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第8話 僕の隣にはいつも騎士(セシル)がいる!?

 ───こんなのは小学生だって解ける問題よ。なんでわからないのかしら? 次のテストで満点を取らなかったらこの服を着てもらいましょうか。そう言ってアリシア姉様は蛇のような目を細めながらメイド服を指したのであった。


 つまり、あれか、あの行動は僕に今回の試験で点数が悪ければ、もう用無しだからスバルのようにメイドとして永遠にこの国に仕えろと言っていたのだろう。最悪だ。


 僕は無理やりこんな言葉もわからない国に連れて来られただけでも我慢できないのに。一生滅私奉公させられるかよ。絶対イヤだ!!


 ゲームもやれない。トレーディングカードも買えない。この腐った国から僕は日本に帰るんだ!! そうだよ。僕は日本に帰るんだ。だって、僕が王女なんって出来るわけないんだもん。


 って、現実逃避しても、変わらないよ!! もちろん、最終的には日本に帰るよ。でも、今はこの問題を解かないと。


「…ええい、こうなったら適当に書いてやる」


 そう意気込み僕は問題を見るが、そこには英語で問題文が書いてあって全く読めなかった。


 そもそも、問題文が読めないって状況は絶望的じゃん!!もう、無理だ! さようなら、僕の学生生活。こんにちはメイドとして他人に仕える奴隷生活。


 だめだ。目からしょっぱい水が垂れてきやがる。


「先生、ナツウミさんの体調が悪いそうです!!」


 嘘!? なんでこいつがいるんだ!! 突然に僕の名前が聞こえて反応するとそこにはセシルがいた。


「まぁ、本当? あら、どうしたの苦しいの」


 丸メガネをした女教師は、僕の顔を見て顔を曇らせる。だめだ、何言っていのだろう。まったく、言葉がわからない…


「先生、ワタシが彼女を保健室まで連れて行きますね」


「でも、テストの途中で抜けると書いてある所までで採点されることになるわよ? いいの?」


「構いませんよ。次、頑張りますよ」


 そう何言かを力強く言って頷くセシルは悔しいけどイケメンだった。なんたって、この教科を担当する女教師が見とれるくらいだからね。


『さぁ、行こう。ナツウミ』


『でも、テストで満点を取らないとアリシア王女に…』

 

『大丈夫だ。ワタシがテストを入れ替えておくよ。バレリア人であるワタシならばバレリア語の問題は満点さ!』


 なにこのイケメン。見た目だけじゃなくて中身も有能なのと内心で思いながら保健室へ向かった。


 これで、僕はメイド服を着なくて済むぞと喜びでスキップをしながら…


☆☆★


『この点数はなにかしら?』


 姉のアリシア王女に呼び出されて渡されたテストの点数を見て僕は驚いてセシルの方を振り向く。


『フッ、実は英語はわからないんだ!』


 って、キサマ!! ざけんな殺すぞ!! 


『なに、二人で見つめ合ってるのかしら? 私はナツウミに言ったわよね? 次テストの点数が悪かったらメイド服を着てもらうって』


 ドスの利いた低い声に反応して、


『い、イヤです。お姉様』


 とオドオドとしながら僕はそう言う。


『フフフ、捕まえた!』


 や、やめて、僕はメイド服なんて着たくないんだ!! 僕はアリシア姉様の部屋を駆けまわって逃げようとしたが、メイドのスバルに抑えられて…


 その後のことは語りたくない。ぐすん。でも、ひとまず、言えることは…


 僕は奴隷生活に落とされはしなかったけど、男として大切なモノをまたひとつ失ったよ。もう、イヤだ!!

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