第203話 原初の3柱揃い踏み 女神も居るよ その1
あれからまた5年ほどが経過しました。
今日はリザアース歴1023年12月31日(土)の早朝で御座います。
昨年(一昨年か?)、天ちゃん達もついに不老化したので、今年の頭からミツハルさん達ご家族。
そして同時に、ヒロアキさんご夫妻も長期滞在中する事になりました。
始祖の神様と魂の神様は・・・一昨年辺りぐらいからかな?ほぼ常時滞在する様になって居ます。
で、皆さん頑張って分体の育成中。
美の神様こと、ディーさん達母子だけが若干先行している感じです。
まぁ頑張れば数年で追い付いてくれる事でしょう。皆さんの頑張りに期待って感じ。
今は始祖の神様と魂の神様以外の皆さん(分体)が揃って、神の居住区のリビングで談笑中。
何故お2柱が不在かと言うと、とうとう“原初の3柱”の残り2柱。
“この世の理を司る神”様と“全ての物体を司る神”様のお迎えに行っているのです・・・。
その為、新たに来られる神々に対応可能な様に、再びリビングや風呂なんかもまた拡張済みです。
あぁ憂鬱・・・。俺って引き籠りたいのにさぁ・・・。
大体俺のあだ名って“引き籠りの神”だったじゃん?
なんでそんな世界に、始祖の神様を始め、上級神の中でも別格な大物連中が来るのさ・・・。
俺の日頃の行いが悪いのか?
***現実逃避中***
とりあえずこの5年ほどの間に起こった出来事を振り返ってみます。
先ず、ミツハルさん達来訪者連中の分身体作成について。
こちらはミツハルさんご夫妻やヒロアキさんご夫妻の神様達は、ある程度問題無かったらしい。
2~3年程度で出来る様になったみたいです。正直羨ましいです。俺も出来るのかな?
問題になったのは陸くん達(天ちゃん達も含む)でした。
どうしても幽体離脱状態になるのが精一杯で、分身体作成は出来なかったそうな。
で、結局。始祖の神様や魂の神様、ミツハルさんご夫妻の神力を使って義体を使う事になりました。
その最終決定は、天ちゃん達の不老化時点で決定となったらしいです。
なので、今の陸くん達の本体はミツハルさんの世界で寝たきり状態なんだって。
(ちなみに飲食や排泄なんかの生理行動も不要なんだそうです。それにも神力を使ったらしい。
ついでに言うと、他の神々の分身体同様に、一応はパスも繋がっているそうな。
まぁかなり弱いパスらしくて、意識の共有化は不可能なんだそうですけどね。
なので、自意識的には“どちらか片方しか活動する事が無理”って事らしいです。
要は、今の俺の神体と俺の分体みたいな関係みたいですな)
だから、陸くん達の体は以前お邪魔したミツハルさん家の寝室スペースで寝ているんだってさ。
ミツハルさん達も今回の分身体作成を機会に、完全に表舞台からの引退を宣言したらしいです。
それに伴い、ミツハルさんご一家は国の中枢からも完全に引退。俺としては夢の引き籠り生活へ。
今は本当に極めて一部の直系親族だけが出入り可能な、“神殿”扱いな家なんだってさ。
一方ヒロアキさんご夫妻。
ミツハルさんよりも少し遅れはしたものの、無事分身体の作成に成功。
長期滞在の時期がミツハルさん達と一緒になったのは、
単に一応は“ウチの世界では先輩になるミツハルさん達に気を使っただけ”らしいです。
ちなみに、ヒロアキさんの世界での“神様AI”の作成も粗方終わったそうなので、
別に分身体じゃなくても問題は無いんだけど、その辺は「時間があったから」だそうな。
そう言えば俺が去った後のオリジーの街。
色々とあったらしいんだけど、ちゃんと今は良い方向に向かっているらしいです。
カイオスさん達は元気にしてるかな・・・。意外とカタリーナさんに振られていたりして・・・。
で、俺らの方。ルナ達家族の皆も結構順調でした。
ちゃんとギルドランクも上がってるみたいだし、食料なんかの貯蔵量もどんどん増加しています。
(まだディーさん達は地上での活動を自粛中なので、単純にタリズ達の頑張りって所)
スキルレベルだって上がってるし、ルナ達は人類と接触して社交的な面でも成長しているっぽい。
皆俺の指示通りにちゃんと成長してくれているみたいなので、その辺は全く問題無しです。
トウも同様です。
どうやら従魔を従え始めたらしくて、“影隠れ”スキルの付与をどうするのかが今後の課題。
まぁ将来的に、“リュノ神国”の俺の【護衛兼暗部兼諜報機関を担当したい】って言ってるし、
「ある程度強くなったら付与してもいいかな~?」程度には考えて居ます。
俺も相変わらずスキル上げをしていますし、カンストスキルも少しながら増えました。
何より新しい召喚獣が増えたのが一番嬉しかったです。犬系と狼系をそれぞれ5匹づつ追加。
レッサーフォルンだった将来の門番予定だったエント系も、
全員がレベル100に到達したのを期に、纏めてフォルンへと進化させました。
皆頑張ってAGIを地道に上げてくれたのか、人が歩くよりは少し早い程度の速度で移動可能です。
今まで放置していたせいで知らなかったけど、16本もの樹木がわさわさ動いて魔物を狩る姿は、
ちょっと所ではなくホラーでした。つーかお前らって集団で狩りをしていたのね・・・。
まぁ放置育成しちゃった俺のせいなんだけどさ。結果的にOKなので、このまま放置予定です。
こちらも「とりあえず人類誕生までにはエントになってくれればいいかな?」程度に考えて居ます。
ホース系も1体追加出来たので、こいつだけはちょっと手間を掛けて早々にバトルホースへ。
(ついでに俺の騎乗スキルも多少はレベル上げをしました。ちなみに名前はプニル。
“早々にバトルホース”って言いましたが、ちゃんと下位種族もLV100まで上げました。
そうじゃないと、レベルUP時のステータスの追加上昇が得られないのでね。
ホース系はSTRとAGIにボーナスが付くので、ちょっとシャレにならない強さになりました)
で、ちゃんとバトルホースのLV100まで上げたら、既に待機状態だったスレイと融合。
スレイプニルの誕生です。まぁスレイプニルにしちゃったら、また放置状態になっていますが。
・・・こいつに関しては、どうしようか悩み中なんですよねぇ・・・。
ゾンビ系召喚獣を育成して、レブナントまで成長出来たら、
“レブナントとスレイプニルを融合させるとデュラハンが出来る”って設定なのです・・・。
将来的な“足”って事で考えると、スレイプニルって要るんだけどなぁ。
でも・・・デュラハンも捨てがたい・・・。
俺って召喚数制限も無いし、コレクターとしては、最終的にはどちらも揃えるとは思うのですが、
ホース系の召喚石のドロップ率が問題なんですよねぇ・・・あまり居ないってのもあるし。
ゾンビ系の召喚石は腐るほどあるってのにさ・・・って、ゾンビって既に腐ってるか。
ちなみに今のスレイプニルの名前は、“オーディン”から取って“ディン”です。
ちなみに召喚獣達の非表示ステータスである“好感度”ですが、
どうやら“嫌な事”をしないと滅多に下がらないみたいです。放置だと上がりもしませんがね。
神の分体である俺の召喚獣だからか、放置だったのに逃亡した奴は居ませんでした。
なので全員、ちょくちょくエサを与えたり、世話してあげたりして“好感度”も上げておきました。
問題があったのはリュノ神国の方。もうね、「俺ってバカか?」と言いたい。
まず1つ目。国庫の存在。
エッジが最初に気付いたのですが、帝都の転移魔法陣を使用した場合、
ちゃんと料金は徴収されるものの、それが何処に徴収されたのかが完全に不明になって居ました。
色々と調査した結果、俺のギルドカードに入る様になってたんですがね。
そう。俺ってば“国庫”って存在を丸っきり忘れて居たんですよね~。
なので今後の事も考えて、ギルド水晶ともリンクさせてある、新しい宝玉を創造魔法で創りました。
今後はこっちを“国庫”として使える様に、収支も可能な様にしてあります。
当然目指せ人口100万人都市なので、同様の宝玉セット(箱付きなので)は複数個創りました。
固定資産税(住居税?)や転移魔法陣の使用料金なんかの収入は“国庫”へと入る様に。
(どうしても固定資産税の徴収は手作業になりますが・・・。
まぁ一応、ギルド水晶経由でも納税自体は可能にしてありますがね)
で、治安維持要員や、行政要員なんかの公務員に関しては、“国庫”から直接支出って形です。
(こちらもギルド水晶の場合と同様に、支払い金額を書いた紙を箱に入れると、
勝手にギルドカードへと入金される仕組みにしました。
要はギルド職員とか、依頼達成時なんかの処理と同様の処理って形です)
これら新しい“国庫”用宝玉・・・と言うか水晶球セットは、北辺の行政区画に設置済みです。
将来的にはフェンが管轄する事になると思います。若しくはルナかレナ辺りかな?
その辺の説明もしておきました。(将来的に人を雇わないと、やってられないだろうしね)
で、2つ目。そもそもの転移魔法陣の料金体系の問題。
俺が作った当初の予定では、
“最寄りの転移魔法陣がある建物(仮に駅とします)から、
各辺の両端と中点を結ぶターミナル駅を中継して、目的地へと移動”って感じで想定して居ました。
それ自体に問題があった訳じゃ無いんだけど、問題は使用料金の徴収の仕方。
俺の想定だった使用方法が、“始発駅→中継駅。一旦外に出て、中継駅→目的地”となり、
移動に無駄に手間が掛かるって事。それと、いちいち2度も料金の支払いが必要って事。
後、想定して居なかった事なんだけど、コレだと「主要な駅では絶対混雑するよね?」って問題が。
で、料金の徴収方法を変更する事になりました。
全ての転移魔法陣の駅の改札を再建設して、“始発駅”の改札通過をギルドカードに記憶させ。
何処をどう経由しようが“目的地”までの最短経路での単純通過駅数での使用料金制へと変更。
具体的には、“モノリスの書”のギルドカードの項目自体の変更までやっちゃうと大事になるので、
転移魔法陣建物に番号を割り振って、最初に最低運賃として100円(銅貨1枚相当)を徴収。
1駅相当分を通過する度に10円(鉄貨1枚相当)を加算。んで、出る時に一括清算。
って感じに変更となりました。
北東ギルド前の転移魔法陣建物を起点としましたが、当然番号的にマイナスになる事もある訳で。
その辺はちゃんと考えて、自動計算出来る改札にしておきました。
まぁこんな配慮なんて、使う側からしたら気付かない事なんだろうけどなぁ・・・。
ちなみに転移魔法陣を使わなくても、改札を通ったら必ず100円徴収される形になりました。
(入場料って感じかな?)
また、改札を通ってから、“何らかの方法で”他の改札を通らずに外等へと出た場合、
次に改札を通ろうとしたらエラーで転移魔法陣の建物内に進入出来ない様にしてあります。
(俺の気付かない不正使用防止目的です)
で、“建物内や内外での荷物受け渡し等は全面禁止”。人類を誕生させたら追い追い通達する事に。
そうじゃないと、転移魔法陣の建物内が混雑しちゃうのでね。仕方の無い事なのです。
転移魔法陣自体の変更じゃなくて改札の変更だけになっちゃったけど、
さすがに今から転移魔法陣自体の変更をする気にはなれなかったので、こんな事になりました。
まぁ失敗と言えば大失敗です。
つーか、そもそもの建物の大きさの制限があるし、ある程度しゃーなしですわ。
主要な駅なんかは、まだ人類が居ないのに、既に混雑する事が確定事項みたいなものですな。
まぁ人口が分散してくれれば、それで問題自体もある程度は解決出来ると思うのですがね。
で、3つ目。これが一番の大問題。帝都の周囲に植えた特殊世界樹の件です。
よくよく考えたら、将来的に冒険者としては移動面で非常に不都合な事が分かりました。
設定では成木の世界樹から半径50km圏内には、魔物の進入及び発生は不可能なんですよね。
で、討伐依頼なんかを受けたとすると、討伐依頼を達成できる可能性がある場所まで、
少なく見積もったとしても、徒歩移動だと半日ぐらいは歩かなきゃいけない訳で・・・。
重装備なんてしていたら、その移動だけでもかなりの労力が必要って事になっちゃってました。
まぁ俺には転移魔法があったので、住民優先の考え方になっちゃったせいとも言いますが・・・。
その事に対して、全く気が回りませんでした。 反省・・・。
一応の打開策として、各冒険者ギルドから最寄りの3ヵ所の帝都城壁の門までを、
ギルド内に設置した転移魔法陣で繋ぐ事にしました。当然、各城門の内側にも転移用の建物を建設。
(例えば北東ギルドから転移する場合だと、北・北東・東の3ヵ所の各城門へと転移出来ます。
もちろん双方向移動可能なので、城門付近の転移用建物にも最寄りの2ヵ所のギルドへと転移可能。
利用料金は100円(銅貨1枚相当)としておきました。俺のミスだし、安めの料金設定です)
それでもせいぜい7kmほどしかショートカット出来ないのですが、まぁしゃーなしです。
残りの40km強ほどは、“頑張って移動して下さい”って感じ。
つーか結果的にですが、帝都城壁外にも居住者が出てきそうな気がしています。
「そっちに住む様な住民が出てきた場合はどうしよう・・・」って感じで悩み中。
・・・まぁいっか。その辺はルナとかレナ達に丸投げしちゃおう。
後々状況に即した税制を考えれば、それで良しとしておきます。
何なら世界樹の影響範囲外に、ギルドの出張所みたいな物を建設すればいいしね。
で、4つ目。微妙に3つ目の問題とは逆パターンとも言える問題です。こちらも微妙に大問題化。
ルナ&レナから念話連絡があって知った事なのですが、
既に世界樹の影響範囲外へと進出した種族が居たらしい事が事の発端です。
まぁ進出自体は俺の予想通りと言うか、アイネ大陸西部を拠点とする獣人族だったのですが、
獣人族の一部が始祖世界樹の影響範囲外へと進出し、集落を形成していた狐種・狐科の集落の中で、
「真夜中に突然魔物が誕生した事が過去にあったらしい」との事でした。
(レナと同一種の方がいいだろうとの判断で、最初に接触する人類を同種の集落にしたらしい。
当然ルナも“完全変身”で狐科に変身していたんだそうな)
その魔物沸き自体は、多少の怪我人が出た程度で問題が無かったらしいのですが、
ルナ達から、
「ある程度の人数が居住している範囲内で、突然魔物が出現するのは違和感があります」との事。
まぁなぁ。外敵から身を守る為に防壁なんかをちゃんと築いて暮らしていたらしいのに、
その内側に魔物なんかが沸く様では、安心して生活出来ないわなぁ・・・。
どうしようか散々悩んだ挙句、結局“モノリスの書”に例外条件として記述する事になりました。
例外条件の内容としては、
“聖獣を除く人類等の魂を持った存在が定住して居る周囲1km以内の範囲では、
魔物が沸いたり、世界樹の花粉による植物以外の誕生はしない”って内容で記述を追加。
どうせこんな記述を追加するハメになるんだったら、
「北極大陸の帝都周囲に特殊世界樹を植えなきゃ良かった・・・」と猛省しております。
結果的に3つ目の問題もコレで解決出来たんだしねぇ・・・。
もうね。マジでやらかした感で一杯で御座います。
あの記述を考えた時は、アレでベストだと思って居たのになぁ・・・。
まぁあの時は、人類が増加した後の世界の事を考えて居たからこその記述だったんですがね。
そうじゃないと、“人類VS魔物”の世界にならないんじゃないかと思って居たのが理由かな?
実際問題として、地球よりはウチの世界って大陸の面積が広いんだしねぇ。
世界中に人類が分散して居住したとしても、魔物が誕生しない環境にはならなかったのかもです。
「ついでに」と言っては変ですが、ダンジョンに関しては“例外条件”には含みませんでした。
“例え街中にダンジョンの出入り口誕生したとしても、問題無いのでは?”と判断した結果です。
(その辺は、ヒロアキさんの世界に行った経験が影響しているのかも知れません)
そうやって振り返って居たら、魂の神様から来訪の連絡が・・・。
はぁ・・・憂鬱です・・・。
***現実逃避終わり***
「はぁ・・・」
「主様?どうされたのですか? 随分と考え込まれて居られたご様子ですが?」
「いや、今後の事を考えるとね・・・。
そうそう、もうすぐ来るって連絡が来たから、準備よろしく」
「そうですか。
何か私共でお手伝い出来る事が御座いましたら、遠慮なく申し付けて下さいませ。
では、お茶の準備をして参ります」
「よろしく~」
もう慣れたもので、ルナ達はテキパキと来客準備。
それほど時間も掛からず、始祖の神様方がご来訪。直接リビングへと来られました。
新しく来られた神様は4柱。男神様が2柱と、女神様が2柱です。
男神様の方が“原初の3柱”のお方かな?
容姿的にはほぼ魂の神様と同じ感じです。髪とか目の色が違うぐらいの差しかありません。
ただ雰囲気からすると、ちょっと堅物タイプかな?非常にメガネが似合いそうな感じです。
『や!お待たせ~』
「いえいえ。
そちらの男の神様お二方が“この世の理を司る神”様と“全ての物体を司る神”様でしょうか?」
『そうだよ?んじゃ、お互いに軽く挨拶でも『全ての魂を司る神よ!何だ此処はっ!』』
魂の神様の言葉を遮って、怒気を放つ男の神様。
言いはしなかったものの、もう1柱の男神様も怒気を放って居られます。
俺ら家族は平気だけど、分体組にはこの威圧感はキツイみたいです。気絶寸前って感じ。
・・・しっかし、随分な対応だな。いきなり何なんだよコイツら。
『“何だ”と言われましても、此処は“オド酒”や“マナ酒”を提供してくれた、
リュウノスケ神の居住区画ですが・・・それが何か?』
『そんな事を聞いておるのでは無い!
何故我らの前に、“人類如きや獣如きが居るのだ”と言っておるのだ!
ましてや最高位神様の御前であるぞ!無礼であろうが!』
今の俺ら(ヒロアキさん達も含む)って分体だから、一応人類って分類になるんですよね~。
で、トウって今は柴犬状態な訳です。“獣如き”って間違い無くトウの事ですよね?
つー事は、アンタらからしたら俺ら“如き”が居る事が“無礼である”って言いたい訳ですか?
そうですか・・・。貴方方からすれば、俺ら家族やヒロアキさん達が“無礼”なんですよね?
「あ゛ぁ? オイ。今、何つった?」
結論。お前らはお呼びじゃねぇわ。んで、俺らの客じゃねぇわ。