表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の創った箱庭世界  作者: コルム
異世界冒険編
179/243

第179話 異世界冒険者生活1日目 その1

余り目立ちたくはないので、軽く気配を消しつつジョギング程度の速度で接近。

やっぱり、行商人か何かが襲われているみたいです。


1台の幌馬車を守る形で戦闘中の模様。ただ、幌馬車を引く馬が見当たりません。

行商人(?)側の護衛らしき人数は全部で5人。うち1人は利き腕をやられたのか、押され気味。

他には非戦闘員っぽいおっさんが1人だけ居ます。

このおっさん。一応長剣を構えてはいるものの、完全に及び腰だし戦力にはならないと思う。

その他に従魔・・・いや、ヒロアキさんの世界だし、召喚獣かな? が、5頭居ます。

それぞれ虎やらライオンやらの猛獣類。一応鞍っぽいのが着いてるから、護衛側の騎獣かな?


幌馬車を取り囲んでいるのは40人程度の人数と、同じく10頭近くの猛獣。

多分召喚獣だとは思うけど、猛獣の中には熊とかも居るので、結構な戦力なんじゃね?

追加して、近くの森の中に隠れているっぽい2人の弓持ちが居るのも察知済み。


上空には鷹っぽい猛禽類が居ますが、コレがどちらの戦力なのかは現時点では不明ですな。

もしかしたら無関係なのかも知れませんがね。


とりあえずは、非戦闘員っぽいおっさんが居る時点で“襲われた”と判断しても良さそうな感じ。

取り囲んでいる面々に統一感は無いものの、ちゃんと武装してるし連携も取れてる感じだしね。

まぁどちらにせよ殺しはしませんが、この程度なら楽勝でしょう。


ちょっとだけ気配を消しつつ、一旦迂回して北側に回り込みます。

ついでに森の中に隠れていた弓持ちも、この時点で気絶させておきます。

弓持ちを気絶させたら上空に居た鷹っぽい猛禽類も消えたので、どうやら襲撃者側だった模様。


何でいちいち回り込んだかと言うと、一番危険そうなおっさんが北側に居たんでね。

恐らくこのおっさんが行商人か何かなんでしょう。

南側から制圧している間にやられちゃったら意味が無いので、あえての判断です。

コイツだけは確保しとかないと、“テンプレ”が期待出来ないので頑張るとしますかね~。


早速戦力外のおっさんに襲い掛かりそうな大きな犬型の召喚獣に飛び蹴りをかまして撃破。

光の粒子となって消えたので、やっぱり召喚獣とかその辺の存在っぽいです。

相対していた数人にも延髄に軽くチョップをかまして気絶状態にしておきます。

さすがに現時点では殺していいのかも分からないので、いきなり殺しはしませんよ?

生かしておいた方が何かと都合もいいですし、万が一間違いの場合でも弁解は出来ますからね。

殺すだけなら後からでも出来ますし。



・・・ふむ。とりあえずおっさんの安全は確保出来たかな?

おっさんに相対していた数人と召喚獣を2頭ほど処理したら、おっさんに声を掛けます。


「盗賊のたぐいですか?」


「そっ、そうだ!助けてくれ!後で謝礼は払う!」


「了解です。謝礼には期待させて貰いますよ?」


そうと決まれば後は楽なもんです。

召喚獣と思われる獣類に関しては、手加減無しで飛び蹴りをかまして強制退去。

残りの人間連中は、ちゃんと手加減して気絶する程度にしておきます。


・・・俺からしたら、手加減する方が遥かに面倒臭いです。

ウチの世界の人類に毛が生えた程度の連中ばっかりだから、本気を出したら即死モノなのでね。

相対していた護衛側の面々が、瞬殺(殺してないけど)されていく様子に唖然としていましたが、

今は関係無いのでスルーでお願いしますよ?


人数は多かったけど雑魚ばっかりだったので、あっと言う間に制圧完了です。


「片付いた・・・かな?」


「・・・ふぅ~。助かったぜ兄ぃちゃん」


護衛の中でも一番ガタイの良い&重装備なおっさんが話し掛けてきました。


「いえいえ。あちらの方から謝礼も頂けるそうですしね。 気にしないで下さい」


「そうかい。ところでお前さんは熟練の冒険者か何かか?とんでもない動きだったが?」


「まだ冒険者じゃありませんね。これから街へ行って冒険者になろうと思って居る者ですよ」


「なるほど。俺はカイオス。基本的にはオリジーの街を拠点に冒険者をやっている。

こう見えても、ちったぁ名の知れたパーティーのリーダーなんだぜ?

まぁお前さんほどの腕は無いがな。俺らからの謝礼代わりに街に着いたら一杯奢らせて貰うぞ?」


「それは有難いですね。何分世間知らずなものですから、色々とお話しを伺えれば助かります。

それよりもコイツらはどうしたらいいんですかね?」


気絶している盗賊の面々を指しつつ、カイオスさんに聞いてみる。


「あぁ?盗賊なんざ最寄りの街に首を持ってって、賞金首かどうか調べるだけだろ?

お前さん、どんだけ世間知らずなんだ?」


「ははは。まぁ色々とありましてね」


とりあえずカイオスさんの指示通りに、気絶していた盗賊達の首を刎ねながら情報収集。

もちろん、ちゃんと森の中に隠れていた奴も処分しておきましたよ?


最初に俺に話し掛けてきたガタイの良いおっさんが、パーティーリーダーのカイオスさん。

パーティーの中ではタンクを担当だそうです。

次にヒーラーのガイさん。利き腕をやられていたのがこの人です。

後はアタッカー&サブアタッカーのエボスさんとエルロさん。マジシャンで火力役のニックさん。

それに今は居ないけど、スカウトのルータさんとの6人でパーティーを組んでいるそうです。

ちなみに皆さんは幼馴染なんだそうな。軽くですが、俺からも皆さんには挨拶をしておきました。

おっさんかと思って居たけど、全員20歳台なんだとか。


そんなカイオスさん達。

いつもなら幼馴染のパーティーメンバーでダンジョンに籠っているそうなんだけど、

数週間前にルータさんがダンジョンで大怪我をしてしまい戦線離脱。

だからと言って、臨時で補充要員のパーティーメンバーを加える気にもなれず・・・。

でも食い扶持とルータさんの治療費を稼がないと・・・って事で悩んでいた所、

たまたま知り合いだった商人であるポントスさんの護衛をやる事になったのだとか。


“それにしては、護衛の数が少な過ぎじゃね?”って思ったけど、

この街道に盗賊が出る事自体が最近では珍しい事だったらしいです。

「何処かの盗賊団が流れてきたんじゃねぇかな?」

とはカイオスさんの弁。

なるほどね。だったら今回の戦力差も納得です。



・・・そうこうしている間に、盗賊連中の首をズタ袋に詰め終わり、装備品を剥ぎ取ったら、

残った死体はニックさんが魔法で焼却処分。


それが終われば出発です。何とか昼前には街に到着予定だそうで、俺としても楽しみです。

ちなみにですが、残念ながら“テンプレ”はありませんでした。全員男ばかりの連中です。

積み荷も健全な商品。ただ、積み荷は結構な高額商品なんだとか。詳しくは聞きませんでしたが。


あと、気になったのは“奴隷制”の有無ですが、遥か昔にはあったらしいけど、

今ではこの世界のどの都市でも、「残っていないんじゃないか?」との事。

いちいち“衣食住”を準備しないといけない奴隷を使うよりも、

召喚獣を使った方が都合が良いらしいです。召喚獣の詳細は後述。


いつの間にやらポントスさんが馬を幌馬車に繋いで、俺はポントスさんと並んで御者台へ。

良い機会なので、ポントスさんや並走しているカイオスさん達からも引き続き情報収集。


この馬。ポントスさんの召喚獣だそうです。

まだまだ召喚獣歴が短いそうで、さっきは幌馬車ごと逃げ出さない様に送還していたそうな。

しかも今回の行商の為に召喚したばかりだそうで、まだまだ弱いらしい。


カイオスさん達の騎獣も今回新たに手に入れた召喚獣達らしい。

この世界の召喚獣は消耗品扱いらしく、それなりに値段はするものの普通に売っているらしいです。

売っているのは召喚獣自体じゃなくて、召喚石らしいですけどね。その石を使って召喚するらしい。

召喚石自体は野生動物やダンジョン内のモンスターからドロップするんだって。

で、召喚獣は召喚者に絶対服従。特にエサやりとかの面倒を見る必要も無いんだとか。

ただし、召喚獣が死んだ場合はランダムでロストする場合があるらしい。

さらに、もし召喚獣の召喚者が死亡した場合は、確実にロストする存在らしいです。

もし召喚者が召喚獣を召喚中に気絶した場合には、召喚獣が強制送還されるそうな。


「召喚獣も知らねぇのか?」

とかカイオスさんに突っ込まれましたが、爺様に教えて貰って無かったの一点張りで通しました。

まぁ野生動物を狩って生活していたはずなのに、知らないってのはおかしな話だけどね・・・。


んで、ついでに言うと、召喚獣をダンジョンに連れて行く事は可能なんだけど、

召喚獣1体も1人分としてパーティーメンバーに数えられる事になるらしい。

ダンジョン内での追加召喚も、パーティーメンバー数の上限に引っかかる場合は無理なんだって。

なので、余程強力な召喚獣でない限りはダンジョンに連れて行く事は滅多に無いらしいです。


一応召喚獣も成長やら進化もする存在らしいんだけど、

召喚獣を成長や進化させるよりは、人類同士でパーティーを組んだ方が効率が良いらしいです。

それに、強力な召喚獣だとやっぱりお高いらしい。まぁその辺は当然ですかね。

でも基本的には装備品が不要だし、成長して強力な召喚獣になる可能性もある上に、

ダンジョンで得た物を総取り出来るから、ソロでダンジョンに潜る人も居ない訳じゃないらしい。

とは言っても、荷物運びやら召喚者が気絶したら詰んじゃうので、極めて少数派なのだとか。


ついでに召喚獣に関して、もう1点デメリットがあったり。

召喚獣を召喚中は、その強さに応じて常時MP消費があるらしいです。

コレが召喚獣をダンジョン内に連れて行く際の一番の問題になるみたい。

まぁなぁ。ダンジョン内だといつ戦闘になるか分からないのに、常時MP消費って厳しいよね。

この世界だと、魔法は巻物スクロールを購入して使用・・したら誰でも使えるらしいし、

MP消費が勿体無いと感じるのも分かる気がします。

まぁその巻物スクロール自体がそこそこお高いって点は、留意すべきでしょうがね。


さらに、召喚獣の育成にも相当な手間が掛かるらしいです。

戦闘経験なんかで得られた経験値も、召喚獣へも均等分配される仕組みらしい。

この辺は完全にRPGな世界観ですね。実にゲーマーなヒロアキさんらしい世界です。


ちなみに今更ですが、俺が目指していたのは“オリジ”の街のはずでした。

が、よくよく話を聞いてみたら、“オリジ”の街が正解らしいです。

ヒロアキさんの発音がネイティヴだったせいか、間違って伝わったのかも知れません。




そうこうしている間に、オリジーの街に到着。太陽の位置からすると、予定通り昼前ですね。

高さ20mほどの城壁に囲まれた、それなりに大都市みたい。

街に入る時に俺だけお金を取られそうになりました。まぁポントスさんが払ってくれましたが。

小銀貨五枚。結構お高いのね・・・。


街の中に入って行くと、中世ヨーロッパ風の街並み。

つーかカイオスさん達が乗る猛獣達がうろうろしてますが、誰も気にしていない所がスゴイ所。

何でも、召喚獣には勝手に首輪が生成されるらしくて、それで簡単に判別出来るらしい。

確かに言われてみれば、ポントスさんの馬もカイオスさん達の猛獣達にも首輪が着いてました。

この首輪は召喚獣だったら自動生成されるものなんで、絶対に外れないんだそうな。


改めて街中を移動しつつ、この世界の税制について聞いてみた所、大体こんな感じ。

冒険者はどこの街に入る時でも、ギルドカードを提示したら基本的には無料なんだそうです。

その代わりに、冒険者がダンジョンで得た鉱物資源なんかの売却時に税金が徴収される仕組み。

しかも基本的には、冒険者ギルドでしか鉱物資源の売却が不可能なんだって。

例外は素材を持ち込んで装備品を直接発注する場合だけらしいです。

その時だけは全く税金が掛からないのだとか。

だから稼業としては、稼げる力量さえあれば結構儲かる職業らしい。

ギルドで売らずに個人売買もあるらしいけど、そういった税金逃れはギルドの処罰対象なんだとか。

そんな冒険者ギルドから弾かれた様な奴が盗賊なんかになるらしいです。

元々冒険者稼業って、ある程度以上の力量さえあればそこそこ儲かる稼業なんだとか。


“じゃぁ冒険者以外は?”って事なんですが、それは各都市毎に差異があるらしいです。

人頭税制だったり、占有している土地に対する固定資産税のみだったりと、色々なんだそうな。

オリジーの街は固定資産税方式なんだって。

街の外に農地とかを持っている人には、それ用の“鑑札”みたいな物が渡されて、

それが通行証代わりらしいです。冒険者の場合はギルドカードがソレに相当する模様。


ポントスさんはこの街に結構大きな店を構える商店の跡取りらしくて、

住民証代わりの鑑札をお持ちでした。



暫く街中を馬車で移動して、かなり大きなお店前に到着。此処がポントスさんのお店らしい。

意外と豪商って感じかな? 幌馬車からは、全く想像が出来んかったわ・・・。


カイオスさん達はこれで依頼終了だそうです。ポントスさんから報酬を受け取って居られました。

今回はそれぞれ小金貨2枚の報酬だったとか。一人当たり20万円相当の依頼だったって事ですか。

カイオスさん達の拘束日数的には、日当2万円ぐらい?らしいので、そこそこ美味しかったみたい。


早速幌馬車の積み荷を搬入しているポントスさんトコの店員さんを尻目に、

先にカイオスさん達と盗賊達の処理やらについてを相談。

結局、俺とは後で冒険者ギルドで待ち合わせをする事にして、

カイオスさん達にはその間に、盗賊達の懸賞金を受け取りに行って貰いました。

総懸賞金額は不明だけど、カイオスさんは「期待してていいぞ」って言ってたので期待しとこう。


ちなみに取り分でちょっとモメたけど、俺が総懸賞金額の半分を貰う事になりました。

その代わりに、盗賊たちから剥いだ装備品の売却益は俺の総取りって事に。

殆どの盗賊達を俺独りで戦闘不能に追い込んだんだから、

カイオスさん達的には俺の取り分が少ないと思って居るみたいだけど、

もし俺が独りで歩いていても、盗賊達に襲われた可能性はかなり低いからね。

俺にしてみれば完全に予定外の収入なんで、ちょっとでも貰えるのなら有難い事なのです。

つーか、恐らく最初期以外で俺ってお金に困る事があるとは思って居ないしね。

むしろダンジョンにず~っと籠る生活を予定をしています・・・。


その後ポントスさんからも報酬として、通行料とは別に小金貨2枚を渡されそうになりましたが、

ちょっとお店で扱っている商品が気になるので、お金じゃなくて“物”で報酬を頂く事に。

当面の必要最低限として、飲用の水袋や携帯食料なんかも買い込まないといけないし、

出来れば苦無なんかの投擲武器があったら欲しい所。盗賊達は持って居なかったしね。

ついでに俺はダンジョン探索に関しては完全にソロの予定なので、

“魔法が使える都合のいい召喚獣が手に入れば良いかも?”とか考えて居ます。

どうせ俺って魔法禁止だから、MP消費に関しては問題が無いはずだしね。


盗賊達から剥いだ装備品の売却益もある事だし、此処は散財してもいいかも?

ま、ポントスさんのお店ではかなり幅広い商品を扱っているらしいので、

何を買うのか。じっくりと吟味してみますかね~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ