第103話 門番配置完了
「それじゃ『我が求めに応じよ!』・・・は~やっと終わった。
後は白虎にスキルとか色々と追加したら完全に終了だな。さっさと終わらすか・・・。
あぁ白虎は人化が出来る様になったら、他の神獣達にちゃんと挨拶しとけよ~。その間に付与とかしとくから」
あれから、青龍・朱雀・白虎の順に同じく躾けが行われたせいで結構な時間となりました。
今後の予定も考えると今回は徹夜確定ですな。朱雀の所に移動する時点で既に諦めていましたが。
結局四聖獣全てが聖獣化してたのは良かったんだけど、俺が魔物時代に遊んだせいか最初から警戒心MAXで、
いきなり”交渉しようぜ!”なんて話にならなかったです。で、態度が悪いとルナ達による躾けが実行された訳ですな。
青龍はリヴィアが躾け、タリズが回復役。
朱雀はシファードが躾け、またまたタリズが回復役。
白虎はフェンが躾け、ルナが回復役してました。
まぁ、神獣同士の上下関係がはっきりしたって所は良かったのだろうけど、
ガクブル状態の四聖獣を見てると、門番として役に立つのか?ってかなり疑問になっちゃいました。
同じく躾けられた四聖獣同士は傷の舐め合いのせいか、仲良くなったみたいで結果論としては良しとしておきます。
ちなみに四聖獣を人化させてみると、
玄武は黒人科の長身体型で青眼青髪のイケメン。
青龍は黄色人科の細マッチョ体型で茶眼茶髪のイケメン。(あれ?色的に玄武と逆じゃね?とか思った)
朱雀は黄色人科のスリム体型で赤眼赤髪のそれなりに美人さん。(朱雀だけ雌でした)
白虎は白人科のがっしり体型で緑眼緑髪のイケメンでした。(白じゃねぇのかよ!って突っ込みたかった)
最初にやらかしたせいで、最後まで躾けには参加出来なかったタリズですが、
毎回ダンジョン破壊後の魔物討伐で憂さ晴らしをしていたので大丈夫でしょう。
ちなみに、初回の教訓を生かして魔法系の一切を禁止して人化時の戦闘訓練も兼ねてみました。
武器はルナ以外は毎回変えてたので割愛。ルナの扇以外は、全員しっくり来る武器がないらしくて色々と試してました。
どの武器を使っても、スキルレベル云々じゃなくて基礎ステータスが異常だからオーバーキルになっちゃうし・・・。
幸か不幸かテイル種は居なかったので良かったです。
クラーケンとかの水棲魔物が陸上に放り出される姿は哀愁が漂ってました。当然無抵抗状態で狩られましたが。
ルナ以外の、リヴィアとか他の面子は同種でも躊躇無く狩ってました。その辺は結構シビアな世界らしい。
ま、俺としては追加と言うか過剰に食材やら素材なんかが集められたので良しとしておきます。
剥ぎ取りなんかの遣り方もレクチャーしておいたので、ルナ達が人化時に冒険者偽装した時なんかは役立つかな?
殆ど時間も掛からず、白虎が居たダンジョンの掃討も終了です。ルナ達が強すぎて、俺とか四聖獣の出る幕は全く無し。
俺としては予想通りな光景なんだけど、四聖獣にしてみたら圧倒的に格上の戦闘だから相変らずガクブルしてます。
これだけの力量差を見せ付けられたら、反抗する気力も根こそぎ奪っただろうからまぁいいです。
俺は、狩った魔物の肉やら素材が勿体無いので転送するのが若干面倒臭いぐらいなもんですわ。
「んじゃ、お前ら四聖獣の新しい住処に移動するか。先ずは玄武からかな? 『転移!』」
「ほい、到着。とりあえずまだまだ小さいけど、此処が玄武のダンジョンだから。
詳細は改めて説明するけど、とりあえず10階層ぐらいまで成長するまでは、魔素の配分量はなるべく変更しないでね。
先に玄武だけダンジョンマスター登録するから着いて来て」
人化した玄武と共にダンジョン核の部屋に移動します。
他の連中は一旦放置。一応四聖獣とルナ達も本当に軽い雑談程度なら出来る様にはなりました。
上下関係はかなり厳しいみたいだけど。
「ん~確か俺と玄武が同時にダンジョン核に触れながらだったよな。玄武も手を乗せて。
よし。んじゃ『ダンジョンマスター権限移譲!』・・・いけたかな?ちょっと玄武だけでメニュー画面出してみて」
「こうでしょうか?」
俺の指示通りにメニュー画面を出す玄武。無事権限移譲出来たみたい。
「ん。そんな感じ。まぁ四聖獣の全員にちゃんと説明もしなきゃいけないから、一旦戻ろうか」
再び全員の元へ再集合。
「とりあえずダンジョンに関して問題無さそうなんで、改めて説明しておくね。
四聖獣にはそれぞれダンジョンマスターとしてダンジョンの管理をしつつ、俺の国の門番もして貰います。
さっき玄武に権限移譲が出来たから、青龍達のダンジョンにも後から行くからそのつもりで。
で、さっきちらっと言ったんだけど、先ずはダンジョンを大きくして地上に出入り口を作って欲しいから、
かなりの余裕を見て、ダンジョンが10階層になるまでは魔素の配分量を余りいじらないように。
10階層を過ぎたら後は自由にしていいよ。遊ぼうが何しようが完全に自由とします。
現状の魔素の配分量は90%がダンジョンの成長用に配分してて、残りをお前達四聖獣の食料代わりの魔物用にしてるから、
食い足りないなら多少の変更ぐらいは許可するけど、なるべくならダンジョンの早期成長を目指して下さい。
此処までで何か質問とかある?」
「創造神様。質問させて頂いて宜しいでしょうか?」
「ん?朱雀何か不明点あった?」
「魔素とは何でしょうか?」
「あれ?その辺の予備知識って無いの?ルナ達は?」
「私も存じ上げませんね。タリズ達はどう?」
「姉上と同じく。主様。ご面倒をお掛けしますが、ご説明頂けますでしょうか?」
「ふ~ん。知識として持ってるかな~って思ってたけど、無いのね。了解。んじゃ、最初から説明するかな。
ちょっと長くなるけどちゃんと説明するから聞いててね。
そもそも、だけど。この惑星”リザアース”って言うんだけど、そこの中心部付近から魔素って言う物質みたいなものが、
無限発生的に地表とかに供給されてるのね。
で、“魔素”を植物なんかが吸収した場合は“マナ”に変化してこの世界を満たす様に拡散する訳だね。
その変化させる器官を“オド”って言うんだけど、それが“魔素”を“マナ”に変化させる役割を持ってるんだ。
“オド”自体は、魔物も含めた動植物全てが持ってる器官になるけど、“マナ”を生み出すのは植物だけだよ。
んで、魔物の本質的な“オド”に対する飢餓感は先天的なものだから、魔物は他を襲う生物として定義されている訳だね。
所謂魔法の使用に関してだけど。
自身の“オド”を植物が放出拡散したマナに干渉させて、自身の希望する現象を引き起こすって事が魔法の本質だね。
自身の持つ“オド”としての貯蔵量と自身の最大MP量が大体同じと考えていい。
そうなると当然、“オド”の単位時間当たりの変換総量が自然回復量に相当する訳だ。
話を“魔素”に戻すけど、“魔素”には色々な役割がある。
1つはさっき言った“マナ”の供給源になる事。
もう1つは“魔素”から直接魔物が生み出される事。
最後にダンジョンに吸収される事によって、ダンジョンの成長なんかに消費される事だね。
恐らく間違って居ないと思うけど、四聖獣もルナ達も、最初期の魔物は“魔素”から誕生したはずだね。
場所によってはダンジョン内で誕生したのかも知れないけど、要は一緒だな。
“魔素”がある程度溜まっている場所なんかに、自然発生的に魔物は生まれる。
何が生まれるかは完全にランダムだけどね。
ダンジョンの場合は、ダンジョン外壁部から吸収された“魔素”がダンジョン内に放出された場合、
高確率で魔物が誕生するような、特殊な“魔素”となる。
四聖獣もそうだし、リヴィアやフェン、シファードなんかは確実にそっちの方で生まれたんじゃないかな?
ルナとタリズに関しては誕生に立ち会ってないから判らないけどね。
最後にダンジョンに吸収される“魔素”についてだけど、これは結構単純な話。
ダンジョンはダンジョン外壁の外周部から常時“魔素”を吸収し続ける。
吸収した“魔素”はダンジョン自体の強化・修復・成長に消費され、余剰分がダンジョン内部に放出されて、
ダンジョン内の環境を造ったり整える事や魔物を誕生させる事に消費される訳だね。
ここまではOKかな?」
全員が頷くのを確認して、ダンジョンの説明へ。
「で、今回俺が四聖獣の為に用意したダンジョンなんだけど、基本的には余り成長していないダンジョンになる。
朱雀に管理して貰おうと思っているダンジョンだけは、ある程度成長はしているみたいだけど、それほど差は無いと思う。
で、さっき言ったダンジョンマスターの話になるんだけど、
ダンジョンマスターの権限を持った者がダンジョン核に触れた場合、ダンジョンの色々な事を操作出来るようになる。
まぁ四聖獣は後で色々と調べてみるといいよ。ルナ達は関係ないし。
それから、俺がダンジョンが10階層まで成長するまでは、余り配分をいじらないで欲しいって言ったのは、
要はとっとと地表に出入り口が欲しいからなんだよね。
朱雀の所は既に出入り口が露出してるから関係ないと言えばそうなんだけど。
ダンジョンは大体5階層を超えたあたりで一応は出入り口が出来るはずなんだけどね。
まぁ吸収魔素量の余裕が欲しいから10階層を目標とします。
ダンジョンが大きくなればなるほど、吸収できる魔素量も増える事になるからね。
とりあえず10階層になるまでは、なるべく早く成長させて欲しい。
ってのが俺の希望かな。まぁある程度は自由に任せるけどね。
さっきも言ったけど、現状では魔素吸収量の90%をダンジョンの成長に配分。
残りの10%は魔物を生み出す分にしてるから。
魔物用の10%は玄武達の御飯用の魔物を誕生させる為に必要かな?
って思っての事だから、自由にしていいよ。
魔物の誕生量が多いならよりダンジョンの成長を早めた配分に変更してもいいし、逆にしたかったら好きにしていいです。
まぁ最悪、数百年単位でじっくり成長させても構わないと言えばそうなんだけどね。
正直、その辺りはダンジョンマスターの権限をそれぞれに移譲したら、各自の好きにして貰って構わない。
一応俺の希望だけは伝えたけど、意に反しても別に怒ったりはしないから。
ただ、門番の役割は絶対に譲らないけどね」
「あのぅ。創造神様。1点疑問があるのですが、宜しいでしょうか?」
「ん?玄武。何が疑問?」
「そのダンジョンが成長した後なのですが、門番として常に門の傍に居ないといけないのでしょうか?
門の開閉に関してはお聞きして居りましたが、ダンジョン内に居た場合に即座に対処が出来ないのでは無いかと」
「あぁ!すっかり忘れてたわ。ごめんごめん。
ん~念話は使えるようになってるよね?
それの応用で門の内外に“鐘”みたいな物を設置するか・・・。
で、それと連動して念話で各門の管理者に念話で呼び鈴代わりにすればいいかな?」
「創造神様にお任せ致します」
「OK~んじゃちょっと移動しますか。せっかくだし全員で行こうか。『転移!』」
「到着! とりあえず此処が玄武に管理して貰う予定の門ね。
せっかくだし名前も玄武門としておこうか。先に開閉してみてくれる?」
「承知致しました。『開け!』」
ゴゴゴゴ・・・って音と共に、無事に門が開きました。
ちゃんと権限を与えられたみたい。
「OKかな?
とりあえず外門と内門のそれぞれ個別に開閉出来るかも試してみて」
「はい」
指示通り外門や内門だけの開閉も問題ないみたい。
「OKだね。
最悪外門内までの進入は許可するけど、無断で内門を突破される様な事が無いように気をつけてね。
ま、外門内に無断で進入した時点で“神罰を受けし者”が強制付与されるとは思うけど、
無断で外門内に進入出来る様な相手だと、それなりに強いだろうから油断はしないように。
ちゃんと強くなっておいてね。
あぁ後、“神に認められし者”スキルの保持者に関しては、入れてあげてね。
特別待遇とかはしなくていいけど、人類で北極大陸内への進入許可証代わりのスキルだから.
城門に来た人類は完全鑑定して、そのスキルを持っている人類だけは進入を許可するように。
もし“神に認められし者”スキルを持っていても封印状態だった場合は、許可しないでね。
一応もし人類が、ちゃんと“外交”として接触して来た場合は、俺に連絡すること。
注意点としてはそれぐらいかな?全員OK?」
「「「「はい」」」」
「よし、それじゃ“鐘”を設置してっと。
付与としては相手先限定の自動念話と自動修復・破損防止ぐらいか。『出ろ!』」
サクッと城門内側(通路横)に“鐘”を作成。
イメージとしては町火消しの半鐘って感じですね。
ただ、櫓に設置されてなくて地面から直接叩ける感じ。
「試し打ち~。
多分玄武だけは“鐘”の音以外の音が念話で聴こえるはずだから、ちゃんと確認してね?
んじゃ鳴らすよ~」
とりあえず“ジャーン”と鳴らしてみた。
実際、俺に聞こえたのは“ジャーン”って音だけですが。
「玄武。どうだった?」
「はい。直接聴こえた音以外に、頭の中に“ポーン”と音がした感じがしました」
「OK。それが合図だからね。覚えておいて。
その音がした時だけ此処に来てくれればいいよ。
青龍達も同じ物を設置するから、今の玄武の言葉を覚えておいてね。
んじゃ、外にも設置してきますかね~」
てくてく歩いて城門の外へ。なぜだか全員着いて来ました。まぁいいけどさ。
「とりあえず“鐘”は同じ物を城門脇に設置しといたらいいか。
一応開門要請時には鳴らす様に注意書きも付けてっと。
後は・・・せっかくだし、ちゃんと“玄武門”って看板掲げとくか。『出ろ!』」
“鐘”は内側と同じ物です。注意書きもほぼ看板って感じ。
で、城門の上部にどど~んと“玄武門”って荘厳な感じで看板も出しておきました。
自分でやっといて何ですけど、看板があると何か厳つくなったね!
かなり様になってます。
「こんな感じで大体大丈夫だろう。
他に何か問題とかあったら、直接念話で俺を呼んでくれればいいや。
自分の判断ではどうしようも無い時とかもあるだろうし、ちゃんと用件がある時は気兼ねなく呼んで。
つー事で、此処は玄武に担当して貰うから、これからは玄武門と呼びます。
各自そのつもりで」
「過分なご配慮有難う御座います」
「ま、必要な事だから気にしなくていいよ。
んじゃ、さっさと次に行こうか。あんまり時間掛けても仕方ないし」
微妙に感激している玄武を放置して、次は青龍のダンジョンへ。
青龍→朱雀→白虎の順に、玄武の時と同じくダンジョンマスターの権限移譲とか設置物を配置して回ります。
何気に玄武達も連れて来て、一応玄武でも他の門の開閉が出来るかテストしてみたら、開閉自体は可能でした。
まぁ何かあった場合に他の四聖獣に開閉させる事があるかも知れないから、その辺は適当です。
一応その為に転移場所として覚えて貰う様にも指示しておきました。
各ダンジョンにもね。
俺が手を出す事は無いけど、四聖獣同士での交流はして欲しいなぁと思っているので。
まぁ、“鐘”が鳴っても念話連絡が入るのは各門番だけだから、暇になるだろうと思って居ます。
念話だったら何処でも聞こえるし。
白虎への説明やら設置も完了したので、またまた全員で玄武門の内側へ転移して来ました。
「あ、言ってなかったけど、この大陸の中央付近に俺の国を建国する予定だから、各自そのつもりでよろしく。
まぁ暫くは、国って言うか国の下地作りだけしかしないんだけどね。
そもそも、一般国民が居ないからなぁ。
俺の国がちゃんと国として成立するのは、かなり先の話になるだろうから、皆のんびり構えてて大丈夫だと思う。
四聖獣は契約従魔になったから、暫くは“神の試練”スキルのせいで実力が発揮出来ないと思うからそのつもりで。
俺からはそれぐらいかなぁ。
あ~。多分だけど、この姿で会うのは今回が最後だと思う。
次の神の分体で生活をし始めたら、俺は不老不死じゃなくなるし、名前も変えてただの冒険者として生活する予定だから。
その時の名前は“リューノ”だから覚えておいて。
皆からは何か不明点とかある?」
顔を見合わせる四聖獣。
各自頷いた後に「御座いません」との事。大丈夫らしい。
「あぁ!ついでだし大精霊も召喚しておくか。
この姿で会っておけば説明もしやすいしな。
一応お前達も大精霊召喚スキルって使えるスキルになるだろうから、会っておいた方がいいだろう。
んじゃ、『大いなる火と水と土と風と聖と闇をそれぞれ司る大精霊よ!顕現し我が意に従え!』」




