第129話 首都建設 第三段階 マッチポンプその2
「さてと。そろそろ年末準備もしなきゃいけないし、戻るかな?」
本日はリザアース暦1001年12月30日(金)で御座います。もうお昼過ぎ。
ちなみに今年一年の俺の生活はこんな感じでした。
起床してからは、
居住区画の延伸→ギルドに行って業務&依頼受諾→居住区画の延伸→ギルドの依頼をこなしつつ、
暇になったら居住区画の延伸→ギルドに戻って依頼の達成報告&新しく依頼受諾→居住区画の延伸・・・。
で、ある程度遅い時間になったら、ギルドに戻って依頼の達成報告をして、地下室でレベル上げ。
昼食は「お腹が空いたかな?」と思ったら、適当に毎度おなじみサンドイッチとコーヒーで。
ちなみに生活拠点として、ギルドの地下室を活用しています。
ベット類も自然劣化防止程度の付与をして出しました。
一番最初に確認し忘れてた事なんだけど、トイレ等の排水も全く問題無かったです。
ちゃんと下水管と接続出来てた模様。
その件については使った後に気が付いて、慌てて大量に水魔法を流し込んだけど、全く問題なかったです。
単純に生活する分には地下室でも問題ない感じ。
ちょっと肌寒いけど、何かを貯蔵するには向いてると思う。
で、寝る前は無駄に絵なんかも描いたりしてのんびりタイムです。
一応“審美眼”スキルのレベル上げ等も兼ねてます。
おかげで縫製やら布、紙、染色、演奏、彫刻、絵画、演劇の系統&審美眼スキルはカンストしました。
演劇スキルを上げるのに、独りでパントマイムの練習とかしてみたり・・・。
誰も観客が居ないし、超地味な生活。まぁそれでもちゃんとレベルが上がったので良しとしておきます。
最初は“ナイフ投げ”してたんだけど、上がらなかったんだよねぇ。
一応大道芸の練習のつもりだったのに。謎です。
他は木彫り彫刻だったり、リコーダーだったりとかなり適当でしたが、ちゃんとカンストまで出来ました。
今回作った布とかは、放浪生活を始める前に装備品の自作をする時にでも使う予定で、亜空間に収納してます。
後は“ハブゥ酒”と言うか“オド酒”(今後はこちらで呼びます)を、“ハブゥ”を探し出して幻の酒で作成。
元が良いお酒だったせいか、益々旨いお酒になりました。
元のお酒自体が旨かった分、何がどう旨いって上手く表現出来ないけど、
とにかく元の幻の酒よりは確実に旨いです。
絶妙な喉越しとか後味とか。多分その辺の違いがあるんだと思う。
余りの旨さに調子に乗って、元となる1瓶目が出来た後は創造魔法で複製して飲みまくり、独り酒~♪
で、何時の間にやらふと気が付けば鼻血が“たら~”。
薬効成分が強過ぎたみたい。
オド酒はほどほどにしないと、マジで強力な強壮剤だった模様。
気を付けねば。
つーかその後、分体で“興奮し過ぎて寝られない”状況を初経験。
当然愚息は起立しっぱなし。
情けなく思いつつ自己処理してようやく治まるぐらい強力でした。
と言うか、自己処理だけで一晩明かすとか悲し過ぎる。
自己処理のネタにした対象は秘密です。
それでも完全に治まらないほどだったので、本当に飲み過ぎには注意です。
それ以来、オド酒は飲んでません。
自分で創っておきながら、アレはかなりヤバイ代物です。
1月23日・10月18日・11月1日・12月25日・12月27日
の誕生日の日はこっそり居住区に戻って誕生日ケーキと洋酒系の酒類を用意。
正確には当日のかなり早い時間に。ですが、ちゃんと毎年恒例の誕生日お祝いだけはしてあげました。
まぁ正確には、リビングに居るトウに言付けただけなんですけどね。
トウの様子と言うかスキルとかステータスを見る限り、かなりハードな訓練してるみたいだし、皆ちゃんと頑張ってる模様。
トウもカンストスキルが増えてるし、ステータスもかなり増加。
この様子だと、ちゃんと全員の意識改革が出来たかな?
採取・採掘系の依頼に関してですが、
俺のギルドランクが上昇するに従って無くなりはしないものの発注数が減少しました。
どうやら、ギルド水晶の影響範囲内に存在するランク保持者の依頼が多く発生する感じだったのかな?
当然最初は俺もGランクだったし。
依頼に関しては、
採取・採掘系を主に受けて(レベル上げ)、帝都圏付近にダンジョンがある様ならダンジョン核破壊を。
無ければ討伐系を受ける感じで黙々と依頼をこなしてきました。(予め衛星の視点&探索魔法を使用)
予想はしていたんだけど、他大陸とかで依頼分を達成しても達成した事にはなりませんでした。
試しにダンジョン核破壊をナハトム大陸でやってみて、確認してみた結果です。
やっぱりギルド水晶の“影響範囲”みたいなのがあるみたいで、
神依頼に関してはそれを元に依頼が発注されてる感じ。
まぁ予想通りだっただけなので、単純に確認してみただけなんですけどね。
採取・採掘のスキルがカンストしたら、もう完全に討伐系統に移行してお金&貢献度稼ぎ。
採取・採掘系の依頼よりも討伐系統の依頼の方がはるかに“ボロい”ので。
高ランクの依頼もがんがん達成しているおかげで、今では既にSSランク。
1年でこれって絶対に早いと思う。
将来的には“Z”まで行くつもりなので、ギルド貢献度は1回だけ試しに使った後はそのままにしてます。
こっちはお金と違ってなかなか貯まらない感じだし。
使うとしてもステータスの上昇なんで、“俺には意味無いかな~?”
って感じで思ってます。
1回だけ試しに使った時は、後日分体の新規作成をしたら見事に上昇した分も消えてたしね。
無駄にお金が貯まってるので、何度かギルド水晶で食料品なんかの買い物をして無駄遣い。
記述してなかったけど、料理系は持ち運び可能な容器ごと出てきて、食べ終わったと思ったら容器ごと消滅する感じ。
スプーンとかの食器類も一緒に出てきたので、“これがあったら、かなり便利じゃね?”
って思ったけど、内容物が完全に無くなったり、ある程度減った状態で食べ終わったと認識したら勝手に消滅するので、
食器類自体の使い回しは不可らしい。
色々と試してみたものの、どうやっても容器とか食器類の再利用は不可能でした。
まぁいいけどね。
基本的に独りでの食事なんで味気ないし、そもそも食料自体が創造魔法で出せる以上、滅多に買い物をしません。
と言うか、ギルド水晶での買い物って、ギルド水晶周辺の価格より3割増し設定にしてたんだけど、
そもそも北極大陸には“店”自体が無い訳で。
ただのカレーライスが999万9999円とか、超ぼったくり。
多分この価格が一般の食料品としては上限価格なんだと思う。
装備品はそれよりも遥かに高かったし。
しかも味は普通でした。
さすがに不味くは無かったけど、毎年食べてるカレーの方が遥かに旨いし、完全に無駄遣いになりました。
んで、現状としては特に欲しい物も無いし、ある程度の検証も出来た事だし、
“もういいや~”って事で貯蓄してます。
おかげで貯蓄額が軽く十数億円を超えました。
装備品も、一番最初に創造魔法で創った装備品をず~っと使い続けています。
放浪する時にでも自作するとして、それまでは装備品作成系統のスキルレベルを上げるつもりもありません。
その時の一般的な冒険者に合わせるつもりだから、今造ってもあんまり意味無いしね。
他の人類に会う事も無いし、“快適装備だしいちいち造るのも面倒だし”って事で相変らず使い続けてる感じ。
そう言えば、最近はこの世界の生物から初めて創ったボア鎧を装備しなくなったな。
アレも一応は俺の装備品だけど、寝る時にいちいち着替えをしなくちゃいけなくなるのが面倒なんだよね。
基本、インナーと外套。不思議な武器と苦無、剥ぎ取りナイフで十分なのです。寝る時に外すだけで済むし。
耐性系もカンストしてるし、多少軽装でも動きやすさと寝る時に楽な方を選択してます。
振り返ればそんな一年でした。
もう完全にマッチポンプなんだけど、北極大陸には人口が無いからねぇ。
俺が放浪し始める時か、何か丁度いいタイミングがあれば、創造魔法で魂の器を作成して人口を増やそうと思います。
少なくとも、北極大陸の居住区が完成するまでは魂の器を創るつもりが無いですけど。
全然関係無い事なんだけど、此処って“帝都”なんだよねぇ。ギルドカードによると。
何でだろう?
別に単に“首都”でも“王都”でも“皇都”でも良いと思うんだけど。まぁいいか。
とりあえず此処は“リュノ神国・帝都”って事で今後は理解しておきます。
とりあえず今年としては、用事も済んだのでベット以外の不用品を消去。
ベットは来年も使うので残して置きます。
後はオド酒の元ネタだけ亜空間に収納して片付け終了。
「さて、一年近くぶりだけど、ルナ達に会いに戻るかな? 『転移!』」
主寝室(分体側)着。
特に用もないので、外套とかの不要な装備品を外したらそのまま給仕室へ向かいます。
とっととオド酒の元ネタを酒蔵に貯蔵せねば・・・。
と思ってリビングに行ったら、全員揃ってました。まぁ今日は休日の日だしね。
ただ、なぜか全員が若干びびってます。何でだ?
【【【【【【お帰りなさいませ】】】】】】
「ただいま。
・・・とりあえず1年ほど放置した訳だが、ちゃんと意識改革は出来たか?」
一応完全鑑定でスキル等を確認しながら聞いてみる。
ま、鑑定してみた感じちゃんと鍛練してたみたい。
獣化状態でレベル上げ可能な戦闘系スキルに関しては、ほぼ全員がカンスト。
ステータス自体もかなり伸びてます。
【はい。もう2度と主様を失望させる様な真似は致しません。
あと、お気遣い頂き、有難う御座いました】
「ん?お気遣い?・・・あぁ!誕生日ケーキの件か。まぁアレは恒例行事だしな。気にするな。
ざっと見た感じ、お前ら全員ちゃんと鍛練してたみたいだし、罰則は現時点をもって終了してもいいだろう」
【お試しになられないのでしょうか?改めて“年末時点で判断される”との事でしたが?】
「お前らがちゃんと意識改革出来たなら意味が無いだろう?
大体、まともにやりあえば俺の方が弱いからな。
例え“模擬戦”をやったとしても、俺の負けで終わる以上やる意味が無い。
枷としていた“完全隠蔽看破”スキルを使った所で、今のお前達らなら対処してみせるだろうしな。
他の枷に関しては、元々使うつもりが無い以上、今“模擬戦”をやった所で、お前ら相手じゃ俺の勝ち目なんて無いだろ?
俺だってそこまでバカじゃないつもりだからな。
ちゃんとお前らの意識改革が出来たならそれでいい」
【では、私共の“契約”は維持して頂ける。と言う事でしょうか?】
「当然だな。
またお前らが“契約”の根本を履き違えたら話は変わるが、現状だと問題無さそうだしな。
ま、お前らの方が俺に愛想を尽かして“契約破棄”して欲しいなら、“契約破棄”しても構わんが?
つー事で、現時点を持って罰則を終了とする。人化も解禁だな。
とりあえず当面は自由にしてていいぞ?
どうせもう年末だし、明日には神様方も来られるだろうしな。
俺は俺で色々と準備とかやる事があるから、今日はお前らにいちいち構ってやれんが。
まぁ今年1年頑張ったみたいだし、特別に晩飯は少しだけ豪勢にしてやる。
楽しみにしとけよ?」
【有難う御座います・・・】
泣き崩れるルナ達(なぜかトウも含む)。何だ一体??意味が判らん。
「何で泣く?何か酷い事を言ったつもりは無いんだが・・・?」
泣いて少し落ち着いたのか、まだ泣いてるけどルナが人化して俺に対して跪礼。
「主様に見捨てられなかった事に対する安堵。未だに私共を信頼して頂けて居た事に対する事と、
今後も主様の“契約従魔”として仕える事が出来るという喜びがない混ぜとなり、歓喜で心を抑える事が出来ません。
主様。改めて有難う御座います。今後とも末永く宜しくお願い致します」
「あぁ。そういう事ね。
まぁ1年間“俺に棄てられるかも”って不安と戦いつつ、頑張らないといけない状況だったなら当然かもな。
安心しろ。俺はそこまで薄情じゃないから。
ま、今はその喜び(?)を忘れないようにな。罰則を与えた俺が言うのも変だけどな。
たださっきも言ったが、“契約”の根本を履き違えたらその時は容赦なく“契約破棄”するから。
くれぐれも、また慢心する様な事にはならないでくれよ?」
「はい。承知して居ります」
「ならいい。んじゃ、晩御飯の準備してくるからのんびりしてろ。
あ!ちょっと色々とやる事があるから、今から暫くの間は給仕室への入室禁止な。晩御飯の手伝いも要らんから。
とりあえずこの1年間。お前らも気を張り詰めてただろうし、正月休みの間だけはゆっくりしてていいぞ。
あ~忘れてた。
お前らの“装備記憶のバングル”だけど、後でもうちょっと便利装備に改造するから、よろしく。
んじゃ、また後でな~」
ルナ達を放置して給仕室へ。
「とりあえず真っ先に“オド酒”を厳重に保管せねば・・・。
ん~とりあえず試作用として勝手に飲むのを禁止する区画を作っとくか。
俺としてはもっと“オド酒”のバリエーションも増やしたいしな。
せっかく作った特産品。有効活用せねば」
酒蔵の一画に鍵付きのガラス扉を設けて(創造魔法使用)、そこに幻の酒由来の“オド酒”の原酒を保管。
で、普通の区画に創造魔法で創ったオド酒を置きます。
ラベルは単純に文字だけで“リザアース特産オド酒”で。
ただし試飲用にはちゃんとそれに追加して、“過度の試飲禁止”と表記しておきました。
「ま、これでいいや。
さてと。今日の晩御飯を豪勢にするって言ったけど、何にするかな?
ん~ミノタウロスのステーキってまだ作ったことなかったっけ?
・・・確か無いはず。それで行こう。
付け合せは普通に塩茹でした魔芋(大量に亜空間に備蓄してます)とか人参、クレソンでいいか。
後は白米炊いてっと。先にそっちだな。一杯炊かないといけないだろうし」
さっさと炊飯準備して先にそっちを終わらせたら、ミノタウロス3体を解体。
厚切りにしてステーキとしてじゃんじゃん焼いていきます。
で焼きつつ、ソースがいいか、塩がいいかと悩み中。
「ん~付け合せが魔芋とかだしなぁ。
ミノ肉だけでも十分旨いけど、せっかく豪勢にすると言った以上、色々と楽しめる様にしたい。
とりあえず塩単品は外せないよなぁ。岩塩と藻塩の2種類でいいか。
天ぷらじゃないし、抹茶塩は違うしな。
後は・・・単品で山葵かな?多分合う。それとにんにく醤油かな?スタミナ系で。
・・・よし、それでいいや。十分豪勢な食事になるでしょ。
とりあえず肉は十分に量を確保しないとな~♪」
肉を焼きつつ、岩塩を細かく砕いたり、山葵を摩り下ろしたり、にんにく醤油ダレを作ったりと大忙し。
にんにく醤油も妥協しないでちゃんと作りました。結構な力作です。
この世界でフランベしたのは初だと思う。
ミノ肉はフランベしなくても十分に旨いので、単純に焼くだけ。
つーか1枚1枚やってたら面倒なので。
2時間弱ほどで全部の調理も終了。
丁度晩御飯としてはいい時間なので、早速配膳。
「はーい。お待たせ~。 んじゃ、配膳するからちょっと待ってな~」
ぱぱっと普通に1人前づつ配膳。
足らない分は各自で台車から取ってくる様に指示。
ちなみに台車には焼いた肉が山積みになってます。あと白米とかも。
タレ類も結構な量を準備しました。
「飲み物は・・・ワイン系でいいか。
白米だから微妙っちゃー微妙だから、一応日本酒も出しとこう。『出ろ!』
・・・漏れとか無いよな?よし、準備完了。
今日は無礼講だから、好き勝手に飲み食いしていいぞ?
それじゃ、頂きます!」
【「「「「「頂きます」」」」」】