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俺だけが  作者: パー子
第四章 誕生日
51/52

10

「あー食った食った」

あの後、泣いてる結音を連れて父さん達と合流するわけにもいかないので

落ち着かせるためにも二人で昼飯を食いに行った



「じゃあ家帰るか

バカ陽菜がいろいろ準備してるだろうし」



「あの!潤くん!」

店を出て俺の後ろをついてくる結音が声をかけてくる



「なんだよ」



「あのやっぱり私今日は帰れないよ…」



「はあ?何いってんだよ」



「その…私…陽菜や雅紀さん達にお祝いをしてもらってもどんな風に反応すればいいか分からないし…

せっかく準備してくれているのはうれしいけど私が帰ったら余計に困らせちゃうだろうし…」



「分かったよ

しゃあねえ日付変わるまでどっかで時間つぶすか」



「えっ?潤くんは帰らないの?」



「言っただろ俺が証明するって

だから日付変わるまで一緒に居ないと意味ねえだろ」



「っ」



「言っとくけどお前に拒否権ねえからな

さてと

こう言う時に一番合うバカでも召喚するか」



「それって?」



「隆と奏斗だよ

奏斗は微妙かもしれないけど隆は絶対に暇にしてるだろうしよ」



「隆くんと奏斗くん…」



「…大丈夫だ

喋るようになってまだ日が浅いから今日がお前の誕生日だって知らねえだろうし

いつも通りのバカ騒ぎしとけば1日なんて直ぐ過ぎるさ」

まあ奏斗には軽く個別でメッセージ入れとけば空気読んでくれるだろう




「…うん」



「じゃあ二人に連絡いれるわ」



連絡が取れるとちょうど二人ともが合流でき

今回は隆のおかげでバカ騒ぎをして1日が過ぎていった





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「あー疲れたー」



「うん…そうだね」



「これぞ連れまわされたって感じだな」



「うん…そうだね」

24時前に隆と奏斗の二人と別れて結音と一緒に家を目指す

夜道に二人で無言で歩くのはさすがに気まずいから話かけてみるも返ってくるのはカラ返事だった

表情は…暗くて見えない



ダメだったかな

俺らしくないことやった1日だったのは分かってる

だけど後悔はしてないんだ



「…もうすぐ日付変わるな」



「うん…そうだね」



「なあ」



「何?」



「誕生日おめでとう」



「っ…うん…ありがとう」

俺は足を止めて結音を見つめ真っすぐ伝えてみた

正直恥ずかしい

けど返ってきたのは目の前には困った様子の笑顔だった



「っ…」

その顔を見てられなくて前を向きなおしてもう一度家に向かって歩き出した

後悔はしていないはずなのに

なんだろうなこの気持ち



「…ねえ潤くん」



「なんだよ」

結音から話しかけることなんて珍しいのに

さっきの顔がチラついて後ろを振り返らずに返事していまう



「今日は本当にありがとう」



「っ!」

予想していなかった言葉に俺はすぐに後ろを振り返った



「とても楽しい誕生日だったよ

ありがとう潤くん」



「…おう」

予想してなかった

これも予想してなかった

そんな言葉が出てくるなんて

そんな優しい笑顔が出てくるなんて



「帰ろう潤くん」



「ああ…」

初めて見る結音ばかりで俺は混乱しまくってた

けどとりあえずは最後の言葉が今日の出来だと思って帰ることにした

俺たちの家に

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