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俺の創った箱庭世界  作者: コルム
北極大陸開拓編
116/243

第116話 グダグダな年明け

神様連中&トウと談笑しつつ呑み続けて居たら、気が付けば日付は1月1日。


とりあえず年始の挨拶を全員で(始祖の神様&美の神様含む)したら、早速ですが男連中で正月から風呂酒に突入です。

獣化させたタリズ達や陸くん達も一緒。

タリズ達獣化組みは俺が念入りに体を洗ってあげました。


美の神様だけはミーさん達に接客をお願い。

ウチは男女別で入浴なので。さすがに御一緒出来ません。


で、入浴してるんだけど、相変らず神様だけで固まって呑んでます。

タリズ達や陸くん達は気を使ってるのかな?トウもあっちに居るし。


『此処では男女別で入るのじゃな?』


「はい。まぁ同性同士、裸の付き合いって事ですね」


ちなみに、全員(タリズ達が人化した場合を含む)の中で、マイサンが二番目にミニマムな事は、全力でスルーです。

今の俺って体型的にもちっこいからねぇ。

俺よりミニマムなのが、人化したシファードだけな所がさらに泣ける・・・。

ま、今となっては自由に変身出来るから、もうどうでもいいですが。


「と言いますか、始祖の神様の所では男女一緒に入浴するのですか?」


『あ!それはね?

私がリュウノスケくんの所での風呂酒が気に入ったから、始祖の神様にも御紹介したんだよ。

そうしたら、始祖の神様にもいたく気に入って頂けてね?

すっかり神々の中でも定着してるんだよ。


ただ、美の神もそうだけど、他にも沢山女神だって居るからね。

昔リュウノスケくんから聞いた湯帷子を着て入浴するのが、神々の間では普通の事なんだよ?』


「へ~。

と言うか、私の知らない所で此処での出来事をネタにするのは辞めて頂けませんかね?

ミツハルさんの所でもそうですけど、面倒事が増えそうなので正直勘弁して欲しいのですが?」


『あはは、ごめんね。でもまぁ、その辺の問題はもう無いと思うよ?

今ではリュウノスケくん達が元居た世界の神の所へ、そういったネタの提供が求められてるからね。

リュウノスケくん達に面倒事が振られる事は、もう無いんじゃないかな?』


「ならいいですけどね。

と言うか、地球にも神様が居た事自体、驚きですがね。

まぁ私にとってはもう過去の事だし、どうでもいいですけど」


『あ奴は自らの世界の管理を放棄しておったからのぅ。

神としての意識が低かったのかも知れん。


所詮、あ奴はせいぜいが中級神止まりじゃの。

上級神になぞ、なれるはずもなかろうて』


「へぇ。って事は私は地球の神を抜いたって事か。

あんまり感慨とかないですけど・・・やっぱり、どうでもいいか。


私としては、ちゃんと自分の世界を治められて、楽しく過ごせればそれでいいや。


そんな事よりも、始祖の神様も魂の神様もどうぞ。杯が乾いてしまいますよ?

ミツハルさんもどうぞ」


『む?すまんの。ん゛っ・・・ぷはぁ~。男同士で呑む酒も、これはこれで旨いのぅ。


しかし“全ての魂を司る神”より献上させた酒よりも、此処でこうやって呑む酒の方が旨いのではないか?』


『それは私にも判りかねます。

リュウノスケくんから貰った酒が劣化したとは考え難いので、環境のせいかと』


『ふむぅ。呑む場所で味が変わるとは面白いのぅ』


「あぁ!それはありますね。

と言いますか、呑む時の気分によっても味って変わるじゃないですか?

大体それと同じだと思いますよ? ミツハルさんならよく判ると思いますけど」


「そうですね。自分も自棄酒とかだとお酒の味とか二の次ですし。

あ~そう言われると、

改めてリュウノスケさんが拘っている“従者としての姿”って事が理解出来た気がしますねぇ」


『どういう事かの?』


『リュウノスケくんの“従者予定”の者達の事で御座いますよ。

ルナちゃん達やそこのタリズくん達は、リュウノスケくんにとって“従者予定”で“従者候補”ではありますが、

リュウノスケくんにとっては“まだ従者では無い”と言う事で御座います』


『む?益々判らんが?』


『リュウノスケくん。説明!』


「はいはい。

もうぶっちゃけて簡単に説明させて頂きますけど、始祖の神様?

楽しく呑むお酒と、不機嫌な状態で呑むお酒。どちらがより美味しいと感じるでしょうか?

もし、どちらかしか呑めないのならば、呑むとしたらどちらが良いですか?」


『それは勿論、楽しく呑む酒じゃな。どうせ呑むなら、やはり楽しく呑みたいしのぅ』


「結論としてはそういう事です。

私が拘っている“従者としての姿”は、相手を・・・と言うか場をそういう感じにさせる者を目指しています。

だからタリズ達はまだまだ“従者候補”止まりなんですよ。

この場には居ますけれど、接客させない理由でもあります。


始祖の神様も魂の神様も美の神様も。

多分ミツハルさん達もでしょうが、お忙しい所をわざわざ来て頂いたなら、楽しく快適に過ごして頂きたいじゃないですか。

私だって完璧とは言えませんが、精一杯の御持て成しはさせて頂きたいと思っていますからね。


それほど“場”って言うか“環境”って大きな要因だと思うんですよ」


『なるほどの。ただ“旨い酒が呑める”だけでは不十分と言う事か』


『はい。私が此処を気に入っている理由でも御座います』


「ちなみに私としては、魂の神様の始祖の神様に対する言葉遣いも、もう少し改めて頂きたいのですけれどね?


私の世界の中にまで、他の世界での上下関係を持ち込まないで欲しいです。

そうじゃないと、私とミツハルさんも気を使わないといけなくなっちゃいますし」


『それもそうじゃのぅ。構わんぞ?此処ではワシも魂の神と呼ぶとしよう』


『善処致します・・・』


「“善処”じゃなくて“努力”して下さいね?」


『リュウノスケくんさぁ。前々から思ってたけど、私の扱いが随分と酷いよね?』


「そうですかね?

それじゃぁ“全ての魂を司る神”様として、今までと違った形で丁重に扱われる事をご希望ですか?」


『・・・いや、今まで通りでいいよ・・・』


「ですよね? いや~さすがは魂の神様。良くお判りで」


『何だろう・・・此処では私はいじられるのが基本なのかな?

その辺ミツハルくんはどう思う?』


「自分は特に魂の神様を酷い扱いをしているとは思って居ませんが・・・」


『あれ?私の味方が居ない?』


「魂の神様の被害妄想ですって~。とりあえず呑み放題なんだから、呑んで忘れて下さいよ?

そんな瑣末な事を気にしていたら、美味しいお酒も美味しくないですよ?」


『あ、うん・・・微妙に納得いかないけど・・・』


『がっはっは。上級神である魂の神がこの扱いか。面白い場所よのぅ』


「あ、お忘れかも知れませんが、始祖の神様も基本的には同じ扱いになりますので。

その辺もご了承下さい」


『・・・リュウノスケくんて変な所ですごいよね。私には真似出来ないよ』


「それに関しては自分も大いに同意します」


「そんなに変ですかね?

此処では基本的に“全員平等”って事ですから、問題無いと思っていますけれど?


まぁルナ達は、今の所は別枠で考えて居ますけどね。

幾ら何でも、私だって限度は弁えていますから、逸脱しない限りは誰がどんな立場であれ、同じ扱いをしますよ?


一応は此処って私の世界ですからね。その辺は私の好きなようにさせて貰います」


『がっはっは。構わん構わん。それもまた愉快よな。がっはっは』



その後も適当に魂の神様をいじりつつ(頑張れ!中間管理職!)神様4人で楽しく飲酒。

2時間半ほど風呂酒を楽しんだら、

「結構な長湯になったし、女子組みに交代しましょうか」

って事で上がります。


が、当然の流れと言うか、風呂上りにビールで2次会。

全員が全裸で、脱衣所に座り込んでの宴会になりました。


正直、神様4人&陸くん達2人&従者候補3匹&従魔1匹で宴会するにはちょいと狭いです。


当然、全員参加の大宴会になりました。 有り難い事に無礼講。

タリズ達も楽しんでいる模様。

始祖の神様もラガー系のビールは久々(前に魂の神様から貰って以来)だったらしくて、結構な量を飲んで居られました。


何だかんだで、また1時間ほど呑んだくれてしまったので、いい加減女子組みと交代します。


美の神様達女子組みにお待たせした事を謝罪しつつ、

お詫びとして幻の酒&ちょっと変わったお酒を20本ほどお渡し。

ついでに人数分のグラスと保冷用の桶も一緒。

後、ルナに入浴剤の使用許可も出しておきました。


ちょっと変わった酒ってのは、入浴剤を入れるだろうから、それに併せて花系統の香りがするお酒です。

ちなみにルナ達は、美の神様の許可を得た上で“従者訓練”をしていたらしく、人化してました。


一応許可を貰った上で、だから良いんだろうけど。本当に大丈夫だったのか、かなり心配です。


それは確かに心配っちゃ~心配なんだけど、何だろう?俺を見る女子組み全員の目が冷たい気がする。

ん?俺と魂の神様を見る目が冷たい感じか? 何かやらかしたっけ??

美の神様もそうだし・・・待たせ過ぎたのかな?

幾ら何でも、海ちゃんからまで冷たい視線を貰う様な事をしでかした覚えはないし・・・。


ん~判らん。ま、いっか。気のせいかも知れないし。

待たせ過ぎに関しては、本当にすみませんって感じだしな。


で、そんな事は隅に置いておいて、またまた男(神)連中だけで集まって、バーカウンターで3次会に突入。


タリズ達は陸くん達にお任せして、従者教育をして貰う事にしました。

ついでなんで、トウも預かって貰いました。


まぁ当然の流れと言えばそうかも知れませんが、男(一応神ですが)だけで集まったら、話題になるのは女性関係。

今回の主な話のネタは“魂の神様と美の神様の関係について”です。


で、すぐに、始祖の神様がしれっと“2人は昔、恋仲だった”と暴露。

いや~やっぱり怪しいと思ってたんですよねぇ。


破局の理由が“魂の神様が忙しくなった結果のすれ違い”だそうで、輪廻転生の輪の件が破局理由らしい。

当然、輪廻転生の輪の件に関しては粗方問題が解決したはずだし、美の神様の方は未だに想って居るらしいので、

“もういい加減、ヨリ戻しちゃいなよ!”って感じで、魂の神様をいじる方向で盛り上がりました。

そりゃー夜這い禁止にしたら、美の神様も残念な所だわなぁ。納得です。

いい判断した!俺! 他人事だから言えるけど。


ま、基本的に男だけが集まっての雑談とか、余りにも普通の内容過ぎて一気に上下関係も吹っ飛びましたから良しとします。


始祖の神様も魂の神様もこの雰囲気に慣れたみたいだし、ミツハルさんの緊張も取れたから良しとしましょう。

結果オーライ。


流れで、俺がルナ達を抱いた事も暴露させられましたが、魂の神様の件に比べれば瑣末な事なので、俺的にはスルー。

・・・したかったんだけど、魂の神様から散々突っ込まれる形に。

俺からの逆襲で魂の神様に美の神様との関係を突っ込む感じで、お互いに言い争いを演じる結果になりました。


ガチで枯れてる始祖の神様と、既に子持ちのミツハルさんだけが勝ち組な感じの、正に不毛かつ惨めな泥仕合。


やいのやいのと言い争う俺と魂の神様。

ニヤニヤしつつ、2人して俺達に突っ込みしながら、我関せずで酒盛りしてる始祖の神様とミツハルさん。

ちくせぅ。2人だけ余裕綽々で仲良く呑みやがって・・・。


ちなみに、始祖の神様に関しては自意識を持った時点で“性欲”自体が無かったらしいです。

姿も当時のままらしいですし。


だから、もしかしたら、ですが。

より上位の存在が居るのかも知れない・・・なんて真面目な話も一応ありました。

ほんっっとうに少しだけ話題になったぐらいですが。

残念(?)ながら、基本的に終始猥談か雑談でした。



それにしても、数万歳年下の女神に手ぇ出す魂の神様って犯罪じゃね?

あ、それを言ったら200歳以上年下のルナ達に手を出した俺も同罪か・・・。

ん?ミツハルさんもそういう意味では同類なんじゃね?だったら問題ないか。

どうせ俺らって神だし。



2時間ほどわいのわいの喋ってたら、女子組みが上がってきました。

む?やっぱり美の神様はすっぴんの方が美人度が増してる気がするんだが?


後でさりげなく始祖の神様から言って貰って、魂の神様を押し倒して貰わねば!


そんな事を考えていたら、ルナだけがこちらに寄って来ました。

美の神様は客室へ直行。メイク直しですかね?

「主様。お願いがあるのですが?」


「ん?ルナ、何の用?」


「私共だけでも浴室の換気や清掃が出来る様にして頂けませんか?

主様がご配慮して頂けたので気付けたのですが、酒精によっては入浴剤の匂いが邪魔な場合が御座いますね。

先程頂いたお酒によっては、若干では御座いますが、せっかくのお酒自体の味を損ねる事に気付けましたので」


「あぁ!気付いたんだ。了解。掃除道具自体は浴室にあるから自由に使って。

後、換気扇のスイッチを脱衣所に付けとくよ。


ま、それに気付けるぐらいになったって事は、色々と配慮が出来る様になったって事だから、今後とも頑張ってね」


「はい。有難う御座います。それでは失礼致します」


「はいよ~」


ルナを見送ったら、始祖の神様達に断りを入れてちょっとだけ浴室へ。

ぱぱっと風呂掃除をして、脱衣所に換気扇用のスイッチを『出ろ!』としておきました。

問題なくスイッチの作成も出来たし、風呂掃除等の用事が済んだらさっさとリビングに戻ります。


来客用のバーカウンターには既に美の神様も戻って居られて、ミツハルさんが接客中。

ちょっと慌てて合流です。


「すみませんミツハルさん」


「いえいえ。

自分もこうやって色々と作るのは楽しいですから、全く構いませんよ」


「有難う御座います。

さて。美の神様はまだ何も飲まれて居られない様ですが、何かご希望はありますか?」


『そうですわね・・・先程お風呂で頂いたお酒も興味深かったのですが・・・。

では“美しい”お酒をお願い出来ますかしら?』


「“美しい”ですか?う~ん。何パターンか有りますけど、美の神様だし最初は“美しい”事に特化した物がいいかな?


少し味としては落ちますが、“美しさ”としては問題無いと思いますので、それでも宜しいでしょうか?」


『構いませんわ。

私としては無理を言ってみたつもりなのですが、リュウノスケ殿は何種類か思い付かれたのですね。

これは私の負けですわねぇ。もう少し難しい要求を考えておきますわ』


「承知しました。少しお待ち願います。

と言いますか、無理を言いたかっただけですか?

何か嫌われる様な事をした覚えは無いんですけどねぇ・・・。


ま、多少の無理を振られても努力はしますよ。

後、私に対して“殿”は不要です。“さん”ぐらいでお願いしますね」


『判りましたわ。リュウノスケさん。よろしくお願いしますわね?』


「承知しました。

ん~と、かなり久々に作るからなぁ・・・綺麗に出来ればいいんだけど・・・」


『お酒なのに“美しい”ってかなり難問じゃない?ミツハルくんだったら出来る?』


「自分では無理ですね。

ミー達なら何とかなるかも知れませんが、何を作るかは想像出来ないですよ」


「ん~?

いや、私が作ろうとしている奴はレシピ本にも載ってる程度の有名なカクテルなんですけどね?

ただ綺麗に作るのがえらく難しいんですよねぇ。

バーテンとしての力量が問われると言うか・・・。


まぁその辺が、前に言ったバーテンの醍醐味と言えばそうなんで、精一杯頑張ってみますけど。」


『ワシとしては、美の神が風呂で飲んだ酒の方が気になるのぅ。未だワシの知らん酒かの?』


「あ~魂の神様に渡した事も、飲んで貰った事も無かったかも。

“女性だったらこういうお酒も好きかな?”と思って出しただけですからねぇ。

試飲されますか?」


『頼めるかの?』


「『出ろ!』どうぞ。

ただ、単純にお酒の味としては幻の酒よりは遥かに劣りますよ?

ちょっと面白いだけで」


美の神様のオーダーを作りつつ、ちょっと香りが特殊な日本酒を瓶で作成して“ででん”とカウンターに並べます。


『お!知らないお酒がいっぱい出てきた!

何だリュウノスケくん。まだ出来る物を隠してたんだ』


「いや隠してた訳じゃなくて、今までは作る必要が無かったと言う感じですかね?

不味くは無いですけれど、ちょっと変わったお酒って言った方が正解かも。


今までは単純に料理とか場に合わせたお酒を出していましたからね。

機会も有りませんでしたし」


『ふ~ん。ま、いいや。じゃ早速・・・始祖の神様からどうぞ』


『おっとすまんの。

ん゛っ・・・むぅ。確かに不味くは無いが、幻の酒に比べれば旨くも無いな。これは何じゃ?』


『本当ですね・・・香りが独特な感じぐらいで、味としては・・・微妙?』


「大体魂の神様の言われた通りですかね?どちらかと言えば香りを楽しむ方向のお酒ですね。

ま、飲む前と、飲んでからの鼻から抜ける香りを楽しむお酒ですよ。


量を飲まない女性向けって所ですかね?

場の雰囲気を楽しみたいだけの時とかに飲む感じかな?


・・・っと出来た!

ん~俺としては結構会心の出来かな?綺麗に分離してるし。境界もはっきりしてるし」


「あ!リュウノスケさんが思いついたのってそれですか!なるほどですね」


「ですです。まぁ見た目は綺麗ですからね」


『何ですのそれは?確かに見た目は“美しい”と言えますが?』


「“レインボー”って言う名前のカクテルですよ。

他にも“美しい”と言って良いカクテルはありますけれど、とりあえず最初ですし定番にしてみました。

各層それぞれが違うお酒なので、飲みたい所にストローを差し込んでそれを飲む感じですね。


あ!全部混ぜたら多分不味いので、余り混ぜない方が良いと思います。

それと一番底はお酒じゃなくてシロップなので、単純に甘いだけですけどね。

口直しって所ですか。甘いですけど」


『・・・あら?味は期待して居りませんでしたが、意外と不味くは無いですわね?』


「まぁ定番と言われるだけあって、色々と研究されてますからね。

そこまで不味い訳ではありませんよ。それでも味としてはそれなりですけどね。

まぁ見た目重視の代表格って感じでしょうか?


飲み手次第で好きな味が楽しめますし、遊び感覚で楽しむカクテルでもありますよ?

バリエーションも豊富ですからね」


『お次は・・・』


「あ!すみません。

次をオーダーする場合は、一度出されたお酒は飲み干してからにして下さい。それが此処のマナーなので。

申し訳ありませんが、ご協力を宜しくお願い致します」


『判りましたわ』


上級神が相手であっても、その辺は妥協しません。

ちなみに始祖の神様に出した分は試飲用なので別ですが。


で、美の神様はサクっと飲み干して次のオーダーへ。


『それではお次は“リュウノスケさんが好きな美しいお酒”でお願いしますわ』


「うわ~。何か私嫌われてます?追い詰め方が露骨なんですけど?」


『気のせいですわ』


「・・・まぁいいですけどね。

ん~と、そうだなぁ。ちょっと私の好きなカクテルに手を加えるのは許可して頂けますか?

私の好きなカクテルが、見た目的に“美しい”とは一概に言い切れませんので」


『構いませんわ』


「承知しました。

とりあえずいつものを作って・・・クラブソーダを追加するとして、オレンジを飾るかな?」


とりあえず先にオレンジの皮を螺旋状にピール。短剣スキルが生きます。

ペティナイフでも短剣に分類されるみたい。


「ん~後はブランデーフロートで蓋をしたらイケルか?

・・・よし。それで行こう。ふんふふ~ん♪シェイク!シェイク~♪」


『・・・無理難題を言われとるはずなのに、随分と楽しそうじゃのぅ・・・』


『以前リュウノスケくんから聞きましたが、給仕側は給仕側で面白いそうですよ?』


「始祖の神様も挑戦されますか?自分で良ければお手伝いさせて頂きますが?」


『面白そうじゃの。ワシもやってみるか』


俺が美の神様のオーダーを作っている間に、そんな遣り取りの末、始祖の神様もバーテンに挑戦。

ミツハルさんがレクチャーしてます。


ふっふっふ。今、客席には渦中の2人のみ・・・盛り上げてみようかな~♪


頼まれて無いけど、2人分同じカクテルを用意。

で、魂の神様と美の神様に出しました。


『リュウノスケくん。コレは?』


「単純に私の好きなダイキリにオレンジの皮をピールして入れて、ソーダで割ってブランデーをフロートにしたものです。


ソーダで表面のブランデーが徐々に崩れていく感じを、“儚さ”として表現してみました」


『いや、そうじゃなくて。私は頼んでないよね?』


「せっかくゲストがお2人なので、別々の物を飲まれるよりも、味覚と時間を共有して頂ければ良いな~と思いまして」


俺・始祖の神様・ミツハルさんはニヤニヤ。美の神様も俺の配慮に嬉しそう。


「ちゃんと今は“美しさ”もありますが、早く飲んで頂かないと駄目なカクテルなので、四の五の言わずに飲んで下さい。

あぁ!味はちゃんと保障しますよ?私の好きなカクテルをベースに創作しましたから。

一応フロートにしたブランデーも厳選したので、相性も問題有りません。


ささ。どうぞどうぞ」


してやられた。って感じの魂の神様を尻目に、勝手に次のオーダーを用意する俺。

何も言わずに俺の意図を察してくれた、始祖の神様とミツハルさんに感謝。


基本的に“儚さ”とか“今が大切”的なカクテルをがんがん作って2人に飲ませます。


ぽつぽつと、ですが、魂の神様と美の神様の間だけでの会話も始まり、完全に狙い通りです。

後もう一押しが必要か。



『リュウノスケよ。お主も策士よのぅ』


「いえいえ。

何も言わずに合わせて頂いた始祖の神様とミツハルさんのおかげですよ。

後は何か駄目押しがあれば言う事が無いんですけどね。

何かいいアイディアはありませんか?」


『むぅ。そうじゃのう・・・ミツハルよ?お主は何かないか?』


「難しいですね。もう少し盛り上がってくれれば、手はあるかも知れませんが」


「それじゃ、もうちょっと2人きりの時間を延ばす方向で私は頑張ってみますね」


『それにしても、リュウノスケの言う“場を作る”とはこの事か。なかなかやるのぅ。

この状況を作り上げるとは、余り敵に回したくは無いものじゃな』


「そうですね。

始祖の神様がこちらに興味を持ったのは偶然なのに、それを生かしてこの状況を作り上げるのですから」


「褒められてるのか微妙な所ですが、素直に受け取っておきますよ。

それより今は2人の関係を進める事を優先しましょう。


あ、そうだ。始祖の神様。美の神様にそれとなく薄化粧ぐらいに化粧を抑える様にアドバイスして頂けませんか?

多分、今よりも美の神様は薄化粧の方がよりお美しく見えると思うのですが?」


『相判った。それとなく、じゃな?』


「はい。それとなく。でお願いします。

なるべく自然な感じで伝えた方が、受け入れて貰いやすいと思いますので」


神様3人コソコソと悪い顔をして密談中。

とりあえず時間さえ掛ければ、魂の神様も落ちるかな?



・・・と。

「主様。

例年ですとそろそろお屠蘇を始めるお時間になりましたが、如何なされますか?」


「・・・ルナ。お前、従者失格」


「えぇっ!?何故ですかっ!」


とりあえずルナ。お前はこの空気を読めるようになれ。

つーかミーさん達は止めなかったのかよ!

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