第191話 異世界冒険者生活6日目 その3
***第150階層***
さて、やって参りました151階層へのポータル解放戦。
気合を入れて扉を開けてみたものの・・・今までと様子が違います。
特に何もない部屋に出ました。ポータルもトラップなんかも一切ありません。
ただ、部屋に入って右手側に今までよりも大きな扉が・・・。
どうやら本番はこっちに入ってから、らしい。
でわ改めて。いざっ!
・・・大きな扉を開けて中に入った一番の感想としては“広い”って事。
単純な広さで言えば、最下層(第1階層)と同程度の大きな広間。ただし天井も少し高くなってます。
で、次に目に付いたのは広間の中央付近にずらっと整列した執事さん&メイドさん達。
一番前に一組の執事さん&メイドさん。その横に何やらパワードスーツ状の機械が。
その後ろに、それぞれ20人かな?の執事さん&メイドさん達。こちらは多分ドール系だと思う。
で、さらにその後ろには30体ほどの殺人機械のまたまた色違いバージョン。
黒を基調とした黄色のカラーリングって事は、警告色って事でしょうか?
・・・えっと?72体(人?)と一斉に相手しなきゃいけないのかな?
つーか一番手前に居る執事さん&メイドさんの横にある機械って何なんですかね?
両腰部にガトリング砲状の剣呑な装備を2門装着。
両肩部には小口径ながらロケットランチャー的な装備が見えます。
ちらっと見えましたが、殺人機械の装備もボウガンからガトリング砲に換装してあるみたい。
ヒロアキさんの世界ってファンタジーですよねっ!?剣と魔法の世界じゃないのかよっ!?
世界観ぶっ壊しじゃねぇかよぉっ!
相手の様子に唖然としていたら、最前列の執事さん&メイドさんが優雅に一礼。
続いて後列の執事さん&メイドさん達も一礼。
“あれ?この距離でアクティブになるの!?”
とか混乱していたら、最前列に居た執事さん&メイドさんがパワードスーツ状の機械に搭乗。
あ、やばいかも。先手を取られた!
大慌てで抜刀。早々に突撃して戦線を押し上げねばっ!このままだとベロス達が危うい!!
激戦。第三者が見ればそう見えるだろう。
乱れ飛ぶ弾丸。ミサイル。魔法。レーザー。
そのいずれかが直撃しただけでも、この世界の住人ならば致命的なダメージとなり得る攻撃の嵐。
だが、実際には一方的な蹂躙。
1対72と言う絶望的な戦力差でありながら、蹂躙するのは“1”の方。
当然と言えば当然の帰結。
その“1”はただの人ではないのだから。
“異世界の神”であり、“人”と言う理を超越した存在なのだから・・・。
な~んてドラマちっくに考えながら、ただただ淡々と破壊活動に勤しんでおります。
ちなみに剣撃に関しては早々に諦めました。斬るより殴った方が屠るのに確実だし早いので。
つーか“纏闘気術”併用でも斬撃の通りが異常に悪いんですよ!
なので“蹴る・殴る・へし折る”と言った格闘戦をしております。もちろん“纏闘気術”併用。
“マジで俺の世界でも格闘術系スキルを追加すべき”だと思いました。
予め創ってあったら、絶対結構な勢いでレベルが上がっていると思う。
一応既に創った“柔術”スキルに近いんだろうけど、やってる事って単に近接格闘戦なんですよねぇ。
ん~“柔術”の下位スキルとして追加してやろうかな?
ふむ。“無手術”の上位スキルにするとして、“柔術”スキルを中級に格上げしちゃおうかな?
つかもうね。ヒロアキさんてばバカかと思います! 本当に何なのよコレ!?
最初はロケランかと思ったパワードスーツが装着していた装備ですが、実際は小型のミサイルでした。
しかも、かなり高性能なホーミング機能まで持っていやがる!
さらに何らかの近接信管が付いているのか、ギリギリで回避しても爆発する極悪仕様。
恐らく最初に最前列に居たパワードスーツ組が総大将なんだろうけど、追従戦力もバカにならんし!
相変わらず連携も良いので、本当に少しずつ削るしか方法が無いです。
まぁ、確実に俺の自己回復力の方が上回っているから、
多少ダメージを受ける事と引き換えに撃破出来れば収支的にはプラスなので、そのうち終わるけどね。
ただ、面倒臭い事には変わりありませんが。
あと、この調子が続くと装備が先にダメになるかも知れん。気を付けねば。
ホーミングミサイルが厄介なのでとっとと総大将を撃破したいんだけど、そこまでの壁が厚い!!
仕様なのか、範囲魔法攻撃もミサイルの爆風もフレンドリーファイア判定が無いのは憎いです。
完全にフォローし切れなくて何体かベロス達の方にも流れたけど、何とか対処出来たみたい。
それだけが救いか・・・。
後はひたすら俺が戦力を削るだけですね・・・。
・・・奮戦すること十数分。やっと終わりました。
最後の最後はやはりと言うか総大将組が残りましたが、
こいつらパワードスーツを破壊しても脱出して個々に戦闘継続可能だったので厄介でした。
しかも格闘戦能力も魔法攻撃能力も今までのドール系よりも上でした。もう嫌になっちゃうよ・・・。
ちなみにこの2体。バトルバトラーとバトルメイドって名前らしいです。喚石を拾いました。
ちなみにあのパワードスーツって装備品扱いなんだろうか?
もし召喚したとしたら、パワードスーツと一緒に出現するのかな? ちょっと謎です。
あと、殺人機械の色違い。こちらは“改”じゃなくて“mk2”らしい。
どちらにせよ、面倒臭い事この上無かったです。
ま、最終的には蹂躙してやりましたから、どうでもいいけどね。
この様子だと、ちょっとこの先が心配です。
他のバトラードールとかメイドドールなんかは相変わらずでしたが、
とうとう殺人機械mk2から“オリハルコン塊”がドロップ!
ついでにバトルバトラーとバトルメイドから、大白金貨をゲットしました。
戦闘時間的には短かったものの、ずっと集中していなきゃいけなかったので、結構しんどかったです。
まぁフロア攻略時みたいに、トレインするよりは間延びしないからある意味楽なんでしょうけどね。
ある程度拾う物を拾ったらさっさと次のフロアへ。
ギルドカードで確認してみたら、どうもこの広間全体が1ブロックとして認識されているみたいです。
なのでとっとと奥の方にあるポータルへ。
***第151~160階層***
フロアの広さ的には第1階層と同じ広さになりました。高さは若干高くなって居ますが。
で、151階層へのポータル解放戦と同様のポータル解放戦が連続して続くみたいな感じ。
ポータル部屋から出たら、即ポータル解放戦が開始。全滅させたら終了。
それで次の階層へ・・・ってな具合です。
まぁ楽でいいですけどね。いちいちトレインとか未踏破エリアを踏破しなくてもいいし。
トラップ類も一切無いのは有難いです。戦闘時間込みでも、踏破時間は大幅に短縮が出来ています。
ただし!出てくる敵の全体量が少しずつ増えているのが本当に厄介!!
こちとらベロス達を守りながらの戦闘だったので、フォローが大変でした。
最初は「この世界の住人が踏破するのなんて完全に無理ゲーなんじゃね?」って思ったのですが、
意外な事実が発覚。
どうやらドール系は魔法攻撃が比較的有効みたいです。
まぁ物理攻撃に比べたら、本当に比較的有効って程度ですが。
恐らく高威力の範囲攻撃魔法による飽和攻撃が出来るパーティーならなんとかなるのかも知れません。
が、パワードスーツと殺人機械mk2は別。こいつらには余り効果が無い模様でした。
本当にその事に気付けたのはたまたまなんですがね。
フォローし切れなかったドール系に対してシィが“ウインドストーム”を連射で放って、
ドール系数体が纏めて沈んだので発覚した感じです。
シィのレベルも軽く100を超えてるし、それなりに高威力の魔法攻撃の重ね掛けなら狩れる感じ。
ただ、その攻撃が有効なのはドール系だけなので、結局フォローは必須だったんですけどね。
とりあえず一応はこの世界の住人でも“無理をすれば狩れなくはない”って事なんでしょう。
相当高レベルのパーティーじゃないと、とっくの昔に詰んでるとは思いますがね。
もし此処までで範囲魔法攻撃に頼る・・・と言うか、依存した戦い方をしていたら、
パワードスーツ組と殺人機械mk2で詰むんじゃないかな?
・・・う~む。どうしようかな?
範囲魔法攻撃の有効性を力説しちゃった以上、カイオスさん達にも言っておくべきなのかも?
「範囲魔法攻撃だけだと、150階層辺りで詰みますよ?」って?
つーかそもそも、カイオスさん達も頑張ったらここら辺の階層まで来れる様になるのかな?
う~ん。それじゃぁまぁ“魔法攻撃が効き難い相手も居る”って事ぐらいは話しておくべきかな?
もしも俺の話を信じて死なれでもしたら、やっぱり気分が悪いしねぇ?
ちなみに160階層にもなると、パワードスーツ付きのバトル系ドールが20体以上居ました。
殺人機械mk2やら他のドール系なんかはいちいち数えるのが無理なほどの数。
ほぼ軍勢とか軍団と言っていい規模との対戦になりました。
正直に言って、本当にかなりの高レベルパーティーじゃないと6人で撃破するのは無理だと思う。
ヒロアキさんにはちゃんと言っておかないと・・・ゲームバランス悪過ぎですっ!
さてと。それはさておき、とっとと拾う物だけ拾って次の階層に行きますかねぇ。
んじゃ、ポータルに乗ってっと・・・。
「ん?」
到着したのはちょっとした小部屋。
何やら祭壇らしき物があるぐらいで、他に出入り口もポータルも無し。なんじゃこれ?
“おんやぁ~?”とか思いつつ、祭壇に近づいたら祭壇が発光。
直後に空中にヒロアキさんが出現!!
『よくぞ此処まで辿り着いた!勇敢なる冒険者達よ!』
あ~。これってゲームで言うエンディングかな?
って事は、無事“オリジーのダンジョン”の完全踏破が完了したって事でいいんでしょうかね?