第195話 帰宅準備
ヒロアキさん家のお屋敷前に到着です。
門の所で、まだ夜も明けきらない時間帯なのに、ヒロアキさんとケルベロスが出迎えてくれました。
ついでに(?)、トウもお出迎えしてくれてます。
「お帰りなさい。リュウノスケさん」
「只今戻りました。ちょっとお待たせしちゃいましたかね?」
「いえいえ。
お願いしていた私の情報とかもギルドに流して貰えたんですよね?」
「はい。まぁ大雑把になってしまいましたが」
「十分ですよ。有難う御座います。
・・・では早速ですが、完全踏破の願いを叶えさせて頂きますね」
「はい。宜しくお願いします」
「とりあえずっと・・・この宝玉に、リュウノスケさんの“創造魔法”で、
“この世界のマナを自動的に吸収し、冒険者リューノとしての全ての召喚獣を完全に維持出来る”
それと、
“送還又は強制送還時は、その時点から24時間後に自動的にこの宝玉周囲に再召喚される”
“召喚獣が進化した場合は、その進化先を召喚獣自身が任意で選択する事が可能である”
って魔法を掛けて貰えますか?」
言いつつ宝玉(と言うよりは、水晶玉?)を渡してくるヒロアキさん。
ん?何か気になる文言が含まれてませんか?
「あれ?幾つか気になる言葉があったんですが・・・?」
「はい?何でしょうか?」
「えっと・・・とりあえずなんですが、私が魔力を込めるだけじゃダメなんですかね?
それと、強制送還ってどういう事でしょうか?それよりも、あいつらってまだ進化するんですか?」
「あ~。その辺の説明からですか・・・。
どうしようかなぁ・・・ちょっと長い話になりそうなので、一旦保留にしましょうか。
その他諸々のネタバレトークとかもしたいですしね。
願いに関しては急ぎじゃないですよね?」
「はい。とりあえず帰るまでに叶えて頂ければ十分です。
あぁでも、先に召喚石やらのお渡しだけはしておきましょうか?」
「あ、そうですね。それじゃぁこちらへお願いします」
ヒロアキさんに連れられて、屋敷の裏手にあった土蔵の様な物置小屋へ。
で、中に入ったら綺麗に整頓されている左右の棚を尻目に、
一気に中央の空きスペースへ亜空間収納に仕舞い込んでいた召喚石なんかを大放出。
ついでに俺が手に入れた物や借りていた装備品なんかも放出しておきました。
ちなみにお金は手渡しでお渡し。
“せっかく綺麗に整理されてたのに・・・後片付け・・・大変かな?”
とか思いつつ、俺はいつもの服装に戻ります。記憶装備のバングルも外していたのでね。
今着ている服ってこの世界の物だから、変に上書きとかしたくないし。
と言いますか、
この状態で記憶装備のバングルの力を使ったら、服とか装備がどうなるのか判らんのですよ。
“多少手間でも、無駄な事はしたくない”って事で、こそっと小屋の隅っこで生着替え~。
久々にいつもの姿に戻ったので、何だか落ち着きます。
一応、ちゃんとお借りしていた服なんかは、洗浄&乾燥させて畳んでお返ししましたよ?
つーか改めて買った時に一応やっておいたんですけどね。
なので、ヒロアキさんからお借りした服なんかは本当に冒険者生活の当初しか使いませんでしたが。
ヒロアキさんからは、
「一応またこの世界に来られた時用に、
リュウノスケさんが新たに得た装備品共々、こちらで保存しておきますね~」
って言われましたが、それらが活用される日が何時になる事やら・・・。
それらが終われば、裏口(勝手口?)からお屋敷内へ。そのまま食堂へ直行です。
で、食堂には始祖の神と魂の神様が既に酒盛りしてました。
“朝から呑んでるって・・・いいご身分だな”とか思いつつ、朝の御挨拶。
「只今戻りました」
『リュウノスケくん。おか~、おか~』
『随分と早かったのぅ~。
とりあえずキンキンに冷えた冷酒と枝豆を追加じゃな。後、だし巻きもじゃな』
“コイツらっ!・・・”とか思いつつ、ご要望通り出します。まぁ自分達も飲みますが。
つーかだし巻きって。口調と良い、日本文化に感化され過ぎじゃね?
少しして、山吹さんも合流して飲み会になりました。
そこからは、この世界のネタバレトークを開始。ついでに俺の疑問なんかも質問しておきます。
とりあえず俺が気になった、
“この世界のマナを自動的に吸収し、冒険者リューノとしての全ての召喚獣を完全に維持出来る”
って話。
要はこの世界と俺の世界とでは、同じ“マナ”でも“全くの別物扱い”だそうな。
この辺は始祖の神様とかが説明してくれました。
現状では俺の世界の“マナ”と言うか“俺の魔力”によって召喚獣達が維持されている状態なので、
俺が居なくなったらその供給が途絶えて、どうやっても維持が出来無いらしい。
なので、一旦この世界の“マナ”を“俺の魔力として”変換する必要があるんだってさ。
うむ。言われてみれば確かに。正直、そこまで考えて居ませんでした。
次に、
“送還又は強制送還時は、その時点から24時間後に自動的にこの宝玉周囲に再召喚される”
って話。
俺としては、“ロストしない=不死にして貰う”ってイメージだったんだけど、
さすがにそれはこの世界だと異端になっちゃうので、
ヒロアキさん的には“強制送還”は“アリ”にして欲しかったらしいです。
その代わりに、再召喚される形で“ロストはしない”って事にするつもりだったみたい。
その辺は、あの時点でのお互いの認識に齟齬があったって事ですね。
まぁ結果的には同じなんだけど、過程が全く違うって感じ。
ちなみに召喚獣のロストについて。
召喚獣はそれぞれに“ロスト確率”みたいなステータスがあるらしく、
弱い召喚獣ほどロスト確率が低く、強い召喚獣だとロスト確率が高いらしいです。
大体“30~100%”の間で設定されているらしいんだけど、
今回は俺の召喚獣達を“0%”に設定するんだそうな。
それで結果的に“ロストしない召喚獣”にするんだって。
で、
“召喚獣が進化した場合は、その進化先を召喚獣自身が任意で選択する事が可能である”
について。
どうやらこの世界の召喚獣。
最大レベル(LV999)まで成長出来たら、改めて再度の進化が可能になるのだそうな。
ステータスやらスキルやらは全部そのままで、初期の召喚石に戻せるらしいです。
なので、ヒロアキさんのサービスでいちいち召喚石を経由しなくても、
進化可能状態になったら、召喚石状態にならなくても任意で進化出来る様にしてくれるらしい。
「でもこの世界の召喚獣って、ダンジョン内で戦闘経験を積まないと成長しないのでは?」
って聞いたのですが、その辺もサービスしてくれるんだそうな。
日常生活や狩でも、少しは経験値が入る様にしてくれるんだって。
正直“サービス過多だなぁ”とは思ったんだけど、
ヒロアキさん的には大した事じゃないし、大量に欲しかった召喚石を貰えた方が嬉しいそうな。
つーか、ヒロアキさん家の召喚獣達も同様の存在らしいです。(ロストしないのも含む)
ま、貰える(?)って事なら、有り難く頂戴しておきますが。
で、此処からがネタバレタイム。
先ずは気になって居たケルベロスの進化条件について。
“ドッグ”のままでLV50まで進化させなかった場合、
特殊進化先として“オルトロス”が選択可能になって、進化出来るらしいです。
んで、その先にケルベロスがあるのだそうな。
他にも似たような進化条件が設定してあるらしくて、
例えば“バット”なら“ヴァンパイア”が選択可能になるらしい。
つーか、そんな進化条件なんて分かるかっ!
お次。伝説になっているらしい完全踏破者に関して。
こちらは驚いた事に、山吹さんが人類初の完全踏破者なんだそうです。
もう2千年近く前の話なんだそうですが、当時はまだまだ“創造神”信仰があったらしく、
ちゃんと教会が創造神を祀る教会として存在していたんだそうな。
今も残って居るステータス鑑定やスキル等の授与に関しても、当時からあったらしいんだけど、
昔はもっとちゃんとした信仰心があって、ヒロアキさんも神様として祀られていたらしいです。
(今でも一部の田舎の教会だと、お祭りとしては祭事が残って居るそうな。
ついでに言うと、ヒロアキさんの世界は4千年以上の歴史があるそうです)
で、そんな山吹さん。
教会で奉仕活動をする巫女さんだったらしいのですが、
これまたありがちな孤児院も併設されていて、その収入確保の為に冒険者もやっていたらしいです。
なもんで、最初は俺と同様にソロで細々と活動していたそうなのですが、
元々冒険者としての素質があったのか、結構稼げる様な冒険者に成長したらしい。
で、孤児院や教会の維持に必要な分の金銭以外は、お布施として奉納していくうちに、
色々と使えるスキルが増えて、結果的に完全踏破者にまで至ったらしいです。
ちなみに山吹さんが奉納して得たスキルや魔法なんかは、神与物として売る気が無かったそうで、
全部山吹さん自身が使って居たそうな。
(スキルや魔法なんかは、教会でお布施を奉納したら貰えるらしいです)
そうこうしているうちに、結果的にがんがん強くなっていく山吹さん。
そしてとうとう完全踏破(120階層まで)してしまい、ヒロアキさんとご対面。
願った事は“創造神様に生涯お仕えする事”だったそうな。
ヒロアキさんはその代償として、
“現世での一切の関わりを断つ事と、五感と声帯”を代償としたらしいです。
まぁヒロアキさん的には、「断るだろうな」と思った代償だったらしいんだけど、
それを了承しちゃった山吹さんに一目惚れ(暫くノロケ話が続いたので割愛)。
とりあえず代償の執行と願いを叶えるまでに、1年間の猶予期間を設けたんだそうな。
その間に、山吹さんは世俗での関係の清算や教会に対して多額の寄付なんかをきっちりと済ませて、
猶予期間を過ごしていたらしいです。
ちなみに、“オリハルコン鉱石塊”をギルドに売却したものの、
当時の(今もか?)鍛治技術では手も足も出なかったらしい。
他にも、当時は山吹さん同様に数名の完全踏破者は出たものの、
余りの代償の重さに願いを叶えようとする者は殆ど居なかったらしい。
その時代には、“代償を召喚石で代用する”って制度が無かった事が大きいんだって。
んで、数少ない願いを叶えた者も、余り良い余生を送れなかったせいで、
完全踏破に固執する者が居なくなったんだそうな。
(例えば“不老不死”を願った者が居たそうなんだけど、その代償が、
“誰からも認識されず、全ての物質を透過する体になる”って極悪仕様だったらしい。
ちなみに自決は可能にしていたそうなので、結局最後には自決しちゃったらしいです。
まぁガチなボッチに耐えられる精神を持ってなきゃ、そんな状況には耐えられませんわな)
話を戻して山吹さん。
“生涯を~”って所を、ヒロアキさんが惚れちゃったので“不老不死”にしちゃったんだそうな。
ついでに、若干の若返りもやっちゃったんだって。
んで、500年ほど“五感と声帯”が無い状態で、ヒロアキさんに仕えていたらしいんだけど、
いい加減、不憫に思った(つーか惚れてるし)ヒロアキさんが正式に妻として迎えたんだそうな。
その時に“五感と声帯”を元に戻したらしい。(一応神として散々悩みはしたそうな)
それからさらに500年ぐらい経過したら、なぜか山吹さんも神格化(下級神)したらしい。
ついでにヒロアキさんも中級神へと進化(?)。
始祖の神様や魂の神様の見解だと、多分ヒロアキさんが神としての力に“馴染んだ”せい。
山吹さんは、1000年近く神の傍に居た事が原因だと思われるそうな。
山吹さんが無口なのは、声帯を失っていた期間が長かったせいで、
“喋り慣れていない”のが理由だと思われるらしいです。
それでもカタコトぐらいなら喋る事が出来るらしいんだけど、長い間喋られなかったのもあって、
話す事に慣れていないと言うか、必要性が無かった事が大きいんだと。
ヒロアキさんとは会話が無くとも、何となくで意思疎通が出来るから、不便じゃないらしい。
(また暫くノロケ話が続いたので割愛)
で、話を戻してヒロアキさん。“どうして完全踏破者じゃないの?”って話。
こちらは非常に単純な話でした。
単にヒロアキさんてば、この世界に今ある全てのダンジョンのマスターらしくて、
ちゃんと踏破していなくても、踏破扱いになるらしいです。
ヒロアキさんは転移系魔法が得意らしくて、いちいちギルドのダンジョン入り口を通らなくても、
全てのダンジョンに転移可能らしい。
まぁ他の冒険者と同じく、第1階層と10階層毎のポータル限定らしいですが。
なので、ヒロアキさん。
正規の冒険者とはかなり違うらしいです。まぁこの世界の神様だしね。当然と言えば当然かも。
ちなみにヒロアキさんのパーティーですが、山吹さんが暇していれば山吹さんと一緒に。
残りのメンバーは、全て召喚獣でダンジョンに潜るそうな。
玄関先に居るケルベロスが一番のお気に入りだそうで、結構一緒に潜るらしいです。
他にもドラゴン系やら色々と召喚獣は居るそうなのですが、基本、放し飼いにしているそうな。
こちらも“ロストしない”設定にしてあるらしいです。
んで、万が一ロストした場合はこのお屋敷の中に宝玉があって、
俺に説明してくれたみたいに、勝手に再召喚される様にしてあるらしい。
(とは言うものの、ヒロアキさんの召喚獣達は人類との接触を禁止しているらしくて、
今まで強制送還になった事は無いそうな。
俺の召喚獣達も、同様にして欲しいとの事でした)
ちなみにこのお屋敷を含む、カルデラ全体に“進入禁止の結界”が張ってあるらしいのですが、
放し飼いの召喚獣達に関しては簡易的な“転移魔法”が使える様にしてあるらしいです。
俺の召喚獣達にも後程、同様にしてくれるそうなので、非常に助かります。
ベロス達も、今後はのんびり自由に過ごして貰いたいからね!
そうこうしていたら朝食の時間になったみたい。
ドール数体が朝食を運んできてくれました。今日はトースト系の朝食です。
朝食を食べ終わったら、少し遅くなりましたが全員揃って太極拳。
最後になるかも知れないし、ベロス達も召喚して参加させてみました。
で、それが終われば宝玉に言われた通りに“創造魔法”を掛けます。
その後、ヒロアキさんが俺の召喚獣達それぞれにロスト設定やら転移魔法やらを付与して終了。
あ、そうそう。
ちゃんとベロス達にはヒロアキさん達の召喚獣達と仲良くするようにと、
ヒロアキさん達の指示にも従う様に伝えておきました。人類との接触禁止も伝えておきます。
まぁヒロアキさんをちゃんと“創造神”だと認識しているみたいで、
失礼な態度とかしませんでしたけどね。“一応は”って事で。
ついでにベロス達の食事の件についてもお願いしたら、今更ですが衝撃の事実が発覚。
どうも召喚獣には“好感度”って隠しステータスがあるらしくて、
食事を与えたりしたら“好感度”が上がる仕様らしいです。
今後暫くの間は、此処に居る時は食事なんかも用意して貰えるそうですが、
基本的には“出来れば外で狩りをして欲しい”との事。
まぁねぇ。この周囲にある範囲限定だったら、生態系なんかが滅茶苦茶になりそうだしね。
ヒロアキさん達の食事なんかは、このカルデラ内で自給自足が出来ているらしいし。
って事で、明日からは外に出て自由に狩りをする様に、ベロス達には伝えておきました。
帰る前に、改めてヒロアキさんからこの世界の感想なんかが聞きたいとの事なので、
再び食堂へ戻って酒盛り再開です。
「で、ウチの世界は如何でしたか?楽しんで頂けましたか?」
「そうですね。予想以上に楽しめたと思います。
色々と参考になりそうな事もありましたし、召喚獣って存在も面白そうですしね」
「楽しんで頂けた様で何よりです。
他に何かお気付きの点とかはありますか?」
「ん~。私は殆どダンジョンに籠って居たので、それがらみになりますが・・・いいですか?」
「はい」
とりあえず、ダンジョンの難易度に関する感想と、
80階層以降の召喚石のレアドロップ率に関しての意見。
叶えられる願いに関しても、幾つか意見を出してっと・・・。
最後に、現状の冒険者達の実力なんかをお話してみる。
「う~ん。難易度設定に関しては、やはり少し手を加えないといけませんかねぇ・・・。
召喚石のドロップ率に関しては、願いの代償物にもなりますし、かなり下げようかな?
その代わりに、他のドロップ率を上げる方向で調整すればいいか」
「ですね。概ねそれでいいと思いますよ?」
「後は・・・もう完全に願いは選択形式にしようかなぁ。
そうすれば、いちいち私が出張る必要も無くなりますしねぇ」
「それでいいかと思います・・・が、AI的に難しくなりませんか?」
「あぁ!私は神になる前はシステムエンジニアをやっていましたので、
ある程度のロジックさえ組み立てられれば、何とでもなるので大丈夫です。
まぁ、それも叶えられる願いを選択形式にするのであれば、かなり楽になりますし」
「へぇ。まぁそれはヒロアキさんの世界ですし、“ご自由にどうぞ”としか言えませんけどね」
「ははは。そうですね。まぁ頑張りますよ。
それよりも、今の冒険者達の実力が問題ですねぇ・・・昔よりも随分と落ちている感じですし」
「一応攻略情報として流した情報の中に、ある程度誘導はしておいたんですけどねぇ・・・。
それを気付いて貰えるかどうか・・・」
「ですよねぇ。
私達みたいに、ゲーマー的思考をしていれば、高効率を考えちゃいますからねぇ。
ま、この世界だと命懸けだから、ある程度仕方が無いと言えばそうなんですけど」
「ですねぇ・・・」
『その辺はヒロアキくんの思考誘導次第じゃないの?』
「はい?リュウノスケさんならともかく、中級神の私でもそんな事が可能なんでしょうか?」
『“出来る・出来ない”で言えば、ヒロアキくんは“出来る”よ?
と言うか、その辺はリュウノスケくんよりも先輩のヒロアキくんの方が可能なんじゃないかな?
世界を統治していた期間が長いんだし、神としての格はこの場合全く関係無いよ』
「そうなんですか?」
『うん』
「へ~。んじゃ、私もそのうち出来る様になるんでしょうか?」
『う~ん。リュウノスケくんの場合は特殊だからねぇ。
むしろ“モノリスの書”を使っちゃった方が早いと思うよ?
この世界は、ヒロアキくんの“認識と想像と創造”で出来た世界だからね。
そういう意味では、リュウノスケくんの方が難易度高いんじゃない?』
「「へ~」」
『ま、その辺は徐々に慣れて行ったらいいんじゃない?
神なんて“時間は無限にある”と言って良いほどあるんだし』
「「ですね」」
『それじゃぁそろそろ帰るとするかのぅ』
「あぁ!そうですね。
ヒロアキさん。色々とお世話になりました。ベロス達の事。宜しくお願いします」
「いえいえ。こちらこそご面倒をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした。
今後は今回の様な事が無い様に努力しますので、気軽に来て頂ければ有難いです」
『そうじゃの。ヒロアキよ、今後はあの様な者達が出ん様にな』
「はい。
儀式魔術そのものを使えない様な世界に改変しますので、もう起こさない様に致します」
『うむ。ならば良い。ミツハルの所も既に修正した様じゃしの。
他の神々の世界でも、同様の事が起こらぬ様に気をつけねばなるまいて』
『そうですね。
ちなみにリュウノスケくんも、
帰ったら“儀式魔術的な魔法は使えない”って“モノリスの書”に記述しといてね?』
「そうですね。帰って落ち着いたら、すぐにでも記述修正に取り掛かります」
「あ!」
「ん?」
「じゃぁリュウノスケさん。これをどうぞ」
「はい?」
何やら紙束を渡してくるヒロアキさん。
「何です?コレ」
「ゲーマー視点での、リュウノスケさんの世界の追加修正案です。
勿論、参考にする、しないはリュウノスケさん次第で構いませんので。
暇な時にでも読んで頂ければと思います。
ちなみに、召喚獣関連の事も纏めてありますよ?」
「それは・・・どうも有難うございます?」
何やらニヤついている始祖の神様と魂の神様が不穏過ぎる・・・。
「所で・・・何でウチの世界の事をご存知なんですか?」
「リュウノスケさんが冒険者している間に、始祖の神様や魂の神様にお伺いしたからですよ?
『暇じゃから、ちょっと付き合え』・・・と言われまして・・・」
「私の居ない間に、何やってんですか・・・」
『まぁまぁリュウノスケくん。いいじゃないの。別に減るもんじゃないしさ』
「そうなんですけどね・・・」
『そんな事よりもそろそろ帰らんか?』
始祖の神様の露骨な話題転換がめっちゃ気になります・・・何を企んでいるのやら・・・。
まぁ本当にそろそろお暇して、ルナ達やレナ達に会いたいからいいけどさ・・・。
『それじゃぁ帰るとしますか。リュウノスケくん?帰りはどっちがいい?』
「“どっち”とは?」
『一瞬で帰るか、ここに来た時みたいに星間飛行っぽいのがいいのかどっち?って事』
「ちなみに一瞬じゃない場合は、どれぐらい時間が掛かりますか?」
『1週間ぐらいかな?』
「・・・一瞬の方でお願いします」
それって聞くまでも無いと思うのだが?
『了解。んじゃ、美の神に連絡してっと・・・』
「リュウノスケさん。改めて有難う御座いました。
またリュウノスケさんの世界でお会い出来る日を楽しみにしていますね」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします。
先日子供が生まれたばかりなので、ちょっとバタつくかも知れませんが、
精一杯の御持て成しをさせて頂きますね」
「遅ればせながら、おめでとう御座います」
「有難う御座います。
ウチの世界でお披露目させて頂きますので、楽しみにしていて下さい」
『ん。よしっと。もう準備はいいかな?』
「ちょっとお待ちを・・・」
改めてベロス達それぞれに別れの挨拶をして、
今後の事をヒロアキさん達にお願いしてお別れも終了です。
トウをサーコートの中に入れてっと。
「準備OKです」
『OK。始祖の神様も宜しいでしょうか?』
『うむ』
『じゃ、ヒロアキくん。またね』
「はい。色々と有難う御座いました」
「ヒロアキさん。また~」
手を振るヒロアキさん&山吹さん(微笑付き)&ケルベロス&ドール数体に見送られ、瞬間移動。
移動した先は・・・。




