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俺の創った箱庭世界  作者: コルム
南極大陸編
231/243

第231話 2人の脳筋

「ふむ。いいだろう。 で?勝敗条件はどうする?」


 乗馬で疲れた体を軽くほぐしながら戦闘準備。


「特にねぇ。俺らが満足するまで付き合って貰うぜ?」


 相手の二人も準備運動を開始。


「“肉体言語”か。 なるほど、特に問題を感じないな。了解した。

だが、お前らを満足させたら街に入ってある程度自由に活動して良いとの確約だけは欲しいのだが?」


「チッ。余裕ありまくりじゃねぇか。その余裕、虚勢じゃ無ければ面白いんだがな。


街に入って活動する分には問題ねぇよ。

俺はともかく、警備隊長のクライブが許可すりゃぁ街長まちおさも文句は言えねぇはずだ。

まぁ万が一お前が何か問題を起こしたとしても、俺らが責任を負えばいいさ」


 ニヤニヤしながらブロンクスの発言に頷くもう一人の男。

クライブ、ね。 話の流れからすると、こいつも“肉体言語”持ちらしいな。

魔族ってのは脳筋が多いのかねぇ・・・ある意味同じ“肉体言語”持ちとしては複雑な気分。

ま、今回はそれで助かりそうな感じだし、有り難い話なんだが。


「そうか。それは手間が省けて有り難いな。

一応俺としても問題を起こさない様には気を付けるが、何かあったら助言を頼むかも知れん。

その時は宜しく頼む。


ところで興味本位で聞くのだが・・・お前らのギルドランクについでだ。

ブロンクス。さっきお前はこの街の冒険者達のまとめ役的な立場だと言っていたよな?

それにお前はCランクだ、とも。 それはこの街・・・いや、この国での最高ランクか?」


「あぁ、そりゃちょっとした誤解だ。

俺が冒険者達のまとめ役をやっているのは、単に一番の古株だって事が主な理由だな。

この街の。そしてこの国の最高ランクはBランクのパーティー達が最高ランクだ。

Bランクは3パーティー居るが、どのバーティーもある意味俺らの弟子達って所だな。

だからこそ、俺がまとめ役的な立場に居る訳だが」


「じゃぁ警備隊長のクライブだったか?そっちのランクは? それとも冒険者登録していないのか?」


「クライブもCランクだな。ま、昔の俺らのパーティーメンバーって奴さ」


「なるほど。

お前は言ってみれば冒険者の“教導者”って事か。 中々好感が持てる話じゃぁないか」


「そりゃどうも。 ・・・そろそろ始めたいんだが良いか?」


「あぁ、構わない」


「殺し合いなんぞするつもりは無いんだが・・・悪いな。

普段から刃引きしてある剣なんぞ持ち歩いちゃぁ居ねぇからなぁ・・・。

無手でやりたいんだが・・・お前、無手でもイケルか?」


「構わんぞ。むしろ俺は無手の方が強いかもな」


「ふん・・・大した自信だな。 それじゃ、先ずは俺から行かせて貰うとしようか」


 5mほど離れて向かいあう俺とブロンクス。

俺としても殺し合いなんぞした所で意味が無いんで、とりあえず“手加減”スキル発動。


「それじゃぁ・・・かかってこい。遊んでやる」


 ちょっと挑発してみる。


「良い度胸だ! だが・・・調子乗ってんじゃねぇぞ!」


 軽く飛翔して高速で突っ込んで来たブロンクスの渾身右ストレート!

でもね?ブロンクスって良いガタイしてて身長が180cm以上あるっぽいのですよ。

一方の俺。身長160cm程度の細身。

身長差的にも当然ブロンクスからしてみれば、“打ち下ろし”的な打撃になる訳で。

しかも飛翔までしちゃってるし・・・。


 顔面を狙って来たブロンクスのストレートを、先ずは左手で外側へ打ち払いつつ手首を掴みます。

で、掴んだ手首を小さな円を描くように内側に引っ張ってやれば、あら不思議。投げ技一本!

“あっ!”っと言う間にブロンクスは俺の前で横回転して地面へ。

これも空気投げになるのかな?俺自身の力じゃなくて、ブロンクスの力だけで投げた感じ。

ちゃんと怪我はしない様に投げたし、“手加減”スキルも発動してるんで大丈夫でしょ。


 一応追撃として、左足をブロンクスの首の上に添えておきます。踏み抜けば頚椎破壊が確定な状況。

“本気なら今の一瞬で決着、ついてましたよ?”アピールも忘れずに。


「・・・あ? 何だ今のは?」


 茫然自失状態のブロンクス。まぁ一瞬の出来事だったし、何をされたのか分からなかったのかもね。


「お前の込めた力の方向を変えて投げただけだ。

そんな事も分からんとは話にならんな。 雑魚過ぎる。

物足りん、もっと本気で来い。 何なら2人がかりでもいいぞ?

あぁ、言い忘れたが、俺も“肉体言語”持ちだ。スキル効果で俺を理解出来るまで続けるんだろう?

ほうけて居ないでさっさと立て、続けるぞ。

とりあえず・・・“リュノ神国”のAランク冒険者を舐めるなよ?Cランク冒険者風情が」


 添えた左足を戻しつつ、さらに挑発。


「ぬかせっ!」


 起き上がりつつ左手でアッパーカット気味に“打ち上げ”的な打撃攻撃。

これも良い的。今度は右手で同じ投げを再現。


「あのな。

“打ち上げ”とか“打ち下ろし”的な角度のついた打撃攻撃は無手だと投げの良い的なんだぞ?

フェイントの無い直線的な攻撃全般にも言える事だがな。

元々体格差があるんだから、最初からそれぐらい気付けよ。


大体お前らは魔族なんだろう?“闘気術”や“魔闘気術”は鍛えていないのか?

物理攻撃をするならちゃんと“闘気術”は使え! 相手を舐めすぎだ!


クライブ、だったな?お前も纏めてかかって来い。 2人纏めて遊んでやる。

そうでもしないと話にならんし“肉体言語”スキルの意味も無い。

まぁ2人がかりでかかってきても、同じ結果になるだろうが・・・な?」


 さらに挑発を続けます。

“俺とお前らとは圧倒的な力量差がありますよ?”って意思表示なので、挑発も無意味では無いはず。

無駄に敵対するほどの挑発行為はしないつもりだけど、この程度なら大丈夫だと思う。

俺も“肉体言語”スキルの影響で、その辺の匙加減は何となく分かるんでね。



「チッ。余裕あり過ぎんだろうが・・・クライブ!2人がかりでやるぞ!」


「オイオイ、マジかよ?」


「あぁ。 コイツ、口先だけじゃねぇな。実際かなりの腕だと見た。

ホラだとは思いたいが、俺ら2人がかりで太刀打ち出来るかどうかって所だな」


「マジか? クククッ、そいつぁおもしれぇな!

リューノだったな? それじゃぁ俺も参加させて貰うぜ?」


 ニタニタしながら寄って来たクライブ。 こいつも良いガタイ。

連携の練度が見物かな? それ次第では楽しめるかも?


「あぁ、遠慮は要らん。存分にかかってこい。 ま、結果は見えているが・・・な?」


 再度挑発。


「「舐めるなぁっ!!」」


 まぁこれだけ挑発したら乗って来るよね。 さて、ここからが本番かな?




「っっらぁっ!」「っせいっ!」


 今度はちゃんと緩急をつけた連続攻撃。

しかも2人で連携して相手(俺)の側面やら死角やらも狙っての連続攻撃。

的を絞らせない為か、さっきとは違って手も足も使った良い攻撃が続いてます。

牽制の攻撃でもそれなりの威力は乗っているので、ちゃんと俺も防御しとかないとね。

 2人の連携も結構いい感じ。

飛翔を使って上に意識を向けさせた瞬間に、もう1人が足元を攻撃とか、ちゃんと考えてるなぁ。

でも、もうちょっと・・・色々と工夫出来るよね?


 今の俺は他大陸に行く時の制約として、“念話”なんかを除く幾つかの“神話級”スキルを封印状態にしてあるので、“完全鑑定”が使えない状況。

とは言え“肉体言語”で感じるステータス的にも、どうやら俺の素のステータス的に隔絶しちゃっているので、超余裕。

特にAGIとDEFの差がブロンクス達にとっては絶望的。

全部の攻撃を避けるのも、全部の攻撃を真正面から受け止めても、俺としては全く問題が無い状況。


 まぁそんな事はしませんがね。

なんだか子供が汗だくになって必死に頑張っている感じで、俺としては微笑ましいぐらい。

(ぶっちゃけ俺ってこの世界の創造神な訳だから、“ブロンクス達が子供”と言うのも間違いでは無いのか?)

なので一応は防御したり、捌いたり、受け流したりしつつ、気分的には暇つぶし。


 俺は基本的には防御を主体として、たま~に2人纏めて投げる程度の反撃が中心。

甘い攻撃が来たら少しは手も足も出したけど、せいぜい牽制程度の攻撃で抑えてます。

“圧倒的強者の余裕を見せておかないとね!”って事で。




 そんな感じでかれこれ20分ほどが経過。

流石に全力で動き続けた2人は、SPが切れちゃったのか勝手にダウン。

地面に大の字にぶっ倒れて、“ぜ~は~”言うとります。


「満足出来たか?」


「は~っ・・・は~っ・・・ゲホッ・・・っっつ。 化け物かよテメーは・・・」


「一先ず水でも飲んで、少し落ち着け。

『小さき水よ!清らかなる癒しの水となり、中空に留まれ!』 ホレ。飲め」


 俺のイメージ通り、丁度ブロンクス達の目の前の中空に2つ、直径5cmほどの水球が出現。


「何だその詠唱は?聞いた事ねゲホッ!」


「基礎魔法の生活系と想像系の混合詠唱って感じだな。

もう俺の事は大体理解出来ただろう?毒なんぞ入れる様な奴だと思うか?

ある程度俺を信用出来るのなら、そんな事よりもさっさと飲め。 話が進まん」


「あぁ、そうだな。 ゴッ・・・ゴッ・・・ングッ・・・はぁ・・・すまん。助かった」

「ゴッ・・・ゴッ・・・ふぅ・・・美味いな。感謝する」


「気にするな。で?俺はちゃんとお前らを満足させられたのかな?」


「あぁ、言うまでもねぇな。俺は歓迎するぜ? クライブはどうだ?」


「同じく、だな。

クソ忌々しいが、手も足も出ないとは正にこの事だな。

しかもコイツは思いっきり手ぇ抜いてやがったのに、この様とはね・・・。

俺らの体に傷の一つも付けやしねぇ。


全く・・・ムカつく奴だが、信用は出来るな。

力量的にも警備隊だけでの対応は不可能だろう。 蹂躙されて終わるって結果が見えてる。

虎の子のBランク冒険者パーティーが束になっても敵う相手じゃ無さそうだ。

大体、ここに来た時からコイツが友好的にっつーか、敵対しない意思を持って居たのは理解出来た。

挑発して来たのも、手っ取り早く俺らを話に乗せる為だったんだろうな。

第一、無駄に藪をつつくもんじゃねぇしな。 短絡的に敵対しちまったら、それこそ事だ。


と言う訳で、リューノ。“テールズガーデン”にようこそ。警備隊長として歓迎するぞ?」


 第一関門突破かな?

つーか、“テールズガーデン”ってこの街の名前かな? 妙な名前・・・。

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