第215話 建国宣言 その後
「リュノ神国の建国を宣言する!」
・・・静まり返る謁見の間・・・。
〝キメッキメ”で言ってみたものの、物の見事にノーリアクションです・・・。
いえね?「こうなるかもな~?」って覚悟はしていたんですよ。一応は。
俺が北極大陸の開拓作業を頑張って居たのは、結局誰にも見られた事が無かったし、大体誕生させたばかりの人類に派手なリアクションを期待するのも「流石に無理かも」・・・ってね。
でもね?せめてルナ達ぐらいには、拍手の1つでもして欲しかったです・・・。ジンさん達も。
本当に頑張ったのよ?俺。・・・いや、マジで。
何年もボッチで黙々と作業してきたんだから・・・。
まぁ〝弾圧されいてた植民地で、独立を勝ち取った!”みたいに劇的な建国でも無いし、ある意味建国するべくして建国したんだから、頑張った俺以外には何の感慨も無い訳で・・・。
「・・・ではレナ。後は任せる」
「・・・畏まりました。万事お任せ下さい。
それでは引き続き、この国での注意事項等の説明をする・・・その前に先ずは・・・」
ひっそりと凹みつつ、俺とルナ達は揃って退場。ついでにエッジ達も一足早くギルドへと移動。
後はレナに進行を任せて、ジンさん達がフォロー役です。
ちなみに、エッジ&ルビアがペアになって北東ギルドへ。ファー&リルがペアになって北西ギルドへと移動しました。
初期登録とかを考えるとどう考えても人手不足なので、一時的に南東&南西ギルド長であるルビアとリルがヘルプ要因としてそれぞれ出向。んで、ギルド長不在になるので南部ギルドは閉鎖って形になって居ます。
(実際に物理的に閉鎖した訳じゃなくて、単にギルドとしての活動が休止状態なだけです。
北部ギルドが落ち着き次第、活動再開予定)
レナに任せた事は大まかに分けて全部で3つ。
先ずは誕生させた人類自身に、己の名前を決めさせる事。
つーか、流石に4100人もの人類の名前を俺が考えるのは面倒臭過ぎるので、当人に丸投げした形。
コレがそれなりに時間が掛かるだろうと思って、早々に退場した理由です。
まぁギルドの受付準備とか、今晩の晩御飯(誕生させた人類用)の準備やらもあるのでね。
なので、俺らとエッジ達だけは先に退場した訳です。
次はそれぞれの科の代表者選出。
こちらは立候補者が居ない場合or複数立候補した場合、レナが〝完全鑑定”して、〝INT値とCHR値の合計値が高い方”を代表者とする事にしました。
要はその科の代表者を通して、意見や要望を聞く形にしたかったって感じ。
そっちの方が意見調整なんかもやり易いだろうと思っての判断です。
まぁ別段権限がある訳でもないし、名誉職っちゃ~名誉職って感じかな?
俺的には〝町内会長さん”って程度の認識です。俺ならやりたくないですが・・・。
さらにお次は、先に俺から説明した事のより詳細な説明等々が5点。
1点目は〝種族間による上下関係の排除”。
これは俺が説明した通り、〝選民意識の排除”が目的なので、重複する事になりますが改めて伝えさせておきました。
2点目は〝住環境に関して”。
今後15年間は北辺にある宿屋街で無料宿泊しつつ生活して貰う事にしました。
当然、他辺の居住区への無断進入及び無断占拠は処罰対象です。
って事で最初は種族や科毎&男女別に分かれて、大部屋で生活して貰う予定で居ます。
今後は男女別に分かれたとしても、男と女が居る以上、やる事やっちゃうだろうし、むしろ人口増加面で考えると推奨事項なので、くっついたりデキちゃった場合には、家族毎の部屋へと移動して貰う予定。
そういった事も考えて、宿には1人部屋(ある意味将来的な冒険者専用)、2人部屋(夫婦部屋って感じかな?)、4人部屋(家族部屋?)、6人部屋(冒険者専用のパーティー(宴会的な意味でなく)部屋?)、10人部屋(獣人族なんかの家族部屋かな?)、50人部屋(これが大部屋)と建設済みです。
15年目以降はちゃんと部屋の大きさ(個人の専有面積)に応じた形で料金を徴収する事になります。
当然15年が経過していなくても、賃貸料金を支払えば他辺の居住区を借りる事も可能。また1階を賃貸した場合は商売等も自由です。
(賃貸料金は2年毎の更新。2年後にその料金を適用としておきました。
どうせギルド周辺の1階なんかは、人気区画になるだろうし、将来的には〝値上がりするだろうなぁ”と思って居ます)
ただし心身障害者等に関しては、15年目以降でも宿屋限定である程度無料の方向で検討中。
住環境はそれで良いとして、お次は食に関して。
同じく今後15年間は無償で朝晩に〝魔芋スープ”が配給される事になります。
これは子供が出来たとしても同様。ちゃんと配給対象です。
一応4日に1度程度はちゃんと〝肉”も入った豪華版だったり、他の食材を使った配給も予定中。
まぁそちらは食料の備蓄次第って感じですが。
4点目は〝教育に関して”。
こちらは完全に義務教育なのが10年。より上位の特化教育機関として、各3年の高等学校&大学も設定。
ただし高等学校以降は、成績の上位者でないと入学出来ない事になっています。
毎年トータル人数で、高等学校なら100人。大学なら50人程度が定員って感じかな?
ちなみに教育に関しては完全に無料です。
つーか、とっととギルド職員やら行政人員の確保が目的なので、最初は高等学校も大学も募集しないかも知れません。
実際問題として、教員が足りませんしね。
義務教育に関しては、俺らやジンさん達〝来訪者の分体”組が担当する事になっています。
大体30年程度で目途を付けたい所・・・。まぁ教育を受ける側の成長次第ですけどね。
その後はちゃんと教員を募集して、教育に関しても国政に投げる予定で居ます。
ちなみに10年の教育期間ですが、初期人類に関しては妊娠や出産もあるだろうし、ある程度その辺はファジーに対応する事になって居ます。
まぁ最悪教育を受けなくても、最低限なんとかなるだろうしね。
なので、とりあえず道徳教育を優先って感じかな?
後は国数の座学に加え、1・2次産業の実習。魔法&戦闘技能の実技。初期の魔芋や岩塩採集などのギルド依頼なんかが主な教育内容です。
高等学校はそれぞれに特化した形。大学に関しては、さらに独自に研究出来たり、成果に応じて報酬が出たり等、今後は充実させる予定では居ます。あくまで予定ですが・・・。
んで、今後誕生した子に関しては、満6歳の1月4日から教育開始としておきました。
5点目は今後に関して。
15年間は実質的に生活が保障されているので、その間にギルド等でお金を稼いで、とっとと居住区に転居して欲しい事を伝えます。
基本は3労1休なので、その1休の日にも頑張って欲しい所。
いつまでも宿暮らしされると、ちと困るのでね。とっとと自立して欲しいのですよ。
そんな事を考えつつ、俺らは北西ギルドで炊き出し準備中。
この日の為に、北部ギルドでは必要以上に大鍋やら食器類も大量に作っておきました。
(一応南部ギルドでも同様の調理器具等々はあるのですがね)
今日は〝お祝い”って事で、〝魔芋のスープ”以外にもパンやら果物やらも準備しています。
まぁ今日はこの1食だけなので、〝しっかり食べてね?”って感じ。
ちなみに北西ギルドを中心に活動するのは人間種3科。魔人族1科。鬼族3科。エルフ族2科。龍人種6科。妖精種4科。魚人種1科。魔人種1科の2100人。
北東ギルドの方は獣人種16科と翼人種4科の2000人です。
北東ギルドの方が若干少ないのは、獣人族が多産種の為。
今後の人口増加を考えると、これでもちょっと多いかも知れませんが、獣人種だけで固めちゃうと特別扱いしているみたいで嫌だったのでね。
なので北東ギルドの面々には頑張って貰いたい所です・・・。
そうこうしていたら、第一陣が到着した模様。さて、これから頑張りますか~。
って言っても、先にギルド登録をして貰わねばならんのですがね。