第3話 王立バレリア学園に入学させられた!?
LEDで出来た電灯が白一色の部屋を明るく照らしだしている。化粧台の前にある椅子に座った僕は鏡に映る自分を見てため息を吐いた後に思い出に浸るのをやめた。
これは現実なのだ! ここで女の格好をした僕は実在しているのだ…
わけもなく、自らの姿を目にして嫌悪感を感じた後、辺りを見渡す。すると、視界に手をヒラヒラとさせたアリシア王女が入ってきた。いつの間に彼女は僕の部屋に入ってきたのだ!?
「それにしても、その格好は唆るわね!!」
アリシアはそう言って、僕の目の前に来ると手をワキワキと動かしてさわろうとしてきた。
「アリシア王女! おやめください」
男の娘メイドであるスバルが外から扉を開けて、アリシア王女を避難するように睨む。た、助かった。怒ってむくれた顔をしているスバルを見ていると可愛くてついつい抱きつきたくなるぜ。
い、いかん。落ち着け! こいつは男だ!!
「あら? あなたが相手して欲しかったのかしら?」
アリシア王女の前までツカツカと歩いてきたスバルの顎を彼女は持ち上げて彼の瞳を覗き見ている。
「い、いえ、そうではなくて…」
アリシア王女も僕と同じことを思ったのだろう。切れ長の目でスバルを見た後に口元を釣り上げてクスっと笑う。
「照れちゃって可愛いわね。って、そうじゃなかったわね。夏海! あなたは英語が出来て?」
「自慢じゃないが学校の成績は5段階評価で常に1だ!!」
僕は突然に学業に関することを聞かれて困惑をしながらそう答えた。自慢じゃないが、僕はまともに学校で勉強したことがない。英語の時間なんて、いつも夢の国に行っている。だって、眠いんだもん!
「1番できるってことかしら?」
アリシア王女が日本の採点システムがわからずにとんでもないことを言ってきた。そんな小首を傾げて、流し目でこっちを見てこないでよ。健全な中学生男子の僕にはあなたは毒だ!! 妖艶すぎるよ。
「いえ、アリシア王女、オールA評価と同じだと思われます」
いや、君も違うよ。なんで最高評価を僕が貰っていることになるの!
「違うわ! 僕はまったく、完璧に、これっぽっちも英語ができないって言ってるの!!」
僕は自分の出来の悪さを主張するのに羞恥心を抑えてそう叫ぶ。悪いか!! 僕は勉強なんてものに興味はないの!!
「嘘!? そんな人間がいるなんて…」
「し、信じられません」
そんな僕の言葉を聞いて二人は石像のように固まったあとそれぞれがそんなことを言ってきた。いや、そんなに驚かれてもこっちの方がビックリなんですけど!!
「私は、英語はもちろん、ロシア語、フランス語、ドイツ語、日本語、中国語。もちろん、母国語であるバレリア語も話せるわよ」
額に手を当てて、ため息を吐いた後、アリシア王女は僕をキッと睨んできた。
「まずはバレリア語を習うために王立バレリア学園に行きなさい!! そして、すぐにバレリア語をマスターすること良いわね!!」
姉のその一言で、僕はこの国の学校に行くことが決まった。それも王女としてだ。