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俺の創った箱庭世界  作者: コルム
異世界冒険編
169/243

第169話 潜入捜査

リーダー格っぽい男に担がれたまま、屋敷の中に入ります。


「状況は?」


「はっ。別働隊も、既に全員が無事に帰還しております!」


「ひとまずは上出来・・・だな。

私はすぐに皇帝陛下にご報告申し上げる。

コイツを地下牢に放り込んで“魔封じの腕輪”を嵌めておけ。


余りにも上手く行き過ぎだ。悪い予感がする。

今すぐにでも出立出来る様に、予め準備だけはしておけ」


「はっ!」


ふむ。とりあえず関係者全員がこの屋敷内に居るっぽい・・・っと。

んじゃ、俺らの方も目標達成かな?


後は、ハゲ皇帝を直接潰して終わりって感じ?

それにしても、ヌル過ぎるわ・・・。

あっさり風味でも、あっさり感が過ぎたら味が無いのと一緒ですよ?


で、俺。さっきとは別の男に担がれて、地下牢(?)へ。

何やら装飾が施された手錠・・・と言うか手枷かな?で両手を拘束されたら冷たい石の床に転がされました。

それらが終われば、鉄格子が閉められる音。


少しして人の気配が無くなるのを確認したら、ようやく体を起こします。

で、部屋の中に粗末なベッドがあったので、そこに座りつつ、ちょっと痛かった鼻をサスサスしながら一息。


「ふぃ~。寝たフリをするってのも楽じゃないねぇ。まぁ上手くいったから良しとしますか。


とりあえず現状確認が先か?

確か“魔封じの腕輪”とか言ってたな。語彙的に魔法が使えなくなるのかな?」


ちゃんと魔法とかスキルが使えるかどうか、報告がてら念話でテストしてみる・・・。




って!魔法もスキルも問題無く使えるじゃん!意味あんのか?コレ?

その辺を、念話中の魂の神様に見解を聞いてみたら、こういう感じみたい。


ミツハルさんの世界での魔法行使の場合。

体表面からリザアースで言うマナに働きかけて魔法を行使。

マナに働きかけられる能力値(効率の話かも?)=MP値 みたいな感じ。

(ミツハルさんの世界では“モノリスの書”みたいなのが無いので、魂の神様も正確には言えないそうですが、

大体こんな感じであってるみたいです。)


で、俺の世界での魔法行使の場合。

リザアースで言うオドによってマナとして体内に蓄積され、それが外のマナに働きかけて魔法を行使。

体内のマナ蓄積総量=MP値 みたいな感じ。


要はこの“魔封じの腕輪”って、外から体へのマナ供給能力を阻害する感じみたい。

なので、この腕輪を着けているミツハルさんの世界の住人の場合だと、常にMP値が“0”になる感じみたい。

俺みたいに“体内蓄積型じゃない”って事ですね。

以前ミーさん達が、俺の世界で神へと昇格する際魔法行使が普通に出来たのも、これが原因だと思われる。

つまり、魔法の発動方法自体が俺の世界とは微妙に違う訳ですな。


ついでに言うと、俺には既にMP値として蓄積分があるけど、自然回復量に影響がある可能性はあるみたい。

が、今の俺自身ってリザアースと繋がっている状態な訳でして・・・。

俺自身の体内からマナが供給される訳だから、自然回復量にも影響が出ないっぽい。

もし同じ方式だったとしても、既に俺自身がマナを纏っている状態。つまり魔法も使える状態な訳です。

どうにせよ、結局はコレって俺には意味が無い代物らしいですわ。ちょっとだけですが、心配して損したよ。


そもそも“神”だったら、その世界の理自体を統べる存在だから、影響自体を受けなくする事も可能だそうな。

まぁたしかに。


さらに言えば、この“魔封じの腕輪”。多分今の素の状態で強引に物理破壊が可能っぽいです。

ちょっとだけ力を入れたら“ミシミシ”ときしんだので、魔法が使えなくとも破壊可能な気がしてます。

“魔封じの腕輪”とは関係無いけど、鉄格子も一緒。まぁ“怪力”スキルのせいかも知れませんが・・・。

だって今の俺のSTR値だと、40トン弱ぐらいは持てる計算なんですよねぇ。

直系数cm程度の鉄だかの棒っきれなんざ、軽く曲げられます。そっちは試して無いけどね!



暇になったので“衛星の視点”で大体の場所を特定したら、詳細な位置を始祖の神様達に改めて念話で連絡。

閑静な住宅街の中かと思ったら、ここの都市の中心部からは少し離れた森近くの邸宅みたいです。

邸宅って言っても、結構な広さを誇る豪邸って感じかな?

まぁその辺は、地下牢まで完備してあるんだし、豪邸って言っても不思議では無い感じ。

念話連絡も終わったので、暇潰しついでに亜空間収納からスキットルを出してマナ酒を一口。やれやれですわ。



時間が余ったので“衛星の視点”でじっくりとこの世界を観察してみる。

ん~何処かで見た事があるなぁとか思っていたら、この世界って懐かしの“地球”っぽいです。

若干日本が1周りほど巨大化しているって事が違うぐらいかな?

その分、ユーラシアプレートとかが、元の世界より太平洋側に延長されてるって感じでしょうか?

基本的には“地球”と同じと言って良いのかな?


ミツハルさんてば世界を創造する時に手を抜いたんだろうか?

火山とかもそのままっぽいし、地震とかその辺の自然災害もこの世界では起こり得るんじゃなかろうか。

その辺は“自然環境”として受け入れてるのかなぁ。

まぁ早々に人類を誕生させたって言ってたし、とりあえず太陽系をコピーしたって所なのかな?

その割には、こないだこの世界の1年も365日で固定してあって、閏年が無いって聞いたと思うんだけど。


まぁ俺とは頭のデキが違うから、ちゃんと考えてやったんでしょうね。

詳細は俺には分からないけど、頭の良いミツハルさんが単純に太陽系をコピーしただけだとは思えないし。

ちなみにミツハルさんの国は、地球と言うか日本の北海道に当たる場所にありました。



色々と暇潰しをしていると、こちらに来る複数の気配を感知。

大慌てでスキットルを亜空間に収納して、ベッドに横になって寝たフリ。

・・・って、あ!俺って最初は床に転がされてたじゃん!・・・まぁいいや。時間無いし。


聞こえてくる声的に、さっきのリーダー格の男とハゲ皇帝。後は知らない奴が数人かな?

でも・・・何かモメてるっぽいんですが?




「陛下!お考え直し下さい!」


「えぇい!黙れ!朕の決定に従わぬのであれば、幾ら先帝の長子と言えど、ただではおかんぞ!」


「創造神様のお怒りを買う様な真似など、幾ら我が帝国が強国とは言え、許される問題では御座いません!

陛下は創造神様のお怒りを買った国の伝承をご存知無いのですかっ!

まして、異世界の神様方を巻き込むなど、愚の極み! 陛下は我が国を滅ぼすおつもりですかっ!」


「五月蝿い!

朕はあの者を殺して力を奪い、不老不死の神へと至るのだ!創造神など恐れるに足らんわ!

朕はこれより神となって、この世界の全てを手に入れてやる!

・・・そうじゃな。創造神や獣人、男共は殺してやるが、海様・・・いや海は朕の妾としてやろう。

あの永遠の美貌は、朕にこそ相応しい・・・ぐふふふふ」


「何と恐ろしい事を・・・。

我ら人類は、皆等しく創造神様より産み出して頂いた存在。

その創造神様を殺すなど、我らには到底不可能で御座います!」


「だからこそ、あの創造神よりも上位だと言う異世界の神の力を奪うのだ!そうすればどうとでも出来るわ!」


「それこそ無謀な事で御座います!

創造神様よりも上位の神であらせられるのであれば、殺すなど到底無理な話・・・」


「えぇい!もうよい!お前も地下牢の中で、朕が神となる様子を大人しく見ておれ!

朕の事を“お前”呼ばわりした神など、ただ殺しても飽き足らん。力を奪った後は嬲り殺しにしてくれるわ!」


あ~。色々と残念なお話がだだ漏れなんですが?

とりあえずハゲ皇帝の計画としては、何らかの方法で俺を殺して神としての力を奪う事。

で、奪った力でミツハルさんトコの世界を征服。挙句にミツハルさん一家を殺す予定っと。

んで、海ちゃんだけは妾として囲うつもりなのかな?


ん~ハゲ皇帝ってバカなんだね。“お前”呼ばわりした事を根に持つタイプみたいだし。

どうやるのかは知らないけれど、“神を殺せる”なんて思ってる時点で程度が知れてるわ・・・。

まぁ知らないとは言え、仮に俺を殺せたとしても、今の俺って神の分体なんですよねぇ。

それって完全に意味無いよね!


ついでに言うと、ミツハルさん一家(ぬいぐるみ含む)の戦力を過小評価してませんかね?

この世界の力量がどの程度かは知らないけど、ウチのぬいぐるみだけで小国なら落とせそうな感じなのですが?

其処に空戦可能なミツハルさん一家が参戦したとしたら、良くて一方的な蹂躙になると思うんですがねぇ。


後は・・・ハゲ皇帝は海ちゃん狙いか。

まぁ海ちゃんは美人さんだしね。分かる気もするけど、自分の顔と頭と年齢を考えてから言うべきだと思うよ?

あ!そうか。海ちゃん的には数百歳だから年齢は問題無いのか?

まぁ俺は女性の年齢に突っ込む様な真似はしませんが・・・パパであるミツハルさんは怒るだろうねぇ。


とりあえず此処までで収集出来た情報は魂の神様経由で皆さんに共有して貰ってっと。念話念話・・・。


しっかし、唯一の救いが・・・先帝の長子(?)が意外とまともだった事ぐらいかな。

・・・あれ?普通の帝制って直系の男系長子が継ぐんじゃないの?まぁ俺は女帝もアリだとは思いますけど。

ん~?直系の男系長子が居るのに、別の皇帝が居るって微妙におかしくない?

もう少し情報を集めた方がいいのかなぁ・・・。


ほどなく、ハゲ皇帝御一行様が到着した模様。

ついでにさっきハゲ皇帝を注意していた奴も、俺が入っている向かいの地下牢に放り込まれたみたい。

猿轡でも噛まされたのかな?暫く「むぐむぐ」言ってましたが、大人しくなりました。


「何じゃ。まだ寝ておるのか?」


「恐らくはあの睡眠薬入りのワインを大量に摂取したせいかと思われます」


「顔を見せよ。間違いなくあ奴かどうか、確認せねば安心出来ん」


「はっ」


鉄格子が開く音がして、誰かが俺をぐるっと回転させました。

ついでなんで、薄目を開けて相手を確認・・・やっぱりハゲ皇帝で間違い無いみたい。


「・・・そうだ、こやつだ。

朕に対してあの様な態度など、許せん。すぐに力を奪って八つ裂きにしてくれるわ!」


「お待ちを。

この神から力を奪うにせよ、準備に時間が掛かります。先ずは祖国へと帰還する事を優先すべきかと。

ひとまず祖国に帰還さえ出来れば、創造神と言えども早々に手が出せぬはず。

追っ手が掛かり帰国が困難となる前に、この国を脱出した方が宜しいかと思います」


「ふむ。確かにそうだな。 では早急に出立の準備をいたせ!

それと・・・ついでじゃ。そ奴は放っておけ。置き土産代わりに置いて行く。

神を誘拐した件と睡眠薬入りのワインを届けさせたのも、そ奴の指示であった様に偽装しておけ。

この大使館であれば、創造神と言えどもすぐには手出し出来まい。多少の時間稼ぎにはなるであろう。


ついでに今此処で殺しておけば、我が覇道の妨げも排除出来るが・・・。

さすがに殺してしまえば言い逃れが面倒となる。そ奴は捨て置け。そのうち餓死でもするであろう。

くくく・・・これで我が野望も確実なものとなる。笑いが止まらぬわ。


では我の予定通り、すぐに出立の準備を!」


立ち去るハゲ皇帝達。あ~こいつら、マジでゲスぃわ。

つーか此処って大使館だったのね。色々納得です。


完全にハゲ皇帝達の気配が去ったのを確認したら“よっこいしょ~”と体を起こして、向かいの牢屋を観察。

アレ?なんか泣いてる?号泣してるっぽいですわ。

いい大人が号泣とか、駄目だよ~?


・・・あれ?何か他人の事を言えない気がする・・・。何でだ?

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