んでいたのはコレ。
参加者全員に「“参加賞”代わりに無料で飲食を提供してあげようかな~?」と思って、屋台のおばちゃん(街長の奥さん)ネットワークを使って、屋台やら酒を集めておいたんだよね。
で、予想以上の参加者数だったので、慌てて追加した感じ。
・・・1時間程で、追加の酒&屋台が到着。まぁまだまだ追加した屋台は準備段階だけど。
気絶して居た魔族の方々達も、ぽつぽつと気が付き始めた模様。
“首トン”した方が気付くのが早かったので、SP減少による気絶とはやっぱり違うみたいですな。
首トンは同じ気絶でも脳震盪に近いからかな?
その間俺は、準備完了済みの焼きそば屋台のおっさんの所で飲食しつつリバーシに興じて居ただけ。
つっても、金は俺持ちだからな!! 十分な額を前金で払ってあるし、それぐらいは勘弁して欲しい所。
ちなみにこのウチの世界。リバーシやトランプみたいな簡単な娯楽だったり、料理&調味料(味噌や醤油も含む)なんかは“俺の認識”&“初期人類の知識”として与えられていた模様。
つまり、もし(まぁ魂の神様&始祖の神様方&モノリスの書で排除されているはずなんだけど)完全な前世の記憶持ちや異世界転生者が居たとしても、知識チートは不可能な世界だったりする。
「あぁ~。なんだか、訳が分からんまま終わっちまったなぁ」
「全くだ。 でもお前はいいじゃねぇか。俺なんて鎧がダメになっちまったんだぞ?」
「それにしても、お前何なんだよ・・・強過ぎんだろうが」
俺に気付いたブロンクス&クライブが合流。
「まぁまぁ。とりあえず此処の屋台と酒は全部俺の奢りだから、まだ起きて無い奴起こしてきてよ」
「「マジか!?」」
「おう! 俺に感謝しつつ、存分に飲み食いするがいい!!」
「「ナイスだリューノ!」」
「飲み食いするのは全員起こしてからだぞ~?」
「「任せとけっ!!」」
さっさと叩き起こしに向かう2人・・・。現金な奴らめ。
「あ゛~。元気ねぇ、あいつら」
フリーゼも合流。
「ま、いいんじゃね? 別に誰かが死んだ訳でも無いんだし。肉体的には殆どダメージ無いだろ?」
「そうね。 でも貴方の強さに関して、益々疑問が出てきたんだけど?
これだけ一方的にやられて、死者・重軽傷者が居ないなんて、有り得ない事なんだけど・・・。
使ったスキルやさっきの戦闘について、詳しく教えてくれるつもりはあるのかしら?」
「それは流石に秘密って事で」
「でしょうね・・・仕方が無いわねぇ・・・。
まぁいいわ。 話は変わるのだけれど、参加者全員奢りでいいのかしら? お金は大丈夫なの?」
「おう!任せとけ!
とりあえず幾ら儲かるか分からんが、今回の報酬から天引きしとくつもりだから、その辺の手続きはフリーゼに任せた!
不足分があったら、俺の口座から引き落としておいてくれ」
「私に丸投げって、まぁ実際は実務やってる受付の娘がやる事になるから、私はいいのだけれど・・・」
「細かい事は言いっこなし!存分に飲み食いしてくれよ!」
「はぁ・・・確かに飲まなきゃやってられないわよ・・・。
何なのよ最初のアレとか、まぁクライブはいいとしても、その後の事とか・・・」
「ふふ~ん♪ ひ・み・つ~♪」
「リューノ。ちょっとムカつくからその言い方は辞めて頂戴」
「へいよ~。まぁお前らがノビてる間に、先に始めさせて貰ったからな。
ちょっと酔ったか? 少しペースを落とすかな・・・」
「どうせ貴方の奢りなんでしょう? だったら好きにすればいいじゃない。
私も私で好きにさせて貰うわ。 本当に飲まなきゃやってられないわよ・・・。
これでも私、この国で一番の魔法使いなのよ!! それが何も出来ずに瞬殺されるなんて・・・」
「まぁまぁ。とりあえず飲んで忘れちまえ~」
「分かっているわよ!!」
そんなこんなで、起きた奴から順次宴会に突入。
全員無事なのと起きたのを確認したブロンクス&クライブも俺に合流して、4人で楽しく(?)宴会へ。
まぁ流石に訳が分からんとは言え、自分達を一瞬で全滅させた謎の人間族相手に気軽に話しかけて来る様な強気な魔族は居なかった。とだけ言っておきます。
つってもお前ら! その飲み食いしている代金は俺持ちなんだがな!
感謝の言葉の1つでも掛けに来いっつーんだ!