喜びの裏
難産の末に金蓉は皇子を出産した。この慶事に皇族は熱狂し、祝いの品をこぞって金蓉に贈った。皇子出産で金蓉は二階級昇格して嬪となる。封号も「慶」に決まり、慶嬪と呼ばれるようになった。そして太后の誕生日、皇子誕生により他の妃嬪も昇格する。温妃と麗妃は妃のままだったが、懿貴人は懿嬪に、粛嬪は粛妃に李婕妤は李貴人となった。
そしてまだ妃ではないが金蓉には仁禧宮と宮女が与えられた。これを妬んだ懿嬪は夜中、庭を荒らしたり厨房の竃を砂で汚したりと様々な嫌がらせをした。だが、金蓉は懿嬪の嫌がらせは無視した。今は自分と皇子に毒を盛った犯人探しが重要だった。
麗妃はつまらなかった。容児が首尾良く金蓉に毒を盛ったのに母子ともに無事でますます寵愛をうけている。麗妃は容児を呼びつけた。
「容児、慶嬪は無事ね…」
「露花が直ぐに駆けつけるとは不覚でした」
「露花…そうね、毒を盛ったのは容児、あなたではないわ。慶嬪付きの宮女よ。そう言うことに今からするわ」
「麗妃様…」
このやりとりを温妃付きの宮女、盈盈は聞いてしまった。盈盈は皇后から賜った絹を妃嬪たちに分けているところだった。
「このままでは私も命がない…」
盈盈はそそくさに絹を届けると寧福宮に駆け込んだ。その様子に温妃は首を傾げた。
「盈盈、どうしたの?」
「聞いてはいけないことを、聞いてはいけないことを聞いてしまいました」
「どういうこと!?」
「慶嬪様に毒を持ったのは、麗妃様の宮女…容児です!」
「なんですって!?」
温妃は太監の春玉を呼び出した。




