第122話 神々の帰宅
おはようございます。只今朝の6時前。
昨日も結構気を使ったり、なんだかんだで疲れてたので布団に入ったら即爆睡。おかげで早い時間だけど心地良い目覚め。
ま、せっかく気分良く目覚めたんで、朝のコーヒータイムといきますか~。
リビングに行くと、始祖の神様と陸くん達が既にコーヒータイムしてました。
朝の挨拶をしたら自分で少し濃い目のコーヒーを淹れて(陸くん達がやってくれようとしたけど断りました)、
全員で軽く雑談しながらまったりします。
『むぅ。今日で帰らねばならんと考えると、名残惜しいのぅ』
「あはは、有難う御座います。
そう言って頂ければ、こちらとしても御持て成しした甲斐がありましたね。
また年末に来られるのをお待ちして居りますので、宜しくお願いします。
あぁ!始祖の神様もお土産はお酒でいいですか?陸くん達もちゃんとバイト代として持って帰ってね」
「「「はい。有難う御座います」」」
『む?散々世話になったのに、土産まで貰って良いのか?』
「もう恒例になってますからね。
神様方には毎年お土産として持って帰って頂いて居るんですよ。
陸くん達やミーさん達へは、私の手が回らない所を手伝って貰ってますから、その手間賃代わりですね」
『至れり尽くせりじゃのぅ』
「で、話を戻しますけど始祖の神様はお酒で良いですか?
何か他に希望があるのでしたら、考えますが?」
『熱燗が良かったからの。アレに合う酒を貰えればそれで十分じゃよ』
「了解しました。
それじゃ、お昼御飯後あたりに他の神様方と一緒に酒蔵に行って選んで頂きますね。
一応こちらからも熱燗に適したお酒はお薦めしますけど。
んで、陸くん達はどうする?
今回はルナ達の面倒も押し付けちゃったから、予定のバイト代以外にボーナスも出すよ?」
3人で相談して、代表して陸くんが。
「お酒以外にカクテルのレシピ本とカクテルセットを私達それぞれに頂けませんか?」
との事。それぐらいなら全然問題ないので、当然OKです。
2杯目にカフェオレを作っていたら、ルナ達がぞろぞろとタイミングを合わせたかの様に出てきました。
始祖の神様や陸くん達に朝の挨拶をした後、カフェオレを作っている俺の前に整列して朝の挨拶。
一瞬無視しようかと思ったけど、それはちょっとどうかと思い直してちゃんと挨拶は返します。
そのまま解散するのかと思いきや、整列したままルナが一歩前に出て俺に謝罪してきました。
【主様。私共のせいでご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳御座いませんでした】
「それは何に対する謝罪だ?」
【私共が慢心していた事、主様の意に反する行動を行った事、自身の鍛練を怠った事。全てに対してで御座います】
「ふ~ん。ミーさん達から聞いたのか、自分で気付けたのかは知らんが、それが判ったなら良い。
昨日も言ったが、2度目は無い事を全員肝に銘じておけ」
【はい。確かに承知致しました】
「それから、今回の罰則は神様方が帰られた直後から即実行する。それも承知しておけよ?
あと、トウに対する集団戦闘の訓練も徐々に戦闘訓練に組み込む様に。
こちらは急ぎじゃないから、トウの無理の無いように予定を組んで全員で分担しろ。いいな?」
【はい。承知致しました。】
「今年の年末、俺が帰ってきた時点で改めてお前達への判断を下す。
それまでに必ずお前達自身の意識を改めろ。それまでは俺に対しての干渉や念話等も一切禁止する。
これ以上、俺を失望させないでくれ」
【はい。必ずやご期待に沿える存在となってお会い出来る様、私共全員が尽力致します】
「ならいい。俺からはもう用がない。行け」
全員が頭を下げて俺の死角になる位置に移動。
と言っても中央に輪廻転生の輪の容器を挟んだだけなんだけどね。
輪廻転生の輪の容器って透明だから死角と言うより、邪魔にならない位置と言った方が正解かな。
気を使ってか、陸くん達はルナ達に合流。
俺と始祖の神様の2人だけで雑談です。
『しかしお主は自身の従僕に対しては随分と厳しいのぅ。
ワシらに対しては丁寧かつ穏やかな態度を崩さんというのに・・・。
まぁ魂の神の対応を見ておると“遠慮”と言う点ではそう違いがある訳でも無いが。
どちらがお主の本当の姿じゃ?』
「そうですねぇ。
私としては裏表は無いと思って居ますけど、ルナ達に対しては厳しい態度だと思われても仕方が無いかも知れませんね。
まぁ今回に関しては、始祖の神様方が来られたタイミングの問題だと思いますよ?
常にこんな態度だった訳じゃありませんからね。
むしろ普段は甘い方だと思います。好き勝手にさせてましたし。
今回のルナ達に対しても、過度な要求をしている訳でもありませんしね。
ただ単に“間が悪かった”としか言えません」
『そうか。
まぁこれからはちょくちょく来る事になるじゃろうし、その間に見極めれば良いかの』
「そうですね。
あ。“ちょくちょく”は来ないで下さいね?年末年始だけにして下さいよ?」
『むぅ。言質も取らせんか。仕方が無いのぅ』
「私の所に来られるのも、たまにしか来られないから良いのであって、常に居られたらさすがに飽きますよ?
飲食以外の娯楽なんて一切無いんですから」
『そうかの?お主なら何かしら考えて楽しませてくれそうじゃがなぁ』
「無茶振りとか勘弁して下さいよ?今回やった模擬戦も、今回限りにしますしね。
もう来年からはいつも通り平穏な年末年始にしますよ。さすがに私だって疲れますし。
実際問題として、ちゃんとルナ達の意識改革出来たら私の“分体”如きじゃ勝てませんからねぇ」
『ワシとしては“神”としての力量が気になる所じゃのぅ』
「どうなんでしょうねぇ。それはちょっと私でも判りませんよ。
神体で戦闘した事自体が全くありませんからね。まぁするつもりもありませんけど。
ま、色々とおかしな上級神って事で納得して下さい。
別に他の世界に迷惑を掛けるつもりは微塵もありませんから」
『がっはっは。そうじゃったの。
お主は“引き篭もりの神”じゃったな。すっかり忘れておったわ』
「最初は嫌だったあだ名でしたけど、今ではすっかり慣れましたし、色々と便利ですからね。
喜んで拝命しますよ?」
その後も暫く雑談してたんだけど・・・既に10時前。
「それにしても遅いですね。魂の神様もミツハルさんも頑張り過ぎちゃったのかな?」
『くっくっく。魂の神の所は数万年ぶりじゃろうしの。
もう放って置いてワシらだけで始めても良いのではないか?」
「そうですね。おせちなら冷めても一緒ですし。それじゃ準備してきますね」
給仕室でいつもの準備をして配膳を済ませたら、今居る全員で「頂きます」。
ちなみに、今は居ない残りの皆さんの分も配膳済みです。ただし数の子は増量済み。
始祖の神様とサシで飲み食いしつつ、雑談。
そうこうしていたら、お昼前頃にミツハルさん達が。続いて魂の神様達がリビングへ。
男2柱とも、かなりクテッとしているので、相当搾り取られたらしい。
女性側はご機嫌でツヤツヤしてます。
今後は精力剤なんかも準備しておくかな~?
幽鬼の様に黙々とおせちを食べる2柱をよそに、女性組みは嬉々として数の子をパリパリいわせてます。
シュール過ぎて、ちょっと引きました。
朝昼兼用の食事が済んだら(ルナ達へは別途昼食を出しましたが)、早速お土産用のお酒を選定。
ずらっと並んだ数々のお酒に始祖の神様がテンションを爆上げした以外は特に問題も無く終了。
女性組みから料理のレシピブックを求められたぐらいです。
ちなみに始祖の神様も本数は上級神と同じにしました。
その後も晩御飯までだらだらと飲食して、晩御飯はいつも通りミノタウロスの肉を使ったすき焼き。
軽く食休みをしたら、そろそろご帰宅の時間です。
「リュウノスケさん。毎年ですが、有難う御座いました。また宜しくお願いします」
「「よろしくお願い致します(ニャ)!」」
「こちらこそ。またお待ちして居ますよ」
『リュウノスケよ。ワシもまた頼むぞ?』
「はい。またいらして下さい」
『リュウノスケさん。
実に有意義な時間を有難う御座いました。また宜しくお願い致しますわね』
「はい。美の神様も宜しくお願いします」
『それじゃ、リュウノスケくん。また年末に宜しくね。じゃ『ちょっと待て』・・・始祖の神様何でしょうか?』
『魂の神よ。少し聞くが毎年このまま帰っておったのか?』
『はい。そうですが?』
『・・・今までずっとか?』
『はい』
『・・・このっ!たわけ者が!』
おぉぅ。突然始祖の神様の威圧が炸裂。余波でミーさん達は気絶した模様。何だ一体?
あ、美の神様がミーさん達のフォローに行ったわ。なら大丈夫か。
『リュウノスケが上級神となったのはつい最近の事じゃろうが!
それまでは中級神以下であったと言うに、上級神であるお主から褒美の1つもやらずに帰っておったのか?』
『いえ、その代わりに他神からの不干渉を請け負って居りましたものですから』
『たわけが!それは既にワシからの命として発しておるではないか!
これほどの歓待を受けておきながら褒美の1つもやらんとは、それでも上位の神か!』
『・・・面目次第も御座いません』
『全く・・・リュウノスケよ、すまんの。
ワシももっと神々の意識管理には気を付けねばなるまいて』
「いえ、特に願いがある訳でもありませんし、褒美を頂けると言われても正直困るのですが・・・」
『いや、それに座して何もせんなど、上位の神としてはあるまじき行為じゃ。
何か願いは無いかの?これほどの歓待を受けて何もせずに帰るなど、上位の神としての度量も知れよう。
まして中級以下の神であった時からの事を考えれば、何かしらの褒賞を魂の神が与えねばならん』
「え~っと。
じゃぁ魂の神様が気付いて居られる、この世界の問題点を教えて頂けますか?」
『魂の神よ!この世界の問題を知っておって黙って居ったのか!』
『・・・申し訳御座いません』
『リュウノスケよ。それが願いで良いかの?
上級神となった今、今後は褒美を授ける事も無いとは思うが、その程度で構わんのか?』
「そうですね。何でもかんでも教えて貰っても面白くありませんしね。
とりあえず1つだけ何が問題なのか教えて頂ければ、今までの分も含めてそれで十分ですよ。
この世界を統治する神として、幾ら上位の神の方々と言えども頼るのは正直どうかと思いますので。
大体、神になった時点で物欲とは無縁になりましたからね。
何か物を頂いても困るだけですし」
『殊勝な態度じゃな。その意気や良し。聞いておったな?全ての魂を司る神よ?』
『はい。 リュウノスケ君さ。モノリスの書に記述漏れがあるんだよ』
「え゛。まだありましたか?」
『うん。
“魂”に関する記述が殆ど無いじゃない?今はリュウノスケくんの認識でフォローされてるけど、
“動物”や“物”に魂が宿った場合ってどうなるの?
あとルナちゃん達なんかの場合でもそうだったんだけど、魔物に魂が宿った存在が聖獣になるって記述は無いよね?
今の聖獣って突然変異種って設定になってたはずだから、今は大丈夫かも知れないけど、後々問題になると思う。
あと、多量に神気を浴びた“物”ってどうなるの?神獣?神人?』
「言われてみれば確かに詳細を記述した覚えがない・・・。
今は私のイメージで補完されてるって感じなんでしょうか?」
『うん。それで合ってるよ。
ただ、今後の事も考えると、ちゃんと記述しておいた方がいいと思う』
「分かりました。すぐに修正しなきゃ。すみません。本当に助かります」
『ふむ。まぁ良いか。魂の神よ?今後はこの様な事が無いようにな』
『はい。ご指摘頂き有難う御座いました』
「私も有難う御座いました。完全に見落としてました」
『ならば良いか。では改めてまたな』
「はい。またのご来訪をお待ちして居ります」
『あ~。今回は散々だったよ。
次は穏やかに過ごせる事を祈ってるよ。それじゃぁまたね』
「はい。魂の神様も色々と大変でしょうが、お気をつけて・・・」
手を振りつつ消え去る神々御一行。
ちなみにミーさん達もちゃんと意識が戻ってました。
「ふぅ。モノリスの書の記述は早々にやらなきゃな。
んじゃ、お前らも今年一年頑張れよ。年末に会う時を期待しているからな。じゃぁな」
ルナ達に背を向けたまま手を振りつつ、主寝室(神体側)へ。
とっとと記述修正しないと・・・。
つーかルナ達に罰則を課しておきながら、俺自身もミスってた所を見られた訳だし合わす顔がないわ・・・。




