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俺だけが  作者: パー子
第一章 協調性
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「はぁ」

デザートを食べて帰る前に俺はトイレに行った

でもトイレに来たはずがため息の方が多く出た気がする



ギイー



男子トイレを出てダラダラと歩きながら個室へと戻ろうとした時

隣の女子トイレの扉が開き中から人が出てくる

そして目が合った

出て来たのはアイツだった



目が合ったらから俺は足を止めた

しかし目が合った瞬間アイツは目を逸らした

そして学校にいる時のいつものように

俯きながら俺の横を逃げるように通り過ぎ個室へと戻る




「おい」



「っ!?」

俺はアイツの行動にイラっと来てしまいつい声をかけてしまった

そしたらアイツは驚いたように少し体をビクつかせ速く動かしていた足を止めた




「なんか言うことねえのかよ」



「…別に」

その返事にはさっきの今日初めて見せた笑顔も照れ顔も何もない

こっちも向きもしない

ただ目の前に居るのは学校で見る同じクラスの

オドオドするアイツ小さな声のアイツ

それに俺のイライラは増してくる




「あっそ

じゃあ俺が聞いてやるよ

なんでお前は賛成したんだよ」



「 … 」



「ふんっさっきよく話してたお前は双子か何かか?」

機嫌の悪い俺の口からは皮肉しか出てこない

だせえな




「…が…なん…いい」



「ああ?」



「…お母さんが幸せなら何でもいい」



「 !? 」

あれだけいつもの自分を偽ってた理由がそれかよ

なんなんだよ




「…櫻井くんは…なんで?」



「はあ!?」



「っ」

まさかアイツから質問が出てくるとは思わず

荒く返事してしまった

それを聞いてアイツはまた体をビクつかせた

ああこれまたダサい

仕方ないからアイツの質問に答えよう

あのあと俺も意見を行った

流れにのって言った

《賛成》と



じゃあなんで俺は賛成したか

それは正直言って俺にもちゃんと分からない

だから多分




「お前と違って俺は協調性があるからだ」

この現代社会において一番大切なのは協調性である

それが働いたんだと思っておこう今は




「そう…」

小さく呟くとアイツは歩き出した

アイツは最後までこちらを見なかった




あーあの選択は本当に正解だったのか?

この協調性が正しいかはこれから身にしみて分かっていくんだろうな

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