第162話 お披露目
翌朝。軽い仮眠程度で一夜を過ごしましたが、結局ルナ達からの呼び出しは一度もありませんでした。
ちょっと思う所があって、神体に戻ったら、先ずは俺とトウの記憶装備のバングルにもう1パターン追加です。
元々想定していた“装備パターンA”を増やした感じかな?
人化時用装備を男女別にさらに分けられる様にした感じ。別に“男男”でも“女女”でも何でもいいのですが、
単純に現状だとトウの予備パターンが少ないかなぁと思ったので追加した次第。
で、ルナ達以外の全員が揃ったらそのまま太極拳。(男体化したトウも含む。ちなみに執事服着用)
それが終われば始祖の神様方の朝食の準備と配膳をしてから、ルナ達にも朝食を運びます。
俺や始祖の神様方の朝食はトースト系にしました。ルナ達のメニューは昨日と同じく魔芋のクリームスープ。
で、ルナは自分で食べられるとの事なので土鍋とスプーンを渡したら記憶装備のバングルを修正。
タリズ達も同様に自分で食べられるとの事だったので、楽なもんです。同じく装備を修正したら放置。
赤ちゃんの授乳や排泄欲求等なんかは、既に念話で何となく意思疎通出来るらしくて、それほど問題じゃないらしい。
ルナ達にとっては、それよりもさっさと運動したいとの要望の方が大きいらしいです。
ルナ達は暇な時に念話でお互いの状況を連絡しあっていたらしいのですが、
今までが今までだっただけに“何もしない”って事の方が苦痛らしく、出産が終わったからとっとと何かしたいらしい。
まぁ一応は念のために今日1日は休養する事を“命令”しておきました。
多分もう大丈夫なんだろうけどね。ルナ達も赤ちゃん達も、“神”だし不老不死なんだし。
レナ達の分の揺り篭とベビーカーを出してそれぞれに渡したら、分体に戻ってまったりタイム。特にやる事ないしね!
一応ミーさん達にルナ達やレナ達の健康状態チェックをして貰ったぐらいかな?
まぁ当然の事ながら、何も問題がありませんでしたが。
飲酒可能組みは誕生祝いの酒盛り。不可能組みはカルピ○(マナ水仕様)で雑談に興じるぐらいで1日が終了。
またまた念の為に、俺はリビングで仮眠・・・。
翌日。
昨日と同じく太極拳&朝食後にミーさん達にルナ達&レナ達の健康チェック。
「もう動いても大丈夫ニャ!」とのお墨付きを貰い、やっと始祖の神様方にレナ達をお披露目しました。
始祖の神様方に紹介はしたんだけど、レナ達は授乳後だったせかおねむ。
一方、起きていた従ちゃんや接ちゃん達は新しい存在に興味津々なご様子。天ちゃん達も同じくです。
揺り篭から手を伸ばして“だーだー”言うてました。和む・・・。
まぁ大体同じ歳だし幼馴染になるんだから、皆で仲良くなってくれれば言う事無しです。
男の子が大地くん一人だけなので、どのポジションになるかがちょっと楽しみ。
俺様系モテキャラに育つのか、女の子ばっかりの中でちょっと気弱キャラに育つのか・・・。
最悪、まかり間違って“オネェ”系に育つ事だけは避けたいので、その辺はミーさん達に重々教育をお願いしました。
オネェな“神の子”って、なんか嫌だし・・・。まぁネタならアリですが、さすがに・・・ねぇ?
ちなみに「ウチの子は他の世界へ嫁に出しません!」と、ぶっとい釘を刺して置きました。
苦笑するルナ達を含む全員。親馬鹿発言だろうが何だろうが、此処は譲れません!
ウチの世界内での恋愛結婚なら仕方無いとは思うけど、ちゃんと相手を見極める目は養わせるつもりですし。
他世界へ嫁に出さないのは、北極大陸に建国したら国の重職を任せるつもりなので、物理的に無理なのも理由。
あと、この時になって初めて、始祖の神様方には言い忘れて居たレナ達の異常性をお伝えしました。
ステータス的に現時点で既に俺と同じぐらいある事。
恐らく20年後ぐらいには、少なくとも今の100倍以上にはステータス的に強くなるであろう事。
それぐらいかな?成長率に関しては、“神とは言え”魔物や聖獣を経験して居ないただの人類と同じはずなので、
今の所、成長率は一部スキルによる増加以外では異常にはならないだろう・・・と、予想して居ます。
それらを聞いてドン引きなミツハルさん。呆れる始祖の神様と魂の神様・・・。
まぁなぁ。俺も予定外だったしなぁ。
自分の子に対してするのもちょっとどうかと思いましたが、ちゃんと自意識を持つまでは危険物として扱う事に。
それに伴い、ルナ達には今後の“躾”として、手加減に関してはしつこいぐらいに念押ししておきました。
勿論俺も躾には参加する予定なんだけど、ステータス的に厳しいんだよねぇ・・・。
ある程度育ったら完全に俺を超えるだろうし、舐められるだろうなぁとは思って居ます。
親としての威厳だけは意地でも保ちたいと思って居るので、俺も頑張らなきゃ・・・。
実際に体感して貰った方が手っ取り早いって事で、ミツハルさんに寝ているレナの指を掴ませつつちょっかいを掛けて貰ったら、
指をあっさりとへし折ったので即、理解して頂けました。あぁ!ちゃんとヒールしたので後処理は大丈夫です。
ミツハルさんの脂汗が尋常じゃありませんでしたが。
レナ達の躾に関してもう1点。
とりあえず5歳・・・か6歳ぐらいになるまでは、魔法を含む戦闘系訓練を禁止する事にしました。
それまではINT値の上昇目的で文化系スキルや給仕系スキルの上昇を基本方針として伝えます。
まだまだ体と言うか骨格がしっかり出来てないと思うし、先ずは頭脳の発達を促す方針で。
その辺は普通の子と同じ方針と言えばいいかな?
まぁ神ですが、俺としては“普通の子”として育てようと思って居ます。
大体戦闘系なんて既にチートが過ぎるから、既にこの世界で相手取れるのってルナ達“神”しか居ないんだよねぇ。
恐らく、だけど。ちょっと知恵がつけば、四聖獣あたりでも狩れる可能性もあるし・・・。
正直に言って“パーティー組んで戦える様になったら、既に勝てるんじゃね?”って感じですしねぇ。
まぁその為の予備段階って感じでしょうか?
魔法を含む戦闘系スキルなんて、基礎ステータスが既に異常な状態なんだし、後から訓練しても十分だと思っています。
それよりは文化系スキルを伸ばして欲しいのが本音。
さっきもちらっと言ったけど、ウチの国の要職に就いて貰うつもりなので、バカや脳筋では困るのですよ。
ちょこっとだけ豪勢な昼食を挟んで、雑談タイム続行。給仕は俺独りでやりました。
今日は手軽に食べられるボアカツサンドとサラダ、カットフルーツ。
赤ちゃんを抱っこしてる人(神)も多いので、片手で手軽に食べられるモノって事を重視してみました。
途中レナ達が授乳&排泄で目を覚まして、ルナ達が一時退席した以外は特に問題無し。美の神様方の所も同様です。
授乳から戻ってきたエッジ達有翼系を見ながら、ミツハルさんがぽつりと、
「そう言えば、自分の世界には魔物では居るけど有翼人種って居ないなぁ」
と呟いたので、「追加しますか?」って聞いたら、「もう面倒なのでいいです」との事。
まぁねぇ。せっかくの空軍の優位性が崩れちゃうしね。
それにせっかく安定している世界に、新しい人種が増えちゃうと問題も多いだろうとの判断だそうです。確かに。
皆さんにお披露目したのはいいんだけど、この時期の赤ちゃんて基本寝てるか授乳か排泄ぐらいでしか起きないので、
レナ達全員、基本寝っぱなし。
まぁ、コレも赤ちゃんの大事なお仕事なので特に問題がある訳ではありませんが、
俺もちゃんとレナ達の容姿をまだ確認出来て無いのよねぇ。
髪の色とかは見て判るけど、瞳の色とか全体的な容姿とかが不明。
とりあえず「フツメンの俺に似ないでくれればそれでいいや」と思っています。
晩御飯はミノ肉を使ったがっつり系。勿論サラダやカットフルーツも豊富に揃えました。
晩御飯が終われば、お風呂(レナ達も初お風呂。相変らず寝てたみたいだけど)に入って就寝。
男連中で風呂酒した以外は特に何も無かったです。
ルナ達は早速子供用の浴槽に入浴剤を入れていたみたいだったけど、問題無かったのかな?
さらに翌日。朝からルナ達も含めて全員で太極拳。
かなり運動不足状態が不満だったらしく、ルナ達は嬉々としてやってました。
壁際にずらっと並んだ揺り篭にちょっとほっこりしつつ、一汗かいたら今日は男連中(男体状態のトウも含む)で先に朝風呂へ。
その間に女性体組み(ルナ達も含む)が朝食の給仕をしてくれたので、有り難く風呂上りに朝食を食べつつ、
交代で先に食べ終わった(と言うか先に食べて貰う様に伝達済み)女性体組みが朝風呂へ。
暫くして。男連中で飲酒しつつ雑談してたら、女性体組みが上がってきました。
と、初めてレナ達が特に授乳や排泄では無くて、普通に起きているみたいです。可愛らしい顔をやっと拝めました。
それぞれの容姿はこちら。
レナ →黒目黒髪。母親に似たのか、金色っぽい体毛とちょっと太めの尻尾と狐耳。
エッジ→若干緑っぽい黒目と黒髪。母親(?)に似たのか、銀色の羽を持った翼。お耳はちょっと小さめ。
ルビア→若干青っぽい黒目と黒髪。青い鱗が体表に有り。同色の皮膜を持った翼。
リル →黒目黒髪。母親(?)に似たのか、白銀色の体毛と尻尾と犬(と言うか狼?)耳。
ファー→若干金色の斑点が混じった黒目と黒髪。白色の鱗、同色の皮膜を持った翼。
現時点では何とも言えないけど、親馬鹿意見を承知の上で全員可愛い子です。
レナとかエッジとかリルの体毛とか羽に関しては、単純に親の遺伝と考えていいのかな?
てっきり“種族的な原色の茶色っぽい色になるのかな?”とか思ったんだけど。まぁ可愛いし特別な存在っぽいのでOKです。
何と言っても、既に“神”なんだしね!
あと、ちょっとだけ危惧していた、ルビアとファーの瞳の形状ですが、トカゲっぽくなくて普通に丸でした。
さすがにねぇ、トカゲっぽい縦長な瞳孔とか“ちと嫌だな~”とか思って居たので、本当に良かったです。
で、改めて皆さんに再度お披露目。
既にお風呂中の時点でお目覚めだったらしくて、従ちゃん達にはご挨拶が済んでいたみたいですが、一応はね。
一通り大人全員に頭をナデナデして貰った頃には、やはり限界だったみたいで熟睡してました。
まぁしっかり寝て、大きく健康に育ってくれればそれでいいです。
そんな感じでまったりしながら1日が終わります。
今日からはルナ達が強硬に“給仕役に復帰する!”と主張したので、ミーさんと相談の上許可しました。
よっぽど動きたかったのね・・・。