第232話 樽酒!?
その後ブロンクス達がちゃんと回復するのを待って街へ。入場料(?)は金貨15枚也。
その内訳。
金貨10枚は言ってみればパスポート代わりの10cm×5cm程度の縦長な鉄板の発行代金。
コレに追加して、街への入場料が金貨5枚らしい。
ついでに言うと、“街への入場料”は何処の街に行っても同額なのだそうな。
ただし徴収されるのは初訪問時の初回のみ。鉄板を紛失しない限り、追加料金は発生しない仕組み。
各街で入場料を支払えば、その都度その街々の名前が順次鉄板に刻印されていって、2回目以降の訪問時にはちゃんと判る様になっているらしい。
もし紛失した場合はまたゼロからのスタートらしいので、「無くさない様にな」って言われました。
まぁ地球流に言ってみれば、遊園地とかの“無期限パスポートを購入する”みたいな感じなのかな?
お金には困って居ないので、即金で金貨20枚をお支払い。
余分な金貨5枚は“無駄に警戒させちゃった警備隊隊員さん達の飲み代にでも使ってね”って事で。
おかげで街に入る時に、警備隊隊員さん達から笑顔でお見送りをして頂けました。
クライブに入場(?)手続きをして貰ったら、そのままブロンクスとクライブの2人に連れられて、冒険者ギルドへ。
この街には“ギルド水晶”がある冒険者ギルドがあるけど、街とか村の中には“ギルド水晶”は無いけど、“出張所”的に魔族領のどの街や村にでも冒険者ギルドは必ずあるらしい。(初期開拓村なんかは例外)
んで、基本的にはその街や村に冒険者登録している者が到着したら、先ずは冒険者ギルドへ届け出る必要があるんだそうな。
例外は“冒険者登録はしているけど、冒険者を生業としていない者”だけらしい。
要は“ステータスカードのみが必要だった人”の事。
そういった人の多くは行商人とかの金銭のやり取りを頻繁に行う人らしいから、当然ステータスカードがあった方が断然便利だしね。
“ギルド水晶&ステータスカード”を、ちゃんと考えて便利に使ってくれているのなら、まぁそれで良いです。
想定の範囲内だしね。
“出張所”的なギルドは、言ってみれば最寄りの“ギルド水晶”があるギルドの下請け的な立場みたい。
“ギルド依頼”の限定的な受発注、依頼達成時の一時金の支給などが主な業務。
当然ランクアップ処理等の業務は出来ないので、その前段階の実績確認だったりを最寄りの“ギルド水晶”があるギルドへの報告等々・・・。
大概、人の足でも1日あれば往復可能な範囲にしか街や村の“ギルド出張所”が無いらしいので、そういった事が可能なんだそうな。
到着した冒険者ギルド(結構門の近くにありました)で当然の如く「リュノ神国って何処?」的な事を聞かれたけど、「遠いところ」としか言いようがないですわ。
色々とすったもんだがあったけど、その辺はブロンクス達がフォローしてくれました。
ま、“他大陸の冒険者の来訪”なんて予想出来なかっただろうし、別に腹も立ちません。
その辺はさっくりスルーで。
で、とりあえず俺のギルドへの届け出(到着報告?)が済んだら、併設してあった酒場的なギルド内の施設(50人規模程度のフードコート的な場所)で、改めてブロンクス達による質問タイム。
当然俺からも質問したい事があったので、お互いに質問しあう形にして貰いました。
先ずはブロンクス達の番。
「さて、と。
とりあえず聞きたい事は山ほどあるが、お前との戦闘の後、俺達に飲ませたのは何だ?」
「ん?あの場で説明しなかったか?」
「いや、聞きたいのはそんな事じゃねぇ。
“混合魔法”ってスキルがあるのは知って居る。俺らの元仲間の1人が使えたしな。
お前が言った“混合詠唱”ってのは、そのスキルの事なんだろう?
だが、俺らの常識だと“飲んだだけでSPが回復する水を魔法で産み出す”なんて事は不可能なんだよ。
おい!受付の姉ぇちゃん。ギルドマスターを呼んでくれ!
リューノ、ちょっと待ってくれないか? 今、専門家を呼ぶ」
「まぁ構わんが・・・その専門家とやらがギルマスなのか?」
「あぁ。俺らの元パーティーメンバーなんだが、今は此処のギルマスをやってんだ。
つーかお前らの所でも“ギルドマスター”を“ギルマス”って略すんだな、意外な発見だ。
国が違えば色々と違うもんだと思って居たが、そうでも無いみたいだな。
せっかくだし、あいつが来るのを待っている間に何か飲むか? 奢るぞ?」
「お~。そりゃ有難いな。
まぁ金には困って居ないが、せっかくのお誘いだし奢られておこうかな。
此処では何がお薦めなんだ?」
「う~ん。お前が大人だったら最近流通し始めた丁度良い酒があるんだが・・・」
何故に悩む。
「俺はちゃんと大人だぞ?」
「「何だと!!」」
そんな所でハモるなよ。まぁ確かに俺って低身長だけどさぁ。
「いやいや、お前が大人だってのは流石に嘘だろ?
それとも何か?人間族ってのはみんなお前みたいにちっこいのか?」
「(本気で蹴り飛ばすぞコノヤロウ・・・)確かに俺はちっこいがちゃんとした大人だ。
身長が低いのは・・・まぁ個体差だと思ってくれ・・・。
人間種全員が低身長って訳じゃ無い。その辺は魔族もそうだろう?」
「あ、あぁ。そうだな。そうだよな。 すまなかった」
謝るなよ!余計に凹むわ!
「まぁいい。で?お薦めの酒ってのは?」
「あ、あぁ。
少し前から魔族の間で流行っている酒があるんだが・・・それでいいか?」
「おう。構わんぞ」
「うっし。
お前との出会いを祝して、ちょっと豪勢に祝杯といくか!
お~い。こっちに樽酒を2つくれ!! それとカップを4つだ!」
樽酒だと!?
樽酒って~とアレだろ!?新春とかでTVでやってる、振袖着た女性やらお偉いさんが祝いの席で「せ~の」で木槌で蓋を叩き割る奴。
アレを2つもだと!? 魔族ってのは全員蟒蛇かっ!?