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俺の創った箱庭世界  作者: コルム
南極大陸編
230/243

第230話 脳筋

「待て! 何者だっ! そこで止まれ!」


 誰何すいかされたので、相手を刺激しない様に、ベータ達には何があっても手を出さない様に指示を出しつつ、ひとまずアルファーから下馬。


「初めまして、だな。 俺の名はリューノと言う。冒険者だ。ここよりは遥か遠方から来た。

出来れば街に入って旅装を解いて落ち着きたいのだが、入れて貰えるか?」


 何だか静かなんだが・・・。 俺、対応間違えた?

と、思ったら、一気に騒がしくなる。


「お、おい!喋ったぞ! しかもちゃんと会話が出来てる!」

「魔物じゃなかったのかっ!」

「いや、魔物はここまで侵入出来ないだろ。俺は聖獣か何かだと思ったんだが」


 オイ!俺が喋った事に対するリアクションがおかしくね?

大体、先にお前らが誰何したんじゃねぇか!

それに対してちゃんと下馬までして対応たんだから、お前らの言語を理解して居て当然だろうが!

んで、勝手に人を魔物呼ばわりすんじゃねぇよ!


 っと、誰か出てきたな。 誰だ?それなりに良い体格をしている様だが。


「おめぇらやかましいぞ! リューノだったか?すまねぇな。

俺はこの街の冒険者で、冒険者達のまとめ役的な事をやっているブロンクスと言う。Cランク冒険者だ。

で、だ。 先ずは確認しておきたいんだが・・・お前、魔族では無いな?一体何者だ?」


「ブロンクスね・・・了解した。よろしく頼む。

お前の疑問に答える前に確認しておきたいのだが、ここは魔族領で間違い無いか?」


 一応知ってはいるけど、知らないフリをしとかないとね。


「魔族領? 確かに魔族の国の街ではあるが・・・領かどうかは分からんな」


「なるほど。一先ず間違いでは無いと言う事か。

では先のお前の疑問に質問を返す様で悪いが、お前達は魔族で間違い無いよな?」


「そうだ」


「では、他の種族を知っているか?」


「他の種族だと?」


「そうだ。例えば俺の様な人間族とかだな」


「すまんが知らんな。

王都のお偉いさんなら知っている奴が居るかも知れんが、少なくとも一般的にはそんな事を知っている奴は居ないだろう」


「そうか。ならそこから説明した方が早いな。


先ずこの世界にはお前達魔族と同様の存在として幾つかの種族が存在する。

創造神様が創り出した種族達。いわゆる9大種族と言う奴だ。


お前達魔族。俺の様な人間族。

他にも鬼族、エルフ族、獣人族、竜人族、翼人族、妖精族、人魚族が居る。

これらを総称して9大種族と言う訳だな。

で、俺はその中の人間族に属する。


ブロンクス?ここまでは良いか?」


「あぁ。と言う事は、お前は魔族では無く人間族と言う種族なのだな?」


「そうだ。だがその事に何か問題でもあるのか?」


「一先ず問題が無い訳では無いが・・・今は置いておこう。

で、お前の後ろに居る2人がお前と同様に人間族。

そこの2匹・・・でいいのか? が、竜人族と言う事か?」


「いや、確かに2人の見た目としては人間族に近いが、そっちのミニドラゴン達も含めて間違いなく魔物だ。

竜人族はちゃんと・・・まぁ完全では無いが、お前達と同じような容姿だぞ?

言語も問題無いはずだ。会話も成立する」


「では、お前以外は魔物なのか?」


「そう言っても間違いでは無いが・・・。まぁ見て貰った方が早いか。

アルファー、ブラボー、チャーリー、デルタ、エコー。“送還!”。


御覧の通り俺以外は全員召喚獣だ。 召喚獣の事は分かるか?」


「そっちは問題ねぇ。俺らの所にも召喚獣は居るからな。

・・・改めて確認するが、お前は人間族って種族で、俺らと似たような存在って事か?」


「そうだな。間違っては居ない」


「では次の質問だ。 ここには何をしに来た?」


「ふむ。正確に言えばここが目的地と言う訳では無いのだが・・・まぁいいだろう。

俺の目的は単純に武者修行って奴だ。後は見聞を広めて、ついでに祖国に情報として・・・・・持ち帰る事だな」


「武者修行?それに情報を持ち帰るだと!? 戦争でも仕掛けるつもりかっ!?」


「あぁ! まぁ言葉尻を捕らえたらその心配もあるかもな。

だがそう心配するな。こちらにそんな気は全く無い。

と言うか、わざわざこんな遠くの地まで戦争を仕掛ける意味も無いしな。

言っただろ?遥か遠方から来たのだと。


俺らの行動理由だが、俺自身が他国に興味があった事と、国としても他国に興味があった事。

その2つが合致した上での“国からの任意の依頼を受けた”と言う形になる。


俺自身の欲求としてはより強者を求めてってのと、色々な風景を見てみたいって事だな。

国からの依頼はより優れた文化文明を持って居るのなら、“良い所は導入出来ないか?”って事さ。

もっと簡単に言えば、“仲良くできるか見極めたい”って所だ。


別に俺らは・・・まぁ俺と同様の存在が他の種族の所へも行っているとは思うのだが、わざわざ争い事を起こしたい訳じゃ無い。

むしろ国としては平和的に交流を持ちたいって考えて居るみたいだな。


とは言え、俺らには国としての外交権限を持って居る訳でも無ければその意思も無い。

逆に大事・小事問わずに、他国に対して干渉するあらゆる事を禁じられているぐらいだしな。


まぁ少なくとも確実に言える事は、俺はアンタらに対して敵対する意思はこれっぽっちも無いって事だ」


「見ず知らずの相手の、ソレを信じろってか?」


「まぁいきなり“信用してくれ”なんて事は難しいだろうな。とは思う。

突然の事だし、そちらが困惑するのも分からんでも無いが、こちらとしては“信じてくれ”としか言いようが無いんだがな?」


「そんな話を“はい、そうですか”って信用するとでも?」


「まぁな。“ステータスオープン”・・・。

ギルドカードの機能で、犯罪者はギルドカードが変色するのは知って居るか?」


 言いつつギルドカードを出してブロンクスに提示。

ついでにそこに居る全員にも見える様に、“白い”ギルドカードを一通り掲げておく。


「俺のギルドカードは全く変色していないだろ? それで信用して貰うしか無いな。

それでも“信用出来ない”“街に立ち入る事は出来ない”って事なら素直に立ち去るさ。

ま、立ち去る前に食料ぐらいは売って欲しいとは思うがね?」


「白・・・か、まぁいい。 もう少しだけ聞かせてくれ。

何でお前は9大種族とやらの事を知っている?

そして、召喚獣を7体も従えられるほどの奴が武者修行だと?」


「あぁ、それは単純な話だ。

俺の祖国は“創造神様によって創造された9大種族が一緒に生活している国”だからだな。

“リュノ神国”それが我が祖国の名だ。


次に召喚獣だが・・・まぁ俺はそれだけの力量を持って居ると思ってくれればいい。

ついでに言えば、さっきのうちの2体は人馬一体の召喚獣だから全部で5体が正解だ。

俺にはその5体の召喚獣を維持出来る力がある。一応Aランク冒険者だしな。単純な話だろ?」


「単純って・・・しかもAランクだと?」


「そんな事はどうでもいいさ。


ところでブロンクス。お前はこの街のおさかそれに準じる立場の者なのか?

さっき“冒険者のまとめ役的な存在”だと言ったが、その影響力は大きいのか?

そうならいいが、もし違うのであれば俺が街に入る許可を出せる立場の者を呼んでくれ。

何度も同じ説明をするのは手間でしかないからな」


「確かに俺は街長では無い。それに警備隊員でも無いが、一応それなりの発言力はあるはずだ。

伊達にこの街の冒険者のトップを張っている訳じゃないからな。

ある程度俺の一存でお前の処遇を決めたとしても、押し通せるだろう。


そうだな・・・クライブ、俺はコイツと一戦交えてみたい。その上で決めたいのだが、構わんか?」


 ちょうどブロンクスと呼ばれる男の横に居た、こちらもそれなりに体格の良い男。

ニヤニヤしつつも、「仕方無いな。それで決めよう」とか言ってます。

一戦って何をやるつもりなんだ?


「リューノ。コイツはクライブと言う、この街の警備隊長だ。

そして・・・リューノ。俺とクライブと戦って貰おう。勿論本気でだ」


「何故。と聞いてもいいか?

俺はいさかいを起こす為に来たんじゃ無いんだが?」


「まぁな。

さて、随分と知識が豊富なAランク冒険者様の様だが?

こんなスキルを知って居るか?・・・肉体言語。 どうだ?」


 今分かった・・・こいつら、脳筋だ! でもまぁ結果的に好都合!?

獰猛な笑みを浮かべ、挑発してくる2人。 いいねぇ。その喧嘩、買わせて貰おうか!

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