第135話 ひめはじめ?
半裸でぶつかり合う肢体。
そして、ぶつかり合う度に飛び散る汗。
荒々しい吐息。
交じり合う体液。
もう何度お互いの体をぶつけ合っただろうか。
数十回?数百回?
既に数え切れず、意識もうっすらぼんやりしたまま。
『はぁっ・・・はぁっ・・・リュウノスケは・・・はぁっ・・・小さいのぅ』
「はぁっ・・・はぁっ・・・そこはっ・・・技術で・・・はぁっ・・・カバーですよ・・・はぁっ・・・はぁっ」
それでも絶え間なく何度も何度もお互いの体をぶつけ合う。
『はぁっ・・・はぁっ。ワシが果てるまでっ・・・っはぁっ・・・付き合うて貰うぞ!』
「はぁっ・・・はぁっ・・・望むっ・・・所です!」
そしてまた、幾度と無くお互いの体をぶつけ合う・・・。
******
リザアース暦1002年1月2日。早朝で御座います。大体5時ぐらいかな?
只今始祖の神様と2人して朝っぱらから風呂酒中。
ちなみにオド酒は出してません。今回は幻の酒で飲ってます。
『ぷは~。運動の後に風呂酒。しかもキンキンに冷えた旨い酒ときた。
実にたまらんのぅ。体に染み渡るようじゃ!』
「ぷは~。あ~旨い。
結構鍛えて居たつもりなんですけどねぇ。
分体だったらやっぱり筋肉痛になっちゃうんですかね?体がだる重いですよ」
『まぁのぅ。神が筋肉痛になんぞならんじゃろ。
それでも神であるワシとやり合うたお主も、大概規格外じゃのう。
まぁ今に始まった事ではないがの』
「そうですかねぇ。
まぁお蔭様で意外と早くオド酒の影響も抜けましたし、いつも通りの時間に朝食にしましょうかね。
毎度代わり映えしない“おせち”で申し訳ないですけど。
あ!気になったんですけど、“神様”でも代謝ってあるんですね」
『む?いきなり何じゃ?』
「いえね?私の分体はともかく、始祖の神様も汗とかかいてたじゃないですか?
尾篭な話ですけど、排泄行為とかも神様って必要なのかな~?と思いまして」
『なんじゃそんな事か。
んぐっ・・・ぷはぁ~。その辺は嗜好品と同じノリじゃな。
やろうと思えば出来るし、別にやりたくなければしなくていい。と言った所じゃの。
まぁ排泄行為に関しては、延々と無制限に溜める事が可能と言った所か。
そうでなければ、今頃頑張って居るであろう魂の神らの様に性行為も不可能じゃろ?
基本的にはそれらと一緒じゃよ』
「あぁ!なるほど。
言い方は悪いですが“神様”にしてみれば、そういう事全てが嗜好品って事ですか」
『そう言う事じゃ。は~酒が旨いのぅ~』
「あ~朝食も何か気の利いた物を改めて用意した方がいいかなぁ」
『なに。十分に持て成して貰って居るから気にするでない。
ワシとお主の仲ではないか。
徹夜でやり合うた仲じゃ。最早ワシとお主は友じゃよ。
そんな瑣末な事など気にするな。がっはっは』
そのまま7時過ぎぐらいまでのんびり疲労を癒しつつ、風呂酒。
あ゛~疲労がお風呂に溶けて行く感じだわ~。
お風呂から上がったら、リビングでまったりコーヒータイム。
ルナ達も既に起きて来てたし、丁度良いタイミングで陸くん達も起きて来たので、一応一緒になって朝食を配膳。
ルナ達と陸くん達には先に食べて貰いました。一応従者教育もして貰いつつ・・・。
俺と始祖の神様はまだコーヒー飲んでますがね。
で、しばらくまったりしたら、熱燗&おせちで朝食。
のんびりまったりしながら雑談してたらお昼時。
ルナ達&陸くん達にお昼御飯を用意して、相変らず俺と始祖の神様はつまみを適当に食べつつ飲酒。
暫くしたら、魂の神様と美の神様が来られたので、朝昼兼用の食事(数の子増量済みおせち)を配膳。お酒はオド酒じゃないけどね。
で、始祖の神様と2人してニヤニヤしつつお約束の“お楽しみでしたね”をやったら、即行で魂の神様に突っ込まれました。
『リュウノスケくんさぁ?昨日飲ませてくれたお酒だと思うけど、アレ何?』
「あれ?あのお酒じゃ、ご満足頂けませんでしたか?」
『いや、美味しかったんだけど、そうじゃなくて。何か混ぜたでしょ?』
「あのお酒自体には、何も混ぜてませんよ?」
『じゃぁ何だって言うんだい?』
「どうかしたんですか?何か問題でも?」
俺と始祖の神様はニヤニヤ。
と、そこへミツハルさんだけが来られました。
「おはようございます。すみません、遅くなりました」
「いえいえ。ミーさん達はどうしたんですか?」
「あ~ちょっと色々とありまして・・・。
自分の分も含めて、寝室で食事をさせて頂いても良いでしょうか?」
「構いませんよ。ちょっと取ってきますね~」
「お手数お掛けしてすみません」
てって~と給仕室に行って、おせちのお重を3段に重ねたら戻ってミツハルさんにお渡し。
ついでに普通のお酒も付けました。
ミーさん達はアレかな?
それほど飲んでないから、足腰立たないぐらいにミツハルさんが頑張っちゃったのかな?
それが終われば、何か言いたげな魂の神様を完全スルーして、再び始祖の神様と楽しく雑談。
美の神様はかなり上機嫌にこちらの会話に参加されてますし、十分に満足して頂けた模様。
いよっ!頑張ったね!魂の神様!
その後も相変らずだらだらと飲食。
夕食前あたりにミツハルさんやミーさん達も集合したので、少し早めですがボアカツカレーで夕食です。
「ミーさんとクレマチスさんは、もうお体の調子は大丈夫ですか?」
「すごかったですニャ・・・」
「今までに無く、激しかったです・・・」
微妙に噛み合わない会話。
ミーさん達はまだ本調子じゃないらしい。
「リュウノスケさん。昨日のお酒に何か混ぜましたか?」
『だよね!そう思うよね!』
「だから何も混ぜてませんって」
『じゃぁ何であんな事になるのさ!』
「あんな事とは?」
『ぐっ・・・』
「えっと・・・あのお酒。オド酒でしたっけ?あれってどういうお酒なんですか?
昨日はこの世界の特産品にするとおっしゃってましたけど?」
「あぁ、あれはウチの世界の魔物を漬け込んだお酒なんですよ。
ミツハルさんなら分かると思いますが、まぁハブ酒みたいなもんですね。
元ネタとしてもそれだし」
「え゛・・・ってことは、色々と薬効成分が含まれるって事ですか?」
「そうですね。
まぁその色々が結構強力なんで、昨晩限定にしたんですけどね?」
『薬効成分ってどういう事?効能って何さ?』
「何でそんなに不機嫌そうなのかは理解に苦しみますが・・・。
薬効成分としては、滋養強壮・体力回復・精力増強って感じでしょうか?」
「『そのせいか(ですか)!』」
「あれ?お2人してハモってますけど、問題ありましたか?
お相手の方は問題なさそうなんで、別にいいかな~?と思ったんですけど?
美の神様も、ミーさんやクレマチスさんもご満足頂けた様子ですし」
嬉しそうに、うんうん頷くお三方。
「まぁ正月だし“ひめはじめ”としては丁度いいかな~?って感じで、始祖の神様と相談した結果ですから。
その辺は諦めて下さい。頼まれても、もうお出し出来ませんから」
「『頼まないよ(ですよ)!』」
「あら残念。お2人にはご満足頂けなかったのかな~?」
「『ぐっ』」
「ですよねぇ。お相手にもご満足頂けたみたいですし」
『・・・そういうリュウノスケくんはどうだったのさ?同じぐらい飲んでたはずだし』
「“どう”とは?」
「あ!リュウノスケさんってお相手が・・・始祖の神様も・・・」
『リュウノスケくんさぁ。昨日、あの後誰と居たのかな~?』
魂の神様はニヤニヤ。他の皆様も興味津々。
「あの後ですか?私は始祖の神様と一緒に居ましたよ?」
「「「『『は?』』」」」
「ですよね?始祖の神様」
『うむ。お陰でワシとリュウノスケは友となったがな。がっはっは』
「「「『『えっ』』」」」
何故かドン引きな3柱と2人。
ガシッ!と肩を組む俺と始祖の神様。
「いや~結果的にかなり激しい運動になりましたからね。
そのせいで皆さんよりも薬効成分が抜けるのが早かったんじゃないですかね?」
『リュウノスケは小さい割りに中々やりおるからのぅ。ワシも十分に満足出来たぞ』
「昨日だけで何回ぐらい“シ”ましたっけ?」
『1000回は“イッ”とるんじゃなかろうかの。ちゃんと数えて居った訳では無いが』
「あ~それだけ“ヤ”ったらさすがに薬効成分も抜けますねぇ」
さらにドン引きな3柱と2人。
『そうじゃのぅ。じゃが、中々に良い充実した時間じゃったぞ』
「そう言って頂けると有り難いですね。私も頑張った甲斐がありました」
物理的に離れ始める3柱と2人。“驚愕”って表情です。
「ん?皆さんどうしたんですか?」
「えっと、確認なんですが・・・。
昨日の晩はリュウノスケさんと始祖の神様2人っきりだったと?」
「そうですよ?」
『で、2人して激しい運動をして、薬効成分を発散してたって事?』
「そうですね」
「でっ、では!どちらが“責め”でどちらが“受け”だったのですかっ!?」
珍しく食い気味でクレマチスさんから質問が。
「ん~?私も始祖の神様も終始“攻め”てましたね。結果的に一進一退と言うか。
そのせいで中々勝負が決まらなくて・・・余計に疲れましたよ」
「「「『『勝負?』』」」」
『そうじゃったのぅ。まぁその分、1戦毎の内容が濃かったがの』
「そうでしたねぇ。
ちょっとでも油断したら、一気に決められちゃいましたもんねぇ」
『お互いにの。がっはっは』
『・・・えっと、聞くのが怖いけど・・・。
始祖の神様とリュウノスケくんの2人で何やってたの?』
「何って・・・」
「『相撲ですよ(じゃよ)』」
「相撲・・・」
「まぁアレって神事ですしね。神同士なら問題無いでしょって事で。
私は分体でしたけどね」
『分体と言ってもワシと互角じゃったからのぅ。
神体だったらどうなっておったやら』
「その辺はこの世界の突進やら怪力系統のスキルのおかげじゃないですかね?
さすがにカンストしてますから、それなりにはやれますよ?」
『肉弾戦で、ワシと互角にやり合う分体なんぞ異常な存在なんじゃぞ?』
「そうなんですかね?まぁこの世界が異常って事で納得して下さいよ」
『まぁワシも満足出来たし、別に良いがの。
何か困った事があれば遠慮せずに申せよ?ワシとリュウノスケは友じゃしのぅ。
がっはっは』
俺と始祖の神様以外は微妙な空気が漂う中。
始祖の神様の笑い声だけが響いてました・・・。




