第142話 身に覚えの無い子の、父親になりました
「それじゃぁ事の顛末を洗いざらい吐いて貰おうか」
「承知致しました。が、少々お待ちを。
リヴィア。お茶が冷めてしまいましたので、改めて給仕をお願いします」
「はい、ルナ姉様」
一応気を利かせてくれたのか、完全に冷めたお茶を交換。ついでにお茶請けも追加。
全員分の準備が終わるまで、相変らず抱っこしているトウを“ぎゅ~”ってして、癒されます。
「揃いましたね。ありがとうリヴィア。それでは貴女も座りなさい。
さて、“事の顛末”との事ですが、至極簡単な話で御座います。
先日主様が居住区を離れられた直後に、私共が主様の本体と交わっただけで御座います」
玉露を一口・・・くっそう。確かにお茶は美味しいんだけど、イライラしててイマイチ旨く感じん。
「・・・いや、それは判ってるから。俺が聞きたいのはその詳細だっつーの。
先ずは・・・そうだな。どうやって“オド酒”を手に入れた?それから話せ」
「おや?まだお気付きになられませんか?」
「さっきも言ったが、面倒臭いからちゃんと話せ。
酒蔵から複製出来無いはずの“オド酒”をお前達が飲める理由が判らん」
「ですから何度も申し上げてる様に、私共は主様に対して口移しで飲んで頂きました。
これでもお判り頂けませんか?」
「だ~っ!もういいから!俺が聞きたいのは手に入れた方法だっての!」
「・・・まぁもういいでしょう。
今後は禁止された事ですし、主様の子を授かりましたし、認知もして頂いた以上。私の目標も達成出来ましたものね。
ではご説明させて頂きます。
やはり事の発端と致しましては、先月主様と私共が交わった件が契機となります。
主様?口移しで相手に飲ませるとしたら、わざわざその都度“オド酒”を複製しに行くと思われますか?
まして、主様と交わっている最中ですのに? 私共はその様な無粋な真似は致しませんわ。
ですから・・・私共全員がこの様に既に複製済みの“オド酒”を複数所持しております」
黒い空間(亜空間魔法のエフェクト)から、前に俺が酒蔵から消去した“オド酒”(試飲用じゃない方)を取り出すルナ。
それに続いてタリズ達も同様に取り出します。
「もうお判り頂けたかと思いますが、これを飲みつつ、主様にも口移しで飲ませつつ、交わりました」
「するってーと何か?先月の時点で既に“オド酒”をコピー済みだったって事か?」
「端的に言えば、その通りで御座います。
まぁ複製した物をさらに複製して使って居りましたが」
「あぁっ!もうそれ回収!!つーか持ってる分は全部出せ!処分するから!」
「致し方御座いませんわねぇ・・・」
“どどん”と並ぶ“オド酒”達。つーか1人当たり2~3本持ってるって、どれだけ飲むつもりだったんだよ・・・。
とりあえず片っ端からゴミ箱に“ポイ”してやりました。
「もう他に残ってないだろうな?」
「私はもう持って居りませんよ。皆は?」
タリズ達も、もう持ってないらしい。これ見よがしに両手をぶらぶらさせてます。
ムカツクわ~っ!!!
「大体始祖の神様達から話があった時に、同席していたお前らも“オド酒”の効能について聞いてただろう?
色々と問題があるって分かってたのに、何で飲んでるんだよ?」
「むしろ“そのお話を聞いたからこそ”ですわ。
主様の子を授かる方法として、これ以上無いほどに確実な方法は御座いませんもの」
ほほほ~・・・とばかりに口に手をやりつつ笑うルナ。
腹立つわ~っ!!完全にしてやられた感が満載だっつーの。
「まぁ“オド酒”に関しては分かった。
が、前回の乱交騒ぎの時に命令したよな?“俺を襲うな”と。
俺の記憶では、それに関してちゃんとお前らから了承して貰ったものだと思って居る。
でもお前らの言い分では、“そんな命令は受けて無いし、了承もしていない”と言う。
どういう事だ?
俺としてはちゃんと命令したし、お前らも了承したはずだと思うんだがな?」
“オド酒”のコピーに関しては、まぁ単純に俺の確認ミスとも言えるので諦めました。
言われてみれば確かに“口移しで飲ませた”と前にも言ってたし。
口移しって言ってるのに、わざわざ酒蔵へ行ったり来たりしてるのは手間なのも納得。
当然複製して亜空間に所持してる可能性は高い訳ですな。“つーか早く気付けよ!俺!”って感じです。
まぁ色々テンパってるんでしょうがないと諦めました。
が、命令した件については俺とルナ達との信頼関係や契約の問題に影響するので、妥協するつもりは一切ありません。
「そのお話に関しましては、自分から主にお話した方が良いでしょうね」
「ん?フェン。どういう事だ?」
「お話の前に幾つか確認させて頂きたい事が御座います。宜しいでしょうか?」
「何だ?」
「主は自分共が魂を持った際、従魔魔法を破棄する代わりに契約魔法へと切り替えて頂きました。
その時主が殊更固執なさったのは、“従魔”と“契約従魔”は決定的に違う存在である。
と言う事であったと認識して、宜しいでしょうか?」
「あぁ、確かにその通りだ。
あの時も言ったが、“従魔”は力で従える存在であり、“契約従魔”は契約で従える存在と言える。
内容が同じになる事はあるかも知れないが、存在としては全くの別物だ。
絶対服従か、任意従属かの違いと言ってもいい。
で、それがどうした?」
「ククク・・・いえ。先にその事を確認させて頂きたかっただけで御座います」
玉露を一口飲んで、悪い顔をするフェン。何を言うつもりだ?
「自分の記憶に間違い御座いませんでしたね。ではもう1点確認させて頂きたい事が御座います。
確か、“魂を持ち、個人の自由意志をも手に入れた以上、自身の発言に対する責任も同時に発生する。
だからなおさら、“言葉”として発した内容の重要性を考えて欲しかっただけだ”・・・でしたか。
主が自分共と契約従魔としての契約を行った際に仰られたお言葉です。
覚えて居られますでしょうか?」
「あ~。確かそんな話もしたな。で?それがどうしたよ?」
「なるほど。ではそれをお聞きした上でお伺い致しますが、当然主は魂を持った存在でしょうか?」
「当然だろう。つーかいい加減回りくどい話じゃなく、とっとと俺の命令に関する詳細を話せ!」
何だろう。外堀を埋められてる感じがします。
非常にいや~な感じ。
「失礼致しました。重要な事でしたので再確認させて頂きました。
ではお話させて頂きます。
結論を申し上げれば、実に簡単な話で御座います。
主よ?自分共へ、主との性交渉禁止と“オド酒”の使用禁止を命令した時の状況は覚えて居られますか?」
「あぁ。確か命令した直後ぐらいに魂の神様から連絡があったから大雑把にしか覚えてないが、大体は覚えている」
「ではその時、主は如何なる存在であったのでしょうか? ククク・・・」
え?
あの時の俺の存在??
・・・確かルナ達に“ハメ殺され”て・・・で、神体で意識が戻ったから、説教する為に分体を作成して。
その後にルナ達をリビングに集合させて、説教してた時に魂の神様から連絡があったんだよな。
・・・俺の存在・・・っ!!!
「まさか、俺が“分体”だったって事を言いたいのかっ!?」
「ククク。お気付きになられましたか?その通りで御座います」
「例え俺が“分体”であったとしても、俺は俺だろうが!」
「おや?それは先程、主にご確認させて頂いた事とは齟齬が生じますねぇ。
主は“従魔”と“契約従魔”とを明確に区別なさったのに、
自分共が“神の分体”と“神”とを区別する事は、自由意志にも反しませんし、主より明言もされて居りませんが?
しかも先程確認させて頂きましたよねぇ?主は魂を持った存在であると。
そうであるならば、主にも自分共と同じ事が言えると思いますが?
“魂を持ち、個人の自由意志をも手に入れた以上、自身の発言に対する責任も同時に発生する”のではありませんか?」
「ぐっ・・・」
これはっ・・・あかん。詰んでる・・・。
「ククク・・・ご理解頂けた様で何よりです。
自分共は、“神の分体”としての主より受けた命令に関しましては了承致しましたが、
“神”としての主より、如何なる命令も一切受けて居りません。
当然、何ら命令を受けて居ない以上、了承もして居りません。
事の顛末としましては、以上となりますね。
何か反論なり何なりが御座いましたらご自由にどうぞ?
自分共の理屈が“理に叶って居ない”のであれば。ですが? ククク・・・」
自業自得ってのは、こういう事を言うんですかねぇ。
確かに俺は分体の時に“俺を性的に襲う事”を禁止したものの、神体に関しては何も言ってない。
意識としては分体だろうと神体だろうと、俺である事には変わりないつもりだったし。
が、それを言ってしまえば、ルナ達との契約時に拘った“言葉の選び方”を今回の俺自身が無頓着だった事も事実。
その辺に拘る事を最初にやったのは俺だし、そっくりそのままやり返されただけって感じ。
完全に詰みましたな・・・。
相変らず悪い笑いをしているフェンが恨めしいです。
お前はルナ以上に悪女の素質があるよ・・・つーか本来の性別的には雄だってのにっ!
「・・・は~。分かった。
確かに俺の言葉不足だったって事だな。
つーか今思い出したが、あの時ルナとフェンで念話で話していた内容は“コレ”だったのか。
今更ながら、良く気が付いたと言うか何と言うか・・・。
とりあえずさっきも言ったが、今後は“オド酒”を飲む事と神体だろうが分体だろうが俺を襲う事を禁止する。
追加して、俺が如何なる存在であったとしても、発言は神体と分体の両方に適用されるとする。
今回の件を了承する代わりに、それを了承しろ。いいな?」
「「「「「承知致しました」」」」」
「今後何かあっても嫌だから、トウもその辺は承知しておけ」
【承知致しました】
相変らず向かい合って抱っこ中のトウにも念押ししておきます。
もう二度と同じ過ちは繰り返すまい・・・。
「は~っ、全く。頭が良いと褒めるべきか、悪知恵が働くと言うべきか・・・。
まぁ単純に、今回は俺の言葉が足らなかったと言えばそうなんだがな・・・」
「では、主様?
無事ご理解頂けたご様子ですので、私共の子に名前を付けて頂けませんか?」
「はいよ・・・って、生まれるのが男か女かも分からずに、名前の付け様が無いだろうが。
ちょっと待ってろ。“完全鑑定”の記述を変更して、その辺も判る様にするから」
「確かにそうで御座いますね。では、もう暫くお待ちして居ります」
げんなりしつつ主寝室(神体側)へ。
部屋に入ると一見普通なんだけど、仄かに漂う独特な性臭が・・・。
もうやだ・・・とか思いつつ、換気扇を創造魔法で付けてとりあえずスイッチON。で、神体へ帰還。
若干オマタがカピカピしてたので、洗浄&乾燥・・・。泣けてくるわ!
んで、ちょっと落ち着いたら、モノリスの書を持ってリビングへ。
「ちょっと待ってろよ~。
っと、とりあえず“完全鑑定”に任意で詳細閲覧機能を付けたらいいか。
つーか、そもそも受胎後3日程度で雌雄の判別って可能なのか?
たしか産婦人科とかで男女の見分けが付くのって5ヶ月ぐらい経過してからだったような・・・。
まぁ受精卵自体の染色体を調べる訳だから、一応出来るか。
性徴が無くても、受精卵自体の染色体を調べればいい訳だから、その辺は神パワーを信じるか。
ま、悩むだけ無駄だな。とっとと記述変更して確認した方が早いわ。
ついでに神としての格と核も閲覧可能にしとくか。んじゃ早速」
“ぽわ~ん”“パン!”
単純に“任意で詳細が閲覧可能&神としての格と核も表示される”と追記するだけなので楽なもんです。
で、テスト。
「ほい終了っと。とりあえずルナからな。『完全鑑定!』」
で、表示されたルナの状態異常欄の妊娠項目をさらに詳細表示するイメージしてっと。
「ぬわっ!なんじゃこりゃー!!」
表示されたのがこちら。
名前:なし(格:下級神・核:下級神)
種族:獣人族???種???科(雌)
年齢:-(誕生前)
職業:なし
状態:正常
HP:1972/1972
MP:2059/2059
SP:1945/1945
STR:1875
INT:3708
AGI:2807
DEX:2811
MID:1847
所持スキル:多過ぎるので割愛。神話級(神の祝福関連以外)と一部の特殊を除いた全てのスキルが1レベルで並んでます。
マスタースキル:神の祝福・完全変身・不老(封印状態)・不死・ステータス偽装・念話・練気魔闘術・常在戦場
・神に認められし者・魔貌の女・善人・肉体言語・酔拳・複製魔法・ダンジョン核移動・ダンジョン操作
LP:-/-
LUK:1409
CHA:869
HGR:100%
TIR:100%
SLE:100%
KAR:0
HP自然回復量:671
MP自然回復量:635
SP自然回復量:703
成長状態:胎児
最大所持重量:1875kg
ATK :3892
MATK:5769
DEF :3731
MDEF:5591
・・・色々と突っ込み所が満載過ぎて、どこから突っ込んで良いやら・・・。
とりあえずステータス値は異常の一言。恐らく俺の神体とルナの平均値の1~3%って事なんだろうけど、
どちらも元となる両親が異常過ぎるステータス値なので、こんな数値なんだと思う。
どの数値も“神の試練”中のはずなので、実質この100倍ぐらいのステータス値のはず。
つーか生まれながらにチート過ぎ。現時点のこのステータスですら、分体の俺やトウと同じぐらいって所か?
あ、まだ生まれてないか。
・・・ん?生まれてないのに既にステータス値があるっておかしくね?
まだまだ細胞分裂してる途中の段階のはずなのに、もうステータス値を持ってるの?
・・・その辺は俺の“胎児”に対する認識なんだろうか・・・?
“胎児”って存在をイマイチ明確にイメージ出来無いんで、多分無事に生まれた直後時点でのステータス値なんだと思う。
なので、まだ現段階としては保持ステータス予定値って感じなんじゃないかな?
そうなると、当然今の段階(誕生前って事ね)でスキルレベルUPとかはしないだろうと予想しました。
ま、俺が予想出来るって事は、無意識にでもイメージ補完でそういう感じになったんでしょう。
で、既に下級神ですか。そうですか。すみません。そこまでは予想してませんでした。
ただ、確かに俺(上級神)とルナ達(下級神)の子だったら誕生時点で既に神でもおかしくは無いですね。
俺の認識不足でした。ハイ。
成長状態も“胎児”になってますな。年齢とかLP値も同様に予想外の表示になってます。
確かにまだ生まれて居ない存在の成長状態とかを、いちいちモノリスの書に記述した覚えがないわ。
多分俺のイメージ補完で表示されてるんだろうけど、まぁこの段階で“幼生”はちょっとおかしいと言えるので納得です。
一応成長状態に関しては後で追記確定かな?。他は放置でも問題無いと思うので放置で。
あと、種族が“???”になってるのはかなり謎です。
が、タリズ達の子を“完全鑑定”してみて何となく理解しました。
ちなみにタリズ達の子の種族は以下の通り。ステータス値とかの異常さは殆ど同じなので割愛。
タリズ→翼人族翼人種鷲科(雌)
リヴィア→竜人族竜人種水竜科(雌)
フェン→獣人族犬種狼科(雌)
シファード→竜人族竜人種???科(雌)
こんな感じ。
要は元となる魔物とかをそのままのイメージで、人間にした感じなんだと思う。
今回の場合で言えば、人間の俺(神体)と魔物(人化状態)なルナ達の間に生まれたハイブリッドって感じか。
そう言えば狐科とか聖竜科とかは創ってないので、多分“???”の部分はソレだと思うし。
多分この辺は、俺が意識を持った状態でルナ達と子作りしなかった弊害って所ですかね。
俺が神体で意識を持った状態だったのなら、ミツハルさんトコと同じ“人間”になってたと思うし。
とりあえず“何となく”でも理解しちゃったんで、多分こちらも俺のイメージ補完が働いたんじゃないかと予想。
って事で、人類に新しい種族の追加が決定ですな。
根本的な問題として、人化状態の魔物との交配なんて予想して無かったんでね。
ついでに言えば、神獣や神人でも同様の現象が起こる可能性があるので、神も含めて修正しなきゃいけません。
若干面倒臭いけど、確かに狐系の人間とかは記述漏れしてたわ。
狐耳とか、メジャーなケモミミなのに何で記述するのを忘れて居たのやら。
つーか全員雌と言うか、女の子でした。“産み分け?何それ?”って感じ。
あと、スキルに関して気になった点も幾つか。
俺以外に取得している存在を創るつもりが無かった“ダンジョン核移動・ダンジョン操作”を持っている(全員)事。
同様に、俺とトウ以外に存在しないはずの“影隠れ”を持ってる子(ルナ・フェン・シファードの子)が居ました。
で、慌ててモノリスの書の記述を確認。
その辺のスキルについてモノリスの書の記述を確認してみたら、とりあえず“影隠れ”に関しては、
“影隠れスキルは神および神の分体と後述する饕餮専用のスキルとし、付与等も不可能なスキルとする”
って記述になってたので、“神であるリュウノスケおよびその分体”と記述すべき所だったのをミスってたらしい。
まぁモノリスの書の記述時点で、生まれながらに“神”の存在を想定して無かったせいだと思いたいです。
で、“ダンジョン核移動・ダンジョン操作”は特殊スキルなので、純粋に遺伝しただけだと思われる。
その割には“優秀の才”とか“天賦の才”は全員持ってませんでした。
正直引きが強いのか弱いのか、微妙・・・。
ただ、これらのスキルは持たせるつもりが無いので“封印”じゃなくて“削除”のスキルも追加しなきゃいけませんね。
“神の祝福”関連以外の神話級についてはちゃんと記述してたから、それ以外の神話級はこの子達も持ってないんだけどね。
それに関しては、ちゃんと“神の祝福”スキルを保持する記述はしてた分、他でやらかした気がしますが・・・。
つーか“神人”を通過してないけど、その辺は問題無かったみたい。俺の認識補完だと思う・・・と言うか思いたい。
此処に来て、今更ながら一気にモノリスの書の記述漏れとかミスが噴出した感じです。
俺の気分的には、万全の状態でテストを受けたはずなのにいっぱいミスって減点食らいまくった感じ。
とりあえず明日の予定を変更して、モノリスの書の記述作業しなきゃ・・・。
つーか今からとっとと取り掛かるか。
「で、主様どちらでしたか?」
わくわくしながら聞いてくるルナ。他の面子も俺の反応待ちっぽい。
あ~先にこっちの処理をしなきゃいけないのね。
「とりあえず確認したが、全員が女の子だった。
ただ、色々と種族とかスキルに問題があるから、モノリスの書の記述を加筆修正しなきゃならんわ」
「そうですか。
お急ぎでしょうが、先に名前だけでも付けて頂けませんか?」
「後じゃ駄目なの?」
「早く愛情を持って育てたいので、可能でしたら今すぐにでもお願い致します」
「う~ん。俺ネーミングセンス無いからなぁ・・・。まぁいいか」
で、こうなりました。
ルナの子 →レナ
タリズの子 →エッジ
リヴィアの子 →ルビア
フェンの子 →リル
シファードの子→ファー
それぞれに名前を付けたら、名前を呼びつつ愛おしそうにお腹を撫でるルナ達。
完全にママさんになってます。が、俺としてはタリズ達には違和感しか感じん・・・。
「あ!前にも言ったと思うけど、ちゃんと子供を産みたいなら他の姿には絶対に変身しない事。
後、今はまだ大丈夫だけど、1ヵ月後ぐらいしたら急に疲れやすくなると思うから予め言っておくぞ?
で、そんな状態になると鍛練どころじゃないから、訓練等も今後暫くの間は禁止な。
そうなるとお前らがかなり暇になると思うんだが・・・。
・・・そうだな。トウ!予定変更して暫くは従者教育をルナ達から受けろ。
戦闘訓練はルナ達の出産後暫くしてからまで、一時中断する。
つーかそうでもしないと、ルナ達の出産に手が回らん。お前も色々と手伝える様になれ。
その期間中は人化も許可するから、適当に人化して、ルナ達の身の回りの世話とか色々やっててくれ。
一応俺もある程度手伝うけど、出産に関しては完全に無知だしなぁ。
まぁミーさん達とか美の神様に色々と聞いて勉強した方がいいと思う。俺も含めて全員が、な?」
【「「「「「承知致しました」」」」」】
で、早速人化してみるトウ。
ちょっと気合の入った感じの“シュッ”とした黒人女性って感じに変身。つーかまた女子か。
不細工じゃないけど、ルナ達みたいな“絶世の美女”って感じでも無いぐらいの女性体でした。
でもその姿に何処か見覚えがありそうな気がするけど、イマイチ思い出せん・・・気のせいか?
俺の知り合いに、黒人女性ってそんなに多く無かったはずなんだが・・・。
とりあえず全裸なので、メイド服を出したら執事服の方が良いとの事。
まぁどっちでもいいので、修正して着せておきました。
トウにはクローゼットが無いけど、記憶装備のバングルがあるから問題無いでしょ。
で、ルナ達の服も今はメイド服だったり執事服なんだけど、さすがに妊婦が着る服じゃないのでちょっと悩む。
・・・結果。面倒臭いのでポンチョと言うかスモックを作成。
一応体を締め付けない様なゆったりサイズにしてあります。単純に大きめのワンピースって言ってもいいかな?
早速着替えて貰いました。付与はいつもの通りです。
で、ふと思いつく。
「あ~全然関係無いんだけど、ちょっと試しにお前達の子供の誕生日が同じ日になるようにイメージしといてくれる?
後、すんなり生まれるように安産のイメージもね。
そうだな・・・。
来年の3月26日に、ルナから順番に3時間ずつずらして誕生する感じでお願い。
俺も同様のイメージを持っておくから、悪いけどそうして」
「それは別に構いませんが、安産は別として何か理由でもあるのでしょうか?」
「ん~。特に深い理由は無いんだけど、正直に言って今回の件だと“俺の子”って実感が薄いのよ。
実際には確実に俺の子なんだろうけどな。
で、ちょっとでも俺と言うか“神の子”として、その辺で俺の気持ちを整理したい訳。
“神である俺の子だったら、俺が望んだ日時に生まれてくれるぐらい簡単だろう?”ぐらいの気持ち。
実際に俺の予想外のステータスを持ってたり、種族だったりしたから、それぐらいは“神の子”として叶えて欲しいのよ。
まぁ単純に俺の我侭なんだけどな~。
まぁさすがに母体や子供への悪影響があったりするなら言わないけど、そんなイメージは無いしな。
つーかお腹の子も含めて、一応全員不死だし。問題は無いと思うんだよねぇ。
ぶっちゃけると、多分何のイメージも持たないままだと、シファードの子が一番最初に生まれると思うのよ。
で、お前ら・・・と言うか俺達の子供に関して、お前らと順番が入れ替わるのも面倒だな・・・と。
まぁ理由としてはそんな感じ。
まぁ単純に長姉の子が長姉として生まれてくれればいいな~って程度なんだけどね。
もう本当に俺の我侭兼実験だから、深刻に考えなくてもいいよ。
ただ単純に“そうだといいな”って程度だから」
「単純にイメージを持つだけで宜しいのでしたら、別に構いませんが?」
「それでいいよ。んじゃよろしく。皆もね」
「「「「はい」」」」
「んじゃ、トウも従者訓練開始になるけど頑張って。
まぁ俺の方で魂の神様に今回の件は報告して、ミーさん達にヘルプを頼めないか聞いてみるから。
自分で言っておきながら何だけど、全員が同日出産とか。確実に人手不足になるからね。
ま、最低限出産の手伝いが出来ればいいから、無理はしないように」
「承知致しました」




