第157話 事情説明
ふと気付けば、俺は独り泣いていた。
北極大陸の北にある特殊世界樹のある広場の片隅で。
みっともないほどにしゃくりあげながら。
ただ、彼女との思い出や俺が壊れた根本を、改めて思い出しただけの事なのに。
何処か冷静な部分で、相変らず俺は“弱いな”と思う。
出来る事ならば、また無気力に周囲に流されたいとも思う。
でも、俺は選ばなければならない。
再び自らの意思で。
この大切で幸せだった記憶と、その後の無気力だった記憶を一時的にでも失うか。
それともまた、俺と言う存在を消してしまうのかを。
今度こそ、俺は自分の意思だけで選ばなければならない。
「今思えば、彼女の事で泣いたのは、あの時以来だな・・・。
義父さんから電話があった後、俺が“殺した”んだと気付く前。
思い返せば、あれから俺には感情の起伏が少なくなったんだよなぁ。
無感動、無関心、無気力。“お前の顔は能面の様だ”とも言われたんだっけ・・・。
ホント、どうしようもないなぁ俺は」
情け無いほど思い切り泣き、幾分かすっきりしてしまった自分自身のどうしようもなさに微苦笑しつつ。
・・・俺は次の記憶を思い出す。
新たに生きた証を。
ルナ・タリズ・リヴィア・フェン・シファード・トウ・・・。
そして交流を持った始祖の神様達や陸くん達。
“リュウノスケ”としての、すでに当たり前の記憶。
これもまた、忘れる事が出来無い大切な記憶・・・。
今思い返せば、最初に魂の神様の話を受ける前の時点で、それまでの俺と言う存在は消える運命だったのだろう。
だからこそ、あの話を受けなければ、今こうやって苦しむ必要は無かったのかも知れない。
あの話を受けたのは、久々に・・・あの時としては本当に久しく持って居なかった“自我”があったのかも知れない。
“楽しそう。俺が居る意味がある。俺にも出来る事がある”
そう思ったからこそ、あの話を受け。今、こうして“神”として存在する事が出来る。
結局の話。
その代償として、俺は前世の色々な記憶を持ったまま生まれ変わる事が出来た。
それは幸せな事でもあり、不幸な事でもある。
だが、どちらかと言えば“彼女の記憶”を失う事なく“贖罪”の機会が与えられたのだ。と、俺は思う。
ルナ達との思い出もまた、良くも悪くも大切な思い出。
もう俺には失いたくない記憶。
最初はただの衝動。
淡々とした日々に癒しを求めてルナを従え、次々と己の欲望のままに従魔を従えていった。
良い事ばかりだった訳じゃないが、それでも少なからず充足感を得られた日々。
“俺”という存在にとって、“彼女との事”と同じぐらい大切な部分。
幾つかのミスもあったが、自分の思い通りの世界を創造し。そこで生活する日を夢見て、今まで頑張ってきた。
自分が生み出した人類達との交流。それもまた俺が楽しみにしていた事の1つ。
「それを今更放り出して、また消えるつもりなのか?俺は・・・」
まだまだ“彼女への贖罪”が済んでいるとは思えない。それは他でもない、俺自身が納得出来て居ないのだから。
まだまだこの世界で遣りたい事だってある。世界の礎を創っただけで、まだこの世界を見て回って居ないのだから。
俺が創った世界の人類達の、顔すらまともに見た事が無いのだから。
「ははは。
何だ。結局の所、俺には・・・“リュウノスケ”としては、選択の余地が無かったって事か。
俺は“彼女の記憶”を絶対に失いたくはない。それは譲れない。
と同時に、ルナ達との思い出も“彼女の記憶”と同じぐらいに失う事が嫌だ。
だったら・・・俺って魂の神様の掌の上で、無様にもがいて居ただけじゃねぇか・・・」
ようやく現状を理解したせいか、幾分と気持ちが楽になった。
が、あんなに深刻そうに“神の居住区”から飛び出した上に、散々泣きまくった俺って馬鹿みたいじゃないかと。
自分の未熟さ・・・いや、子供っぽさに嫌気が差す。
「ったく・・・どのツラ下げて帰れっつーんだよ・・・。
はぁ・・・。もう面倒臭ぇから自棄酒でもすっかねぇ。どうせ誰も見てないだろうしな。
それに飽きたら、みっともなくとも帰りますか。ルナ達にも心配掛けてるだろうし・・・」
・・・ルナ視点・・・
リザアース暦1003年3月20日。
最近では特にですが、起床するのが少し億劫に感じます。
子を宿したせいだとは思いますが、些細な事でも非常に疲れやすくなっており、
主様への給仕や従者訓練などにも少なからず支障が出てしまって居ます。
その辺りは、主様より前もってご説明頂いて居ましたので、覚悟はしていたのですが、
妊娠すると言う事は、私共の予想以上に大変な事なのですね・・・。
平時に起床する時間よりはかなり遅れて起床し、身だしなみを整えたらリビングへ。
長い付き合いだからか、私が部屋を出ると同時にリヴィアも部屋から出てきました。
互いに軽く朝の挨拶を交わしつつ、リビングに行ってみると、始祖の神様、魂の神様、ミツハル様が揃って居られました。
「「おはよう御座います」」
「『『おはよう』』」
言葉少なに朝の挨拶を返された皆様に疑問を感じ顔色を伺ってみると、何やら深刻そうに考え事をされて居られるご様子。
「何か御座いましたのでしょうか?お顔色が優れないご様子ですが?」
『いや、ちょっとね。
まぁ皆が集まったら話すから、もう少し待ってて』
「はぁ。承知致しましたが・・・。ところで主様は?」
『あぁ。ちょっと前から出かけてるんだよ。
今日中には・・・戻ってくるのかなぁ?ちょっと何時戻ってくるかまでは判らないかな。
ま、その辺の説明とかもするから、もうちょっと待ってね?』
「???・・・承知致しました。
朝食ですが、如何なさいますか?私共で宜しければご用意させて頂きますが?」
「ん~。ルナちゃん達は身重だし、ミー達が来てからで構わないよ。始祖の神様方も、それで構いませんよね?」
『うむ』『うん』
「そういう事でしたら・・・失礼致します」
ソファーに座って獣化状態のトウを呼び寄せたら、何かしら事情を知っているかと思って“念話”で情報収集。
何かしらの事情は知っているみたいですが、始祖の神様方から口止めされているらしくて、口を割りませんでした。
【皆様が揃われたら説明されるとの事ですし、もう暫く待って頂きたく思います】
との事。一体何の話なのでしょうか・・・。
私共がリビングに来てから程なく、タリズ達もリビングへ。
先程の私共と同じ遣り取りをした後、同じくソファーに座って待機状態です。
主様がご不在との事ですので、少し落ち着きません。本当に何があったのでしょうか・・・。
暫くして、美の神様やミーさん達もリビングに来られたら、ほぼいつも通りの軽めの朝食。
軽く食休みをして居たら、ようやく魂の神様より説明が始まりました。
が、予め私共には『何があっても、最後までちゃんと話を聞く様に』との注意がありました。
合間合間に昼食や夕食を挟みましたが、ご説明された内容は主様の事。主様の“魂”の根源の事。
魂の神様の説明を聞いて、最初のうちは驚愕を覚え、次に“その女”への嫉妬。最後は後悔の念。
“主様を支える”と言っておきながら、結果として“主様を追い詰めた”のは間違いなく私共の失態。
・・・後に残ったのは、ただただ己の無力感だけでした・・・。
『勘違いはして欲しくないからあえて言うけど、ルナちゃん達は悪くない。
ただ切欠を作っただけであり、遅かれ早かれこうなっていた可能性は高いんだよ。
リュウノスケくん自身が、“ルナちゃん達の責任じゃない”と明言してるしね。
強いて言うならば、“リュウノスケ”くんの魂を完全に修復しなかった私の責任の方が重い。
まぁそれは、リュウノスケくんを“神”としたあの時点では出来なかった話なんだけどね』
「はい・・・」
「少し宜しいですかニャ?」
『何だいミーちゃん?』
「故意では無かった上に、人一人殺した程度で“神”ともあろう者がそこまで気に病むものなのですかニャ?」
「ミー。例えばの話だけど、自分やクレマが“不死”では無かったとして、ミーのミスで死んだ場合を想像してご覧。
自分が、クレマが、陸が、海が、空が、天が、大地が。自惚れる訳では無いけれど、自分の愛する者達が。
間接的にではあっても、ミーのちょっとした気の緩みやなんかで次々と死んでしまったとしたら、どう思う?」
「それは・・・想像するのも嫌ですニャ。気が狂ってしまいそうですニャ・・・」
「全く同じだったとは言わないけれど、リュウノスケさんは“そういう状況だった”と思えばいいよ。
それにね、ミー。今回の件に関しては、自分やリュウノスケさんの元居た世界の影響が大きいんだよ。
自分達の元居た“世界”と言うか“国”では、それほど“死”と言う物が身近な存在じゃなかったんだ。
病気や寿命による“死”はさすがにあったけど、滅多に“死”に直面する事なんて無い世界だったんだよ。
大体リュウノスケさんは、その時点では“神”では無かったしね」
「ご主人様の“トラウマ”もそのせいですかニャ?」
「まぁ・・・そうだとも言えるね。自分の場合は、自業自得な面もあるけど」
「その様な世界は、理想郷の様に思えますが?」
「ある意味では、クレマの言う通りかも知れないね。
自分達の世界ではまだまだ実現出来て居ないけれど、殆どの命が天寿を全う出来る世界なんだから。
ただ、その代わりかどうかは判らないけれど、歪な部分は多かったんだ。主に“心”に対してね」
『そういう事だね。
後は、リュウノスケくんの・・・いや“トシユキ”くんの元々の資質による影響もあったのかも知れないけどね』
「どういう事ですかニャ?」
『元々・・・まぁ可能性の話になっちゃうんだけど、もしかしたら“トシユキ”くんの魂の殻が薄かったんじゃないか?
と、今更ながらに思って居てね。若しくは“トシユキ”くん自身の魂が成熟する前に多少なりとも傷ついていたかだね。
どちらにせよ、そんな記憶を引き継いだ“リュウノスケ”くんは、精神的に脆かったって事だよ。
其処に自身のトラウマを刺激する出来事があったから、一気に問題が表面化しただけの話。
重ねて言うけど、だからと言ってルナちゃん達が悪いって訳じゃないから誤解はしないでね?』
「しかし!私共が主様のご意向を無視して子を成した事が原因ではありませんか!」
『それは否定しないよ。
でもね?さっきも言ったけど、遅かれ早かれこうなっていた可能性は高かったんだよ。
それにね?
むしろルナちゃん達が居たからこそ、今までは表面化しなかった可能性の方が高いんだよ?』
「どういう事でしょうか?」
『それはのぅ“神”とは極端な言い方をすれば“孤独な存在”じゃからじゃよ。ワシや原初の三柱なんかは特にの。
その世界の“神”である以上、共に並び立つ存在が存在せんのじゃからの。何もかも、全てを己が抱え込まねばならぬ。
それに耐えられぬ神で自ら“死”を選ぶ神は多いのじゃよ。そうであるからこそ、神と言えども“群れる”事を好む。
数多居る下級神の纏め役として中級神が。さらにその上位の存在として上級神が居る様にの。
そうやって己と同等、若しくは上下関係のある神同士で繋がりを持とうとする。
昇格を望む神の中には、自身の抱える“孤独”から開放されたくて自身の統治する世界を放り出す神も居るのじゃよ。
精神耐性の高い神ですら己の抱える“孤独”には耐えられん事だってあると言う事じゃ。
ミツハルならば判ると思うがの』
「そうですね。
自分も最初の人類を誕生させるまでは必死でしたが、それが“孤独”を紛らわせる為だったと言われれば納得出来ます」
『それにの。リュウノスケにはルナ、タリズ、リヴィア、フェン、シファード、トウ。お主達が居った。
従僕と言う形ではあったとしても、リュウノスケはお主らを家族同然の様に想って居ったはずじゃ。
そうは思わんか?リュウノスケはリュウノスケなりに、全力でお主らに愛情を注いで居ったのでは無いか?』
「主様なりに・・・ですか・・・」
「それでは始祖の神様や魂の神様は、リュウノスケさんが“記憶の封印”を受け入れるとお思いでしょうか?」
『う~む。難しい所じゃのぅ。可能性は低くは無いとは思うが・・・』
『正直に言って7割って所かな。受け入れる可能性の方が高いとは思う。
まぁリュウノスケくんの性格を鑑みたら、それほど心配しなくても良い気もするけどね。
彼の性格上“ルナちゃん達を見捨てる”って選択肢を選べるほど、ルナちゃん達に対して薄情でもないしね。
完全に“彼女の記憶”を忘れる訳じゃ無いから、それほど分の悪い賭けにはなってないと思う』
「始祖の神様方でも判りませんか・・・」
『まぁとりあえずゆっくり考える時間をあげようと思ってね。
独りでじっくり考えたら、悪くない答えを出してくれると思ってるよ』
「・・・このままリュウノスケさんが消えてしまうという事はありませんか?」
『それは大丈夫だと思うよ?
だってリュウノスケくんて、分体のまま行っちゃったんだし。
消えるにしても神体に戻らないと、消滅する事は出来無いよ』
・・・おや?何処かから、酒精の匂いが・・・。
『まぁぶっちゃけちゃうけど、神体として活動して居なかったリュウノスケくんは、ある意味お子様なんだよ。
精神的に未成熟だったって思って貰ったらいいかな。
だから、正直どう転ぶか判らないんだよ。
理性的な判断が出来るのなら、受け入れるとは思うけどね。お互いに一番良い選択ってそれしか無いんだし。
リュウノスケくんを“神”とした時点で、魂に損傷や欠損を抱えていた事は事実なんだけど、
その後、“神”として精神を成熟させる事無く、“分体”として生活して居たからね。現状維持しかしなかったって感じ。
私達が予定していた“神”として耐えられるであろう精神耐性を持つ事が出来なかったって所かな?
まぁ神体で生活していたミツハルくんですら、トラウマを克服するのに時間が掛かったのに、
より損傷がひどいリュウノスケくんが神体で生活しなかったって事も、私達の予想外だったんだけどね。
そのせい・・・と言うかおかげで、上級神になったんだから、一概にその事が悪かったとは言えないんだけど、
神としての格に拘りの無いリュウノスケくんにとっては、デメリットしか無かったって事かな?』
「魂の神様も随分と辛辣ですね?
リュウノスケさんを“お子様”呼ばわりするとは・・・」
『でも、実際にそうだからね。
ミツハルくん達も、ルナちゃん達も。何となくリュウノスケくんの精神が不安定だって気付いてたでしょ?
後、“キレる”と何するか判らないって』
「それはそうですが・・・」
『だから“お子様”でいいんだよ。これだけ私達に迷惑を掛けている訳だし。
まぁ普段は、普通を装う事には長けていたけどね。それは前世の記憶のせいだから、仕方無い面もあるけどさ。
まぁ必ずしも良い事じゃ無いけど“清濁併せ呑む”って事が出来て初めて一人前の“神”だからね。
さすがに綺麗事だけじゃ、今後はもっとやってられないよ? ミツハルくん達なら判るでしょ?』
「まぁ・・・確かに」
『だからリュウノスケくんは“半人前の上級神”って所。 ・・・判った?リュウノスケくん?』
「『解除』・・・俺に“己を卑下するな”とか言っておいて“半人前扱い”ですか」
突然バーカウンターに主様が!
『卑下はしてないでしょ?事実なんだし。と言うか、こっそり盗み聞きは感心しないよ?
それよりお帰り。・・・それで?どうするか、決心は付いたかい?
・・・って酒臭っ!独りで飲んでたの?』
「自棄酒ですよ自棄酒。
ど~せ俺なんて“お子様”で“半人前”で、魂の神様の掌の上で踊らされる様な存在ですからね。
呑まなきゃ、やってられませんよ」
『はぁ~っ。まぁいいけどね。
改めて聞くけど、どうするか決まった?』
「俺には実質的に選択肢なんて無いじゃないですか。いちいち聞きます?」
『まぁそうかも知れないけどね。
それでもちゃんとリュウノスケくんの口から結論を聞きたいんだよ。
まぁルナちゃん達の為でもあるけどね』
「・・・分かりましたよ。
“彼女との記憶”。それに付随する“記憶”なんかを封印して下さい。
ただし、約束はちゃんと保障して下さいよ?」
主様のお言葉を聞いて、何処かほっとする私自身に嫌気が差します。
一時的な封印であるとは言え、主様は私共の事を選んでくれたのだと。
と同時に、まだまだ私共では主様を支えられる事が出来ていないのだと。
「ルナ。それにタリズ達も。お前らがそんな顔をするな。お前らのせいじゃないからな。
魂の神様達から聞いただろうが、これは俺の“心の弱さ”の問題だ。
それも封印したら今まで通りなんだから、何も心配するな。
まぁ?魂の神様に言わせれば、相変らず“お子様”な事に変わりは無いんだろうがな」
『はいはい。拗ねない拗ねない。
約束はちゃんと守るよ。私達だって“リュウノスケ”くんを失う可能性なんて御免だからね。
それじゃ、早速始めるかい?』
「そうですね。引っ張っても意味が無いし。
とりあえずルナ。後の事は任せる。今まで通りの生活を続けて、タリズ達共々出産に備えろ。
くれぐれも無理はするなよ?
後、まぁ仕方無いとは思うが、俺の事は心配するな。
魂の神様がちゃんと約束を守ってくれれば、遅くとも2日後ぐらいにはいつも通りに戻ってるから」
「・・・主様。一言だけ宜しいでしょうか?」
「何だ?」
「此度の件。私共の短慮により、結果的に主様を苦しめる事となってしまい、本当に申し訳御座いませんでした。
主様に仕える者として。また主様と共に歩みたいと望む者として、まだまだ未熟ではありますが、
どうか私共をお見捨てになられません様に、心よりお願い申し上げます」
タリズ達共々、誠心誠意頭を下げ。今回の事をお詫びします。
大元は主様の“問題”とは言え、主様の心の機微に気付かず、事を急いだ私共の失態。
主様に仕える者としては、失格と言われても仕方が無い事。
「はいよ。つーかお前らが見限ったなら、それはそれで“アリ”だから。その辺はちゃんと承知しておけよ?」
「私共が主様を見限るなど有り得ません!」
どうすれば、私共の気持ちが主様に伝わるのでしょうか?
余りのもどかしさに、涙が頬を伝います・・・。
「何も泣く事は無いだろうに。まぁその辺は“追々”か。お互いにな。
とりあえずもう遅い時間だからお前らもとっとと寝ろ。大体の話は終わってるんだろう?」
『そうだね。美の神やミーちゃん達も遅くまで済まなかったね。
後はこっちでやっとくから、ゆっくり休んで。勿論ルナちゃん達もね。
それじゃ、リュウノスケくん。始めようか。
始祖の神様。一応立会いをお願いしても宜しいでしょうか』
『そうじゃな。まぁ居らんよりはマシじゃろ。
リュウノスケもある程度吹っ切れた様子じゃし、何か問題があるとは思えんし、構わんよ』
『それじゃ、行こうか。
あぁ!ついでだし、トウくんだけはリュウノスケくんの側に付いてて貰おうかな?
そっちの方がルナちゃん達も安心出来るだろうし』
主様方を見送った後、美の神様に追い立てられる様にそれぞれの部屋に戻りました。
願わくば、これからは少しでも主様が心安らかに過ごす事が出来ます様に。
そして、再びいつもと変わらぬ私共の主様として。今後とも導いて下さいますように・・・。