第010話 天地創造 その2のその後
真っ暗な空間に居たら前方から光が迫ってきて一気に飲み込まれました。
確か寝たはず・・・夢か?と思ったら 神様再降臨!?
『やぁ!、頑張ってるみたいだね!』
「どうも。お疲れ様です。その節は色々とお世話になりまして、有難うございます」
相変わらず気さくと言うか、軽い神様だなと失礼なことを思いつつ。
とりあえず改めて拾って貰った御礼しなきゃね。
あ、神様には考えてることバレるんだっけ。余計なこと考えるの辞めとこう。
『ははは、まぁいいよ。
今回は無事に輪廻転生の輪を設置したみたいだから、その様子見と他の神からクレームが来たからその対応だし』
「様子見はともかく、クレームですか?
特に他の神様に迷惑掛けるようなことしてないと思いますし、現状ぼっちの銀河では出来ないと思いますが?」
『バリア張ったでしょ。しかも結構確信犯的に』
「あ~ 確かに。でも今こうして干渉されてる以上、万能だとは思っていないのですが?」
おぅふ。ばれてましたか。
でもこうして干渉されるってことは予定通りにバリアは機能してるとみて間違いないかな。
『まぁね。
あの本。今はモノリスの書だっけ?あれに記述したから多分中級神あたりならこうやって干渉出来ると思うけど、
中級の下位あたりから格下の神だと干渉出来ないよ。
でクレームってのは、生まれたての格下の神が四苦八苦してるのを見て笑おうと思ってたのに、一切見れなくなったからね。
何を生意気な!って感じでクレームが来たんだよ』
「・・・私より上位の神様って暇なんですか?
正直苦労してるところを見て笑いたいとか不快なんですが?」
何か頑張ってるのに苦労してる所を覗き見られて、
しかも笑いの種にしようとするとか結構ムカツクんですが。
『ごめんね。
気持ちは判るんだけど一応神同士で監視しあって、よりよい世界を作りましょう。
ってお題目があるから“他の神が統治する領域を見て参考にしたりする。”
って意図が最初はあったんだ。今は参考じゃなくて娯楽の方向に傾いちゃったんだけどね。
輪廻転生の輪がある程度成長して、世界が安定してきたら基本的に神は暇になるからね。
で、暇になって色々覗き見してた神からクレームが来た訳だ。
・・・それで、どうだろう。バリアを消す気はないかい?』
「すみませんが、その話を聞いたら尚更消す気にはなりませんよ。
第一、完全に不干渉ならばともかく、ある程度の格があれば干渉出来る以上問題ないと考えます。
私は拾っていただいた神様に恩義を感じて、自分でもやってみたいと思っていたから神になるお話を受けたのであって、
笑いの種を提供する為に神になったのではありませんから」
『だよねぇ・・・まぁ管理職の宿命みたいなものか。
じゃぁ妥協案として、あのバリアを消さない限りキミには他の神の世界に干渉出来ないって条件は飲んで貰える?
あの本を渡しちゃった以上こっちとしても少しは成果を求められるからさ。
特別扱いしたみたいに言われるとこっちも反論しにくいんだ。
でまぁ、上・中級神からは干渉されるけど、キミは他の神の世界が見れない。
情報が制限された神がどう統治するかのテストを受け入れた。とすれば一応は納得させられると思うから』
「・・・分不相応な書物を頂いた以上、それは受け入れないといけないのでしょうね。
今回のように神様との対話が不可能になる。と言うのは正直痛いところですが。
・・・まぁそもそも、なんですが。神様にクレームつけるやり方すら判ってないので現状維持なんでしょうが、
将来的に神様とダイレクトに会話が出来る機会が無くなるのと、
他の神様が統治する世界を参考に出来ないのは、十分なペナルティだと思います。
それで宜しいでしょうか?」
『うん。受け入れてくれるならその方向で話を進めるね。
ちなみに、神との対話は最初から出来たんだけどね?
それに気付くかどうか、応答するかどうかはそれぞれの神次第だったんだよ。
キミの場合は最初から自分の箱庭世界をどう創るのか、ある程度明確に方針があったから気付かなかっただけかも知れないけどね。
あと、キミからの対話は出来ないけど、こちらからコンタクトをとるのは可能だから。
何か用事があったらその時はちゃんと連絡するね。
一応妥協案を素直に受け入れてくれたから、今のうちに聞きたいこととかあったら聞くよ?
勿論答えられる範囲内で。だけど』
「有難う御座います。お手数をお掛けして申し訳ありません。
早速で何ですが、幾つか確認したいことがあります。
先ず、今回かなりしんどいぐらいの疲労感があったのですが、
これは神としての力。言ってみれば神力を使ったからでしょうか?」
『正解。もう少し無理してたら魂自体に損傷が出るかも知れないぐらい負担をかけてたみたいだね。
ちょっと頑張りすぎたのかな?』
「先ほどの話にも繋がるかも知れませんが、
神としての格を上げるには神力を使っていれば上がるものなのでしょうか?
それとも信仰心みたいなものを基準にしているのでしょうか?」
『信仰心は関係ないね。神力に関しては、そうとも言えるし、違うとも言える。
確かに神としての力を使っているうちに神としての格が上がる場合があるけど、
それは力を行使したからじゃなくて神としての力を行使しやすくなったから。
つまり神としての存在に慣れたから、とも言えるかもね。
その辺りは個人と言うか個神?次第だから一概には言えないけど』
「輪廻転生の輪なんですが、位置を変えたいと言うか、向きを変えたいと思っているのですが、問題ありませんか?
あと、容器を改変して使っていますが問題ありませんか?」
『ん?容器については問題ないしちゃんと設置出来てるけど、それをどうしたいんだい?』
「今は○が2つ横に並んだ“∞”の状態ですよね?それを縦の“8”にしたいんです。
今設置している容器のサイズだと横置きよりも縦置きの方が将来的に成長出来る大きさが大きくなると思いまして」
『あぁ、なるほど。輪廻転生の輪自体に魂の出入り方向の指定をしなかったのはそういう訳か。
確か“容器の上辺から入って底辺から出る”だったよね?うん。問題ない。
そうか、縦置きを考えてたならむしろしっくりくるね」
「輪廻転生の輪の中の魂についてなんですが、
元は“全ての魂の管理を司る神”様が創ったモノリスの書で記述すれば・・・ぶっちゃけた話、干渉出来ますか?」
『可能だけど、出来るだけ避けて欲しい。どう影響するか判らないからね。
干渉出来たとして、何がしたいんだい?』
「あぁ、先ほど少し話しに出ましたが、魂の損傷について考えていたんです。
私の元居た世界でも魂の概念として損傷や欠損と言った考え方がありました。
先にお聞きしたいのですが、
魂に損傷や欠損があった場合、輪廻転生の輪で浄化されたとして、損傷や欠損は修復されるのでしょうか?」
『・・・いや、輪廻転生の輪は浄化するだけで損傷や欠損は修復されない。
どうしてそう思ったんだい?』
「私が元居た世界では、先天性の障害を持つ者が居たからです。
遺伝子的に問題がないのに障害が出る場合があったそうで、不思議に思っていたのですが、
魂自体に損傷や欠損があれば説明出来るかな?・・・と。
障害を持って生まれた命を差別するつもりはありませんが、
せっかく生まれてくるのに最初からハンデを負わせるのは神として不誠実かな?・・・と思いまして。
で、話を戻しますが輪廻転生の輪で浄化が終わった魂のうち、
損傷や欠損がある場合は修復してから再び輪廻転生の輪に戻して、その後魂の器に入るようにすればいいのではないかな?と」
『そこまで考えていたのかい!?
心を読めると言っても全知全能じゃないって証明したみたいで、負けた気分だねぇ。まぁ悪くない』
「それでどうでしょうか?影響が出そうでしょうか?」
『ん~ちょっと待ってね。
・・・損傷や欠損のある魂は一度別の・・・言ってみれば魂修復の器に行って、
また輪廻転生の輪に帰ってくるってことだよね?
だったら普通の輪廻転生の流れを乱す訳じゃないから問題ないと思う。
ただ、魂を修復する器をモノリスの書で記述する時にそれが“魂の損傷・欠損を修復する受け皿であること”と、
“受け皿自体には意識を持たないこと”“受け入れた魂は個々の魂として存在し、混在や融合をしないこと”を記述して欲しい。
それならば大丈夫だと思う』
「なるほど、了解です。これで予定通り進められます」
『予定通り?あぁそれで“然るべき場所”なんて記述にしたんだ。よく考えたねぇ』
おだてても何も出ませんよ?
「あぁ、あと、魂の受け入れ時期ですが、どの程度猶予が頂けるのでしょうか?
今受け入れるための場所作りから始めてしまっているので、数百年単位でお待ち頂きたいのですが」
『了解。でも輪廻転生の輪が安定してきたらとりあえず10万はすぐに受け入れて貰うよ。
約束だったからね。魂の受け皿が無くても問題が無い話はしたよね?だからそこだけは譲れない。
むしろキミをスカウトした後、まぁ“面白半分で”なんだけど、
キミが元居た世界の魂を幾つか神として送り出したんだけど、問題のない範囲で最初から魂が欲しいって言われることの方が多かったよ?
どうも自分のサポート要員として欲しかったみたい。キミは要らないの?』
「それは考えましたが・・・追々、ですかね。とりあえず自分で出来る範囲のことは終わらせてから。と思っています」
『ふ~ん。まぁ最近は余裕があるからいいんだけどね』
「あ、そうだ。今の私の状態って神ですよね?物理的な影響はあるのでしょうか?
魂の状態から変化していないのなら精神体ってことになるんでしょうか?」
『今のキミの状態は精神体って表現で大体あってるよ。
物理的な影響は一切受け付けない。その上神だから精神的な影響に対する耐性もかなり高い。まぁ精神体って言うより神なんだけどね。
この辺の違いがちゃんと理解出来るようになったら下級神卒業かな?
物に触れたり動かしたり出来るけど、それはそうしようと認識してるからで実際に触れたり動かしたり、物理的には干渉してないんだ』
『他に聞きたいことはあるかい?』
「あとは・・・。
色々と試行錯誤はしてみたつもりなのですが、モノリスの書の記述は出来るようになりましたが、実行に関して拍手以外の方法はありますか?」
『そりゃあるよ?
でもそれは大したことじゃないから試行錯誤して自分にあったものを探してくれればいいと思ってる』
「分かりました。
最後になりますが、今回魂が損傷しかねないぐらい負担が掛かっていたとお聞きしましたが、
今後同じように神の力を行使し過ぎて魂が損傷した場合はどうなりますか?」
『まぁ過負荷で魂が損傷する前に今回みたいに動けなくなるほど疲労感が出ると思うけど、神の場合は魂の損傷は自然治癒する。
行使した力に比例する形で影響が出るから時間は掛かるけどね。
今回の場合でも多分数年は動けないんじゃないかな?
銀河って言う下級神にとっては大規模な改変を何度も行った訳だし。』
「そんなに!!」
『うん。まぁ生まれたての神がいきなり私の本の力を使ったとは言え、
銀河の改変を行ったり、自身の変身したり、瞬間移動したり・・・だったから。
今後は無茶しないようにね。』
「うわ~結構危ないことしてたんですね。
あ、変身ってどういうことでしょうか?服を作るのも変身になるってことでしょうか?」
『それは認識の違いだね。自分自身を変化させるのも自分の状態を変化させるのも一応同じ行為になるから。
身長や髪を伸ばすのと、服を作るのは神の力としては同義だよ。
自身の状態変化の一種として考えれば判りやすいかな?』
『・・・そろそろいいかな?』
「あぁすみません。1つだけお願いがあります。
今回の会話は夢の中での会話だと思っているので、忘れてしまう事柄が出そうなんです。何時起きるか判らないですし。
大事な内容を聞けたお話だったので忘れないようにするつもりですが、
私の力だけではなく外的要因で記憶として残しておきたいのでお願い出来ませんか?」
『確かにね。数年は起きられないだろうから、ちゃんと起きるときまで記憶として残るようにしておくよ。
まぁ起きてからは徐々に忘れていくかも知れないけど。それでもいい?』
「はい。すみませんがそれでお願いします」
『了解。それじゃぁ何事も無ければ、次は魂の受け入れの時かな?
それまで元気でね。あんまり無理しないように。じゃ、またね』
「ありがとうございました。なるべく早くお会い出来るよう頑張りますので。
また、次にお会いする時まで」
最初の逆再生のように光が遠ざかり、また真っ暗な空間に戻った。
とりあえず疲労が抜けるまでゆっくり養生しますかね。 おやすみなさい~ノシ




