第238話 当然の結果
「さて、こっちもいいぞ。 開始の合図はどうするんだ?」
「私が合図を出すわ。 それでいいかしら?」
「おう、任せる」
「それじゃぁ私が言うのも何だけれど・・・頑張ってね?」
「ははは、それこそこっちのセリフだな。 瞬殺されない様に頑張れよ?」
離れていくフリーゼ。
どうやら後方に位置して、全体の指揮を執るみたい。
だけどなぁ・・・後方って言っても、俺にとっては射程距離内なんだが・・・まぁいいか。
とりあえず棍を地面に突き刺して腕を組み、仁王立ち。 まぁ挑発ですな。
少しして、フリーゼから「模擬戦始めっ!」って気合の入った合図があったものの、魔族達はじりじりと距離を詰めて来る程度。
まぁ相手がどういう出方をするのか不明だったら、仕方が無いか。俺にとってはどうでも良い事。
つー事で先制させて貰います。先ずは・・・言っては何だけれど、雑魚にはご退場願いますかね。
安全の為に“手加減”スキル発動させてっと。
『喝ッ!』
気合の入った声で誤魔化しつつ“威圧”(“神威”じゃなくて普通の方。ただしLV30ぐらい)と同時に“範囲気絶魔法”を発動。
一瞬で崩れ落ちる魔族達。
ちなみになんで“威圧”スキルを使ったかと言うと、どうやら状態異常の“萎縮”になっていると、気絶系魔法の効きが良くなるみたい(経験則)だったから。
それにしても・・・効き過ぎじゃね?
あれだけ居たのに、残ったのは・・・30人程度かな?うむ。予想通りとは言え・・・弱すぎる。
従魔や召喚獣なんかは当然の様に全滅(気絶しているだけだが)。
かろうじてフリーゼやブロンクス達。他は多分Bランク冒険者かな? が残った感じだろうか?
凍り付いた様に動きを止めるフリーゼ達。まぁ予想外だったんだろうけど、それは悪手ってもんですよ。
予想外の事が起こったからって、敵前で動きを止めるなんて自殺行為なんだよね~。
地面に突き刺してあった棍を引っこ抜いて右逆手で持ち、背中側を通って左手の方へ。
半身低身のこの構えって左を前にした劈掛掌とか劈掛拳って呼ばれる構え方。
コレって俺の好きな格闘ゲーム(某乳揺れ格ゲー)のキャラが使う拳法なんだが、今回は武器アリなんで正確に言うなら劈掛拳の構えだけ真似た感じ。
この構えで棍装備時の良い所は、相手に棍の間合い(攻撃可能範囲)を悟られ難く出来る事。
まぁ今回に関しては、完全に気分の問題なんだが。
で、手近に居たクライブ目掛けて振り抜く棍を手首の返しと右肘で弾く様にしてさらに加速させ、胴を薙ぎ払う様に一閃。
“ベギゴシャッ”みたいな擬音を残し、弾き飛ばされたクライブは戦闘不能。 楽勝ですなぁ。
潰れた鎧は自前で修理してね~♪
さて、いちいち相手をするのも面倒になったし、一掃して終わらせますか。
再び構えなおしたら、今度は頭上で棍を高速回転させつつ棍自体に風魔法を付与。
“パリッパリッ”っと、青白いスパークを放ち出したら準備完了・・・なんだけど、相変わらず呆然自失状態の面々。
魔族の皆様?ぼけーっと呆けている暇なんて与えませんよ?(つーか、いい加減戻ってきなさいって)
回転させる毎に棍の両端から青白い刃の様なスパークが伸びていって(まぁ5節棍だから、棍自体も伸びるんだが、今回は無しの方向で)、十分な長さになったら横薙ぎ一閃。
「はぁっ!」
気合一発。帯電した刃を片側から鞭の様に薙いで残った全員を感電させて麻痺らせたら、お後は強者の特権“首トン”で気絶させて終了。
一回やってみたかったんだよねぇ~“首トン”。
今の俺って本気でやったらただの手刀でも首を切断しちゃうので、今まで機会が無かったから丁度良かったのかも。
ちょっと瞬動&“首トン”に時間が掛かった(と言っても数秒程度)とは言え、目の前で崩れ落ちるフリーゼを見つつ、戦闘終了・・・かな。
ま、いくら偽装しているとは言え、今の俺だったら楽勝もいいところ。
結果だけ見れば当然の結果ですわな。予想以上に楽勝だったわ。