第138話 禁酒指定と依頼
立ったままなのも何なので、2柱にはソファーに座って頂いてコーヒーを飲みつつお話を伺います。
一応ルナ達も座って同席。トウだけはその辺でゴロゴロしてますが。
「で、改めまして。
どういったご用件でしょうか?」
『そうじゃのぅ・・・何から話せば良いやら』
『最高位神様。先に私から説明させて頂きます』
『そうじゃの。とりあえず任せるとするか』
『承知致しました。
で、リュウノスケくんさ。あのお酒・・・オド酒だっけ?
あれを飲んだせいか、私と美の神やミツハルくんの所もそうなんだけど、子供が出来ちゃったんだよねぇ』
「え!それはおめでとう御座います!
あれ?喜んでいいんですよね?魂の神様の表情が微妙ですけど・・・。
何か問題でもあるんですか?」
『いやまぁ・・・とりあえず子供が出来た事に関しては、祝ってくれて有難うと言っておくね。
で、本題。
問題と言うか・・・まぁ結論を先に言っちゃうけど、あのお酒を飲んだ場合。
“結果的に”かどうかは不明だけど、出生率に影響してそうなんだよ。
例え“神の子”であったとしてもね』
「へ~。
まぁ“結果的に”な場合なら当然でしょうね。
あ~。
それじゃぁ問題としては“結果的に”じゃない可能性が問題って事ですか?」
『う~ん。
そうとも言えるし違うとも言えるんだよねぇ。
詳細は不明だけど、要はあのお酒を飲んだ場合、例え“神の子”としてでも子供が出来るって事が問題なんだよねぇ。
他にも問題があるんだけど』
「ん?その違いが良く判りませんが??あと、他にも?」
『要はアレじゃ。
ぶっちゃけるとオド酒を飲んだら“神でさえ子供が出来る可能性が飛躍的に高くなる”と言う事が問題なんじゃよ。
そこに到るまでの過程は置いておいての。
ただでさえ余っとる神がさらに増える事になるからのぅ。
他の問題については後で説明するから、とりあえず黙って聞いておれ』
「あ~了解です」
『今までは“神の子”の出生率が低かったから問題無かったんだけど、あのお酒があれば子供が出来るって事かな?
先ずそれが問題になっちゃってね?
今年、始祖の神様や私達が持ち帰った“オド酒”を飲んだ神で、配偶者が居る神なんかは全員子供が出来ちゃったんだよ。
配偶者が居ない神でも、あのお酒のせいで新たにくっついた神だって居るしね。そこにも子供が出来ちゃったし。
その他の神はどうやって処理したのかまでは知らないけどね。
で今の所“神の子”でも出生率が100%だったから、始祖の神様が酒の神に詳細を調べさせた結果が問題になった訳さ。
ちなみに酒の神の所でも子供が出来たらしいよ?酒の神にも奥方が居るしね。
そのせいで、今は神々の世界の上級神達にちょっとしたベビーブームが来ちゃった感じ』
「へ~。
でもそれって私は関係無くありませんか?要は飲まなければ問題無い訳だし。
お土産をどうしようが自由ですが、それで問題が出たとか私のせいじゃ無くありませんか?」
『いやいや。
ただ単に“出生率に影響するお酒”ってだけでも問題なんだけど、あれってこの上無く旨いからねぇ。
今後は“問題がある”とは言っても、独占する訳にもいかなくなっちゃったんだよ。
今更“飲ませません”なんて言ったら飲めなくなった神々も不満が出るだろうしね』
「うわ~。また私の知らない所で問題になってるじゃないですかぁ・・・。
正直そこまで知りませんよ。
前にミツハルさんの所で問題になったのと殆ど同じノリじゃないですか」
『正直、それだけならまだ何とかなったかも知れんが、さっきも言ったが他にも問題があっての』
「他の問題って何ですか?」
『リュウノスケくんの意識としては、精力剤とか滋養強壮剤的なイメージで創ったんだろうけどね。
無意識かなのかも知れないけど、他にも効果があったって事』
「何です?その効果って。他の効果なんて記述した覚えは無いんですけど・・・」
『神としての核の成長じゃよ』
「え゛?なんでお酒ぐらいで神としての核に影響があるんですか?」
『それはこっちが聞きたいわい!
ワシですら酒の神からその話を聞いた時は唖然としたぞ!
まぁ酒の神以外には一部の上級神にしか飲ませて居らんかったから、それほど影響は無かったがのぅ。
じゃが、もし中級以下の神があの酒の存在を知ったら荒れるじゃろ?
じゃから現状としては、あの酒の存在を飲まなかった上級神や中級以下の神々に対しては秘匿して居る。
ちなみにじゃが、此処に来る前に確認してきたがミツハルの核も上級神に成長して居るぞ?
まぁ認識のせいもあって、格自体はまだ中級神のままじゃったがのぅ。
中級神じゃった酒の神も上級神になったしのぅ・・・。
・・・ともかく、じゃ。
今後、今のオド酒に関して口外する事をワシの権限で禁止する事を、既にあの酒を飲んだ者達には通達した。
当然ミツハルらの所も同じくの。
じゃからリュウノスケもあの酒の話を他の神々にしてはならんぞ?
まぁ交流自体が無いからその辺は心配して居らんが、当面製造も禁止じゃ』
「え~。せっかくウチの世界の特産品にしようと思ってたのに・・・」
『まぁ待て。話は最後まで聞かんかい。
でじゃ、ワシからの依頼じゃ。
リュウノスケよ。今のオド酒と変わらぬ旨さの酒を新たに創れ。
魂の神からオド酒の詳細を聞いたが・・・“モノリスの書”じゃったか。
その記述から薬効成分を除いただけで良いのじゃから簡単な事じゃろ?』
「ん~・・・。
あぁ。まぁ確かにそうですね。多分簡単に出来るかな?」
『ちゃんと薬効成分を除いてくれればそれで良い。
今回のオド酒に関しては“イレギュラーだった”として処理出来るからの』
「じゃぁ今のオド酒は完全に“お蔵入り”ですか?」
『いや、それもそれで問題があるんじゃよ。
あの酒を知っていて、子を欲する神が望んだ場合なんかの時じゃの。
その時用に極めて少量にはなると思うが必要な事があるやも知れん。
実際問題として、特別に下賜する場合や子を欲している神に下賜する場合には有用な手札じゃしの。
じゃからワシ自身が直接依頼した場合を除いて、基本的には製造や流通も禁止とさせて貰いたい。
まぁリュウノスケの世界の中だけでなら、お主の世界でもある事じゃし好きにして良いがの』
「はぁ。
まぁ想定していた以上に、色々と問題があると言う事でしたら仕方が無いですね。
オド酒に関しては承知しました。
あ~あ。せっかく創ったのになぁ・・・また記述変更か。メンドイ・・・あ!」
『ん?何?』
「あ~すみません。そう言えばウチのルナ達も飲んだんですけど、問題ありますかねぇ?
ルナ達はまだ神じゃないらしいですけど、限りなく神に近い存在とか以前仰ってましたよね?」
『飲ませちゃったの!?』
「いや、ルナ達が従者訓練の一環で勝手に飲んだんですけどね?
私から飲ませた訳では無いですよ。どれだけ飲んだのかも知りませんし」
『ちょっと調べさせて貰っていい?』
「どうぞ。と言うかルナ達次第かな?まぁいいや。
皆も話を聞いてたでしょ?どんな影響があるか判らないから、全員魂の神様に協力して」
「「「「「承知致しました」」」」」
順番に魂の神様の前に並んで身体検査。まぁ軽く額に触れて貰うだけですが。
当然飲んでいない(と思われる)トウは除きます。
で、ほどなく終了。若干魂の神様がお疲れ模様。
その流れで一番最初に身体検査を終えたルナだけ中座して、バタークッキー系のお茶請けを準備。
中々気がつく様になってくれてて、嬉しいですな。
改めてコーヒーを配ってクッキーを摘みつつ、魂の神様に結果を聞いてみる。
「で、どうでした?何か問題ありましたか?」
『・・・全員神としての核を持った存在になってるよ。まぁまだ下級神クラスだけど。
正直言って訳が判らない状態ってのが正確な所かな?
神としての核があるのに神じゃない存在なんて聞いた事が無いんだけど?』
「へ~。
って、神じゃないのに神としての核が有るんですか?
それじゃぁ前の私みたいに核と格の齟齬で問題とか出てきますかね?」
『言ったでしょ?訳が判らない存在だって。そんな事知らないよ・・・全くもう。
あ゛~リュウノスケくんの所は面倒事が多過ぎて嫌になるよ。
ミツハルくん所のミーちゃん達も一応調べておいた方がいいかも知れない。
彼女らも不老だったし、神としての下地は出来てたしなぁ・・・』
「その辺は意図してやった訳じゃ無いんですけどねぇ・・・。
とりあえずお前ら。存在として神に成れるらしいから、一応なっといて。
いちいち核と格の乖離で問題が出るのも面倒だし。
どうやって神になるかは多分認識の問題だから、各自で試行錯誤してね。
ってそうなるとステータス欄にも神の項目が必要になってくるな。あ~また追加記述しなきゃ・・・」
『つくづくリュウノスケの所は規格外じゃのぅ。
ぽこぽこ神を生み出す世界なんぞ、易々と許容出来んぞ?』
「まぁその辺は今のオド酒の記述変更したら問題自体は無くなると思うので勘弁して下さい。
と言いますか、こいつらがオド酒を飲んだ事自体私の指示じゃありませんでしたからね。
つー事で、今後はお前らもオド酒を飲まないようにね」
「「「「「善処致します」」」」」
「全員が声を揃えて“善処”とか言うな!そこはちゃんと了解しろよ!
今回みたいに“ハメ殺し”とか、俺は2度と御免なんだからな!」
『おんや~?リュウノスケくんの所でも色々あったみたいだねぇ?
その辺ちゃ~んと詳しく聞こうか』
ニヤニヤしつつ突っ込んでくる魂の神様。始祖の神様もニヤニヤしてます。
うわっ超うぜぇ!
「それよりも、ミツハルさんの所はいいとして、魂の神様と言うか美の神様がご出産される場所はどうなるんでしょうか?
確か自分の世界を持って居られないんですよね?」
『まぁ後から突っ込めばいいか。今はスルーしてあげるよ。今はね・・・。
さっきも言った様に、今一部の上級神達はベビーラッシュでね?私同様に自分の世界を持って居ない神々も多いんだよ。
で、結論としては始祖の神様の世界に仮住まいを用意して頂いて、そこで出産って流れだね。
ま、そこから先の話も相談したくて来たんだけどね?』
「そこから先の話ですか?ん~?何だろう」
『まぁ大した話じゃないよ。
先ずは今年の年末は私達もミツハルくんの所も、此処に来られないかも知れないって事の連絡だね』
「あぁ確かに。
タイミング的には出産の前後になるかも知れないし、父親だけが正月休みとかダメ親父ですものね。
了解です・・・あ!そうか。現状魂の神様の帯同者だけが此処への進入許可状態だから、始祖の神様だけだと来れないんですね?」
『そういう事。
まぁ出産時期的に後数十日って所だから、母子共に安定してればお邪魔するかも知れないけどね。
その時は私やミツハルくん達も来る事になるけど、一応始祖の神様だけの場合でも私と同様の許可を出しておいて欲しい。
多分今の状態だと来れる可能性の方が高いから不要な事かも知れないけど、その辺は念の為にって感じかな?』
「了解です。んじゃ早速・・・。
“最上位神及びその帯同者をリザ系銀河内に進入することを一時的に許可する!”
・・・こんな感じだったかな?もうかなり前の事だから忘れてるわ・・・」
『ん~OKだね。大丈夫だと思う。
んじゃ、次のお願いね。と言うかこっちが今回のメインなんだけど』
「う~ん。面倒事の予感がします。
とりあえず、先程の私達の事情の件には突っ込まない事を条件として、お伺いします」
『ちっ。まぁいいや。大体想像はつくから』
舌打ちとか。魂の神様も随分と砕けて来たなぁ・・・。
『で、用件なんだけど、私と美の神の間に出来た子は双子の女神なんだよ。
しかも生まれながらに中級神の格と上級神の核を持った存在なんだよねぇ』
「へぇ!さすがは魂の神様。と言うか、もうそこまで判明してるんですね」
『そうそう。でね?本題。
神々が余ってるって話は散々したと思うけど、ウチの子らもどうしようって話になってね?
どうせすぐに上級神に昇格する可能性が高いから、最初から何か役割を持った女神にしようって話になったんだよ。
余ってる世界を統治させてもいいけど、現状としては余り意味が無いからどちらにせよ同じ事だからね。
で、多分リュウノスケくんのせいで誕生した経緯から“従者の女神”と“接待の女神”がいいんじゃないかって話になったのさ。
ついでに始祖の神様の護衛&寵女神(?)としても兼ねるんだけどね?』
「それはまた・・・何と言うか・・・色々とぶっ飛んでませんか?
まだ生まれてないのに、将来の伴侶が強制的に決められてる事とか、どうかと思いますよ?
って言うか、その提案は始祖の神様からですかね?だったらドン引きなんですけど・・・」
見た目が完全にお爺ちゃんな始祖の神様の所へ、部下(?)である魂の神様の双子の女神が将来的な愛妾になるとか・・・。
始祖の神様の提案だったら、パワハラ&ロリコンにも程がありませんか?光源氏計画にしても度が過ぎている様な・・・。
『そんな目でワシを見るな!最初はワシが提案した訳じゃないわい!』
「でも寵女神(?)なんですよね?
言ってみれば、将来の愛人候補って事じゃないですか?まだ生まれてないのに」
『じゃから、“護衛兼寵女神(?)”と言っとるじゃろうが!
基本は“従者”と“接待”を司る女神じゃぞ!』
「じゃぁ手を出す事は無いんですか?」
『それはそのぅ・・・じゃなぁ・・・』
「始祖の神様も手を出す気があるんじゃないですかぁ~。
ソレ。かなり引きますよ?まだ生まれてもいない子、と言うか女神を将来的に自分の愛妾にするって言ってる様なものだし」
『だ~っ!判ったわい!
ちゃんと成長して、自分の意思でワシの寵愛を受けたいと思わない限り手は出さんわい!
それで良いのじゃろうが!』
「いや、それって普通の事だと思うんですがねぇ・・・」
『大体リュウノスケが創った酒が大元の原因ぞ?
今までワシには性欲なんぞ無かったんじゃからの!
あの酒のせいでワシの性欲が目覚めたんじゃからな!』
「いや、それでも・・・」
『まぁまぁ、ちょっと待ってよ。本題はそっちじゃないから。とりあえずそこまではOK?』
「はい。突っ込み所が満載ですけどね」
『じゃから!』
『宥めるのも面倒なので、とりあえず話を進めるね。
で、だ。リュウノスケくんに私からの依頼。
先ずは出産後、体調が安定したら、美の神とその双子が此処に長期滞在する事を許可して欲しい。育児の為だね。
次に生まれてきた双子を教育して欲しい。こっちは美の神とかルナちゃん達に任せてもいいからね?
別にリュウノスケくんが直接手出しして欲しい訳じゃなくて、リュウノスケくんの異常な世界で実力を伸ばしたいってのが理由だから。
むしろルナちゃん達に育児の協力をお願いしたいって感じかな?
ルナちゃん達には従者教育してるんでしょ?だったらついでにウチの子達にも同様の教育をお願いしたいって感じ。
将来的には“従者”と“接待”の女神になる予定なんだから、此処ほど最適な場所も無いからね』
「なるほど。とは思いますけど、此処じゃないと駄目なんですかね?」
『正直言って私の娘達を隔離したいってのが一番の本音かな?
前に聞いたと思うけど、私は原初の3柱の1柱だからね。
そんな神と上級神の間に出来た、生まれながらに中級神の格を持ち上級神の核を持った女神。
しかも将来的には始祖の神様直属かつ愛妾になる事まで決定している。
普通の神とは違い過ぎるし、どんな扱いを受けるかも分からないからね。良くも悪くも目立ち過ぎる。
一応親として、ある程度は普通に育って欲しいと思うからね。
まだまだ子供の時点で悪意とか下心満載の神と接触する事を考えると、いっその事隔離しちゃった方が楽かな?って事だよ。
その点リュウノスケくんの所はある意味隔離されてるし、完全に普通かどうかは別として、育児に専念出来そうだしね。
私達にとっては、理想的な場所って事かな?
このお願いについては既に美の神の了解を得てるし、そもそも美の神自身の提案でもあるしね。
他の神々から余計な干渉を受けること無くって事は、ある意味箱入り娘になる訳だけど、
その辺はこの世界の異常性を期待して子供達自身で自衛能力を高めればいいやって事で私も同意したしね。
対等かどうかは別だけど、ルナちゃん達も居ればコミュニケーション不足って事にもならないだろうし。
美の神は常に此処に滞在する事になるけど、私は役目上、色々な世界を移動しなきゃいけないからね。
常に一緒に居られる訳でもないなら、いっその事・・・って考えた結果なんだよ。
それでどうだろう?駄目かな?』
「ん~強く否定する理由は特にありませんけど、ミツハルさんの所じゃ駄目なんですかね?
丁度同じ歳の神の子が生まれるなら、コミュニケーションとか友達付き合いも考えるとそちらの方が都合が良いと思うのですが?」
『確かに少しはその辺の事情も考慮して考えたんだけどね?でもすぐにボツになったんだよ。
理由としては、他の神が統治する世界により上位の神が長居する事になるのが一番の理由かな。
神としての都合は良くても、世界としては良い影響は出ないだろうってね』
「どういう事ですか?」
『ん~先ずはミツハルくんの問題。今は中級神だけど、美の神は既に上級神だからね。
もしかしたら美の神の影響で、ミツハルくんの世界にミツハルくんが意図しない影響が出る可能性がある事が1つ。
もう1つはミツハルくんの世界での美の神に接する機会がある人類に対する影響とかだね。
同じ世界に神が複数居て、より上位の神への信仰心と言うか忠誠心が芽生えた場合なんかだと面倒な事になるからね。
中級神であるミツハルくんが下に見られる可能性が否定出来ないでしょ?
短期滞在ならまだ問題無いだろうけど、長期滞在の場合だと厄介事になりそうだからね』
「あ~確かに。そんな事になったら、またミツハルさんの世界で揉め事が起こる要因になりますね。
ん~・・・まぁいいか。私が積極的に何かする訳でもないし。
滞在出来るのは此処の居住区限定になりますけど、それは了解して貰えますか?」
『うん大丈夫。遊び場としてのスペースも此処の遊戯室があれば十分だしね。
ただし美の神に手ぇ出したら、幾らリュウノスケくんでもブチ殺すけどね。私に出来るかどうかは判らないけど』
ドス黒い物を抱えた様な目でこっちを見る魂の神様。
目がマジ過ぎます。
「ははは。それは有り得ませんよ。
さすがに散々お世話になった魂の神様を裏切る様な真似はしませんて。
大体そんなつもりがあったら、魂の神様と美の神様をくっつける様な事をしませんよ?』
『ならいいけどね。で、判るよね?』
「美の神様が単独の場合にも、この世界への進入許可を出せばいいんですよね?」
『そういう事』
「はいはい。
“美を司る女神及びその帯同者をリザ系銀河内に進入することを一時的に許可する!”
・・・これでいいですか?」
『OKOK。んじゃ宜しくね』
「は~軽く言ってくれますねぇ。
私としては若干面倒事が増えたって感じなんですけど・・・」
『ん~まぁ美の神に対しても言っておくけど、ルナちゃん達の接客や従者としての訓練を美の神に任せちゃってもいいよ?
そうすればお互いにWIN-WINでしょ?
定期的にリュウノスケくん自身が問題無いかチェックすればいいだけだし、美の神も育児以外は暇だろうしね』
「確かにそうして頂ければ私も楽かな?
色々な意見を聞けたほうがルナ達の為にもなるし。
了解しました。ではそういう事で宜しくお願いします。
あ!確認してませんでしたが、美の神様の滞在開始と滞在期限ってどうなりますか?」
『滞在開始は次に美の神達が此処に来た時からになるね。当然出産後、子供達を連れて来た時だね。
滞在期限としては・・・ちょっと判らないなぁ。
とりあえず上級神になって、ちゃんと“従者の女神”と“接待の女神”として一人前になるまで。かな?』
「あ~。それだとかなりの長期滞在の可能性が高くなりますねぇ・・・。
ん~どうしようかな・・・。
・・・仕方ないか。始祖の神様と魂の神様に関しては、美の神様同様に居住区限定である程度の長期滞在を許可しますね。
じゃないと、特に魂の神様がちゃんと父親としてお子さん達に認識して貰えないかも知れないですし。
始祖の神様はついでになりますが、将来仕える相手になりますから、たまには顔を合わせておいた方がいいでしょうしね。
ただし、お客様としての滞在は認めません。
ですので食事等に関してはお出ししませんので悪しからず。当然お酒類も出しませんし、接待もしませんからね。
後、客室や浴室等の使用は許可しますが、無駄に居座ったりする事も当然禁止とします。
ちゃんとご自身の役目は果たした上での滞在に限定させて頂きますね』
『むぅ。ケチじゃのぅ。密かに期待して居ったのに・・・』
「ま、ルナ達の従者訓練の一環でしたら飲食に関してはOKにしますから、それで了承して下さい。
あ!逆に言っておきますが、ルナ達に手ぇ出したら始祖の神様であろうとブチ殺しますので覚悟しておいて下さいね?」
『ワシ。信用無いのぅ』
「まぁこれはお互いの為でしょうか?
私の知らない間に強引に迫って、本気のルナ達の逆襲にあった場合の命の保証が出来ませんからね。
ルナ達が受け入れたら・・・まぁそれはそれで仕方ないかな?正直ちょっと不快ですけど」
「あら嬉しい事を言って下さいますね。
主様、ご安心を。
私共は主様に仕える者として、自身の貞操は自身で守りますわ。
始祖の神様であっても、自身の貞操を守る為に抵抗しても良いと言質さえ頂ければ十分で御座います。
私共の主は始祖の神様では無く、主様ですので」
ルナの発言にうんうんと頷くタリズ達。つーかトウも同意してるし。良く判らん状況です。
「ならいいか。
他の件に関してもルナ達は問題ない?」
「問題御座いません。むしろ美の神様へ擬似的にお仕えする事で色々と学ばせて頂く良い機会となります」
タリズ達も相変らず頷いて肯定の模様。どっちかって言うと歓迎してる感じっぽい。
「ではルナ達も問題が無いみたいですし、決定と言う事で。
他にご用件はありますか?」
『ワシから1つ良いかの?』
「なんでしょうか?」
『話を戻す様で何じゃが、今のオド酒に関してじゃ』
「ん?とりあえず始祖の神様以外に流通させない事と新しいオド酒を創るだけじゃ駄目なんですか?」
『いや、新しく酒を創って貰う件に関してではなく、今のオド酒の効果を少し変更出来んかの?』
「どういう事でしょうか?」
『いやの?滋養強壮剤的な面をむしろ強化して欲しいんじゃよ。
正確に言うならば“神としての力”にも影響する様に変更出来んかの?』
「あれ?神としての核に影響があるのが問題なんじゃありませんでしたっけ?それを強化するんですか?」
『いやいや、核に関する影響は消去して貰いたいが、“神としての力”に関しての“回復力”を強化して欲しい』
「あ~そういう意味での“滋養強壮剤”って事ですか。
それは分かりましたが、何故ですか?現状でも十分に強力な強壮剤だと思うのですが?」
『色々と問題がある事が判った後に、あの酒を原初の3柱に飲ませたんじゃよ。寝たきりである魂の神以外の2柱にの。
そうしたら短期間ではあるが、普通に活動出来たんじゃよ。
飲ませた量が少なかったせいか、性欲的にはさほど影響が出んかったが、あ奴ら2柱はこの世界を生み出した直後から寝たきりじゃからの。
それを考えると少々不憫でな?出来る事ならば少しの間でもあ奴らにも普通に神として生活させてやりたくてのぅ』
「あぁ。確かにそうですね。
という事は、神としての核に対する影響は消去して、いわば“神力”の回復剤としての効果を強化するって形で構いませんか?」
『それで構わん。頼めるかの?』
「はい。構いませんよ。
でも“精力剤”的な面は残したままでも構わないんですよね?」
『それは構わん。
と言うか、あ奴ら2柱にも子が出来る可能性があるのならば、今までの功績を考えれば子を成してやりたいしのぅ。
今回あ奴ら2柱に飲ませたのが独身の上級女神が口移しで飲ませたのじゃが、今回の事で互いに好意が芽生えたようじゃしな』
「なるほど。
そういう事なら私としても協力させて頂きたいですね。
“私”と言う存在はその2柱の神様のおかげで誕生したとも言えるのですから、出来る事でしたら協力させて頂きます」
『すまんの』
「いえいえ。まぁ多少モノリスの書の記述を変更する程度ですから構いませんよ。
他に何かありますか?」
『いや、ワシからはそれだけじゃ。
魂の神はまだ言い残した事はあるか?』
『御座いません。
オド酒に関しては始祖の神様のご指摘頂いた通りに修正して貰う事。
後は私達の子に関する依頼を伝えるのが私の主目的でしたので。
どちらもリュウノスケくんは問題無いんだよね?』
「はい。
神様方が帰られたらすぐにモノリスの書の記述を修正しますし、感じ的には皆さんで今年度末にはまた来られるのでしょう?
だったら問題がある場合はその時に改めてお伺いしますよ」
『ならば詳細についてはその時に改めて再確認すれば良いか。
邪魔をしたの。ではまた来た時によしなに頼むぞ?』
「はい。
と言うか、とりあえずせっかく来られたのですし、お茶請けぐらい全部食べてから帰られては?
お急ぎでしたらお引止めしませんが。
このクッキーもルナ達の自信作っぽいので、批評も頂けると嬉しいですね」
『そうじゃな。せっかくじゃし、少しゆっくりさせて貰うかのぅ』




