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愛人~後宮の女たち~  作者: 月島式部
花たち
16/21

不正

「春玉、寶壽宮の宮女の戸籍を調べて欲しいの」

「何か?」

温妃はゆっくりと頷いた。春玉は「御意」っと歯切れ良く返すと尚宮局へ向かった。そこで寶壽宮の宮女の戸籍の閲覧を申し込んだ。戸籍を管理する呉司簿(ご・しぼ)は訝しんだ。

「春玉殿は寧福宮の太監なのに何故、寶壽宮の戸籍をお調べで?」

「温妃様がお調べしたいとのことだ」

「そうでしたか。実は私どもも調べたいと思っていたのです」

「呉司簿も?」

「最近、寶壽宮の推薦で宮女になる者が多く私どもも管理しきれなくなっておりました」

「推薦で宮女になるにはまず皇后様にお話する決まりだが…司簿、戸籍を出してくれないか?」

「はい」

春玉が戸籍を尚宮局から寧福宮へ持ち帰ったのを麗妃付きの秋菊は見逃してはいなかった。

「温妃が動いた…麗妃様にお知らせしなければ」

秋菊は寶壽宮へ急いだ。戸籍を調べるとなると容児の素性が露見してしまう。それは避けたかった。身分を偽ることは皇后や皇上を騙すことになる。いくら麗妃といえどもただではすまない。

一方、仁禧宮には皇上と皇后が訪れていた。二人は皇子の顔を見に来ていたのである。いくら勝ち気の皇后も皇子の前では優しい「母」となっていた。

「慶嬪、皇子の名前は決まったの?」

「太后様に付けていただくつもりです」

「お母様なら漢字の教養があるから任せて大丈夫だろう」

「皇上、慶嬪、命名の儀はわたくしが幹事をいたします」

「ほう、皇后が。任せるぞ」

金蓉と皇后の仲は徐々に温かいものになっていた。勝ち気なのは欠点だか、皇后は子ども好きで忠実な性格であった。春はこなくとも雪は解ける。金蓉はそう感じるのだった。そこに太監が駆け込んできた。皇后がなにようかと尋ねると寧福宮から火があがった、っと息も絶え絶えに言った。

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