第119話 激怒
美の神様と談笑しつつ、観客席の皆さんと合流。
で、もう用済みなので観客席を消去。
「はい!皆さんお疲れ様でした!始祖の神様?楽しんで頂けましたか?」
『うむ。十分に楽しめたぞ!
にしてもお主ら主従はとんでもないの。模擬戦とは言え、上級神を倒せるとはのぅ』
『それよりも、リュウノスケくんはどうして美の神を倒さなかったのさ!
美の神も勝者ってどう言う事!?』
「あ~。始祖の神様。
それに関して、ちょ~っとルナ達に言っておかなきゃいけない事があるので、
出来れば皆さんには席を外して頂ければと思うのですが・・・。
魂の神様は自業自得なので、スルーさせて頂きますね」
『ちょっ!』
『ちょっと魂の神は黙っておれ!
リュウノスケよ。
席を外して欲しいとの事じゃが、何となく気になるのでこのままでも構わんかの?』
「う~ん・・・。
みっともない姿を見せる事になるかも知れませんし、場合によっては無意識に威圧しそうなので・・・。
ミツハルさんと言うか、ミーさん達にも刺激が強過ぎると思うのですが・・・」
ミツハルさん達を見つつ、一応ご退席願えないかな~?と聞いてみる。
「いや、自分も気になりますので同席させて下さい。
ミー達はどうする?場合によっては、リュウノスケさんの威圧を受けるそうだけど?」
「私達はルナニャンの味方ニャ!リュウノスケ様の威圧があっても頑張るニャ!」
「だ、そうですよ?」
「はぁ・・・まぁみっともないのはご容赦下さい。
後、何があっても責任は取りませんので悪しからず。
それじゃ・・・さてと・・・ルナ達に聞きたい事があるんだけど?
ちょっとお前ら、こっちに整列しろ」
びくびくしながら俺の前(神様方は俺の背中側に居ます)に整列するルナ達。
当然トウも居ます。
「とりあえずさ、確認しておきたいんだけど?
この中で“練気魔闘術”を使った奴は居るか?もしくは付与系統」
ルナ達全員が“あ!”みたいな顔をしています。やっぱり誰も居なかったのね。
「まぁトウはスキルがカンストしてないし、“影隠れ中で隠蔽の為に使わなかった”と言う事なら納得するが、
実際の所、意図的に使わなかった奴は居るか?
居たとしらどういう意図があったか納得のいく説明をしろ」
・・・。全員だんまりです。
「全員説明出来ない様だな?と言う事はだ。
俺程度なら本気を出さなくても勝てると思って居た、と言う事だな?」
今度はルナ達から念話で“そんなつもりは無かった”などと言ってきますが、戦闘に関しては結果が全てです。
「“そんなつもりは無かった”だぁ?ふざけるのも大概にしろよ?
実際に首を刎ねられたルナが、そんな事を言える立場だとでも思って居るのか?
特にタリズ!フェン!シファード!お前らには明確に“本気でやれ”と言っておいたよな?
アレがお前らの本気なのか?俺には完全に手を抜いている様にしか見えなかったがな?」
思い出しただけで、ふつふつと怒りがこみ上げて来ます。
信頼していただけに、舐められた感が半端ないです。
幾らチート武器を使ったとは言え、ルナ達が“練気魔闘術”を使っていたらもっと苦戦していたのは確定だし。
あ、多分今の俺、軽く神威が発動してるわ。
「お前ら全員ナメ過ぎ。
確かに現時点では、この世界では圧倒的な強者だろうが“俺を殺す”役割を担っている以上、
ちゃんと俺の分体を殺せる程度の力量ぐらいは身に付けて居て当然だろうが!
今後も同じ舐めた態度で居るなら、俺から一方的に“契約”を破棄するから、そのつもりで居ろ。
今回だけは大目にみてやるが、二度は無いと思え。
後、今年1年間は“従者候補”としても扱わないし、従者教育も行わない。
当然人化する事も禁止する。
まぁ他の神様方が居られる間だけは猶予期間とするが、1月4日以降は覚悟しておけ。
俺も1月4日から北極大陸に移動した後、年末までは絶対に居住区には戻らない。
正直、今のお前らを見るのも不快だしな。
その間に、そのだらけた根性を叩き直せ。
今のお前達は誰一人として、“俺に従う者”としての資格が無い。
当然“従者”としても“従魔”としても同様だ。
“従魔”のトウと一緒に必死になってイチから鍛練をし直せ!
それが嫌なら今すぐに言え。今この場で、すぐに“契約”を破棄してやる。
後は好きにすればいい」
フェンから“たった1つの失敗で、そこまでの罰則は厳しいのでは?”みたいな事を言ってきました。
本当に判ってないな。こいつら。マジでいらつくわ。
「今回は模擬戦だった訳だが、まぁ確かに失敗ぐらいあるわなぁ。俺だって失敗するかも知れないし。
そこは否定しない。
が、実戦だった場合はどうなるんだ?“油断しました”“ちょっと忘れてました”が通じるとでも思っているのか?
マジでふざけんな!」
本気で神威発動。
「俺はちゃんと言ったよな?“本気で”って。
“模擬戦”だろうが“ゲーム”だろうが、俺が“本気でやろう”って言ったのに、お前らはどうよ?
何?分体の俺ぐらいなら、本気を出さなくてもチョロイとでも思ってたのか?
それって俺の“意思”を無視したって事だと判ってるのか?
そんなもん“従魔”としての存在ですらないだろうが!
そんな奴らが俺の“従者になる”だ?ふざけんなよ?
言っておくが今までの訓練でも、俺はお前らに対して枷を付けた状態で闘っていたからな?
枷と言っても、余りにも強力過ぎるから使わなかっただけで、今回はその枷を1つだけ外したに過ぎない事を自覚しろ。
“今のお前達なら1つ枷を外しても大丈夫だ”って信頼した俺を、完全に裏切ってくれた訳だしな?
幾ら分体だからとは言え、その気になればお前らの不死スキルを封印した上で首を刎ねる事だって可能なんだぞ?
で、それを踏まえて、お前らは俺を殺せるの?たかが“分体”の俺を。
さっきの感じだと無理だよなぁ?俺が枷を全部外してないのに、手を抜く有様で、どうやって俺を殺すのさ?
“契約従魔”となった時に”契約”したよな?必要であれば“俺を殺せ”と。
それを受け入れる代わりに“従魔”じゃなくて“契約従魔”になったはずだが?
もう“契約破棄”して欲しいのか?
たかが俺の“分体”程度を殺せないお前達を、わざわざ“契約従魔”にしとく意味って何?
はっきり言うけど“俺を殺せない”とか言うのなら、そんな奴は俺には必要無いから要らん。
“契約破棄”してやるから、地上で好き勝手に暮らせば良いじゃない。
俺に従う者じゃないなら意味無いんだからさ。
・・・その辺お前らはどう考えるのよ?」
・・・。再び全員が沈黙。
「さらに問うけどさぁ?
何でお前らは、俺が“幻影”や“分身”を使ってるのに、お前らは使わないの?
トウはまだやってないだろうから別としても、お前らには集団戦闘の訓練もしたよな?
数は力だって理解してない訳?
特にタリズ!フェン!シファード!
俺は作戦段階で使うって言ってたんだから、その存在に気付いて当然だよな?
どうして使わなかった?
大体、スキルレベルが低いってのは判ってるから、ちゃんとその辺のスキルを鍛練してなかったって事だよな?
これってお前らの怠慢以外にどう俺は判断すればいいのかね?
理由を教えてくれる?」
・・・。反応ナシです。
ちなみに、俺はちゃんと北極大陸を開拓しつつ、その辺のレベル上げは完了済みだったりします。
かなり暇だったので、“分身”で出来る事ないかな~?とか遊びながらですけど。
ついでに扇術系もカンスト済み。扇術系にはDEX補正があったので、今回は助かりました。
いちいち言いませんけどね。
「何も言わないと判らないんだけど?反論出来る要因が全く無いって事でいいな?
それじゃ、俺からの罰を受け入れるなら、先にリビングに戻って全員で反省会でもしていろ。目障りだ。
お前達にちゃんと正当性のある主張や反論があるなら、今この場で言ってみろ。
俺が納得出来る事なら受け入れるが、またふざけた事を言う様なら即“契約”を破棄するからな」
しょんぼりしつつ、黙ってリビングに移動するルナ達。まぁタイミング的に丁度良かったかも知れん。
最初はルナ達が“負ける事”を俺の個人的な目標としてたけど、予想以上に慢心してたみたいだし。
ま、ルナ達には悪いけど、気持ちを引き締め直すいい機会にはなったかな?
あと、さっきの宣言通り今年1年間は居住区に戻るつもりはありません。
ルナ達に関しては、従者教育の前にちゃんと“戦う”って事の意味を理解して欲しいので。
それに関しては俺達の“契約”の根本的な部分となるので、なぁなぁで済ませていい問題でもないし。
北極大陸の開拓については、ちょ~っと良い暇つぶしのアイディアが思い浮かんだので、
今までみたいにいちいち居住区に帰るのも正直面倒な部分もあるから好都合です。
ま、また今年の年末から、従者教育を再開出来るように頑張ってくれればそれでいいや~って感じ。