第234話 風水の魔女
げんなりしつつも自前のワインを飲んでます。
流石に今更クソ不味い魔芋焼酎は飲めませんわ・・・。
ブロンクス達に「やっぱ お子様なんじゃね?」的にいじられつつも、から揚げ(こちらは普通の鶏のから揚げっぽい)をつまみつつ情報収集。
ちなみに鳥から揚げは香辛料も効いてて結構美味しい感じ。
宴会奉行のブロンクスが追加で頼んでくれた枝豆やら野菜サラダもそれなりに美味しい。
ブロンクスが取り分けたりもしてくれました。 宴会奉行マジ有能。
(ついでに魔芋の焼酎をロックでガバガバ飲んで居るブロンクス達は、蟒蛇確定)
ほろ酔いのブロンクス達から聞いた話によると、この街では葉物野菜が他の食料品に比べれば高価らしい。
(酔った勢いで、それなりに高価な野菜サラダをご馳走してくれたブロンクスには感謝しましたが)
それでも魔族の国の首都である“皇都”(一般的には王都って言うらしい)よりは安いらしいけどね。
首都よりも若干野菜類が安いのは、この街から荷馬車(魔族の徒歩並の速度らしい)で半日弱ほど場所に、かなり大きな農業都市があるおかげなんだそうな。
で、その都市が皇都よりもこっちの街の方に近いおかげで、皇都に比べて安く購入出来るらしい。
その都市から皇都までは荷馬車で1日弱って所だってさ。
そうなんです。“皇都”なんですよこの国の首都。まぁ一般的には王都らしいけど。
つまり、この国の一番偉い人は“皇帝”若しくは“天皇”を自称している可能性が高いって事。
俺の記憶の中では、日本の天皇制を含む“皇”が付く尊称って、“天地を治める神(若しくはその世界の創造主など)から、その地を統治する権限を与えられた者の称号”って認識な訳ですよ。
で、その“皇”の下の位が“王”だったはず
(まぁ“この世界の創造主である俺がその地を与えた”って意味では微妙に間違いじゃないんだけど、正直に言って“王”は許せるけど、“皇”はなんだか違う気がするんだよねぇ。
“その種族の中で適切な者がその種族の長的な立場になる”様には考えて居たけど、その地を俺自ら与えた訳では無いからなぁ。
確かに間違いでは無いけれど、正解では決して無い。なんだか微妙に違う感じ?)
確か中華思想でもそんな感じだったような・・・ちょっとうろ覚えだけど。
(でも何時だったかは忘れたけど(多分風呂酒中の雑談だったと思う)、ミツハルさんから「リュウノスケさんが記憶して居られる“諸王の王”を意味する皇帝と、キリスト教なんかの宗教的な唯一神を意味する神は、同一視される場合があるんですよ」みたいな話を聞いたような・・・)
そんな俺の(曖昧な)記憶が元になったこの世界で、堂々と(?)“皇都”なんて名乗って居る以上、ちと面倒な事になりそうな予感がひしひしとしております。
だって俺の所属はリュノ神国な訳だしねぇ・・・。
自称“皇帝”だか“天皇”だか知らないけれど、マジで関わりたくないわ。
面倒事に巻き込まれない様に、もうこの街で過ごしちゃおうかなぁ。
せっかくブロンクス達とも仲良くなれたみたいだし。
本当だったら、この国の首都を目指すつもりだったんだがなぁ・・・。
「あら?お待たせしちゃったかしら?」
微妙な気分になりつつも、色々とこの街とかこの国の情報収集しつつ飲食していたら妙齢の魔族女性が声を掛けてきました。
情報収集中にちょっとびっくりな事実が発覚したりもしたけど、とりあえず今はスルーしておこう。
後でルナ達に確認しないと・・・。
「おう、フリーゼ。先に始めさせて貰ってるぜ。まぁ座んな。
で、リューノ。コイツが此処のギルマスで元俺らのパーティーメンバーのフリーゼだ。
一応この国初のBランク冒険者で、“風水の魔女”って大層な二つ名持ちの魔術師なんだぜ?
で、フリーゼ。このちっこいのが人間族っていう種族のリューノだとよ。
リュノ神国だったか? の、Aランク冒険者だとよ」
「初めましてリューノ殿?」
「初めましてフリーゼ殿。それとも“風水の魔女”殿とお呼びした方がいいのかな?」
「その二つ名は嫌いですの。
それにAランク冒険者様なのでしょう? 私に“殿”呼びも不要です。単にフリーゼで構いませんわ」
「了解、フリーゼ。俺もリューノで構わない」
「承知しましたわ。
それにしても・・・随分と小柄な方ですが、人間族とは皆小柄な方々ばかりなのかしら?」
「・・・種族的な特徴で無く、個人差だと思ってくれ・・・」
お願いだから、俺のチビいじりはもう辞めて!